「幻の始まり」(2007/01/21 (日) 22:30:01) の最新版変更点
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ただでさえ憂鬱な期末試験は、予想通り散々な結果で終わった。僕――星野慎一は、今すぐにでも抹殺したい成績表を持って、家路についていた。
いつからだろう、こんな風になったのは。
昔――といっても数年前だけど――は、決して勉強は苦手ではなかった。学校でも、それなりに友達付き合いがあって、楽しかった。
父が、罪を犯すまでは。
ほんの些細な行き違いから口論になって、相手は父を殴りつけてきた。危険を感じた父は、そこにあった大きな灰皿で、相手の頭を殴打して・・・・・・、殺してしまったらしい。
目撃者が居なかったのが、父にとっての不幸だった。正当防衛ということだったが、近辺では、あることないこと、大小さまざまな噂が飛び交った。・・・・・・その火の粉は、僕達家族にも及んだ。
逃げるように、住み慣れた地を後にした。僕は現在、祖父母の所で暮らしている。
なるべく人の通らないような裏道を歩く。とにかく、人付き合いが恐かった。殺人者の息子だとばれるのが恐かった。
「た・・・・・・す、け・・・・・・」
「えっ?」
なんだ? どこかから、声が聞こえた。慌てて周りを見渡すが、誰も居ない。
「助、け、て・・・・・・」
まただ。怪奇現象かとも思ったが、違った。
僕の足元に、15センチほどの青い髪の少女がいた。・・・・・・我ながら、変な形容だと思う。
そうだ、思い出した。最近色々と話題になっている、武装神姫。でも、そんなのがどうしてここに?
「助けて、くだ、さい・・・・・・」
その時僕は、なぜかこの娘を助ける気になっていた。今にして思えば、彼女が人じゃないから・・・・・・。そんな考えも働いていたのかも知れない。
「ありがとうございました・・・・・・」
彼女は僕の机の上でそう言った。よく見ると、身体には無数の傷がある。
「うん・・・・・・、あ、僕は星野慎一。えっと・・・・・・、とりあえず、よろしく」
「慎一・・・・・・様。私は悪魔型MMSタイプ『ストラーフ』、個体名ネロ、と申します」
・・・・・・なんて呼べばいいんだろう? 聞いてみたところ、
「ネロ、で結構です、慎一様」
とのことだった。それにしても、
「様付けってのはなんかちょっと照れくさいなあ・・・・・・。僕のことも慎一でいいよ」
これが、僕の運命を大きく変える出会いだった。
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