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ぶそしき! これから!? 4話 『シッパイ』
4-2
「……はぁ」
放課後、帰宅途中で立ち寄った公園のベンチに座り、友大は今日何度したかも分からないため息を吐く。
昨日のショックが尾を引いて注意力散漫だったためなのか、少年の今日1日は散々だった。
朝食を準備する際には誤って皿を割ってしまい、朝学校に行くときには何もないところでつまずいてしまう。
学校では授業中に先生に当てられて見当違いのことを答えてしまったり、体育の授業ではボールを顔面に受けたりといった具合だった。
「……はぁ」
ため息がもれ出る。
「マスター! マァスタァーー!!」
そんな友大にヒイロが必死で呼びかける。
「……ん?」
「よ、ようやく気づいた。マスター、バトルしようぜ!」
唐突にヒイロがのたまう。
「バトルして、いやなことも忘れてスカッとしようぜ!」
「……」
手をグーの形にして叫ぶヒイロを友大は見る。
いつもと変わらない、やんちゃな少年を思わせる姿に、少し苦笑してしまう。
「……分かったよ。そうだね、いつまでもうじうじしていてもしょうがないし。気晴らしに行こうか!」
「マスター!」
ヒイロの顔が輝く。
それを見て、友大自身、少し気分が晴れるような感覚になる。
■ ■ ■
「……」
神姫センターの休憩所のソファーに座り、少年は頭を抱える。
「ち、ちきしょー」
ヒイロはテーブルにうつ伏せになって、悔しそうにテーブルを叩いている。
「……泣きっ面にハチっていうのかな、これ」
疲れきったようにつぶやく。
神姫センターに着いた友大を待っていたのは、同じクラスの神姫マスターの男子だった。
隣のクラスの女子とバトルだと有無を言わさずに付き合わされた挙句、その勝負は無残な有様だった。
対戦相手のゼルノグラードにガトリングガンを食らわされ続け、ようやく接近できたと思ったらショットガンでズドンで完敗という体たらく。
(武装の差もあるんだけど、これは酷ひ……)
ちなみに対戦させられた女子はバトルが終わると、自身の神姫からもうすぐ習い事の時間であることを告げられて急いで走り去っていった。
「……」
友大が落ち込んでいると、近くのソファーにOLらしきスーツを着た女性が座る。
「……はぁ」
ため息を1つ。
ウェーブのかかったセミロングの黒髪が微かにゆれる。
眼鏡をかけており、本来理知的に見える顔には疲労の色が濃い。
目の下のクマと腫れぼったく、しかも疲れきった目が一種近寄りがたい雰囲気を作り出している。
「まさか定時に帰れるとは。半年ぶりでしょうか? これも優秀な部下と同僚が来てくれたおかげですね」
女性が声をかける。
しかし、それは近くにいる人間に対してのものではない。
「ええ、そうですわね。あの方々のおかげで、お姉様の仕事の能率はさらにはかどる様になりました。上からさらに仕事を振られるようになりましたけど」
女性の肩に腰かけている紫の髪の神姫が答える。
その神姫は白いゴシック調のドレスに身を包んでいる。
「でもお姉様、ご自愛くださいませ。昨日も泊り込みだったのですよ」
「……分かっていますよ。しかしこれでも部下をもつ身の上司ですからね、色々責任もあるんですよ、ラミエ」
女性が笑みを浮かべる。
ラミエと呼ばれた神姫はその笑顔を見て、その端正な顔を沈痛に歪める。
「こんなことを、続けていたら――」
「分かっています。その話はここでは止めましょう。今は気晴らしがしたいですから」
女性が備え付けられたディスプレイを見上げる。
そこには今行われている神姫バトルが映っている。
「久しぶりに神姫バトルをしましょうか、それともあなた達の武装でもショッピングしましょうか」
女性が腕を組んで考え込む。
「気まぐれに足を伸ばしたけど、この辺りに良い武装パーツのお店はありますかね?」
「おもちゃ屋スターフィールドってお店ならあるぞー」
女性の独白に、突然ヒイロが答える。
「「「――え?」」」
3対の視線がヒイロに集中する。
「ん?」
ヒイロは特に気にした様子はない。
(あ、ど、どうしよう……)
しかしそのマスターの友大は、まるで自分が言ってしまったかのように焦ってしまう。
「あ、ちゅ、中古の武装も売られているらしいですし、もしかしたら掘り出し物があるかも……」
どもりながら、フォローを入れようとする。
「あ、ありがとう」
