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「第五話 闘技場ですわ」(2009/09/29 (火) 06:53:49) の最新版変更点
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ハロウィンパーティー二日目
仙石神姫センターの3F舞闘場には大勢の人が集まっていた。
「クロエさん!」
名前を呼ばれたクロエが周囲を見渡すが人が多すぎて声の主が見つからない。
「こっちです。こっち」
トントン、と軽く肩を叩かれ振り向くと、声の主である女性がいた。
「晶さん」
御剣=晶、大学2年生の20歳、神姫オーナーとして県内でも有名なランカーだ。
「クロエさんも参加しているんですか?あれ?エリアーデちゃんは?」
「今回は裏方にまわってるので、エリアーデは家でお留守番です」
「裏方?」
「今回のイベントは結構な規模ですからね。近くの神姫関連のお店は結構手伝いに来てますよ」
「そうなんですか」
「残念ですね。クロエさん達と一緒に参加出来ると思ったのに、とマスター晶は思っています」
晶のパートナーであるサイファがオーナーの心情を代弁した。
「サイファ!余計なことは――」
「?どうしたのですかマスター」
「やぁ、サイファ、昨日は大活躍だったね。」
「お褒めの言葉ありがとうクロエ、しかしイベントはあと二日ある。称賛はイベントが終了してから頂きたいのだが?」
「サイファ!なんてことを言うの!」
「あはは、それはすまないねサイファ、お詫びと言ってはなんだがまだ時間もある事だしお茶でもどうでだい?もちろん奢りますよ」
「良いでしょう。その申し出受けましょう」
「そんな!悪いですよ。失礼を行ったのはサイファなんですから」
「う~ん、それではこういうのはどうですか?暇なので付き合っていただけませんか?」
付き合っての言葉が晶の心に突き刺さる。
「はい!もちろん喜んで!」
喜ぶ晶を見てサイファが呆れたように呟く
「この程度で喜ぶのではまだまだ道は遠いですね。マスター」
----
神姫センター1Fのイベントホール、舞台上には昨日のダンジョンを勝ち上がった参加者60名と司会を務める昨日と同じ魔女の恰好をした女性がいる。
「さぁ!ハロウィンパーティー二日目です!二日目の今日はっ!こちらっ!!」
司会者の紹介と共に巨大な舞台装置が動き始め、真ん中から今日の舞台である円形闘技場、コロッセオがスモークの中せり上がってきた。
大掛かりな仕掛けに会場内が湧き上がる。
「このコロッセオを使ってバトルロワイアルをしていただきます!それではルールの説明を、まずこのコロッセオにクジで決められた10名の神姫に闘士として入っていただき制限時間30分のバトルロンドを行います。そして二名になるか、時間が過ぎるか、いずれかの場合翌日の最終イベントの切符を手に入れる事が出来ます」
司会者が含み笑いを浮かべる。その笑顔は魔女の恰好に相応しかった。
「――ただし時間経過で試合終了した場合、1名になるまで時間無制限のサドンデスに突入、さらに3分経過後に今回の為に編成したエグゼキューターズを放ちます。その場合は全滅を覚悟してくださいね♪しかし彼女達を倒せた場合は生き残った全員が最終イベントへの切符を手にする事が出来ますのでがんばってください♪」
エグゼキューターズ、処刑人の言葉と魔女の笑顔に場内が静まり返る。
「それでは第一戦目にまいりましょう!」
----
第一戦目、二戦目と滞りなく試合は進んで行き、第四戦目、彼女達が牙を剥いた。
第四戦目はブーイングの嵐だった。選ばれた全員が積極的にバトルをしようとせずに非常に退屈な試合運びとなった結果、全員が時間経過で生き残ったのだ。
そしてそれはサドンデスへと突入した今も変わらず、3分が経過した。
「ふ~ん、これはこれはダメダメですね~仕方ありませんね。それではみなさんお待ちかねのエグゼキューターズです♪」
司会者に紹介された10体の神姫の前に5体の処刑人がコロッセオに舞い降りた。
