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「アスカ・シンカロン03」(2011/01/03 (月) 20:24:12) の最新版変更点
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*アスカ・シンカロン03
**~親過~
「北斗ちゃん、起きるんだよ~」
「起きなさいよ、北斗!!」
弥涼姉妹は双子で、その外見は瓜二つ、否―――。
―――完全に同一だった。
起きている時はともかく、眠っていると親でも区別がつかないほどに、彼女達は互いが分身だった。
「えへへ~、あたしはね~、北斗ちゃん好きなんだよ~」
「別に、あたしだって嫌って言ってないでしょ……」
ただし、その性格は大きく違う。
静と動。
陰と陽。
光と影。
二人はまるで一つの人格を分け合ったかのように相対し、融和していた。
「北斗ちゃん」
「北斗」
元々、二人は揃って一つの人格なのだと、いつだったか、理屈っぽい親友が言っていたような気がする。
「起きてってば」
「ああ、分かった。起きるから、起こすな」
とりあえず上半身を起こすと、うきゃぁ~、とか言う声を残して何かが転がり落ちていった。
「あぁん? なんだぁ?」
ベッドの下を覗き込めば、そこで目を回している身長15センチの人形。
「あ~、そういえば神姫買ったんだったけ?」
ひょい、とつまみ上げ、目の前に持ってくる。
「動いたって事は、起動したのか?」
「うにゅぅ~」
左手でぶら下げたまま、目を回している神姫、飛鳥の頬をツンツン突いてみる。
「おい、起きろよ」
「ん~、あ~。北斗?」
「え?」
その呼び方に覚えがあって、北斗はその身を強張らせた。
「……なんで」
いや、それ以前に。
北斗は、その声に聞き覚えがあった。
「どうしたの?」
そもそも、オーナー登録もしていない武装神姫がオーナーを愛称で呼ぶ事などありえないと言う事ぐらい、北斗にも分かる。
「お腹痛いの? 食べすぎ? それとも拾い食い?」
つまり、それは…。
「どういう事だ?」
北斗の頭ではさっぱり分からなかった。
「おまえ、まさか」
ただ、一つ。
死んだ筈の明日香と、この神姫の声が同じ事だけは、はっきりと、分かった。
「…おまえ、まさか。…明日香、なのか?」
「ん~?」
一瞬、首を傾げる飛鳥。
「ん~、多分そうじゃないかな~って思うんだよ」
えへへ、と頭を掻く仕草は、もう何処にもいない明日香のそれ。
それが、今。
北斗の目の前に居た。
「どうなってるんだ、これ?」
とりあえず現状確認。
1.弥涼明日香が自殺して死んだ。
2.武装神姫、飛鳥を買った。
3.その飛鳥が明日香だった。
「訳分からんわっ!!」
「あ~、うん。そうだねぇ~」
うんうんと同意する明日香。
「つーか、確認な。お前は明日香なんだな?」
「うん、そうなんだよ」
にへら~、と。見ている方まで溶けそうな笑顔を浮かべる神姫。
「なんで、武装神姫になってるんだ?」
「え? う~ん、……わかんないんだよ」
首をかしげ、困った顔をする神姫の仕草は、演技や模倣などではありえない、明日香自身のそれだった。
「だいたい、お前。どうして……」
自殺なんか。
そう言いかけて、北斗は気付く。
「まて、その前に確認しなきゃ成らない事がある」
そもそも、この明日香は、『どこ』まで覚えているのか、を。
◆
「えぇ、あたし自殺したの?」
した事は覚えていなかったらしい。
尋問開始後3分(早っ)。
逆に口を滑らした北斗は明日香に、彼女が自殺した事を白状させられていた。
「したんだよ。……なんでそんな事しやがったんだ。俺や夜宵がどんな気持ちだったと……」
「……夜宵、ちゃん?」
「ああ、そうだよ。あいつ平気な振りしているけど、そんな訳ねぇんだ……」
半身。
その表現が、この双子に限っては比喩だけでは済まない事を北斗は知っている。
「産まれた時からずーっと一緒に生きてきた姉妹が、突然片方居なくなって平気な訳無いだろう」
「うん。そ~だねぇ」
よしよしと慰められる北斗。
「……って、何で自殺しやがった張本人に慰められなきゃならんのだ」
「あ~、ごめんね~。すっぱり何にも覚えてないんだよ」
「ったく」
そう言って北斗は、飛鳥の身体をした明日香を持ち上げる。
「……大体、なんでこんな事になってるんだ?」
う~ん、と考え込んでみるが、北斗の頭で結論が出るわけも無い。
元々、頭を使う事は苦手なのだ。
「……こういう時は、っと」
神姫に詳しい友人。件の理屈っぽい奴の顔を思い浮かべ、携帯を探す。
「…?」
そして、携帯を置いたテーブルの上に広げられた飛鳥の箱と、墨で書かれた手書きの説明書。
「……まてよ。これってアイツに聞くより、昨日の店の店員に聞いた方が良いんじゃないか?」
とにかく起きている現象が異常なのだ。
普通に神姫に詳しい友人より、どう考えても怪しい昨日の骨董屋に聞く方が良い。
「……出かけるぜ、明日香」
「いってらっしゃいなんだよ」
「お前も行くんだよ!!」
ふえっ? と惚ける明日香をつまみ上げ、北斗は昨日の骨董屋に向かった。
