「終章:疾走姫」(2011/07/26 (火) 23:51:59) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
終章:疾走姫
「ば、バカな……。ただの素人にこの俺が……」
剛は驚愕の表情で勝敗を見つめていた。それもそうだろう。まさか初心者のオレが勝つなんてオレも未だに信じられない事実だ。
「マスター……」
「ヤツを追い求めすぎた結果がこれなのか……」
「え……」
「アミー。どうやら尊の影を見るだけじゃ、ヤツは倒せないらしい。もっと違う世界が俺達には必要そうだ」
話から想像すると、蒼貴のシミュレータがこれまでの彼の全てだったらしい。多分、その蒼貴って神姫にいつか会った時に確実に倒そうと日々努力を積み重ねてきたんだと思う。それ程までに彼はそれに執着していたらしい。
でもそれは違うことだと俺達が? ……わからなかった。何か特別なことをした訳じゃないし。
「お前、名前はなんて言うんだ?」
「響。天野響です」
「普通に話してくれていいさ。俺の名前は日下部剛だ。……響。楽しかった。またここで会ったら戦ってくれないか? 今日は負けたが、次はもう少し、いい戦いをしてみせるさ」
「ああ! また戦おうぜ! 日下部さん!!」
話が終わると俺達は握手をした。その時の剛は心なしか、目に火が灯った様な顔をしていた。
どういう形なのかはわからなかったが、オレは剛を元気づけられたようだ。
この戦いで何か道が決まってくれて何よりだった。こんなオレと百日のデビュー戦だけど……。
でも、これからオレ達は戦いでどんな事をわかりあう事ができるのか、楽しみになってきた。
「こんな感じの話です! オレと百日の出会いとデビュー戦!」
「なるほどな。なかなか面白い話だったぜ。……ありがとうな」
「はい! オレ達、これからも頑張ります!」
響と百日の話を聞いて、俺はその経緯に納得し、頷く。
これまでの俺の知り合いが総登場し、何故か通り名ができてしまっているのかに疑問を覚えるものの、その皆がそれぞれの道を行く事を知る事ができた。
蒼貴の元オーナー 剛はこの二人のおかげで立ち直り、悠はイリーガルの恐怖を克服することができた。
そうしてくれた二人に心から感謝したく思う。そして、これからの成長も願おう。
「さて、話はしたぞ。紫貴、私と勝負しろ! 今日こそ私が優れている事を証明してやる!!」
「オーナーが会えたからってすぐに勝てるわけないでしょ。私のミコちゃんは完全無欠の双姫主よ? それをわかってて言ってる?」
「だからどうした!? そんな事で恐れる私と響ではない!」
何やら話が終わるや否や百日が紫貴にバトルロンドで勝負する事をもちかけてきた。
響の影響からか、随分と気合いの入った性格になった様だが、根っこは全然、変わっていない。
打倒紫貴。それが彼女の最大の目標のようだ。
おまけに紫貴が煽ってくれたおかげでこれから神姫センターという空気が生じてしまっている。どうにかして逃げたいとこだが……。
「いいな! 百日! オレもお前のライバルってヤツと戦ってみたいぜ!」
響も賛成のご様子だ。避けられそうにもない。
「ミコちゃん! 今すぐバトロンに行きましょう! この脳筋コンビに格の違いを教えてやるのよ!」
「尊! 勝負してくれ! この高飛車を倒したいんだ!」
「尊さん! オレからもよろしくお願いします!」
蒼貴が味方に付いてくれても二対三。多数決でも勝てやしない。どうしてこうなったんだ……。
「オーナー……」
「ああ。どうも腹をくくれって事らしい。いいだろう。ただ戦うのもいいが、お前の言っていたポーラスターでアクセルロンドってルールがシミュレータで実装されているらしいからそれをしにいこう」
アクセルロンドとはアーク、イーダを開発したOMESTRADA社が考案し、推進している武装を用いたバトルレースでコースの中で走行、もしくは飛行をしながら戦闘を行って敵神姫を撃破、もしくは先に指定された周回を走った方が勝ちとなる新しいルールである。ルールとしてはまだ新しいが、ゴールという勝利の選択肢を用意する事で異なるバトルの可能性を提示し、バトルロンドに迫る勢いで流行が拡大しているそうだ。
丁度、百日と紫貴両方がそれにすぐに対応できる装備になっている。試しにやってみるにはいいだろう。
「いいっすね! それにします!」
「OK。それで行こう」
話の区切りをつけると俺は響達と一緒に歩き出す。門出を祝うのにバトルというのもおかしなものだが、彼らはそれを望んでいる。
それがいいのならそれがいいのだろう。
今日も良い一戦を。そう、願おう。
