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**蒼天にて、星を描きし者(前編)
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そしてその日はやってきましたの。わたし達三姉妹がセカンドに向けて、
ついに扉を通る日がッ!……あ、申し遅れましたの~♪わたしはロッテ。
“マイスター(職人)”槇野晶お姉ちゃんと共にある、神姫が一人ですの♪
今は皆、準備でてんてこ舞いですの。武装は用意出来たんですけど……。
「クララや、躯の洗浄が終わったなら服を選んでおくれ!時間がない!」
「分かってるんだよマイスター、ボクのは決まってるけど……大丈夫?」
「あうぅ……これも可愛くていいんですけど、こっちも棄てがたいです」
「わたしの予定時刻まで、もう一時間弱ですのアルマお姉ちゃん~!?」
わたし達は“服を着る神姫”、素体のまま外に出る習慣はないですの。
だから今日は下着と戦闘用補助アーマードレスに、お気に入りの一着を
着込んで、近所の秋葉原神姫センターに赴く事になったんですけど……
わたし達はマイスターのブランド“Electro Lolita”を背負う看板娘、
生半可なファッションセンスではいられませんの!だから、つい……♪
「そういうロッテちゃんだって、決まってないじゃないですか~!?」
「こっちの水色のワンピースもいいんですけど、白のドレスも……♪」
「……こっちは大忙しだもん……マイスターの服選びも、大丈夫かな」
「む?う、有無……ストラップレスと長袖のどちらにしようかとな?」
「今日も四十度近くになるらしいし、日焼け対策次第だと思うんだよ」
どうしても皆、服選びや躯の洗浄には拘ってしまいますの。わたし達の
オーナーであるマイスターは女の子ですし、わたし達もその辺の影響を
いっぱい受けていますから、しょうがない所ですの。そんなこんなで、
準備が出来て皆で住居代わりのビルを出たのは、四十五分前でしたの。
「ふぅ……今日も街が灼けるな、水分補給しないと死んでしまうぞ」
「……ボクらも、熱暴走しない様こまめに冷却水を補給するんだよ」
「そうですね~……大事な日ですし、コンディションは大切ですッ」
「バッテリー充電率98.16%……他の機能も全部問題ないですの~♪」
そうですの、今日は高みに昇る日……昇進を賭けた試合の予定日ですの!
この日の為に用意した“アルファル”他の装備も、バッチリカートの中。
ここ数ヶ月は、全て今日この時の為に使ってきたとさえ言えますの~っ♪
その割に、神姫センターで受け付け出来たのは刻限五分前ですけど……。
「サードの槇野晶様……神姫はロッテ、アルマにクララの三機ですね?」
「有無。事前に昇進試合への予約を通してあるはずだ、マッチメイクを」
「畏まりました……三機が応募してます。ランダムでよろしいですか?」
「構わぬ。どんな相手でもこの娘らならば、打ち倒してくれるだろう!」
「はいっ……では皆さんの試合をこれから準備します、お待ちください」
どうやら今日セカンドを目指しているのは、わたし達を含め六人ですの。
誰と戦う事かはわかりませんけど、マイスターの為に勝ってみせますの!
……と一人で集中していた時、マイスターの呼び出しが掛かりましたの。
『槇野晶さん、ご希望のバトルが開始出来ます。オーナー席にどうぞ』
「よし……さ、まずはロッテだ。姉妹達に、しっかり見せるのだぞ?」
「ロッテちゃん!……頑張ってくださいね、勝てると信じてますっ!」
「……大丈夫。これまでの積み重ねを大事にすれば、必ず行けるもん」
「はいですのっ!!皆、見ていて下さいですの……わたしの、戦い!」
マイスターに促されるまま、エントリーゲートを降下していきますの。
サイドボードへの武装装填完了を示すシグナルを確認して、準備OK!
選んで身につけた水色のワンピースを翻して、発進位置へと付きます。
ここで“意識”がヴァーチャルフィールドに投影される仕組みですの。
降下を完了したわたしの意識は、ゲートの閉鎖と同時に揺らいで……。
『ロッテvs狛恵、本日のサードリーグ第7戦闘、開始します!』
「ヴァーチャル化完了……では、行きますの~っ!!」
次の瞬間には、水平なレールを電磁加速する様に打ち出されていました。
そうして駆け出していったのは、最初の戦いでも使った古戦場でしたの。
ただ今度は、バトルのダメージを反映してか剣が突き立っていますけど。
でもじっと見ている暇はないですの!空を切る様な砲弾の音が、すぐ側を
切り裂いて……直後にわたしの躯は軽く吹き飛ばされましたの……痛ッ。
「きゃっ!?遠距離からの砲撃、でもフォートブラッグ程じゃ……!?」
『これは……ロッテ、相手は砲撃特化のハウリン系列だ!!』
「“砲狗の”狛恵、行きますッ!ドラドラドラドラドラァッ!!」
「く、確かに……大きな姿が見えていますの!」
「むむ、見つかりましたか!でもアタシは、破壊するのみですッ!」
「きゃあああっ!?く、このままじゃ……!」
カメラアイで見たのは、四肢……自分の脚とパックパックの補助脚……を
地に降ろし、両手・両肩・胸・背中の火器でわたしを撃つ神姫でしたの!
短くカットされた榴弾砲やミサイル、ガトリング……実弾ばかりのそれは
質より量という勢いで、わたしの服を灼き焦がしていきますの……でも!
「……でも数撃てば当たる、という悠長な結果は待てませんのッ!」
「そんな丸腰の姿で何が出来ますかっ!一気に殲滅してあげますッ!」
「黙ってやられはしませんの……“フィオナ”ッ!」
『Yes,sir(強襲します)』
わたしがその名を呼んだ時、夜闇の空に逆三角形状のラインが生まれ、
それに沿って“妖精の騎士”が、UFOの姿で飛び出してきましたの。
下部に据え付けられたのは、二挺のビームガトリング“セイバー”……
青き流星は、そのまま戦場へ降下して狛恵さんに威嚇射撃をしますの!
「うあぁぁっ!?あれはぷち、いや……レインディア・バスター!?」
「そっちがオリジナルの砲撃支援システムなら、こっちは……!」
『“W.I.N.G.S.”……Execution!』
「変身、した!?聞いてた姿と違います、その服と剣は一体……!」
「蒼天の旋姫(セレスタイン・ヴァルキュリア)の、真の姿ですのッ!」
フィオナが作り出した一瞬の隙を使って、わたしは戦闘の為にある姿を
呼び出しましたの。それは即ち、アーマードレス“レーラズ”と魔剣!
煤けたワンピースは消えて、手先や足首まで覆う青のドレスがわたしを
包んで、両の腰にライナストとフェンリルが光の中で装着されますの。
シンプルな“変身”で驚かせましたが、ここから“本番”ですの~っ♪
「虚仮威しでしょう、春の大会でのマグレには騙されませんッ!」
「マグレかどうかは……これから貴女に確かめてもらいますのッ!!」
──────さぁ、ここからが天国への階段ですの!
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