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Memories of Not Forgetting 第一話・4
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気づけば、優花は自室にいた。作業机に腰掛け、ノートPCを起動していた。
おぼろげながら、ナットハンガー店舗から出た事と、マンションの駐輪場に到達した事、そして昼食を取ることを催促する母に、あとで、と断った事だけを記憶していた。
道中の殆んどを、フォートブラッグとの生活を思い浮かべて帰宅していた。我ながら、よくもまぁ、事故に合わなかったものだ、と優花は思う。
作業机の上には、ノートPCとクレイドル、買ってきたばかりのフォートブラッグのパッケージと、プラスチックの簡素な箱――エウクランテの素体入りの――が置かれていた。
心臓が早鐘を打つのを自覚した。無意味に頬が熱くなる。緊張か。或いは期待からか。ともすれば震えそうになる体を意識して食いとめ、優花はフォートブラッグの開封に取り掛かる。
ブリスターには、クローバーの言ったとおりに、各種の武装パーツと、胸像に装着されたコアパーツのみが封入されていた。優花はまず、コアパーツを取り出した。頭部をつまみ、眼前に晒してみる。
瞳を閉じた、赤毛の少女の顔。穏やかなその表情から、まるで眠っているように思える。優花はひとまず、胸像を机の上に置いた。続いて、プラスチックの箱を開封する。
エウクランテの素体が、そこにあった。ナットハンガーで感じた嫌悪感は今やなりをひそめ、ある種の愛しさすら感じられた。優花は素体を矯めつ眇めつ、まるで魅入られたように、素体に視線を送る。よく出来てるものだ、と言うのが率直な感想だった。均衡のとれたプロポーションは、さながらモデルのようであり、仮にも女性のはしくれである優花はささやかながら嫉妬心を覚え――そんな自分に苦笑した。
胸部パーツを取り外す。内部には、小さな各色の宝石のようなもの――CSCが装着されていた。元々、この素体についていたものらしく、優花はそのまま、それをルーシィから譲り受けたのだ。
胸部パーツを元通り装着し、素体をクレイドルの上に座らせる。胸像から慎重に、コアパーツを取り外す。素体にそれを取り付け、一息ついた優花は、接続作業中、息を止めていたことに気づいた。緊張するにもほどがある。半ば呆れつつ、PCに目をやる。
馴染みのデスクトップ画面――少々のショートカットと、真っ赤に塗装されたメルカバという戦車の壁紙――を確認してから、神姫セットアップツールの記録されたCDを挿入。
低い起動音をあげて、CDを読み込む。ややあって、セットアップ画面が現れた。使用規約を斜め読みし、「同意」をクリックしてインストールを開始。しばらく待つ。
進行度を示すバーをやきもきしながら眺め、優花は、はじめにインストールを開始してから、待ち時間に神姫を組み立てればよかったな、などと、ぼんやり考えていた。
数分で、インストールが完了した。デスクトップに作成されたショートカットから、セットアップツールを起動させる。
コアパーツ
Arms in Pocket フォートブラッグ
ボディパーツ
Magic Market エウクランテ
この条件でセットアップを開始します。
Y/N
Yes、をクリック。セットアップ中、のメッセージと進行度を表すバーが現れる。それが終了すると、続いてマスター情報の入力を求められた。必要事項を記入し、クリック。
神姫の製造ナンバーと、マスター情報をMMS管理局に登録します。
この作業は数分から数時間かかることがあります。
優花の予想に反して、マスター登録は一分とかからずに完了した。
セットアップ完了!
武装神姫の世界へようこそ!
MMS管理局は、あなたと、あなたの神姫を心から歓迎いたします。
最新のMMS情報は以下のサイトから入手できます。
また、MMSの各種サポート、最新情報の閲覧が可能な携帯端末用サイトもご利用できます。
以下の二次元コードを読み取り、サイトにアクセスしてください。
画面にメッセージが現れると同時に、クレイドルのフォートブラッグに反応があった。
うっすらと瞳を開き、ぼんやりと中空を見つめる。数秒の後に、その瞳は完全に開かれ、冷静さを感じさせる視線が、あたりを見まわす。
一つせき払いをし、優花は、目覚めたばかりのパートナーに声をかけた。
神姫の名前は、既に決めていた。一年前のあの日に。
「おはよう、エフラファ」
その言葉に反応するように、エフラファは優花をみつめた。
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