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「「口に出して言うには恥ずかしい話」」(2006/11/17 (金) 02:47:55) の最新版変更点
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*そのじゅうに「口に出して言うには恥ずかしい話」
あれからと言うもの、僕とティキは勝ち方を忘れたんじゃないかと言うくらい連敗続きで。
『勝つ』事のみにとらわれず、『成長』する事に重点を置いているわけだから、今まで見たいな出鱈目をしていないんだから、その所為で勝率が下がるって言うならわかる。
それでも勝つ気でバトルしてるわけで、ハナから負けるつもりなんて、さらさらない。
だと言うのに、一向に勝ちが見えてこないってのは、どうしてなのか?
そして今日も今日とて負け戦。
「ティキ、ごめんなー……」
正直僕は意気消沈。だって、どう贔屓目に見ても、僕はティキにうまく指示を出せていない。
「そんな、マスタが悪いのではないのですよぉ~ ティキだって……思った通りに動けて無いのですぅ」
僕の頭の上でがっくりと肩を落とし、ティキは泣きそうな声で言った。
実際のところ、僕もティキも負け込んでいる理由なんてわかっている。
あの日、エルゴで見たあのバトル。あの衝撃が未だに脳裏に、メモリにこびり付いているからだ。
……あんな風に、動けるはずも無いのに。
「今日俺、部活サボるから付き合え」
そういって無理やり連れてこられたのは、一番近所にある神姫センター。
確かに僕は部に顔を出す事を禁止されていて暇をもてあまし、資金も無いのにバトル三昧で、その上敗戦続きだった訳だから文句らしい文句は言えない。
それに式部がそんなヤツだってことを僕は百も承知で、そしてそんなヤツでも僕にとっては得がたい友人なので、付き合うことにはやぶさかでなく。
て言うより、チョットだけ式部に気まで使ってしまう位な微妙な立ち位置にさえ居るわけで。そして僕はそれを正直に口してしまう事しか出来なかったりもする。
「なあ、お前は武装神姫のオーナーだって事、学校じゃ隠してんだろ? なのに、こんな学校の近所で僕と一緒にいていいのか?」
我ながら自虐的。学校ではいたって目立たなかった僕が、すでに武装神姫にはまっている所謂オタクであるという噂はすでに学年中に広まっていて、更に僕はそれを隠すのを止め、堂々と神姫バトルを行っていたんだから、噂が真実だと言うのは周知の話。
だからそんな僕と一緒にいたら、式部も同じ扱いを受ける事は必至で。
そんな事を考えていた僕に、式部は僕の頭――ティキの定位置だけど今ティキはそこには居ない――を殴る事で返す。
「――っ! お前なぁ! これ以上僕がバカになったらどうすんだよ!!」
「そんな頭ならバカにでも何でもなっちまえ!」
そう言って怒っている式部を少し睨んだりもしたけど、正直言って怒ってくれた式部がうれしい。
間違ってもそんな事、口に出したりしないけど。
だから僕は、ありったけの感謝をこめて、
「……ありがと」
と、ぶっきらぼうに言う。
「なんだ? 殴られて礼を言うなんて、お前Mか? 気持ち悪!」
「んなワケあるかー!」
コイツはこんなヤツだから、だから僕にとっては何物にも換えられない大切な友人なんだ。
僕と式部がそんなやり取りをしているそのテーブルの上では、ティキがきらりに弱音を吐いていたりする。
「ティキはどうやって戦っていいのかわからないのですよぉ~」
半泣き状態。
そんなティキを見て、きらりは少し困った顔をする。
「ティキちゃん、そんなの、私も同じだよ。でもね、それって、私たちにまだ限界が来ていないって事なんだよ」
「限界、ですかぁ?」
「そう、限界」
きらりはもう一度繰り返す。
「私たちは、まだ何者にもなれる可能性が、それこそ無限大にあるの。確かに、得意な攻撃パターンや、戦法っていうのは存在するけどネ」
そう言って、きらりはティキの頭を撫でる。
「だから、ティキちゃんは他の誰かのような武装神姫じゃなくて、『ティキちゃん』になればいいんだよ。もちろん、お手本にする人が居てもいい。だけど、ティキちゃんはその人にはなれないでしょ?」
「……ハイですぅ。ティキはティキにしかなれませんですよぉ~」
「きっとティキちゃんは、他の誰かになろうとしてたんじゃないかな? だから、自分のやりたい事がわからなくなちゃったんだよ」
ティキに向けられているハズのきらりの言葉は、僕の胸にも響いた。
「そうだぜ? お前らはお前らにしかなれねーよ。そんな事して、自分たちの可能性を狭めたら勿体ねーだろ?」
式部がきらりの言葉に続く。だけどその言葉は僕にも向けられていた。
「俺としてはさ、お前らがそんなんじゃ張り合いがねーワケよ。あんな、らしくないやり方じゃぁさ」
まるで見ていたかのような事を言う。
……見てたのか!
僕がギョッとして改めて式部を見ると、そこにはニヤニヤと人の悪そうな笑みを浮かべる友人の顔があった。
言いたくは無いし、思うのだって恥ずかしいけど、コイツってイイヤツだ。改めてそう思う。
僕とティキは顔を見合わせる。そして二人で照れ笑いを浮かべた。
「そんじゃぁさ、取りあえずリハビリって事で、チーム組んでバトロイでもしようぜ」
そういって立ち上がった式部ときらりに、僕とティキも続く。
その日、僕達は久しぶりに勝利を手にした。
[[終える>僕とティキ]] / [[つづく!>「強敵と書いてもテキとしか呼ばない!」]]
*そのじゅうに「口に出して言うには恥ずかしい話」
あれからと言うもの、僕とティキは勝ち方を忘れたんじゃないかと言うくらい連敗続きで。
『勝つ』事のみにとらわれず、『成長』する事に重点を置いているわけだから、今まで見たいな出鱈目をしていないんだから、その所為で勝率が下がるって言うならわかる。
それでも勝つ気でバトルしてるわけで、ハナから負けるつもりなんて、さらさらない。
だと言うのに、一向に勝ちが見えてこないってのは、どうしてなのか?