鳩が豆鉄砲を食らったような面持ちで女性がお礼を言う。
「――あ、ありますわね。少し歩くことになりますけど」
ネットに繋いで検索したラミエが店の場所を把握する。
「……せっかくだし、行ってみましょうか」
よいしょっと、声をあげて女性がソファーから立ち上がる。
(スターフィールド…………星、原……まさか、ね)
■ ■ ■
「……」
「おーい。マスター、オレ達も行こうぜ」
女性が去っていくのを見送るマスターにヒイロが呼びかける。
「あ、え~と……ヒイロ、さっきは……」
気づき、ヒイロに先ほどの行動のことを尋ねようとする。
「なんだよ?」
「…………ぃぃゃ」
結局は、気力がわかずに止める。
「なんだよ。っと、それよりマスター。やっぱり飛び道具相手に今の武装だときっついよなー」
「……そうだね」
先ほどの散々なバトルのことを思い起こしながら答える。
今のヒイロにはろくな武装はなく、撃ちあう火器も一気に肉薄する機動力も、弾幕を防げる防御力もない。
並外れたパワーはあるが、それも今の状態では接近できなければ宝の持ち腐れだ。
「やっぱり、もっと武装がほしいよね」
ため息をつく。
分かりきったことではある。
しかし友大には武装をそろえるための資金はなく、なにか良いアイディアもない。
「マスター。今日の夜おこづかいもらえるんだろ? この前、おこづかいもらったら何か武装を買ってくれるって約束したじゃないか。下見に行こうぜ」
「……うん、約束したね」
ヒイロの言葉に記憶の山を掘り起こす。
なにか、そんな約束をした記憶がよみがえる。
「……」
頭の中で、今残っている資金と明日もらえるおこづかいの額を計算する。
神姫センターで何か新品の武装パーツを買うには、なかなか厳しい額だった。
「ちょっと、スターフィールドまで行こうか」
「おう!」
少年の取れる選択肢は少なく、定価の新品が厳しいのなら中古品などで安く売っている店に行くしかない。
そして、少年の知っているそんな店は1つしかなかった。
「……」
神姫センターを出て目的の場所へ向かう。
店の前に着き、そこでふと気づく。
(……あれ? もしかしてさっきの女の人にまた会うんじゃ――)
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ぶそしき! これから!? 4話 『シッパイ』
4-2
「……はぁ」
放課後、帰宅途中で立ち寄った公園のベンチに座り、友大は今日何度したかも分からないため息を吐く。
昨日のショックが尾を引いて注意力散漫だったためなのか、少年の今日1日は散々だった。
朝食を準備する際には誤って皿を割ってしまい、朝学校に行くときには何もないところでつまずいてしまう。
学校では授業中に先生に当てられて見当違いのことを答えてしまったり、体育の授業ではボールを顔面に受けたりといった具合だった。
「……はぁ」
ため息がもれ出る。
「マスター! マァスタァーー!!」
そんな友大にヒイロが必死で呼びかける。
「……ん?」
「よ、ようやく気づいた。マスター、バトルしようぜ!」
唐突にヒイロがのたまう。
「バトルして、いやなことも忘れてスカッとしようぜ!」
「……」
手をグーの形にして叫ぶヒイロを友大は見る。
いつもと変わらない、やんちゃな少年を思わせる姿に、少し苦笑してしまう。
「……分かったよ。そうだね、いつまでもうじうじしていてもしょうがないし。気晴らしに行こうか!」
「マスター!」
ヒイロの顔が輝く。
それを見て、友大自身、少し気分が晴れるような感覚になる。
■ ■ ■
「……」
神姫センターの休憩所のソファーに座り、少年は頭を抱える。
「ち、ちきしょー」
ヒイロはテーブルにうつ伏せになって、悔しそうにテーブルを叩いている。
「……泣きっ面にハチっていうのかな、これ」
疲れきったようにつぶやく。
神姫センターに着いた友大を待っていたのは、同じクラスの神姫マスターの男子だった。
隣のクラスの女子とバトルだと有無を言わさずに付き合わされた挙句、その勝負は無残な有様だった。
対戦相手のゼルノグラードにガトリングガンを食らわされ続け、ようやく接近できたと思ったらショットガンでズドンで完敗という体たらく。
(武装の差もあるんだけど、これは酷ひ……)
ちなみに対戦させられた女子はバトルが終わると、自身の神姫からもうすぐ習い事の時間であることを告げられて急いで走り去っていった。
「……」
友大が落ち込んでいると、近くのソファーにOLらしきスーツを着た女性が座る。
