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「作戦03「店の守護者」」(2008/08/01 (金) 21:52:09) の最新版変更点
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「ねえおじいちゃん、この店って地下室あるよね?」
「ん? 倉庫に自家発電室に物置部屋が二つな」
ふと聞いてみたの。
「物置っても、片方鍵かかってるの変だよ」
「フム、その内な」
「けちー、今でもいいのー」
どうして教えてくれないの? わたしなにかまずい事言った?
&bold(){~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~}
夜、閉店後。
「……スィーマァ」
「みゅ…どうしたんですか? ますたー」
「名目上第二物置になってる地下室を偵察してきてなの」
「ふぇっ!?」
夜の地下室は不気味だというのに、すすみはあろう事かスィーマァに頼んだ。
「い…いってきますぅ…」
明らかに足がガクガクしてるが、すすみは黙って見送った。
……
自分サイズの懐中電灯(フラッシュライト)を手に、スィーマァは神姫にとっては少し大きい段差を降りて行った。
消灯後の地下は光源がなく、常に足元を照らしていないと階段から転げ落ちてしまうだろう。
「こわい……怖いよますたー…」
今にも泣きだしそうな丸い目。
でも、オーナーのために勇気を振り絞る。
首を回し入れそうな穴がないかを調べる。
「あ」
扉のとなりにあった小さなセラミックパネルはねじ止めされておらず、奥は…第二物置。
「何で止めてないんだろ…」
疑問を感じつつ穴をくぐるスィーマァ。
…
穴をくぐると、無数のショーケースが目に入った。
誰もいないのにライトアップされており、中身を照らしていた。
「…武装神姫」
ケースより上にある棚にはフルセット・武装セットがずらり。
品薄なアーンヴァルとストラーフ、アークも他と同じだけ数がある。
ふと、ショーケースに近づき中を覘く。
人気商品から聞いたことのないメーカーの品まで何でも置いてあった。
「ああっ!?」
スィーマァの目にとまったのは、信号銃。
でも、それを見る目が明らかに違った。
「カ…カンプピストル! 神姫用も作られてたんだ…!!」
知らない人のために説明しよう。
1930年代にワルサー社がドイツ陸軍の要請に応え、信号銃を小型の榴弾銃にしたものがカンプピストルである。
最終的に軽装甲の車両なら破壊できるほどの威力を保持するようになるなど、ある意味「対物拳銃」といった感じだろうか。
「………」
思わず涎までたらし、目を輝かせながらそれを見つめるスィーマァ。
ムルメルティアのモチーフがドイツ戦車なので、その影響もあるのだろう。
「警報装置は…ない…ね」
使い慣れないアイパッチのセンサーを使い、危険がないことを確認するとそっとケースを開けた。
そしてカンプに手をのばす。
ああ…憧れの品の一つを、いま手にできる。
あと数センチ……。
「何者だ」
後ろから声をかけられ、動きが止まる。
殺気が背中を突く。
「身なりからして野良ではない…、盗人か?」
スィーマァの心は早くも恐怖で覆われていた。
具体的に表すと
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
ってなくらいである(なんだそりゃ)
関係ないが、単語の集まりって怖いよね。
気が弱いスィーマァにこれが耐えられるはずもなく…
*「ぴいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ」
「!?」
奇妙な悲鳴と共に泣きだした。
**「ごごごごごめぇんなぁさぁぁぁぁぁぁぁぁいぃぃぃ」
涙と恐怖のあまりちゃんと喋れてない。
***ドタドタドタドタ
地上の方で木製の階段を駆けおりる音、
**カッカッカッカッカッカッカッ
少しして地下へ続くコンクリートの階段を駆け降りる音。
*ガチャッ ダァンッ!
ドアが勢いよく開いた。
「スィーマァ!?」入って来たのはすすみとおじいちゃん。
「まぁすたぁぁぁぁぁっ!?」
号泣したまま飛びつくスィーマァ、すすみのパジャマが涙でぬれてゆく。
「オーナー、私じゃ対処する事が出来ないぞ」
「まぁまぁ、これも経験だよ」
声の主と話すおじいちゃん。
紹介が遅れた。
おじいちゃんの名は古代十三三、この店の店長である。
そして声の主―フォートブラッグ―のオーナーでもある。
「おじいちゃんこの売り場って、それとその子…」
「んー、友だちに話されたらまずいから黙っていたのだよ」
「ええっ?」
十三三は少し首を傾け、目をつむって言った。
「若い子らの間で「あれがあの店にあったぞ!」だの「珍しいものが山ほど置いてあったぞ!」と騒がれると、店が荒れてしまうんだ。だから念には念をと言う訳だ」
「おじいちゃん、そんなにわたしが信用できないの…?」
すすみは呆れざろうえなかった。
彼女はかなり口が固い、それこそ湯煎する前のシジミのごとく。
「いや、どうも今のすすみを掴みきれてなくてな。小さい頃とどうしても被ってしまうんだ」
ふっとため息を吐くすすみ、そして聞く。
「でも、信頼が置ける人なら教えてもいいの?」
「それは勿論さ。ここはしっかり"理解している人"のための売り場だからね」
十三三は手を伸ばし、フォートブラッグを手にのせすすみの前へ。
「紹介しよう、"ナァダ"だ。すすみが来る前から店を手伝ってもらっている」
「宜しく、お嬢」
"お嬢"という呼び方はどこで習ったのか、気になるところだが。
「よろしくね。…ほらスィーマァ、もう怖くないから自己紹介」
「うう……、スィーマァです」
若干怯えつつ、手をのばすスィーマァ。
ナァダはその手をしっかりと握った。
「宜しく、スィーマァ」
そんな小話を繰り広げるは、22:10分の「古代モデル店」であった。
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