その処刑人達の姿に場内がざわついた。それは正体不明という訳ではなくいずれも雑誌やTVで見た事がある有名すぎる神姫だからだ。
「ウソ・・・だろ・・・あれって今年のワールドクィーンのネメシス!」
「っていうより、歴代のワールドクィーンばっかりじゃないか!」
「まさか、偽物だろ?」
「なんでこんな所に!?」
ワールドクィーン、毎年行われる世界神姫女王杯の優勝者に贈られる称号、オーナーにはキングが与えられる。そしてここにいるエグゼキューターズは皆、本物のワールドクィーンの称号を一度でも受けた者だ。
観客に投げキッスをするのは3年前の覇者、ヘルメス
獰猛な目で闘士を見つめ笑みを浮かべる5年前の暴帝、ベルセルク
静かに処刑の開始を待つ4年前の女帝、ロビン
準備体操をして万全に挑もうとする2年前の女王、ヴォルフ
そして今年のワールドクィーン、ネメシス
「これよりコロッセオの殲滅を開始する」
ネメシスが静かに死刑宣告を告げる。
「行くぞ、小ネズミ共!」
ベルセルクが闘士に向かって突撃しバスターソードを振るう。
「遠くへお逃げなさい」
ロビンがマスケット銃に似た狙撃銃で神姫達を狙い撃つ
「エッヘヘ~行っくよぉ~」
ヘルメスが大鎌のグリムリーパーで神姫の狩り採りを始める。
「長く持ってくれよ!」
ヴォルフが拳を固く握り突撃する。
それは圧倒的な戦力差だった。ワールドクィーン達が敵神姫たちのあらゆる攻撃を紙一重でかわし反撃する様はまさに蝶のように舞い、蜂のように刺す。ただし蜂は猛毒と高い攻撃性のスズメバチだが。
ネメシスの殲滅の宣言通り、バトルロンドは一方的な蹂躙が行われていく。
「おら!これで終わり!」
ベルセルクのバスターソードがサイフォス型の神姫を叩き伏せる。
「無駄です」
ロビンの精密射撃が遥か後方の空にいたツガル型を捉え、落ちた。
「まだまだ、だな」
ヴォルフの拳がストラーフ型の腹部を深く刺し、吹き飛ばす。
「遅い、おそい」
ヘルメスのグリムリーパーがヴェローナ型を斬る。
「散りなさい」
ネメシスの西洋剣による二刀の鮮やかな剣技の前に飛鳥型と紅緒型の2体が斬り落とされた。
最初は激しく抵抗していた神姫たちだったがワールドクィーンの猛攻の前に1体、また1体と倒れ、そして最後の1体がネメシスの手によって斬り伏せられた。
「殲滅の完了を確認。引き上げる」
ネメシス達エグゼキューターズが引き揚げた後には静寂だけが残った。みんな魅入られたのだ。
ワールドクィーンの称号を持つ神姫達の鮮やかで美しくも恐怖すら覚える圧倒的な力に誰もが飲まれていた。
「エグゼキューターズのみなさんお疲れさまでした~♪残っている方は・・・いませんね。それでは次の試合に行きましょう♪」
第五戦、サイファの試合
「がんばってくださいね。晶さん、サイファ」
クロエの応援に晶が笑顔で答える。
「がんばります!」
「がんばってくるわ」
開始早々、バトルは大乱戦から幕を開けた。エグゼキューターズの登場は参加神姫に火を付けた。彼女達に会いたくないという意味で。
乱戦の中でサイファが気になったのは千姫、この中で特別に注意すべきはランカー同士である彼女だった。
耳を銃撃音や爆音などの大きな音が支配する中、一つの風切り音が聞こえた。それと共にサイファに襲いかかってくる刃
「くっ!」
風切る刃を紙一重でエウロスで受ける事が出来た。おそらく次は無いだろう。それほどまでにこの刃は速く鋭い。
紅緒型の神姫が納刀し、再び抜刀できる居合い切りの態勢をつくる。
「千姫、嫌な時に」
「久しいなサイファ、今度こそ決着をつけようぞ」
サイファと千姫には過去三度の勝負を行った事がある。その三戦すべて決着のつかない引き分けで周囲の認めるライバル関係である。
「悪いけど貴方に構ってる暇はないの」
「何だと!」
周囲が激戦を繰り広げる中対峙する二人、その二人を八人が確認すると一瞬、時が止まった様に静まり返り目で会話する八人、そして二人に砲火が集中し始める。
「ほら、やっぱり」
「くっ!卑怯な!」
第五戦のメンバーでランカー持ちはサイファと千姫の二人だけ、バトルロワイアルでは突出した力を持つ者を排除しようとするのは自然な流れともいえる。
