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第二十六話『二人の戦場、後編』 - (2007/11/23 (金) 08:52:15) のソース
補助脚を展開したまま、マイを思いっきり蹴っ飛ばす。 不意打ち気味に放たれた蹴りにマイは耐え切れず吹っ飛ばされる。 その隙をついてわたしはバックパックを切り離し、軽装状態へと移行し、そのまま右手のクラブハンドを前に向けてフルオートでぶっ放した。 「無ぅ駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」 しかし弾丸は全てマイの持つ槍により阻まれ届かない。 『サラ、撃ちながらバックステップして左手でランチャー拾いなさい! マイにゃんを動かしちゃダメよ!!』 「了解です!」 言われたとおりに撃ちながらバックステップ。 開いた左手でランチャーを拾う。 「なんと!?」 『よけろ! マイ!!』 ハチヤがマイに指示するがマイは弾幕のせいで動けない。 『スラッグ! スラッグ! グレネード!!』 ハルナから指示が飛ぶ。 スラッグ弾二回にグレネード一回・・・! 「――――――――ッ!!」 一瞬で構え指示通りに撃つ。 本来なら榴弾を放つべき大口径の銃身から放たれる巨大な一発の弾丸。それが命中する前にもう一発。さらにマガジンを丸ごと交換し榴弾もおまけにくれてやった。 爆音が響く。 視界は一瞬で炎に染まった。 『バンカー! コード7! スクエア!!』 マガジンをまた交換し今度は巨大なパイルバンカーを装備させる。 そのまま炎の中に突っ込んで中にいたマイに零距離射撃を食らわせた。 「――――ぐうッ!?」 炎に隠されて良くは見えないが、確かな手ごたえを感じた。 『クラブハンド! 機銃掃射!!』 そのままクラブハンドを構え右手だけで機銃掃射。 マガジンが空になるまで撃ち続けた。 「・・・・どうでしょう?」 『・・・さぁ、煙が収まってみないとなんとも言えないわね』 ふむ、しかしあの落ち込みようから一転してこの連続攻撃ですか。 もしかしたらハルナも中々にSのケがあるのかもしれませんね。そうなると調教次第で・・・いやいやハルナはやはりMのほうが・・・いやしかし・・・。 『アンタが今何を考えてるのかはわからないけれど、ロクでもないこと考えてるのはわかるわ・・・・』 「失敬な。世界平和について考えてるのかもしれないですよ?」 『そうなったらあんたらが真っ先に武装解除させられそうだけどね』 「武装解除と言う名の全裸改造ですか。ハルナも中々素晴らしいことを言う」 『なんでそうなるのよ!! そもそもあんたら素体状態が全裸みたいなものじゃない!!』 「ふむ、そうなると全ての神姫は全裸・・・素晴らしい世界です。これなら世界平和も実現可能ですね」 『そんな世界やだーっ!?』 「人間も武器と一緒に服も剥ぎ取ってしまいましょう。そうすればほら、みんな自分の体を隠すので一杯一杯で戦争なんて起こらないでしょう?」 『そんな服一着のために殺し合いが起こりそうな世界、私は認めない!!』 「ふむ、そうなるとハルナには首輪をつけてしまいましょう。巨乳キャラに首輪はとてもよく似合うのです。全裸に首輪・・・最高です。ついでに丑型と魚型にもつけましょう」 『何かサドっ気が加速しているっ!? アンタ相手に始めて貞操の危機を感じたわ!!』 「大丈夫ですよ。ハルナのマスターはハチヤですから」 『流れにつられて本音を喋るとでも思ったの!? 絶対嫌よそんな状況!!』 「なるほど、その言葉は本音ではない。つまり本音は嫌がってないと」 『誘導尋問だこれーっ!?』 ふふ、なんといいますか。 このやり取りが酷く懐かしく感じますね。実際ご無沙汰なのは三日くらいだと言うのに。 