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第七間幕 - (2007/04/01 (日) 12:21:03) のソース
第七間幕。 ライト点灯。何も無い、がらんとした廊下のような場所。 右側から大きな白いシーツに身をくるんだマーチ登場。身体も、頭にも被っている為に、顔しか見えない。ずりずりとシーツをひきずりながら中央に。 マーチ「!?」 マーチ、シーツのすそを踏んでひっくりかえる。 痛そうに打った頭をなでながらノソノソと立ち上がり、こちらを振り向くマーチ。 マーチ「あ・・・えっと。はじめまして」 困ったような顔のまま。ぺこりと一度礼。 マーチ「2036の風、第7幕。お読みくださった方々、本当にありがとうございます。私はマーチ・・・MMSタイプ『種型』ジュビジーです」 引きずっているシーツを、面倒そうな顔で。くいくいと自分に引き寄せる。 マーチ「この幕から、えっと。後半突入です。今回のお話は・・・12月です。寒い時ですね・・・風邪を引きやすい時です。私が、マスターの神姫になった時です。他のお姉ちゃん達とは。ちょっと神姫になるって言えるか解らないくらい、違いますけど・・・」 吹雪くような音。 ぶるっと震えてマーチは顔をシーツに埋める。 ・・・くしゅん。 一度くしゃみをして、マーチ、少し寂しげな顔を再び上げる。 マーチ「あの・・・神姫って。いつ、生まれるんですか?」 照明そのまま。マーチの頭上で赤い、四角のライトがぼんやりと光る。 ライトには『・・・中』と白い字で書かれているが、詳しくは解らない。その光をじっと悲しげな顔で見詰めながら、マーチ、続ける。 マーチ「・・・ファクトリーで作られた時ですか? コア、ボディ、CSCがセットされた時ですか? それとも、目を開けた時ですか? マスター登録を終えた時ですか? んーと・・・名前を貰った時ですか?」 カタカタと何かが鳴る音。遠く喧騒のような声。白衣を着た人物が数人、マーチの後ろを走っていく。マーチ、それを意に介さず。やがて赤いライトから視線を逸らし、一度伏せ・・・こちらを向く。 マーチ「・・・それとも。心が動き始めた時、ですか?」 シン・・・と、全ての音が消える。耳が痛くなるほどの沈黙。 ただ煌々と光る赤い四角いライト。 マーチ、その沈黙の中、何かに聞き入るように目を閉じていたが。 やがて、シーツから手を出す。その手には一つの、いつしか、小幡の手から風が連れ去った小さな種。 マーチ「種って・・・不思議ですよね。だって、生まれていないのに。命って言われます。生きていないのに。生きているって言われます・・・」 マーチ。種をもぞもぞと直す。 マーチ「けど。芽を出さない種は・・・生きている、のかな・・・?」 ふっと。 マーチの顔から完全に表情が消える。その顔のまま、マーチ一礼。 マーチ「それでは。しばしお別れです。また、お会いしましょう・・・マーチでした」 ガタン!! 何かが落ちるような、大きな音と共に。 突如として照明消灯。 第七幕・・・了。 [[2036の風]]