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光と影のクリスマス 前編 - (2007/12/08 (土) 22:52:34) のソース
*光と影のクリスマス 前編 今年も後一ヶ月を切り、町の中はクリスマス一色になった。そんな中、いずるはある場所に足を運んでいた。 「確かここだったはずなんだけど…」 いずるの探している場所とは、新しく開店した神姫専用ショップのことである。ここでいずるはあるものを探していた。 エレベーターに飛び乗り、最上階に向かういずる。ショップはこのショッピングモールの最上階にあるのだ。 「この階にあるみたいだな。 どこにあるのかな…」 周りを見ながらショップを探すいずる。暫く探しているうちに、やっと目当てのショップを発見した。 「けっこう並んでるんだな。無事買えるかどうか…」 なぜ彼がこんなところにいるのかというと、こんな理由があるのだ。 「やった~、これで通算100勝目だ~」 バトルが終了して控え室に戻るいずるとホーリーは、今回の闘いで100勝したことを自慢げに話していた。今回のバトルはハウリンタイプの神姫が相手で、数分でホーリーの勝利で終わったのだった。 「ああ、それはよかったな」 それに対していずるは喜ぶどころか微笑み一つしなかった。 「え~、それだけ?もっと喜んでもいいのに…」 そこへ廊下で待っていた恒一とシュートレイが祝福して迎えてくれた。 「やったなホーリー、これで1ランク上昇したな」 「おめでとうございます」 「えへへへ、このままいけばすぐにランクアップしちゃう勢いだよ」 はしゃぐホーリー。しかしいずるは余計に心配の色を隠せずにいた。 「喜んでいいのかホーリー、油断大敵って言うだろう。今回のバトルだって相手が強くなかったから勝てたんだからな」 「おいおい、お前相当カチカチになってるな。100勝したんだから、もう少し喜んだっていいだろうに」 「とはいっても、まだ100勝目だし、これから順調に勝ち進めるとはいえない。それにまだ強敵が大勢いるんだから、油断なんてできないよ」 カリカリしているいずるは、思わず起こったような口調になってしまった。 「でも、ここまでがんばったんだから、おめでとうの一言くらいかけてもいいはずだぜ。…もしかしてお前、あの神姫のこと、頭で考えてるんだろう?」 恒一の言うとおりだった。あの時のことをいずるは考えていたのだ。いずれはあのブラッククリスマスと対戦することになる。そのとき、ホーリーの身に何かあったら…彼の脳裏には不安ばかり浮かんでは消えて行った。 「…本当いうとあのBクリスマスのことが頭から離れないんだ。あの神姫はほとんど実践経験がないはずなのに、神姫を次々と再起不能寸前にまで追い込んでいる。あの神姫の狙いが分からないと、うかつに闘う事はできない」 「そうか、あの神姫はシュートレイですら再起不能寸前まで追い込んだ相手だからな、不安なのも無理はないな。でも、今日くらいはそのことなんか忘れた方がいいんじゃないか?せっかく相方がランクアップしたんだからな」 恒一はいずるの背中をバンバン叩いて元気付けてあげた。 「そ、そうだな。でも、今回のランクアップでBランクに上がっただろ。それはシュートレイやあのBクリスマスと同じランクになったということになるじゃないか。もしBクリスマスと闘う事になったら…」 「バカなこと言うなよ」 恒一が叱咤した。 「そうなることはお前も知ってるだろう?このままでも自ずとランクは上がるんだ。酷なことかもしれないが、ここまできたならお前達も覚悟決めろよ」 恒一の言葉にいずるは唖然とした。なぜなら、あの恒一がこんなことを言うとはしんじられなかったからだ。 「だが、そのBクリスマス、実は公式の神姫じゃないっていう噂があるんだ。コミッショナーの意見で暫くの間はBクリスマスの出場を停止するらしい」 「出場停止…」 「だからお前は心配しなくていいんだ。せっかくのお祝いだろ?そんなことで水を差すようなことをしない方がいいぜ」 Bクリスマスの出場停止の話を聞いたいずるは、少し安心した。そして改めて恒一に礼を言った。 「ありがとう、おかげで気持ちが楽になったよ」 「いいってことよ。それより、ホーリーに何かプレゼントしたらどうだ?100勝記念として彼女の好きなものでも買ってあげなよ」 「ああ、そうだな。ホーリー、リクエストは?」 しかしホーリーは疲れたのか、スリープモードに入っていた。 「あれだけ動いたんですから、眠くなるのは当たり前ですよ」 バッグのポケットからミルキーが出てきて、ホーリーをバッグ内の簡易ベッドに運んだ。 