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}}}
貴女はまるで、童話の中の御姫様。
伏せられた瞳に動かない唇。
そんな貴女を見ながら、まだ起きない貴女を思い描く。
貴女は、花の様に笑い、風のように走るのかしら。
貴女は、月の様に佇み、影のように寄り添うのかしら。
貴女は、海の様に優しく、山のように大らかなのかしら。
貴女は、優しく微笑む天使かしら。
貴女は、意地悪く笑う悪魔かしら。
朝は私を起こしてくれるのかしら、それとも私が起こすのかしら。
ご飯を一緒に食べられるかしら、一緒に洗いものも出来るかしら。
私と一緒にお出かけ出来るかしら、一緒に買いも出来るかしら。
貴女は、こんな私を笑うかしら?
まだ見ぬ貴女、まだ出会えぬ貴女。
そんな貴女を思い描く私を、笑うかしら。
馬鹿な主だと、愚かな主だと笑うかしら。
でも、良いわ。
貴女と笑って暮らせるのなら。
「お初にお目にかかる。私の識別名はエウクランテ。貴女が私の主であろうか?」
部屋の真ん中に置かれたテーブルの上で、彼女は言った。
一人用のテーブルの上でもなお、その小ささが目立つ彼女は当然人では無い。
武装神姫。
人類の科学の結晶、慎重15cmにして人と同じ外見と、人と同じ心持った機械仕掛けの御姫様。
「そうよ、私が貴女の主? になるの」
絨毯に直に腰を下した私と、彼女の目線にはやはり差がある。
テーブルの分を差し引いても、まだまだ彼女の方が低い。
「それでは主、僭越ながら主の名を聞かせて頂けるだろうか?」
貴女は至極冷静に振舞っているけれど、時折視線が部屋中に飛ぶのを私は見逃さない。
本棚、机、ぬいぐるみ。
どれもが初めて見るものばかりなのだろう。
それを考え、これからを考えると自然と笑みが浮かんでくる。
「私の名前は加奈美。戸坂加奈美よ」
私の笑みに釣られたのか、貴女もようやく笑ってくれた、
とても機械とは思えない。自然で和やかな微笑。
「加奈美……か。とても良い名だ、主。それでは私にも名を与えてはくれないだろうか?」
小首を傾げる動作も、とても機械には見えない。
その全てが新鮮で、愛おしくて、私は不思議な気持ちで貴女の為に考えた、貴女だけの名を呼ぶ。
「……シルフィ、それが貴女の名前よ」
それを聞いた瞬間の貴女の顔は、本当に嬉しそうで、幸せそうで。
私も釣られて嬉しくなるような、素敵な笑顔。
「素晴らしき名だ、主。感謝する」
これから始まる貴女と私の生活。
大きな事件も、胸躍る冒険もいらない。
ただ流れる毎日に、身を委ねて楽しみたい。
「これからよろしくね、シルフィ」
「こちらこそ、主」
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貴女はまるで、童話の中の御姫様。
伏せられた瞳に動かない唇。
そんな貴女を見ながら、まだ起きない貴女を思い描く。
貴女は、花の様に笑い、風のように走るのかしら。
貴女は、月の様に佇み、影のように寄り添うのかしら。
貴女は、海の様に優しく、山のように大らかなのかしら。
貴女は、優しく微笑む天使かしら。
貴女は、意地悪く笑う悪魔かしら。
朝は私を起こしてくれるのかしら、それとも私が起こすのかしら。
ご飯を一緒に食べられるかしら、一緒に洗いものも出来るかしら。
私と一緒にお出かけ出来るかしら、一緒に買いも出来るかしら。
貴女は、こんな私を笑うかしら?
まだ見ぬ貴女、まだ出会えぬ貴女。
そんな貴女を思い描く私を、笑うかしら。
馬鹿な主だと、愚かな主だと笑うかしら。
でも、良いわ。
貴女と笑って暮らせるのなら。
「お初にお目にかかる。私の識別名はエウクランテ。貴女が私の主であろうか?」
部屋の真ん中に置かれたテーブルの上で、彼女は言った。
一人用のテーブルの上でもなお、その小ささが目立つ彼女は当然人では無い。
武装神姫。
人類の科学の結晶、慎重15cmにして人と同じ外見と、人と同じ心持った機械仕掛けの御姫様。
「そうよ、私が貴女の主? になるの」
絨毯に直に腰を下した私と、彼女の目線にはやはり差がある。
テーブルの分を差し引いても、まだまだ彼女の方が低い。
「それでは主、僭越ながら主の名を聞かせて頂けるだろうか?」
貴女は至極冷静に振舞っているけれど、時折視線が部屋中に飛ぶのを私は見逃さない。
本棚、机、ぬいぐるみ。
どれもが初めて見るものばかりなのだろう。
それを考え、これからを考えると自然と笑みが浮かんでくる。
「私の名前は加奈美。戸坂加奈美よ」
私の笑みに釣られたのか、貴女もようやく笑ってくれた、
とても機械とは思えない。自然で和やかな微笑。
「加奈美……か。とても良い名だ、主。それでは私にも名を与えてはくれないだろうか?」
小首を傾げる動作も、とても機械には見えない。
その全てが新鮮で、愛おしくて、私は不思議な気持ちで貴女の為に考えた、貴女だけの名を呼ぶ。
「……シルフィ、それが貴女の名前よ」
それを聞いた瞬間の貴女の顔は、本当に嬉しそうで、幸せそうで。
私も釣られて嬉しくなるような、素敵な笑顔。
「素晴らしき名だ、主。感謝する」
これから始まる貴女と私の生活。
大きな事件も、胸躍る冒険もいらない。
ただ流れる毎日に、身を委ねて楽しみたい。
「これからよろしくね、シルフィ」
「こちらこそ、主」
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