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優しい悪魔 ◆jVERyrq1dU





「らんらんるー☆」

星々しか光源のない暗闇の雪原地帯で、志々雄は進行方向にぼんやりと浮かび上がる黄色い怪人を見つけた。
あまりにも異質な怪人の姿に、志々雄はまず己の目を疑った。
よく見ると奇抜なのは服装だけではない。顔も、そして髪形も、奇妙奇天烈この上ない。

「ドナルドは今仲間を探してるんだ☆ 友達になろうよ。君の名前は何?」
「…………」
おどけた調子で口を開いたドナルドに対して、志々雄は沈黙を貫いている。
志々雄も人に言えるような外見をしていないのだが、あまりにも怪し過ぎる人間だ。

「俺は志々雄だ。お前も殺し合いは許せないって性分なのか?」
「どうかな。ドナルドは嬉しくなるとついヤっちゃうんだ☆」
ヤるというのがどんな行為を指しているのか、志々雄には見当つかないが、あまり平和的な行為には思えない。
ドナルドから感じるどこか親近感の湧く雰囲気。先ほど出会った鏡音レンとは一癖も二癖も違う。
「奇遇だな。殺っちまうってのは、俺にも充分理解出来るぜ」
「うれしいなぁ☆」

ドナルドがこちらに歩み寄って来る。それに呼応するかのように、志々雄もまたドナルドへと歩む。
ちりちりと空気がその密度を増大させ、志々雄の身体が序々に熱を帯び始める。
ドナルドは涼しい顔で張りつめた表情の志々雄を見やる。

志々雄が殺気を飛ばす。それに反応してドナルドの表情は一変する。
悦楽に満ちた狂喜の顔がドナルドの奥底から表層へと現れ、志々雄を見て楽しそうに呟く。

「ああドナルド、志々雄の顔を見てると嬉しくなってきたなあ」
「……ヤり合いたくなってきたのか?」
「君が、そう望むなら」


志々雄の身体が、ドナルドの殺気に即座に反応する。間髪入れずにドナルドへと拳を放つ。
人一人を軽々と吹っ飛ばす程の破壊力を持った志々雄の拳がドナルドの腹に突き刺さろうかとした瞬間、
ドナルドの身体が布のように柔らかに舞い、回避運動に入る。

志々雄の拳がドナルドの服を掠り、そして破く。避けられた。志々雄は予想外の事態に心中で舌打ちする。
ドナルドは回避運動からそのままの流れで、志々雄に向けて回し蹴りを飛ばす。
横薙ぎの形となった蹴りは、上空へ飛ぶか、地面に伏せるかしなければ避けられない。
攻撃を終えた直後の志々雄にはそんなゆとりなど到底なかった。

志々雄の拳に勝るとも劣らない勢いで迫りつつある蹴り。誰がどう見ても避ける事は出来ない。
だが蹴りが寸前で防がれた。志々雄は持っているデイパックを盾にして、ドナルドの蹴りを寸前で受け止める。
ビリビリと激しい衝撃がデイパック越しに志々雄へと伝わる。
デイパックの中身のペットボトルが裂け、水が流れ落ちるのを見て、志々雄は今度は心中ではなく実際に舌打ちした。
足を引っ込め、ドナルドは続いて拳を放った。

「ちっ!面倒くせえ」
志々雄は、デイパックを捨て、姿勢を下げその拳の下を掻い潜る。
ドナルドはその動きを読んでいたのだろう。迫る志々雄に向かって膝を飛ばす。
もはや避けるまでもない。志々雄はドナルドの腹に完全に潜り込み────渾身の力で拳を叩きこむ。
膝と拳、どちらが早いか。勝ったのは──


「ガチャピンジャブ!!」
「アーッロ!!」
それはボディブローですぞー、と突っ込まざるを得ない志々雄の拳がドナルドの腹にめり込み、その衝撃で吹っ飛ぶ。
地面に伏したドナルドの元へ、志々雄は歩み寄る。
やはり百戦錬磨の志々雄は、戦闘面ではドナルドよりも一枚上手だった。
「君は……ドナルドを殺す気かな?」
「ふん……おどけた調子で猫被りやがって」