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*アスカ・シンカロン03
**~親過~
「北斗ちゃん、起きるんだよ~」
「起きなさいよ、北斗!!」
弥涼姉妹は双子で、その外見は瓜二つ、否―――。
―――完全に同一だった。
起きている時はともかく、眠っていると親でも区別がつかないほどに、彼女達は互いが分身だった。
「えへへ~、あたしはね~、北斗ちゃん好きなんだよ~」
「別に、あたしだって嫌って言ってないでしょ……」
ただし、その性格は大きく違う。
静と動。
陰と陽。
光と影。
二人はまるで一つの人格を分け合ったかのように相対し、融和していた。
「北斗ちゃん」
「北斗」
元々、二人は揃って一つの人格なのだと、いつだったか、理屈っぽい親友が言っていたような気がする。
「起きてってば」
「ああ、分かった。起きるから、起こすな」
とりあえず上半身を起こすと、うきゃぁ~、とか言う声を残して何かが転がり落ちていった。
「あぁん? なんだぁ?」
ベッドの下を覗き込めば、そこで目を回している身長15センチの人形。
「あ~、そういえば神姫買ったんだったけ?」
ひょい、とつまみ上げ、目の前に持ってくる。
「動いたって事は、起動したのか?」
「うにゅぅ~」
左手でぶら下げたまま、目を回している神姫、飛鳥の頬をツンツン突いてみる。
「おい、起きろよ」
「ん~、あ~。北斗?」
「え?」
その呼び方に覚えがあって、北斗はその身を強張らせた。
「……なんで」
いや、それ以前に。
北斗は、その声に聞き覚えがあった。
「どうしたの?」
そもそも、オーナー登録もしていない武装神姫がオーナーを愛称で呼ぶ事などありえないと言う事ぐらい、北斗にも分かる。
「お腹痛いの? 食べすぎ? それとも拾い食い?」
つまり、それは…。
「どういう事だ?」
北斗の頭ではさっぱり分からなかった。
「おまえ、まさか」
ただ、一つ。
死んだ筈の明日香と、この神姫の声が同じ事だけは、はっきりと、分かった。
「…おまえ、まさか。…明日香、なのか?」
「ん~?」
一瞬、首を傾げる飛鳥。
「ん~、多分そうじゃないかな~って思うんだよ」
えへへ、と頭を掻く仕草は、もう何処にもいない明日香のそれ。
それが、今。
北斗の目の前に居た。
「どうなってるんだ、これ?」
とりあえず現状確認。
1.弥涼明日香が自殺して死んだ。
2.武装神姫、飛鳥を買った。
3.その飛鳥が明日香だった。
「訳分からんわっ!!」
「あ~、うん。そうだねぇ~」
うんうんと同意する明日香。
「つーか、確認な。お前は明日香なんだな?」
「うん、そうなんだよ」
にへら~、と。見ている方まで溶けそうな笑顔を浮かべる神姫。
「なんで、武装神姫になってるんだ?」
「え? う~ん、……わかんないんだよ」
首をかしげ、困った顔をする神姫の仕草は、演技や模倣などではありえない、明日香自身のそれだった。
「だいたい、お前。どうして……」
自殺なんか。
そう言いかけて、北斗は気付く。
「まて、その前に確認しなきゃ成らない事がある」
そもそも、この明日香は、『どこ』まで覚えているのか、を。
◆
「えぇ、あたし自殺したの?」
した事は覚えていなかったらしい。
尋問開始後3分(早っ)。
逆に口を滑らした北斗は明日香に、彼女が自殺した事を白状させられていた。
「したんだよ。……なんでそんな事しやがったんだ。俺や夜宵がどんな気持ちだったと……」
「……夜宵、ちゃん?」
「ああ、そうだよ。あいつ平気な振りしているけど、そんな訳ねぇんだ……」
半身。
その表現が、この双子に限っては比喩だけでは済まない事を北斗は知っている。
「産まれた時からずーっと一緒に生きてきた姉妹が、突然片方居なくなって平気な訳無いだろう」
「うん。そ~だねぇ」
よしよしと慰められる北斗。
「……って、何で自殺しやがった張本人に慰められなきゃならんのだ」
「あ~、ごめんね~。すっぱり何にも覚えてないんだよ」
「ったく」
そう言って北斗は、飛鳥の身体をした明日香を持ち上げる。
「……大体、なんでこんな事になってるんだ?」
う~ん、と考え込んでみるが、北斗の頭で結論が出るわけも無い。
元々、頭を使う事は苦手なのだ。
「……こういう時は、っと」
神姫に詳しい友人。件の理屈っぽい奴の顔を思い浮かべ、携帯を探す。
「…?」
そして、携帯を置いたテーブルの上に広げられた飛鳥の箱と、墨で書かれた手書きの説明書。
「……まてよ。これってアイツに聞くより、昨日の店の店員に聞いた方が良いんじゃないか?」
とにかく起きている現象が異常なのだ。
普通に神姫に詳しい友人より、どう考えても怪しい昨日の骨董屋に聞く方が良い。
「……出かけるぜ、明日香」
「いってらっしゃいなんだよ」
「お前も行くんだよ!!」
ふえっ? と惚ける明日香をつまみ上げ、北斗は昨日の骨董屋に向かった。
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地の文とセリフの間に改行入れてみましたが如何でしょうね?
多少は読みやすいでしょうか?
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