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「そうだテストをしよう」(2007/01/22 (月) 00:47:41) の最新版変更点
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「テスト?」
俺の提案に三者三様の声を上げる我が家の神姫達。
「おう。最近東杜田技研クレイドルシリーズの問い合わせが多くてな」
「ここいらで商品テストでもしてみようと思うのだ。つか、サンプル品のレポート
書かないといけないし」
ある日の閉店後。
俺のテスト要請に気乗りしない顔のアホ2名。ジェニーさんだけは仕事として協力的。
「ちゅうか偶には家業に協力せぇよ貴様ら」
「ヤダねー。ボクは他人に指図されるのが大キライなのさー。自由人だかんねー」
それは神姫として間違ってるだろ。
「お恥ずかしい限りで?」
居間でデカいソファに寝転んだ雛希が気だるげに呟く。
せめて恥ずかしいというポーズぐらい作れ。
「だいたいウチはバイトしてるやん」
「気分でサボるヤツの言う事か。ちゃんとシフト組んでくれる静香ちゃんのが遥かに
役に立っとるわ」
「むー」
メンド臭そうに頭を掻きつつ、ラストがボディを入れ替える。
「ま、そういう事なら。仕方あらしまへん。やりましょか」
一気に落ち着いた雰囲気を纏うラスト。この変化もどうも慣れんな、オイ。
ひとつめ。「和(なごみ)壱型」
雰囲気を出すという事で、和服(TODA-Design謹製)に着替えた3人。
うむ、和服もいいモンだな。特にラスト、喋り方のせいか似合いすぎ。
「うわ、お嬢の部屋みてーじゃん。落ち着かねー」
いや、それお前の自室でもあるだろう。落ち着かんのかい。
「ウチは結構好きどすえ?」
「私もこういう落ち着いた雰囲気、いいと思います」
かたやラストとジェニーさんは好感触。
なるほど精神年齢高めの神姫にはウケが良いと。
「持ち運びにも対応してるんですね…結構いいんじゃないです?」
「だな。スタンダードな構成だがその分隙が無いのが良い」
意見を纏めつつ書き込んでいく。
なるほど、最近人気を集めている理由が解る気がしたぜ。
ふたつめ。「さわやかしんさつしつ」
「マジで診察室だな」
「機器も全部動きますよコレ」
俺とジェニーさんが感心半分、呆れ半分で呟く。すげぇ。
「ベッド型クレイドルと接続出来るんですね」
「ああ。ウチとしてもこの手の拡張機能は有り難いねー」
思わず頷く。
「で?お医者さんごっこはしまへんのん?」
何時の間にか白衣に着替えたラストが妖しく微笑む。
お い し ゃ さ ん ご っ こ ! ?
それは男の夢。ドリーム。幼稚園児の頃本義に目覚めていれば。いやそれは無い。
「夏彦、無様なにやけ方だわ。記念に写真でも撮ろうかしら」
「やめてくれ」
扇子を口元にあて、お決まりのポーズでうそぶく雛希に低い返事を返す。
俺には夢を見る時間も無いのか。
しかし、よく考えたら神姫のお医者さんごっこってメンテじゃないか。
いつもやっとるわ。
「神姫同士でもメンテ出来るんだなー」
「あら、流しはるんですのん?」
「メンテはいつもやってるし」
「なら…後でします?人間サイズで」
な ん だ っ て ー ! ?
「ラストさん?」
ジェニーさん微笑。その手には手術用ナイフ。
うわ、超怖い。走馬灯が見えるくらい。
「あらら…ちと、からかい過ぎましたえ」
逃げるラスト。…雰囲気違っても中身は同じか。
「なぁなぁ、なら改造手術しようぜー!ボク、医療ミスを繰り替えすけど組織の重役な
親戚のコネで今の座に居座る科学員の役ねー!」
ジェニーさんの背後で手術器具弄ってたオウカが元気に提案する。
ああ、馬鹿に刃物ってこういうのの事を言うのか。
「お前は魂コレクターズ「脱出」でも使ってろ」
「んだよ、ソレ!協力してやってるのにさーっ!」
暴れるオウカ。
「雛希、頼む」
「オウカ、先に進まないわ…煩わせないで」
雛希の一喝にピタっと動きの止まるオウカ。うむ、絶対王制。
というか基本設定上、マスターである雛希にだけは逆らえないんだろうけど。
好き放題に見えるのは雛希が放任してるからで。
「ち、ザコが…夜道には気をつけろよ」
とりあえずマスター以外にも、もう少しなんとかしなさい。このアホ神姫。
みっつめ。「ぬくぬくこたつ」
「簡易型みたいですね」
「あー…極楽やわぁ」
「オマエら出てけよ。ここはボクの陣地だかんね」
概ね好評のようだ。
「ま、簡易型といってもオプションはあるし。居住性を考えると結構売れそうだな」
「比較的安価ですしね。本命はこれでしょうか」
「おい、夏彦。ミカン持ってこいや、食えるヤツ」
「オウカ、もうお前には何も期待しねーからせめて邪魔すんな」
「んだとっ、見下したな!?このボクを見下したなぁっ!?」
ああもう、メンドくさい子だこと。
「今日はもう疲れただろうって事だよ…ゆっくりおやすみ」
柔らかな微笑すら浮かべつつ、囁いてみる。
「へ?なんだ、オメー意外といいヤツじゃん。オラ、ミカンやんよ。食えないけど」
解りやすいヤツだった。
「なぁ、雛希。アレはどーなのよ…」
「冬司には好評だったけど?」
つくづく子育てには向かんオヤジだ。
「改善を要求したいがムリっぽいな…」
「ええ。仕方無いわ。私は気に入っているし。次行きましょう」
そして今日もお嬢様はマイペースだった。
よっつめ。「ふたごのおひめさま」
「うむ、ゴージャス。そして実にデラックス」
「値段もゴージャスですねー」
「しかし、張る人は張るからなー」
こういう高額商品も侮れないのだ実際。
「しかしこのオプション…いつの間にこんな展開してたんですか」
「ウチは需要があるなら何でも作ります。結構神姫買いたてのお客さんには人気商品
なんだぞ?」
チラシを見つつ呟くジェニーさんに返す。なんとなく納得したようだ。
「しかしさすがに関連オプションも多いですねー」
「拡張性もデラックスだな。オプションも入れないと」
「総額計算したら恐ろしい額なんですが」
「まぁ、メーカ取り寄せって手もあるし」
二人揃って大型商品ゆえの意見交換だ。個人商店のツラさでもある。
「夏はん、着てみましたえ」
「いぇー、似合うー?」
バカ2名がドレスを着ている。うむ、可愛い。可愛いのだが。
「お前ら…中身と外見の違和感が有り過ぎる」
「まぁ、ウチもそないな気はしてたんどすけど」
「何言ってんのさー。ボクほどプリンセスって響きの似合う神姫は居ないぜー?」
嬉しそうにクルクル回るオウカ。
洋服が嬉しいのかプリンセスが嬉しいのか。まぁ、色々だろうな。
「どーよ夏彦?欲情すんなよ?オメーみたいなサルに興味はねーからなー」
俺もお前みたいな気の毒な子は御免こうむる。
「…ブタに真珠」
「いやー、ブリタニアの真珠って、褒めすぎだぜー!事実だけどっ!」
皮肉が通じてねぇ。つか、勝手に言語を補完するな。
「なぁ、ジェニーさん…神姫って諺はプリセットじゃねーの?」
「特殊な言い回しはデフォルトの言語ツールには含まれませんね…普通はマスターから
学習するんですけど」
ちらり、とそのマスターを見る。
優雅に笑っていらっしゃった。
「ありゃ教えてるワケねぇな」
「むしろ間違った用法を楽しんでいるタイプですね」
偶にオウカが気の毒にも感じる。
「この家もこのぐらい出来んモンかね。ボクには相応しくないっつーかー」
「お嬢の家はもっと豪華だったぜー?広さもゼンゼン違うしさー」
前言撤回。ヤツにも問題はある。大いに。
「あ、マスター。新商品のチラシついてますよ」
「ん?おお、サブパワーユニットか。熱いなコレ」
…バトル方面にも商品展開していくと。リスト押さえておくか。
「夏彦」
雛希に唐突に声を掛けられ、振り向く。
「オウカとラストがベッドで眠ってしまったのだけれど」
見れば、プリンセスベッドですやすや寝息を立てている二人が見えた。
「ハシャぐからだ。まぁ、いいんじゃね、今日はコレで」
「そうね…私もそろそろ眠るわ」
「ああ。お休み」
「一緒に寝ようとか言うべきだと思うのだけれど?」
こちらを真っ直ぐに見て微笑む雛希。だから何で貴方はトシの割りにそう…
「…いや、まだ仕事があるんで」
そそくさと逃げ出した。
「あらあら、しかし意気地の無い…苦労するわね、ジェニー」
「…まぁ、良い所もありますよ」
「知ってるわ」
何か解り合った笑い方をする二人を見つつ、居間を出る。
最近、大人しくしてたせいか騒がしいってのもあるし。
そろそろ本腰入れてコイツを仕上げにゃならんのだ。
…いや、そうじゃなくても断るけどな。
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設計図に浮かぶG1、G2の文字に目を細め、俺は作業に集中し始めた。
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