「……はぁ」
ため息を1つ。
ウェーブのかかったセミロングの黒髪が微かにゆれる。
眼鏡をかけており、本来理知的に見える顔には疲労の色が濃い。
目の下のクマと腫れぼったく、しかも疲れきった目が一種近寄りがたい雰囲気を作り出している。
「まさか定時に帰れるとは。半年ぶりでしょうか? これも優秀な部下と同僚が来てくれたおかげですね」
女性が声をかける。
しかし、それは近くにいる人間に対してのものではない。
「ええ、そうですわね。あの方々のおかげで、お姉様の仕事の能率はさらにはかどる様になりました。上からさらに仕事を振られるようになりましたけど」
女性の肩に腰かけている紫の髪の神姫が答える。
その神姫は白いゴシック調のドレスに身を包んでいる。
「でもお姉様、ご自愛くださいませ。昨日も泊り込みだったのですよ」
「……分かっていますよ。しかしこれでも部下をもつ身の上司ですからね、色々責任もあるんですよ、ラミエ」
女性が笑みを浮かべる。
ラミエと呼ばれた神姫はその笑顔を見て、その端正な顔を沈痛に歪める。
「こんなことを、続けていたら――」
「分かっています。その話はここでは止めましょう。今は気晴らしがしたいですから」
女性が備え付けられたディスプレイを見上げる。
そこには今行われている神姫バトルが映っている。
「久しぶりに神姫バトルをしましょうか、それともあなた達の武装でもショッピングしましょうか」
女性が腕を組んで考え込む。
「気まぐれに足を伸ばしたけど、この辺りに良い武装パーツのお店はありますかね?」
「おもちゃ屋スターフィールドってお店ならあるぞー」
女性の独白に、突然ヒイロが答える。
「「「――え?」」」
3対の視線がヒイロに集中する。
「ん?」
ヒイロは特に気にした様子はない。
(あ、ど、どうしよう……)
しかしそのマスターの友大は、まるで自分が言ってしまったかのように焦ってしまう。
「あ、ちゅ、中古の武装も売られているらしいですし、もしかしたら掘り出し物があるかも……」
どもりながら、フォローを入れようとする。
「あ、ありがとう」
鳩が豆鉄砲を食らったような面持ちで女性がお礼を言う。
「――あ、ありますわね。少し歩くことになりますけど」
ネットに繋いで検索したラミエが店の場所を把握する。
「……せっかくだし、行ってみましょうか」
よいしょっと、声をあげて女性がソファーから立ち上がる。
(スターフィールド…………星、原……まさか、ね)
■ ■ ■
「……」
「おーい。マスター、オレ達も行こうぜ」
女性が去っていくのを見送るマスターにヒイロが呼びかける。
「あ、え~と……ヒイロ、さっきは……」
気づき、ヒイロに先ほどの行動のことを尋ねようとする。
「なんだよ?」
「…………ぃぃゃ」
結局は、気力がわかずに止める。
「なんだよ。っと、それよりマスター。やっぱり飛び道具相手に今の武装だときっついよなー」
「……そうだね」
先ほどの散々なバトルのことを思い起こしながら答える。
今のヒイロにはろくな武装はなく、撃ちあう火器も一気に肉薄する機動力も、弾幕を防げる防御力もない。
並外れたパワーはあるが、それも今の状態では接近できなければ宝の持ち腐れだ。
「やっぱり、もっと武装がほしいよね」
ため息をつく。
分かりきったことではある。
しかし友大には武装をそろえるための資金はなく、なにか良いアイディアもない。
「マスター。今日の夜おこづかいもらえるんだろ? この前、おこづかいもらったら何か武装を買ってくれるって約束したじゃないか。下見に行こうぜ」
「……うん、約束したね」
ヒイロの言葉に記憶の山を掘り起こす。
なにか、そんな約束をした記憶がよみがえる。
「……」
頭の中で、今残っている資金と今夜もらえるおこづかいの額を計算する。
神姫センターで何か新品の武装パーツを買うには、なかなか厳しい額だった。
「ちょっと、スターフィールドまで行こうか」
「おう!」
少年の取れる選択肢は少なく、定価の新品が厳しいのなら中古品などで安く売っている店に行くしかない。
そして、少年の知っているそんな店は1つしかなかった。
「……」
神姫センターを出て目的の場所へ向かう。
店の前に着き、そこでふと気づく。
(……あれ? もしかしてさっきの女の人にまた会うんじゃ――)
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