砲火の雨を掻い潜るサイファと千姫、二人への攻撃は更に激しさを増してゆく。
「一時休戦といきません?」
「仕方ないか、その申し出受けよう!」
「だったら・・・」
二人の間にもう言葉は不要だった。ライバル関係にあるからこそ相手を研究した二人、出来る事も出来ない事もお互い知りつくしている。
周囲の目を引きつけながら舞い上がるサイファ、おのずとサイファへと砲火も集中する
「何故当たらない!?」
「速すぎる!」
砲火をかわしながら急降下、敵の陣中に強襲し連携をかく乱する。
「前に出るな!邪魔で撃てないだろ!!」
二人を倒す為共同戦線を引いているがまだ拙く、バトルロワイアルなのに誰かを犠牲にする非情さを持ち合わせていない敵の神姫たち。
「その程度では当たらせるわけには!千姫!」
サイファが離脱し、千姫がその後に入るように敵の真っ只中に入る
「応よ!」
千姫に肉薄され驚き慌てふためくティグリース型、そこを千姫の右片手での居合いによる左下から右上への一閃、そして貫放たれた為虎添翼(イヨテンヨク)を両手で握り一刀両断する。
「な!?」
崩れ落ちるティグリース、それをもう千姫は見ていなかった。その目が捉えるは新たな敵。
「次!」
目の前でティグリースが倒され一瞬気を取られたアークその後ろに
「よそ見はいけないな、敵は前にいるだけじゃないのだから」
振り返ると同時にナイフで薙ぎ払う、しかしそこには誰もいない
「遅過ぎる。上だよ」
サイファの二刀のエウロスがアークの頭上から襲いかかりその姿を確認することなく意識を失った。
紫電の二つ名の由来であるその稲妻の如き速度と機動力でかく乱するサイファと、風切りの由来である神速の居合いと剛剣で確実に仕留める千姫のコンビネーションは即席とは思えない完成度を誇り着実にその数を減らしていった。
「これで最後!」
「止め!」
サイファと千姫の刃が交差し同時に斬る。最後の一人が倒れたコロッセオ中央に立つ二人。
「私達を」
とサイファ
「倒したくば」
と千姫
「「その三倍の火力は持ってこい」」
ハモる二人、そして終了のブザーが鳴り響いた。
以降エグゼキューターズの出番はなく、無事に10名が選出された。
ハロウィンパーティー二日目
仙石神姫センターの3F舞闘場には大勢の人が集まっていた。
「クロエさん!」
名前を呼ばれたクロエが周囲を見渡すが人が多すぎて声の主が見つからない。
「こっちです。こっち」
トントン、と軽く肩を叩かれ振り向くと、声の主である女性がいた。
「晶さん」
御剣=晶、大学2年生の20歳、神姫オーナーとして県内でも有名なランカーだ。
「クロエさんも参加しているんですか?あれ?エリアーデちゃんは?」
「今回は裏方にまわってるので、エリアーデは家でお留守番です」
「裏方?」
「今回のイベントは結構な規模ですからね。近くの神姫関連のお店は結構手伝いに来てますよ」
「そうなんですか」
「残念ですね。クロエさん達と一緒に参加出来ると思ったのに、とマスター晶は思っています」
晶のパートナーであるサイファがオーナーの心情を代弁した。
「サイファ!余計なことは――」
「?どうしたのですかマスター」
「やぁ、サイファ、昨日は大活躍だったね。」
「お褒めの言葉ありがとうクロエ、しかしイベントはあと二日ある。称賛はイベントが終了してから頂きたいのだが?」
「サイファ!なんてことを言うの!」
「あはは、それはすまないねサイファ、お詫びと言ってはなんだがまだ時間もある事だしお茶でもどうでだい?もちろん奢りますよ」
「良いでしょう。その申し出受けましょう」
「そんな!悪いですよ。失礼を行ったのはサイファなんですから」
「う~ん、それではこういうのはどうですか?暇なので付き合っていただけませんか?」
付き合っての言葉が晶の心に突き刺さる。
「はい!もちろん喜んで!」
喜ぶ晶を見てサイファが呆れたように呟く
「この程度で喜ぶのではまだまだ道は遠いですね。マスター」
----
神姫センター1Fのイベントホール、舞台上には昨日のダンジョンを勝ち上がった参加者60名と司会を務める昨日と同じ魔女の恰好をした女性がいる。