そして今日も今日とて負け戦。
「ティキ、ごめんなー……」
正直僕は意気消沈。だって、どう贔屓目に見ても、僕はティキにうまく指示を出せていない。
「そんな、マスタが悪いのではないのですよぉ~ ティキだって……思った通りに動けて無いのですぅ」
僕の頭の上でがっくりと肩を落とし、ティキは泣きそうな声で言った。
実際のところ、僕もティキも負け込んでいる理由なんてわかっている。
あの日、エルゴで見たあのバトル。あの衝撃が未だに脳裏に、メモリにこびり付いているからだ。
……あんな風に、動けるはずも無いのに。
「今日俺、部活サボるから付き合え」
そういって無理やり連れてこられたのは、一番近所にある神姫センター。
確かに僕は部に顔を出す事を禁止されていて暇をもてあまし、資金も無いのにバトル三昧で、その上敗戦続きだった訳だから文句らしい文句は言えない。
それに式部がそんなヤツだってことを僕は百も承知で、そしてそんなヤツでも僕にとっては得がたい友人なので、付き合うことにはやぶさかでなく。
て言うより、チョットだけ式部に気まで使ってしまう位な微妙な立ち位置にさえ居るわけで。そして僕はそれを正直に口してしまう事しか出来なかったりもする。
「なあ、お前は武装神姫のオーナーだって事、学校じゃ隠してんだろ? なのに、こんな学校の近所で僕と一緒にいていいのか?」
我ながら自虐的。学校ではいたって目立たなかった僕が、すでに武装神姫にはまっている所謂オタクであるという噂はすでに学年中に広まっていて、更に僕はそれを隠すのを止め、堂々と神姫バトルを行っていたんだから、噂が真実だと言うのは周知の話。
だからそんな僕と一緒にいたら、式部も同じ扱いを受ける事は必至で。
そんな事を考えていた僕に、式部は僕の頭――ティキの定位置だけど今ティキはそこには居ない――を殴る事で返す。
「――っ! お前なぁ! これ以上僕がバカになったらどうすんだよ!!」
「そんな頭ならバカにでも何でもなっちまえ!」
そう言って怒っている式部を少し睨んだりもしたけど、正直言って怒ってくれた式部がうれしい。
間違ってもそんな事、口に出したりしないけど。
だから僕は、ありったけの感謝をこめて、
「……ありがと」
と、ぶっきらぼうに言う。
「なんだ? 殴られて礼を言うなんて、お前Mか? 気持ち悪!」
「んなワケあるかー!」
コイツはこんなヤツだから、だから僕にとっては何物にも換えられない大切な友人なんだ。
僕と式部がそんなやり取りをしているそのテーブルの上では、ティキがきらりに弱音を吐いていたりする。
「ティキはどうやって戦っていいのかわからないのですよぉ~」
半泣き状態。
そんなティキを見て、きらりは少し困った顔をする。
「ティキちゃん、そんなの、私も同じだよ。でもね、それって、私たちにまだ限界が来ていないって事なんだよ」
「限界、ですかぁ?」
「そう、限界」
きらりはもう一度繰り返す。
「私たちは、まだ何者にもなれる可能性が、それこそ無限大にあるの。確かに、得意な攻撃パターンや、戦法っていうのは存在するけどネ」
そう言って、きらりはティキの頭を撫でる。
「だから、ティキちゃんは他の誰かのような武装神姫じゃなくて、『ティキちゃん』になればいいんだよ。もちろん、お手本にする人が居てもいい。だけど、ティキちゃんはその人にはなれないでしょ?」
「……ハイですぅ。ティキはティキにしかなれませんですよぉ~」
「きっとティキちゃんは、他の誰かになろうとしてたんじゃないかな? だから、自分のやりたい事がわからなくなちゃったんだよ」
ティキに向けられているハズのきらりの言葉は、僕の胸にも響いた。
「そうだぜ? お前らはお前らにしかなれねーよ。そんな事して、自分たちの可能性を狭めたら勿体ねーだろ?」
式部がきらりの言葉に続く。だけどその言葉は僕にも向けられていた。
「俺としてはさ、お前らがそんなんじゃ張り合いがねーワケよ。あんな、らしくないやり方じゃぁさ」
まるで見ていたかのような事を言う。
……見てたのか!
僕がギョッとして改めて式部を見ると、そこにはニヤニヤと人の悪そうな笑みを浮かべる友人の顔があった。
言いたくは無いし、思うのだって恥ずかしいけど、コイツってイイヤツだ。改めてそう思う。
僕とティキは顔を見合わせる。そして二人で照れ笑いを浮かべた。
「そんじゃぁさ、取りあえずリハビリって事で、チーム組んでバトロイでもしようぜ」
そういって立ち上がった式部ときらりに、僕とティキも続く。
その日、僕達は久しぶりに勝利を手にした。
[[終える>せつなの武装神姫~僕とティキ~]] / [[もどる>「勝ち負けよりも価値ある性質の立ち合い」]] / [[つづく!>「強敵と書いてもテキとしか呼ばない!」]]
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