「ハルナ、意地悪を言ってごめんなさいね」 『う・・・その、わ、私も悪かったわよ! こんな約束してきちゃうなんて・・・』 「判ってるなら大人しく罰を受けなさい」 『そこでそうくるかこのバカ鉄砲! せっかくの感動シーンが台無しよ!!』 「さて、とりあえず話を本筋に戻しましょう。煙が晴れてきましたよ」 『相変わらずスパッと話戻すわねアンタ・・・・』 とりあえずその呟きは無視します。 ・・・さて、煙の収まった先にはマイが・・・いない? あたり一面は砂漠。隠れる場所は無い。 だとしたら一体どこに・・・・? 『下よサラ!!』 ハルナの言葉と共に砂が一瞬盛り上がり、中からマイが姿を現す。 『マイ! ネコドリルブレイク!!』 「うぅおぉぉおおおりゃぁぁあああああ!!」 ドリルを構えマイが突っ込んでくる。 避けれない・・・・!? 『ロングコード7! カルヴァルリオ・ディスペアー!!』 耳に届くハルナの言葉。 考えるよりも先にわたしの手は動いた。 一瞬で組みあがるランチャー。 装填する弾丸は鉄鋼杭弾。 一番威力が強い一本の鉄の杭。 「うおおおおお!!」 ランチャーの長い銃身でマイのドリルを逸らす。その勢いのまま銃口をマイの腹に押し付け、装甲に引っ掛けてマイを持ち上げる! 「にゃんと!?」 長い銃身の上に引っかかったマイが叫ぶがもう遅い。 高く天に向かって聳え立つ鉄の銃身。 「これで!」 どこまでも高く行けるように、どこまでも真っ直ぐに行けるように。 『終わりよ!!』 そしてわたしは引き金を引き、撃ち出された鉄の杭がマイを貫いた。 「・・・・はは・・・やっぱ砂漠じゃ強いな。あの二人は」 「ちくしょう! もう少しだったのにん!」 筐体の向こう側を見ると、八谷とマイニャンが錯乱していた。 少し・・・話しかけづらい、かな? 「おい我が妹。勝ったんならとっととやることやりたまえよ」 「そうですわ。八谷さんに言いたいことがあったんでしょう?」 ギャラリーのお姉ちゃんと遙が私を急かす。 む、急かさなくてもいいじゃない。 「・・・・ハルナ、行きましょう?」 と、筐体からでてきたサラが私を見上げる。 ・・・・判ったわよ。行けばいいんでしょ? 私は無言で筐体の向こう側へと歩く。 そこには何か力尽きた感じの八谷とあぐらをかいて悪態をついてるマイニャンがいた。 「・・・・あ、七瀬・・・」 八谷がようやく私に気づく。 「はは・・・負けちゃったね」 私はそれに返事をしない。 言いたいことがあったけど、今の私には何も言葉に出来ない。 何となく私が何をするか、サラもわかってるようで口を出してこなかった。 「・・・・・え、な、七瀬・・・?」 右手を上げ、八谷の左の頬に添える。 左手を上げ、八谷の右の頬に添える。 「な、七瀬・・・―――――っ!?」 添えたまま八谷の顔を引き寄せ、唇を合わせた。 一瞬が一分に、一分が一時間に、一時間が永遠に感じる時間。 唇が離れたときに、膵液が少し糸を引く。 八谷の顔を見ずに、私の顔を見せずにそのまま抱きしめる。 「―――――好き、だから」 精一杯の小さな勇気を振り絞って、私はそう呟いた。 八谷からは何の返事も無い。でも別にそれでもいい。 混乱具合は私よりも数段上だろうし、私自身今言われたら・・・。 「・・・・うん」 と、寄りかかる私の背中に八谷の手が回される。 そのまま優しく、でも力強く私を抱きしめる。 「――――僕も、大好きだよ、七瀬」 「――――――――――――!」 私は、何故だかわからないけど嬉しいのに涙が止まらなくて 抱きしめられたまま、五分ほど泣いた [[戻る>http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1436.html]][[進む>http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1450.html]]