「待てよッ!!この木乃伊野郎!!」
黄色い髪の毛の少年が、突如志々雄とドナルドの間に割って入り、ナイフで威嚇する。
「またお前か」
「うるせえ!!」

弱いくせに、一人では何もできないくせに威勢だけはいい。
そういう性格の奴は伸びしろがありそうだが、ドナルドとの真剣勝負に水を差されたのはかなり不快だ。
志々雄はレンに構わず、ドナルドへと歩み寄る。

「それ以上近寄るんじゃねぇ!!刺すぞ!!」
そういって叫ぶレンの体は、恐怖で震えていた。
「うるせえよ。餓鬼がしゃしゃり出てくんじゃねぇ」
「子供扱いするな!!」
レンがナイフを握りしめ、志々雄へと突進する。しかし当たらない。
ナイフを軽くいなし、それからレンの首を掴んで投げた。レンは地面に背中を強かに打ちつけ、悶絶する。

邪魔な虫は消えた。さて、続きといくか。志々雄は倒れ伏したドナルドの前に立つ。
しかしドナルドはここで予想外の言葉を口にした。

「降参だよ。命だけは勘弁してくれないかな」

両手を上げて降伏を示すドナルド。志々雄はしばし無言でドナルドを見据え──そして三度目の舌打ちをした。

「……刀だ」
「刀がどうかしたのかな?」
「交換条件だ。刀を俺にくれ。命だけは勘弁してやるよ」
「うーん……残念だけど僕の支給品には刀はなかったなあ」
「そりゃ残念だったな」
志々雄はドナルドの顔を踏みつぶそうと、片足を上げる。

「待てよッ!!」
一際大きな声が響き、志々雄は動作を中断させた。首を振って、無力な子供の方へと視線を移す。
レンは泣いていた。屈辱と、自分の無力さに呆れ悲しみ、泣いていた。
レンが泣こうが何をしようが志々雄には一切興味のある事ではなかったが、レンが両手で重そうに持っている得物には興味があった。

「こいつを、こいつをくれてやるからさっさと失せろよ!!俺の前で……俺の前で人殺しなんてさせてたまるかよッ!!」
涙と鼻水が入り混じった顔で志々雄に威勢よく叫ぶレン。そんな彼を見て、志々雄は薄く笑んだ。
「くくく……こっちに持ってきな小僧」
「小僧って、小僧って言うんじゃねえよ!!俺にはレンって名前があるんだ!」
服の袖で涙と鼻水を纏めて拭き取り、刀を持って志々雄の元へ歩む。
ふらふらとバランスを崩しつつ、何度も刀を落としそうになりながら懸命に刀を運ぶ。
それを見て志々雄はレンが何故刀を持っているのに関わらず、ナイフを武器にしていたのかを理解する。

「成る程な。確かに戦い慣れていない餓鬼には刀は重い。
 お前のような小僧が、そいつを使ってまともに戦えるわけがない」
やっとの事で志々雄に刀を手渡す。レンが両腕を使い運んだ刀を、志々雄は片手で軽々と持つ。

「俺自身忘れていたぜ。こいつは餓鬼には過ぎた玩具だ。ナイフを武器に選んだのは正しい」
「餓鬼扱い、するんじゃねえよ……」

デイパックに刀が入っていたのにも関わらずナイフを選ばざるを得なかった。
刀の方がナイフよりも強力な武器なのはレンの目から見ても明らか。それなのに、自身の弱さゆえにナイフを選ぶしかなかった。
それは何としても殺し合いを止めたいレンにとってこれ以上ないほど屈辱的な事実であり、誰にも知られたくない恥部だった。
それを志々雄に悟られてしまった。レンの声に、いつものような威勢はない。

志々雄はドナルドの元から離れる。
「それで、お前はこれからどうするつもりなんだ?」
「ドナルドは楽しむだけだよ☆」
いまいち不明確な答えを返された志々雄は、ドナルドを鼻で笑い、二人の元から去る。

────その時だった。

『聞いてくれ!参加者の中に、初音ミクという女がいる!どんな外見かと言うと、クソ長い青いおさげの少女だ!
 その女は殺人鬼だ!我々はこの殺し合いが始まる以前に、その女に形容し難いほど無残な目にあわされた!
 私の友二人は、初音ミクに殺されたのだ!あの女は美しい容姿を生かして、我々を騙し、殺し合いを勝ち抜いていくだろう!
 頼む!誰かあの悪魔を止めてくれ!私は誰かがあの女に殺されるのをもう見たくはない!』