「さぁ!ハロウィンパーティー二日目です!二日目の今日はっ!こちらっ!!」
司会者の紹介と共に巨大な舞台装置が動き始め、真ん中から今日の舞台である円形闘技場、コロッセオがスモークの中せり上がってきた。
大掛かりな仕掛けに会場内が湧き上がる。
「このコロッセオを使ってバトルロワイアルをしていただきます!それではルールの説明を、まずこのコロッセオにクジで決められた10名の神姫に闘士として入っていただき制限時間30分のバトルロンドを行います。そして二名になるか、時間が過ぎるか、いずれかの場合翌日の最終イベントの切符を手に入れる事が出来ます」
司会者が含み笑いを浮かべる。その笑顔は魔女の恰好に相応しかった。
「――ただし時間経過で試合終了した場合、1名になるまで時間無制限のサドンデスに突入、さらに3分経過後に今回の為に編成したエグゼキューターズを放ちます。その場合は全滅を覚悟してくださいね♪しかし彼女達を倒せた場合は生き残った全員が最終イベントへの切符を手にする事が出来ますのでがんばってください♪」
エグゼキューターズ、処刑人の言葉と魔女の笑顔に場内が静まり返る。
「それでは第一戦目にまいりましょう!」
----
第一戦目、二戦目と滞りなく試合は進んで行き、第四戦目、彼女達が牙を剥いた。
第四戦目はブーイングの嵐だった。選ばれた全員が積極的にバトルをしようとせずに非常に退屈な試合運びとなった結果、全員が時間経過で生き残ったのだ。
そしてそれはサドンデスへと突入した今も変わらず、3分が経過した。
「ふ~ん、これはこれはダメダメですね~仕方ありませんね。それではみなさんお待ちかねのエグゼキューターズです♪」
司会者に紹介された10体の神姫の前に5体の処刑人がコロッセオに舞い降りた。
その処刑人達の姿に場内がざわついた。それは正体不明という訳ではなくいずれも雑誌やTVで見た事がある有名すぎる神姫だからだ。
「ウソ・・・だろ・・・あれって今年のワールドクィーンのネメシス!」
「っていうより、歴代のワールドクィーンばっかりじゃないか!」
「まさか、偽物だろ?」
「なんでこんな所に!?」
ワールドクィーン、毎年行われる世界神姫女王杯の優勝者に贈られる称号、オーナーにはキングが与えられる。そしてここにいるエグゼキューターズは皆、本物のワールドクィーンの称号を一度でも受けた者だ。
観客に投げキッスをするのは3年前の覇者、ヘルメス
獰猛な目で闘士を見つめ笑みを浮かべる5年前の暴帝、ベルセルク
静かに処刑の開始を待つ4年前の女帝、ロビン
準備体操をして万全に挑もうとする2年前の女王、ヴォルフ
そして今年のワールドクィーン、ネメシス
「これよりコロッセオの殲滅を開始する」
ネメシスが静かに死刑宣告を告げる。
「行くぞ、小ネズミ共!」
ベルセルクが闘士に向かって突撃しバスターソードを振るう。
「遠くへお逃げなさい」
ロビンがマスケット銃に似た狙撃銃で神姫達を狙い撃つ
「エッヘヘ~行っくよぉ~」
ヘルメスが大鎌のグリムリーパーで神姫の狩り採りを始める。
「長く持ってくれよ!」
ヴォルフが拳を固く握り突撃する。
それは圧倒的な戦力差だった。ワールドクィーン達が敵神姫たちのあらゆる攻撃を紙一重でかわし反撃する様はまさに蝶のように舞い、蜂のように刺す。ただし蜂は猛毒と高い攻撃性のスズメバチだが。
ネメシスの殲滅の宣言通り、バトルロンドは一方的な蹂躙が行われていく。
「おら!これで終わり!」
ベルセルクのバスターソードがサイフォス型の神姫を叩き伏せる。
「無駄です」
ロビンの精密射撃が遥か後方の空にいたツガル型を捉え、落ちた。
「まだまだ、だな」
ヴォルフの拳がストラーフ型の腹部を深く刺し、吹き飛ばす。
「遅い、おそい」
ヘルメスのグリムリーパーがヴェローナ型を斬る。
「散りなさい」
ネメシスの西洋剣による二刀の鮮やかな剣技の前に飛鳥型と紅緒型の2体が斬り落とされた。
最初は激しく抵抗していた神姫たちだったがワールドクィーンの猛攻の前に1体、また1体と倒れ、そして最後の1体がネメシスの手によって斬り伏せられた。
「殲滅の完了を確認。引き上げる」
