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**翠の月を越え、天翔る者(中編)
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アルサスの光刃・角……そして電撃“スプライト・ボルト”のコンボと、
ボクの一撃によって、リュミエールさんは大理石の床に叩き付けられる。
鎧の所々にクラックが入り、ダメージ量が少なくない事を物語るんだよ。
でも……相手は秋葉原・サードリーグ数千名の首座に在る神姫。まだまだ
仕留めるに至らないもん。案の定、彼女はゆっくり身を起こしたんだよ。
「く……非力とは言いつつも、タイミングは的確……なかなかですね」
「ボクが貴女の様な神姫に勝つならば、真正面以外からも攻めないとね」
「なら……回り込む隙も与えない程に、攻め立てればいいのです!」
「え──────?」
そして彼女が吼えた時、壊れ掛かっていた鎧は弾け飛び……羽が舞う。
その一瞬で姿を見失ったボクは、低空・真正面から突撃してくる彼女に
対応しきれず、コライセルの斥力場を展開するのが精々だったんだよ!
「う、ぅうっ!?……しょ、衝撃が強くて……押し切られるよ!?」
「どうしました?私のスピードに着いて来られないと、一太刀ですよ!」
「右!?……ううん、後ろ……きゃうっ!?」
『クララッ!?』
鎧を脱ぎ捨て、翼と剣だけになったリュミエールさんの速度は異常で、
元々反射速度にも劣るボクは、最早完全に攪乱されつつあったんだよ。
まさに“光”の如く翔けて、“闇”の如く絶対的な力を打ち込む騎士。
ボクは、彼女の圧倒的で正統的な強さを全身に感じたんだよ……でも、
マイスターの声を聞いたボクは、咄嗟にアルサスの名を呼んだんだよ!
「う、ぐっ……立て直すんだよ、アルサスッ!!」
『Ja(救助します、掴まって下さい)』
「──────くっ!?先程のぷちが……これは、“箒”に!?」
このままやられる訳にはいかないもん。だからボクは、アルサスを特殊な
ヴィークル……車輪が無く光の穂を噴き出して飛ぶ、それは“箒”……に
変えて、ボクの元へと突っ込ませたんだよ。直進性能に優れたその箒は、
機体先端の穂先でリュミエールさんを弾き飛ばし、ボクを拾いつつ舞う。
そしてそのまま、楕円軌道を描いてUターンし……突っ込むんだよッ!!
「……貴女がスピードなら、ボクもそれに追いついてみせるもん!」
「く、一体何を……ッ!う、斬撃!?軌跡が見えない……ぅくっ?!」
「ストライクワイヤー“ヘル”。高速移動中だと、この糸は見えないよ」
穂先を突っ込ませながら、ボクは両手に持った六個のワイヤーで、彼女を
絡め取りつつ幾度も切り裂くんだよ。先程の一撃程じゃないけど、着実に
ダメージを与えつつ、彼女を上空に浮かび上がらせる為だもん。そして、
一瞬の隙を狙ってボクは、アルサスの姿を箒から別の姿に変えるんだよ!
「アルサス……決めるんだよ!“エクリプス・ステップ”ッ!」
『Ja(勝負は一瞬です)』
「せぁっ!!……手応えが、ないんだよ!?」
「な、成程……ワイヤーで私の自由を奪いその“鎌”で切り裂く、と」
「……く、逃げられたのかな?」
「ですが、スピードで私に敵うと……思いますかッ!!」
アルサスが箒からレーザーと実体刃を併用した“デスサイズ”に変形、
ボクがそれを握って振り抜くまでには、殆ど時間を要さなかったもん。
でも彼女は、その尋常じゃないスピードを以て間一髪で避け……ボクの
頭上で刃を構えていたんだよ。ボクは咄嗟にコライセルと鎌で受ける!
「退け凶兆!“イージス・サーキット”!……きゃうっ!?」
「防御用の魔術ですか……ですけど、衝撃自体は殺せない様ですね」
「……う、うぅ……アルサス、まだ大丈夫かな?」
『Ja(問題有りません)』
アルサスの防御機能をボクの防御用魔術で強化して凌ぐ事は出来たけど、
衝撃自体の減殺は出来ずに……今度はボクが床に叩き付けられたんだよ。
それでも全身の損耗を知らせるアラートを感じ取りながら、ボクは立つ。
だってここで負けられない理由が、大切な想いが……ボクにはあるもん。
アルサスも想いを感じ取って、一緒に立ってくれる。ここが正念場だよ!
「降参しろ、とは言いません。名誉欲で戦っているとは思いませんから」
「当然。ボクは、翠月の穿姫(ジェイダイト・ヴァルキュリア)だよ……」
「“光と闇の騎士”が、覚悟に免じて……全力で貴女を叩き潰します!」
「させないんだよ……ボクには、勝てる想いがある!“アクセプト!”」
『Ja(ロック解除。“アクセプト・フィギュア”承認します)』
「むっ……!?」
ボクは“キーワード”を叫んで、右手に持っていたコライセルを左手へと
持ち替える。そして縦に五行・横は四行……碁盤の目をイメージしつつ、
左手の中指と人差し指で空を切り、叫ぶんだよ。何故なら、この瞬間から
“魔奏”コライセルの全力を使った、大魔術の執行を執り行うんだもん。
裂帛の気合を以て、全神経をそちらに持っていかないといけないんだよ!
「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前……“鬼手”よ、我が手にッ!」
「な……鎌が、鬼の様な巨大な“手”に変形して……右腕に合体!?」
「……ブルームハンガー“メギンギョルド”。力を律する、腕だよ」
「その腕で一体何を……殴り合う積もりですかッ?」
「違うんだよ……“イージス・サーキット・EX”!」
「ッ!?こ、今後は服装が……これは神道の、巫女の装束っ?」
フリーになった右腕を突き出すと、巨大な“腕”に変形したアルサスは
ボクの肩口まで腕を呑み込んで、ロック。同時に、ボクの腕に刻まれた
“魔導刻印”が、腕のフレーム内部に刻まれた補助刻印とリンクする。
これによって、刻印を経由してコライセルの全力を解放出来るんだよ!
……ついでに、“イージス・サーキット”の防御フィルムを変形させて
巫女装束に変じさせ、躯を覆わせるんだよ。一応、気分を出す為にね?
「さぁ、貴女の真髄は見たよ……ボクも、全力を出させてもらうもん」
「何をするか分かりませんけど、いいでしょう。受けて立ちますよ!」
──────ただの“巫女”じゃないんだよ、これが?
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