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「妄想神姫:第三章(前半)」(2007/01/16 (火) 17:50:54) の最新版変更点
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**戦乙女は、かく降臨せし(前半)
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ヒートアイランド現象の所為であたたかいと言え、今は冬真っ只中。
流石に冷えるが、ここは今日も賑やかで熱気に満ちているな。有無。
秋葉原神姫センター3階、ヴァーチャル式バトルフィールド装置前。
ここではサードリーグとセカンドリーグの試合を、年中やっている。
設置台数は、両リーグを合わせて凡そ……16基という所だろうか?
「お兄さんお姉さん達でいっぱいですの~、それとわたしの妹達もッ」
「そうだぞロッテ。今日はここで初バトルをやるんだ……大丈夫か?」
「はい。ちょっぴり緊張しますけど……精一杯がんばってきますの♪」
「良い娘だ~……こほん、勝ったらご褒美も考えてやろうか、有無?」
「むむむっ。そう聞いたら、もっとも~っと頑張っちゃいますの~♪」
そう、我々は先日“解除”と並行してサードリーグに登録したのだ。
草リーグとは違い、大小織り交ぜた“公式試合”が月に何度かある。
今日は初めてそれに挑戦してみよう、という訳である。心が躍るな。
私・槇野晶が引いている改造スーツケースには、神姫・ロッテ専用の
軽量級用装備一式が積まれている。いきなり重量級でもいいのだが、
まだまだ“アレ”は開発途上である。試作一号機が完成してからだ。
「さ、着替えようか。戦乙女ロッテの初お披露目と行こうじゃないか」
「はいですの!ん、しょ……マイスター、トランク開けてくださいの」
「よし。ではじっとしていろ……?最終点検も一気にこなすからなッ」
「了解ですの♪──────火器管制用ジステム……エクセス(接続)」
システムメッセージ用の無機質な声を確認し、私は一気に彼女を脱がす。
素体に専用アンダーウェアを施しているとは言え、やはり少し照れるよ。
……「百合幼女萌え」とか言った奴には、飛び膝蹴り9本くれてやろう。
第一、補助アーマーとブースターを装備して“裸”とは言わぬだろう!?
「と言っても、何時もロッテを着せ替えする時は緊張するものだ……」
……兎も角、その上に武装を施していく。まずは蒼穹の輝きを持つ装甲、
次に青き一角獣の槍を、更に死神の手……そして霊鳥の脚と神々しい翼。
仕上げに、大いなる天使の輪を宿す冠を。これで軽量級戦闘装備は完了。
おっと、愛用のチタン製ブレードと二挺拳銃も、装備させてやらねばな。
「よしっと。プランL009で動作スキャン、その後モード復帰してくれ」
「──グリューン。復帰します……マイスター、準備はOKですの♪」
「よし、では往こうか。間もなく試合時間だ、気合い入れろロッテ!」
「はいですの!なんとしてでも勝って、マイスターを喜ばせますのっ」
ウェアラブルPCを介してスキャニング結果を参照、異状は……ないな。
私の為に戦ってくれるとはしゃぐロッテに少し照れつつも、点呼に従って
ロッテをバトルフィールドのエントリーゲートに入れてやる。私の出番は
ここまで。後は彼女を信じて指示を飛ばすのみである。……そういえば、
今回の対戦相手は誰であったか。確認を忘れていたが、もう仕方ないな。
『ロッテvsフリッグ、本日のサードリーグ第39戦闘、開始します!』
「フリッグさんですか~……今回のフィールドは、どんな所ですの?」
『設定は“夕焼けの古戦場”らしい。そなたは初顔か、我が姉妹よ?』
「はいですの。マイスターに連れられて、今日は初めての戦いですの」
『そうか。私は幾度か戦った……初陣とはいえ手加減はできぬ、許せ』
「構いませんですの。マイスターの心があれば、勝つのは私ですから」
フィールド審判システムのアナウンスに混じって、相手神姫の声が入る。
その言葉通り、筐体内部のフィールドは朱に染まった草原を映し出した。
しかしロッテの、臆面もなく照れる台詞を言う癖は……正直赤面物だな。
まんざらでもないと思う私も大概ではあるが……ともあれ姿が見えたな。
「ほう、その姿。アーンヴァルタイプと聞いていたが、私に近いな?」
「ん……そういうお姉さんは、サイフォスタイプのカスタムですの?」
「如何にも。与えられた名をフリッグ、“大剣士”のフリッグという」
「私は、ロッテと言いますの。二つ名は~……えっと、うんと~……」
ロッテや……今度にでも考えてやるから、今は目の前の神姫に集中しろ。
しかし相手も青き鎧を纏った戦士か、“戦乙女”の初陣には相応しいな。
さて、早速モーションなどの情報収集を行うか。これこそが私の役割だ。
「では……いい試合をしようではないか、ロッテとやら。いざ、参る」
「マイスターの神姫、ロッテ!いざ尋常に勝負ですの!……ヤァッ!」
──────ロッテが頭部バイザーを閉じた。“舞踏”の開始だ。
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