僧侶の放つ大音量が、三人の耳に届いた。

▼ ▼ ▼

志々雄はすでに消え、残ったのはレンとドナルドの二人。
レンは未だに泣きやまない。ドナルドはそんな彼を困ったように見ていた。

「畜生、畜生……ミク姉ちゃんは悪くなんかない……いい加減な事言いやがって……」

自身の無力さへの絶望、実の姉に対しての謂れのない中傷に、レンはすっかりと意気消沈していた。
殺される前に殺すと意気込んだはずなのに、主催者の思い通りになってたまるかと決意したのに、蓋を開けてみると散々な有様。
悔しくて悔しくて、そして自分自身が情けなくて仕方なかった。

志々雄に言われたとおり、確かに自分は所詮は餓鬼なのだろう。何の力もない無力な子供。
レンが殺し合いを止めようと意気込もうが、優勝を目指そうが、この殺し合いの大局が決まるわけではない。
レンの力など蟻に等しい。いてもいなくても、この殺戮ゲームは何も変動しない。
ただ人数が一人減るだけ。そんな意味のない、無力な存在だ。

「ちくしょう……!」
地面を力いっぱい叩き、レンは涙を流した。

「……?」
微かな違和感。自分が情けない手段で助けてあげた道化が、レンの背中をツンツンと突いている。
「なんだよ!」
やや八つ当たり気味に、レンはドナルドに罵声を飛ばす。

「君は、泣く必要なんかないと思うよ?ドナルドを助けてくれたんだからさ」
「うるせえよ!俺にもっと力があれば、あの木乃伊野郎を殺せたのに!」
「ひゃっはっはっは! そうだね、君には確かに力がないよ。
 でもドナルドを助けてくれた。普通の人間なら怖くて志々雄には立ち向かえないよ」
「うるせえ……ケンカ売ってんのか!!」
殴りかかろうとするレンを宥めるドナルド。柔和な表情を保ち続ける。

「でもね。君には強い意志がある。悪党に負けるもんか!って気持ちは誰よりも強い。ドナルドはそう感じたな」
レンは涙を拭き、ドナルドの言葉に耳を傾ける。確かにそうだ。
言われるまでもない事だ。気持ちだけは、志々雄にも誰にも負けないという自負がある。
「何が言いたいんだよ。言われなくても分かってる。確かに……俺は弱いさ。
 だけどあんたの言うとおり気持ちだけなら誰にも負けない」

ドナルドはにんまり笑った。その笑顔を見て、レンは何故かほっとし、安心してしまった。
第一印象はただ不気味だったドナルドだが、今見てみると普通の人に見えてくる。
何故か判らないが、人を惹きつける魅力のようなものが彼にはあるのかもしれない。

「だけどな。気持ちだけじゃ何も変わらないんだよ!
 俺みたいな弱い奴が……弱い奴がよ……」
「弱くなんかない!!」
突然ドナルドが大きな声を発した。

「ドナルドはレンみたいな子を見るとつい嬉しくなっちゃうんだ。レンは強い。
 なんだかんだで結局主催者の言いなりになっている志々雄よりも、レンの方が強いとドナルドは思う!
 勿論さっき拡声器で叫んでいた人よりもレンは強い!」
「だから力がなけりゃ──」
レンがドナルドの言葉に食ってかかる。

「──これから強くなれるよ。レンはね。飛ぶハードルを間違えたんだ。
 いくらレンでも、いきなり志々雄を殺すのはきついよね。初めの相手はもっと弱い人じゃないと。
 そして次第次第にハードルを上げていって、最後に志々雄にリベンジすればいいんだ」

飛ぶハードルを間違えた。レンはその言葉をよく咀嚼し、自身のこれまでの行動に照らし合わせて考えてみる。
確かに志々雄は強かった。だが、レン自身が成長すればどうか。何も身体的な成長だけを指しているわけじゃない。
例えば志々雄よりも遥かに弱い悪党を殺して、武器を奪い取れば……奪い取った武器がもし強力なものだったなら……
志々雄にだって勝てるのではないだろうか。