ネメシス達エグゼキューターズが引き揚げた後には静寂だけが残った。みんな魅入られたのだ。
ワールドクィーンの称号を持つ神姫達の鮮やかで美しくも恐怖すら覚える圧倒的な力に誰もが飲まれていた。
「エグゼキューターズのみなさんお疲れさまでした~♪残っている方は・・・いませんね。それでは次の試合に行きましょう♪」
第五戦、サイファの試合
「がんばってくださいね。晶さん、サイファ」
クロエの応援に晶が笑顔で答える。
「がんばります!」
「がんばってくるわ」
開始早々、バトルは大乱戦から幕を開けた。エグゼキューターズの登場は参加神姫に火を付けた。彼女達に会いたくないという意味で。
乱戦の中でサイファが気になったのは千姫、この中で特別に注意すべきはランカー同士である彼女だった。
耳を銃撃音や爆音などの大きな音が支配する中、一つの風切り音が聞こえた。それと共にサイファに襲いかかってくる刃
「くっ!」
風切る刃を紙一重でエウロスで受ける事が出来た。おそらく次は無いだろう。それほどまでにこの刃は速く鋭い。
紅緒型の神姫が納刀し、再び抜刀できる居合い切りの態勢をつくる。
「千姫、嫌な時に」
「久しいなサイファ、今度こそ決着をつけようぞ」
サイファと千姫には過去三度の勝負を行った事がある。その三戦すべて決着のつかない引き分けで周囲の認めるライバル関係である。
「悪いけど貴方に構ってる暇はないの」
「何だと!」
周囲が激戦を繰り広げる中対峙する二人、その二人を八人が確認すると一瞬、時が止まった様に静まり返り目で会話する八人、そして二人に砲火が集中し始める。
「ほら、やっぱり」
「くっ!卑怯な!」
第五戦のメンバーでランカー持ちはサイファと千姫の二人だけ、バトルロワイアルでは突出した力を持つ者を排除しようとするのは自然な流れともいえる。
砲火の雨を掻い潜るサイファと千姫、二人への攻撃は更に激しさを増してゆく。
「一時休戦といきません?」
「仕方ないか、その申し出受けよう!」
「だったら・・・」
二人の間にもう言葉は不要だった。ライバル関係にあるからこそ相手を研究した二人、出来る事も出来ない事もお互い知りつくしている。
周囲の目を引きつけながら舞い上がるサイファ、おのずとサイファへと砲火も集中する
「何故当たらない!?」
「速すぎる!」
砲火をかわしながら急降下、敵の陣中に強襲し連携をかく乱する。
「前に出るな!邪魔で撃てないだろ!!」
二人を倒す為共同戦線を引いているがまだ拙く、バトルロワイアルなのに誰かを犠牲にする非情さを持ち合わせていない敵の神姫たち。
「その程度では当たらせるわけには!千姫!」
サイファが離脱し、千姫がその後に入るように敵の真っ只中に入る
「応よ!」
千姫に肉薄され驚き慌てふためくティグリース型、そこを千姫の右片手での居合いによる左下から右上への一閃、そして貫放たれた為虎添翼(イコテンヨク)を両手で握り一刀両断する。
「な!?」
崩れ落ちるティグリース、それをもう千姫は見ていなかった。その目が捉えるは新たな敵。
「次!」
目の前でティグリースが倒され一瞬気を取られたアークその後ろに
「よそ見はいけないな、敵は前にいるだけじゃないのだから」
振り返ると同時にナイフで薙ぎ払う、しかしそこには誰もいない
「遅過ぎる。上だよ」
サイファの二刀のエウロスがアークの頭上から襲いかかりその姿を確認することなく意識を失った。
紫電の二つ名の由来であるその稲妻の如き速度と機動力でかく乱するサイファと、風切りの由来である神速の居合いと剛剣で確実に仕留める千姫のコンビネーションは即席とは思えない完成度を誇り着実にその数を減らしていった。
「これで最後!」
「止め!」
サイファと千姫の刃が交差し同時に斬る。最後の一人が倒れたコロッセオ中央に立つ二人。
「私達を」
とサイファ
「倒したくば」
と千姫
「「その三倍の火力は持ってこい」」
ハモる二人、そして終了のブザーが鳴り響いた。
以降エグゼキューターズの出番はなく、無事に10名が選出された。
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