「ありがとう、ミルキー」 「ところでプレゼントの事ですが、お姉さんには暫くの間黙っておきましょう」 「え?どうしてだよ?」 ミルキーの発言に驚くいずる。それを後ろで聞いていた恒一は、思わず納得していた。 「なるほど、ホーリーを驚かせるためだな」 「どういうことだ?」 「お前、鈍いな。プレゼントは驚かすために贈るものだぜ。それに、なによりそうした方が相手も喜ぶだろうが」 その言葉を聞いて、いずるはこの分野について鈍い事に気付いた。 「…そうか、たしかにその方がホーリーだって喜ぶだろうな。分かったよ、ホーリーには内緒にしておこう」 「物分りがいいな、お前は。実は今度、この近くのショッピングモールに神姫ショップがオープンするそうなんだ。そこでホーリーの喜ぶものを買えばいい」 恒一は新ショップのチラシをいずるに渡した。 「あいにくこんなのしか手元にないが、これに場所が載ってるから分かるだろ。あと、開店日は12月の第1土曜日だ。人気の商品をゲットしたいなら初日を狙うんだな」 「ありがとう、こんなことまでしてくれて…」 「いいってことよ。その代わり、クリスマスには誘ってくれよな」 そういい残して、恒一はこの場を去った。残されたいずるとミルキーは、ホーリーのプレゼントの事について話を続けた。 「それで、何を買うんですか?12月まであと少ししかありませんよ」 「そうだな、どうしようか…」 帰る準備を始めるいずるだったが、プレゼントの事を考えるあまり、手元がおろそかになっていた。 「いずるさん、早くしないと次に使う人が来てしまいます」 「ああ、そうだったね。早く帰ろう」 慌てて準備を終えたいずるたちは、そそくさと控え室を後にした。 「けっこう並んでるな…」 ショップに連なる長い列を見て、いずるは呆然とした。 「とりあえず並びましょう。時間が経てばもっと長くなりますから」 ポケットからミルキーが顔を出してきた。 「そうだな、早くならばないと売り切れるからな」 いずるは最後部に並んで開店を待った。 そして待つこと一時間近く…、開店を告げるアナウンスが鳴った。 『只今より開店いたします』 その瞬間、列がショップになだれ込み、たちまちショップ内は満員になった。 「すごい人だかりだな、この調子で目当てのものなんか買えるんだろうか…」 人だかりを掻い潜り、いずるは武装パーツコーナーへたどりついた。 「ここにもいるのか…。早い所目当てのモノを買わないと」 武器やサブウエポン、それと洋服まであるこのコーナーで、いずるは目当てのモノを探した。 「あ、ありました!こんな所に!!」 ミルキーが棚の上を指さした。その上には目当てのパーツが一つ、奥のほうに置かれていた。 「やっと見つかった。これでホーリーも喜ぶぞ。ところでミルキーも何かほしいものあるだろう?遠慮しないでいいなよ」 功労者のミルキーを見て、いずるはほしいものがあるか質問した。 「い、今の所は特に…」 「遠慮しないでいいんだよ。これは私からのプレゼントだからね」 いずるの言葉に、ミルキーは恐る恐るある方向へ指を差した。 「…あれがほしいのかい?」 それは、鳥形のペットロボットのキットだった。 「…わたし、一度でいいからこれほしかったんです。これならお話もできますし、お友達にもなれるでしょう?」 ミルキーの意外な言葉に、いずるは驚いていた。 「…だめですか?」 「いいや、いいよ。それにミルキーにとって始めてのプレゼントだから、買ってあげるよ」 それを聞いたミルキーは、思わず顔を赤らめながらコクコクと頷いた。 「…あ、ありがとう、ございます…」 そしてバッグの中に逃げ込んでしまった。 (…あれ?どうしたんだろう?ミルキーのも意外なところがあるんだな) 一瞬疑問に思ったいずるだったが、すぐにそれを忘れてレジに向かった。 次の日、いつもと変わらない日常を過ごしていたいずる達に、ある情報が飛び込んだ。 「これは…!」 「ああ、恐れてたことが起きたようだな」 いずると恒一は学校のパソコンを使ってインターネットのニュースを見ていた。その中にBクリスマスのバトル復帰の情報が載っていたのだ。 「一体どうなってるんだ…。Bクリスマスは出場停止になったんじゃないのか」 「おそらく、Bクリスマスの行為がレギュレーションに違反してないと判断したんだろうな。そうじゃなきゃ、こんなニュース入ってくるはずないじゃないか」 強敵の復帰に不安の色を隠せない二人は、どのような対策を練るか考える事にした。 しかしそれから数日後、いずる達をさらに不安に陥れるニュースが飛び込んでくることになる…。 *つづく [[もどる>おまかせ♪ホーリーベル]] [[第十三話へGO>光と影のクリスマス 中編]]