例えば、ナイフの代わりに銃が手元にあれば……

「ドナルド……俺は、志々雄に『今』勝つ事しか考えていなかったのかもしれない」
「ひゃっはっは。レンには無限の伸びしろがあるよ。一つずつハードルを越えていけば志々雄にだって必ず勝てる。
 殺し合いを壊す事だってできるよ!ドナルドが保証する!!」
「そうかな……でも、俺にとって丁度いいハードルって……あるのかな……」

自分よりも弱い悪党がそういるとは思えない。殺し合いに乗る者は、勝算があるから乗るのだ。
弱い悪党はそもそもいるのだろうか。レンの疑問に、ドナルドは顎に手を当てて考え込む。しばらく時間が過ぎた。

「レンの相手は、悪党だよね?」
「うん」
問いかけに、レンは素直に頷く。
「例えばの話だよ?さっき誰かがミクって人は悪魔だって言ってただろ?なら、初音ミクは悪党なのかい?」
その言葉にレンは真っ赤になって反論する。ミクの悪口だけは許さない。
ミク姉ちゃん、カイト兄ちゃん、メイコ姉ちゃん、そしてリンが悪い人間なわけがない。

「ふざけるな!姉ちゃんが悪党なわけない!むしろ拡声器で叫んでいた奴が悪党だ!」
「でももしかしたら本当に初音ミクに何かされたのかも。いや、ひょっとしてただ怯えて叫んでしまっただけなのかもしれない。
 それでも悪党と言えるのかい?」
「それは……でも……」
レンは言葉を失う。そんなレンの顔色をドナルドはニコニコと笑いながら窺う。


「ドナルド自身の考えを言うとね。拡声器で叫んだ奴は悪党だと思う。
 普通の日常の中なら唯の誤解、臆病者で通るかもしれないけど、この状況だと話は別さ。
 レンのお姉ちゃんの初音ミクが悪い人なんてありえないじゃないかぁ。
 それを誤解か何なのか知らないけど悪党だって言いふらす人は、この殺し合いを止めるにあたって邪魔な存在にしかなりえない。
 つまりドナルドは思うんだ」

ドナルドはレンに顔を近づけ、満面の笑みで言った。

「レンが心配するほど、ハードルの数は少なくないんだ。この理屈分かる?」

レンはしばし思考する。拡声器の人物は例え何かの間違いでミクの悪口を言っているのだとしても、邪魔者にしかなりえない。
殺し合い、つまりバトルロワイアルにおいては、紛れもない『悪党』だ。
ドナルドは言った。「ハードルの数は少なくない」そうだ。志々雄のようにあからさまな悪党だけがこの場に居る訳ではない。
拡声器の人物のような善人の足を引っ張るような奴。そいつらの所為で姉や自分が死んでしまっては溜まったものではない。
もし何らかの切欠でこの殺し合いを破壊できる機会に出会ったとしても、志々雄のようなあからさまな悪党を全員始末できたとしても……
拡声器の人物のような『人の足を引っ張る悪党』がいては、全てが水泡に帰すかもしれない。

そうだ。殺さなければならない悪党は俺が思っている以上に沢山いるに違いない。
ハードルは高低沢山ある。弱い悪党、人の足を引っ張る悪党から殺して志々雄の強さに近づく事だって、きっと出来るに違いない。

「そうか。そうだよな。足を引っ張るような馬鹿はこの場においては悪党だ。そう考えると、悪党は沢山いる。
 志々雄よりも強くなるためのハードルは沢山あるんだ……そう言う事だろ?」
「もちろんさぁ~。レンよりも身体的に弱い悪党だってきっといるよ!
 レンの心は最強なんだから志々雄みたいに規格外に強い奴以外には、負けるわけがない!」
「そうだよな。うん。そうだよ!俺は強いんだ!足を引っ張る弱者は悪党だ!そんな奴らは俺が間引いていく!
 そうしてるうちに俺は志々雄よりも強くなってるはずだよな!」

レンはナイフを掲げ元気よく振りかざす。表情には元気が戻っており、以前のような情けない雰囲気は微塵もない。
レンは楽しそうにドナルドの手を握る。

「ドナルド!なんだか知らないけどあんた凄いよ!俺、さっきまで凄く悲しかったのに、今では何とかなるような気がしてきた!
 あんたのおかげで目標が出来た!俺、こんな殺し合い気に入らないからいっぱい殺してやるぜ!!
 志々雄にだっていつか勝てる!勝ってみせるよ!」

ドナルドは笑顔でレンの手を握り返す。

「ドナルドはレンの元気な姿を見るとつい嬉しくなっちゃうんだ☆
 目標が出来て良かった。心は誰よりも強いレンが正しい目標を持てば、まさに鬼に金棒さ!」
「だっろ~!さすがドナルド!」

褒められてつい顔を赤く染めるも、そのまま喜んでしまう。

「ねえレン。仲よくなった印に、ドナルドが嬉しくなるとつい言っちゃう御まじないを教えてあげるよ」
そう言うとドナルドは、両手をそれぞれ両肩に当てて……

「らんらんるー☆ レンもやってみようよ」
レンは恥ずかしそうにしていたが、励ましてくれたドナルドの手前、断るのはどうかと思い
「ら、らんらんるー☆」
ぎこちない動きでドナルドの真似をしてみる。

「いいなあ」
「う、うるせえよ馬鹿!恥ずかしい真似させるな!」
ポコンとドナルドはレンに頭を叩かれる。ドナルドとレンはお互い楽しそうに笑っている。

漸く俺の気持ちを分かってくれる人に会えた。しかもその人は俺に目標を与えてくれた。
そうだ。日常とはかけ離れた状況にある今、殺さなければならない悪党は沢山いる。

「行くぜドナルド!まずは姉ちゃんの悪口を言った臆病者を殺しに行こう!」
「もちろんさあ!ドナルドも負けないよ!」

────志々雄、いつかお前を超える強さを手に入れる。覚悟して待ってろよ!!

▼ ▼ ▼

志々雄はレンから貰った刀を引っ提げ、一人歩く。

あの奇妙な道化、ドナルドについて思う事がある。奴と対峙した時、奴から感じた雰囲気は実に親近感の湧くものだった。
だが、親近感が湧いたとはいえ、志々雄とドナルドが同類と言うわけではない。
タイプの違う存在と言うべきか。ドナルドと志々雄は大きな視点から見れば近い存在だが、狭い視点から見ると決定的に異なっている。

あの眼光、体中から迸る雰囲気。同じ穴のムジナであるがゆえに、百戦錬磨の志々雄ゆえに嗅ぎ取れた微かな匂い。
他のものがどう言おうと志々雄だけは断言するだろう。

────ドナルドは俺と同じ悪人に違いない。

「異質だがな。少なくとも俺は弱い餓鬼をわざわざ自分の手で育てるような真似はしねえ。
 奴は、掻き回す事を好んでいるのか?」
ドナルドの真意はさすがに読めない。ただ、悪人と言う事だけは直感で分かる。

「殺し合いの癖に今まで燻ってやがったが、いよいよ面白くなってきたな。次に会った時は……」

志々雄は懐の中に手を突っ込み、中に入れられたハンバーガーを取り出す。
あの一瞬の攻防の中、ドナルドはわざわざ志々雄にプレゼントしたのだ。完全に舐められている。志々雄程度に全力は出さない。
わざわざハンバーガーをプレゼントするのは実力の差を埋めるためのハンデ、とでも言うのだろうか。
志々雄の方も刀を持たずに戦ったので、ドナルドと同じくハンデを背負っていたと言えない事もないが……


「────次に会った時は、本物の死闘だ。ドナルド」

志々雄はドナルドからプレゼントされたハンバーガーを思い切り握りつぶした。

【B-6 /1日目・黎明】
【志々雄真実@るろうに剣心(フタエノキワミ、アッー!)】
[状態]:健康
[装備]:日本刀@現実
[道具]:支給品一式、不明支給品(1~3、刀剣類は入ってなかった模様本人確認済み)
[思考・状況]
1:ハンバーガーを握りつぶした事を後悔(手が汚れた)
2:小僧(鏡音レン)を利用する。ドナルドがどう動くか気になる
3:無限刃が欲しい
4:弱肉強食の理念の元、全員殺害し元の世界に戻って国盗りの再開をする。
[備考]参戦時期は剣心が宗次郎戦を終えた時期からです。


「ドナルド、電車に乗れば早く奴の所に行けるかも。線路が北に続いてる」
張り切るレンの後ろを、邪悪な笑みを浮かべながら着いていくドナルド。
優しさなど欠片も窺えない禍々しい表情だった。


────『これから貴方達に最後の一人になるまで殺し合いをして貰います』だって?
ノンノン。どうして『教祖』であるドナルドがそんな事をしなくちゃいけないのかな?
右上に、左上って言ったっけ。あの二人が開いたこのイベントはとても面白いと思う。
そこはドナルドだって認めるよ。だけどさ、どうしてドナルドが参加者なのか、教えてほしいなあ。
この殺し合いを取り仕切るのはドナルドこそが相応しいだろ?


「なあドナルド聞いてるのかよ」
「もちろんさぁ!電車を待ってみるかい?」


ドナルドは支配される側の人間じゃないんだ。支配する側の人間さ。
全世界の人間はドナルドに夢中なんだ☆ 現に星の数ほどの人間がドナルドを崇拝してるんだ。
そんなドナルドが、まともに殺し合いを受け入れるとでも思っているのかな?
殺し合いであろうと、ドナルドはドナルドのやり方を崩すつもりはないよ☆

右上と左上、君たちがバトルロワイアルを支配するんじゃない。
この『ドナルド』がバトルロワイアルの支配者、つまり主催者だ!
いつも通り『教祖』として信者を増やして意のままに動かし、殺し合いを取り仕切ってやろうじゃないか。
惨劇はドナルドが作り出す。殺し合いを見ると、ドナルドはつい楽しくなっちゃうんだ☆


「ドナルド、俺絶対に殺して見せるぜ。邪魔な奴らをな!」
「ドナルドの事が大好きだなんて嬉しいなあ」
この一言に、レンはぽかんと口を開けるが、すぐに
「ああ!ドナルドはいい奴だぜ!助けた甲斐があった!ランランルー!」
「ランランルー!」

レンは年相応のやんちゃさはあるけど、素直でいい子だ。心からそう思う。
だからこそ彼の心の矛先を変えるのは簡単だったな。優しく囁いて、話の中にほんの少しだけ間違った事を混ぜればいい。
レンは素直だから対して疑いもせずに、ドナルドの言葉を全部受け入れてくれた。ドナルドは信者になってくれたレンが大好きさ☆
ドナルドの楽しみのためにいっぱい殺し合って欲しいなあ☆







悪と言う単語には様々な意味があり、明確な絶対悪というものを定義するのはなかなか難しい。
だが諸宗教に見られる【悪魔】とは、善か悪かを選ぶにおいて困惑する人間の背中を、そっと悪の方向へ一押しする存在として描かれる。
志々雄のような自ら他者に害を与える者も『悪』ならば、
ドナルドのように困惑する者の耳元で囁き、間違った方向へと傾倒させる存在もまた『悪』に他ならない。

レンは今自分がしようとしている事に何の疑問を持っていない。弱者と言う名の『悪党』を間引く。
彼の中ではその行為はもはや完全に善である。何故ならドナルドがそう教えてくれたから。
優しいドナルドが迷っていたレンに明確で実践的な目標を定めてくれたから。
悲しみに打ちひしがれていたレンをドナルドは励ましてくれた。そんなドナルドが言う事は正しいに決まっている。
現にレンも納得できた。

ドナルドはレンに対してはどこまでも優しい。
どんな時でも【悪魔】は優しいのだ。その背後に潜む悪意を隠すためには、優しく対応するのが最も都合がいいから。
気付かない内に、レンはドナルドの意のままに操られ、信者となっていた。
ドナルドが主催者にとって代わりバトルロワイアルを支配する時は、はたして来るのだろうか。

【A-6 駅/1日目・黎明】
【ドナルド・マクドナルド@ドナルド動画】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 不明支給品1~3
[思考・状況]
基本思考:教祖として信者を沢山作りつつ、バトルロワイアルを盛り上げ主催者になりかわる
1:レンを殺し合い向きな人材に育てていく
※僧侶のネガキャンを聞きました。

【鏡音レン@VOCALOID】
[状態]:全身に少々の痛み
[装備]:朝倉さんのナイフ@涼宮ハルヒの憂鬱
[道具]:支給品一式 不明支給品0~1
[思考・状況]
基本思考:弱い悪党から殺していき、強くなる。(悪気はないが足を引っ張る参加者=悪党)
1:拡声器でミクの悪口を言っていた悪党(僧侶)を殺しに行く
2:強くなって、いつか志々雄にリベンジする
3:兄弟たちに会いたい
4:ドナルドを信頼
※僧侶のネガキャンを聞きました。



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