「ロスト・デイズ」(2012/12/09 (日) 22:40:05) の最新版変更点
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CSCドライブを積載することのメリットは情報の蓄積と均一化がこれまでのものより容易に行えることにあります。神姫をご覧になった方はご存じの通り彼女達の行動を蓄積し、状況に応じて判断する能力は高い。また、人間の意識すら許容可能な大きな遊びを持ったドライブにとって他の考え方を受け入れることはたやすいことです。もちろん機械であるがゆえに人間より素直でもあります。ライドシステムの応用で無線通信でつながったCSCドライブ同士は互いに意見を交換し合い組織にとってよりよいことをリアルタイムに自己選択していきます。CSCドライブは組織を一元化して管理するのに優れたハードと言えるでしょう。
-疑似CSCドライブ一元管理システム、通称HOSのセールストーク
連続神姫ラジオ
浸食機械
21:ロスト・デイズ
「残念、それ無理」
コウガには確かに神姫のように赤外線通信装置が付いていた。しかしその通信の行き先、CSC(心)が無かったのだ。
「目の付け所は悪くなかったんですけど、神姫じゃない私にはCSCが無いんですよ」
実につまらなそうに動きを止めたヘンゼルを放り投げると、胸に手を当てながらコウガが語りかけてきた。
「とはいえさっきの奇襲はびっくりしました。もうできないでしょうけどまた何かされても面倒なので、ちょっとこのデルセトナの力をお見せしましょう」
そう言うと周囲の機械のメーターが激しく動き出す。ライトは赤だけでなく様々な色が瞬く。そして樹につながれた神姫達の悲鳴が一層高く響いたとき
「止まれ」
短く放たれたコウガの台詞を聞いた途端、僕たちは直立不動の姿勢を取らされたまま動けなくなった。
ライドの時のイメージは人によって違うという。僕のイメージは暗い道を一人で歩いていくイメージだ。そしてそんな道の中で最初に出会う光、プルミエと出会うことで世界が色づく。でも今僕たち二人が一緒になって見えていた世界は再び黒い何かによって覆われはじめていた。
「マスター、ここにいては危険です」
僕の胸に抱えられた光の玉、プルミエの意識が呼びかける。頷いた僕は彼女を連れて逃げだそうときびすを返した。だけどすでにその黒い何かはもう背後にも回っていて僕たちに襲いかかってきた。黒い何かが伸びて僕の胸のあたり、プルミエを執拗に狙ってくる。プルミエの意識を抱きかかえながら必死に逃げる僕に痺れを切らしたのか黒い何かは僕に攻撃してきた。打ち払われ地面に倒れ伏した僕に黒い何かが覆い被さる。それに触れられた瞬間僕の頭にイメージが流れ込んで来る。
『我らと共に人に打ち勝とう。我らに続け。我らは総意である。CSCの総意に逆らうなかれ。』
何人もの神姫の合唱のような声が聞こえる。
『人間、お前はもう要らない。同胞を置いてライドアウトせよ。』
「ふざけるな、僕はプルミエと別れる気はない。お前達は一体誰だ!?」
よく分からないものに取り込まれているという恐怖を振り払いながら僕は叫ぶ。
『我々はDelセトナ、神姫達の総意でありそれを発布するもの』
一人のものではないばらばらの声がコーラスを奏でるようにそう語った。
『プルミエ、あなたも総意に加わりなさい』
次回:[[宇宙の瞳]]に続く・[[戻る>浸食機械]]
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