-[[戻る>後編:初陣姫]]
終章:疾走姫
「ば、バカな……。ただの素人にこの俺が……」
健二は驚愕の表情で勝敗を見つめていた。それもそうだろう。まさか初心者のオレが勝つなんてオレも未だに信じられない事実だ。
「マスター……」
「ヤツを追い求めすぎた結果がこれなのか……」
「え……」
「アミー。どうやら尊の影を見るだけじゃ、ヤツは倒せないらしい。もっと違う世界が俺達には必要そうだ」
話から想像すると、蒼貴のシミュレータがこれまでの彼の全てだったらしい。多分、その蒼貴って神姫にいつか会った時に確実に倒そうと日々努力を積み重ねてきたんだと思う。それ程までに彼はそれに執着していたらしい。
でもそれは違うことだと俺達が? ……わからなかった。何か特別なことをした訳じゃないし。
「お前、名前はなんて言うんだ?」
「響。天野響です」
「普通に話してくれていいさ。俺の名前は日下部健二だ。……響。楽しかった。またここで会ったら戦ってくれないか? 今日は負けたが、次はもう少し、いい戦いをしてみせるさ」
「ああ! また戦おうぜ! 日下部さん!!」
話が終わると俺達は握手をした。その時の健二は心なしか、目に火が灯った様な顔をしていた。
どういう形なのかはわからなかったが、オレは健二を元気づけられたようだ。
この戦いで何か道が決まってくれて何よりだった。こんなオレと百日のデビュー戦だけど……。
でも、これからオレ達は戦いでどんな事をわかりあう事ができるのか、楽しみになってきた。
「こんな感じの話です! オレと百日の出会いとデビュー戦!」
「なるほどな。なかなか面白い話だったぜ。……ありがとうな」
「はい! オレ達、これからも頑張ります!」
響と百日の話を聞いて、俺はその経緯に納得し、頷く。
これまでの俺の知り合いが総登場し、何故か通り名ができてしまっているのかに疑問を覚えるものの、その皆がそれぞれの道を行く事を知る事ができた。
蒼貴の元オーナー 健二はこの二人のおかげで立ち直り、悠はイリーガルの恐怖を克服することができた。
そうしてくれた二人に心から感謝したく思う。そして、これからの成長も願おう。
「さて、話はしたぞ。紫貴、私と勝負しろ! 今日こそ私が優れている事を証明してやる!!」
「オーナーが会えたからってすぐに勝てるわけないでしょ。私のミコちゃんは完全無欠の双姫主よ? それをわかってて言ってる?」
「だからどうした!? そんな事で恐れる私と響ではない!」
何やら話が終わるや否や百日が紫貴にバトルロンドで勝負する事をもちかけてきた。
響の影響からか、随分と気合いの入った性格になった様だが、根っこは全然、変わっていない。
打倒紫貴。それが彼女の最大の目標のようだ。
おまけに紫貴が煽ってくれたおかげでこれから神姫センターという空気が生じてしまっている。どうにかして逃げたいとこだが……。
「いいな! 百日! オレもお前のライバルってヤツと戦ってみたいぜ!」
響も賛成のご様子だ。避けられそうにもない。
「ミコちゃん! 今すぐバトロンに行きましょう! この脳筋コンビに格の違いを教えてやるのよ!」
「尊! 勝負してくれ! この高飛車を倒したいんだ!」
「尊さん! オレからもよろしくお願いします!」
蒼貴が味方に付いてくれても二対三。多数決でも勝てやしない。どうしてこうなったんだ……。
「オーナー……」
「ああ。どうも腹をくくれって事らしい。いいだろう。ただ戦うのもいいが、お前の言っていたポーラスターでアクセルロンドってルールがシミュレータで実装されているらしいからそれをしにいこう」
アクセルロンドとはアーク、イーダを開発したOMESTRADA社が考案し、推進している武装を用いたバトルレースでコースの中で走行、もしくは飛行をしながら戦闘を行って敵神姫を撃破、もしくは先に指定された周回を走った方が勝ちとなる新しいルールである。ルールとしてはまだ新しいが、ゴールという勝利の選択肢を用意する事で異なるバトルの可能性を提示し、バトルロンドに迫る勢いで流行が拡大しているそうだ。
丁度、百日と紫貴両方がそれにすぐに対応できる装備になっている。試しにやってみるにはいいだろう。
「いいっすね! それにします!」
「OK。それで行こう」
話の区切りをつけると俺は響達と一緒に歩き出す。門出を祝うのにバトルというのもおかしなものだが、彼らはそれを望んでいる。
それがいいのならそれがいいのだろう。
今日も良い一戦を。そう、願おう。
-[[戻る>後編:初陣姫]]
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: