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それでは朔夜をはじめよう ◆XksB4AwhxU





 地には不揃いな草むらが風を帯びてさざめいていた。天には月が力強く輝いていた。
 地にあるのはあまりに寂しい。花鳥風月を謳うには役者があまりに足りない。
 だが、だからこそ月を称えよう。

 古来より月を示す言葉は数多いが、その名を持った人物はこの会場でも稀だろう。その人を謳おう。
 名の由縁は定かではないが、ここではあえて目を瞑り、語る。
 かの人について、まず思い当たるのは天孫降臨に当たり、任じられた「ニニギノミコト」の故事だろう。
 神武天皇の曽祖父に当たるその方は麗しき「コノハナノサクヤビメ」と交わることを望んだ。
 それを聞いた父の「オオヤマツミノカミ」は大いに喜び、サクヤビメの姉である「イワナガヒメ」を共にして送った。
 だが、ニニギはワナガヒメの容貌の醜さを嫌って、父のオオヤマツミの元に送り返した。
 これにオオヤマツミは怒り、呪詛を贈る。
 曰く「イワナガヒメ(岩長姫)を共にしたのは、天孫が岩のように永遠でいられるようにと誓約を立てたからで、イワナガヒメを送り返したことで天孫の寿命は短くなるでしょう。
    その御子の命は木の花のように儚いものとなるでしょう」と。

 よって、神代の凪がれと裏腹に、ニニギの子である「ホオリノミコト」は五百八十年の短さで没したとされる。まして、神武の世はいはんや?
 そして、やつがれの生きる世に至っても人が生きる時間は神に及ぶことはないのだ。

☆☆☆

 そのマレビトが一人、地を駆ける。それは鬼に仕える殺人鬼。 
 殺人鬼が行く。それは銀の髪を纏わせるメイドさん。
 腰元から伸びるスカートは、ふわふわりと風を孕ませる。
 乱れずに、慌てずに、騒がずに、少女は行った。 
 ところで、駆け足を止め、立ち止まる。考える。

 まず、戦闘を避けるためにも人の集まらないところに移動すると決めた私だったが、あの男達から離れることを優先するあまり、考えがおろそかになってしまっていた。
 人目を避けるという一点で言えば、先の館に戻るという手もあるにはあるが、その選択は最初に排除する。
 裏をかくと言えば聞こえはいいが、あそこにはあの男達がまだ留まっている可能性の方が高い。正直論外だろう。

 それより、この地図について考えてみたのだが、そちらの方から攻める方が得策かもね。
 あの会場には少なく見積もっても、私を含めて50人以上の人物がいた。
 そして、この地図はA1からF6までの6×6マス、単純に言えば36マスで構成されている。
 もちろん、そのすべてが進入できない地形で出来ているC-6のような例もあるわけだけど。
 ……だとしたら、この地図は割と曲者かもしれない。

 仮に単純に割り振ったとしたら、50÷36=1.38……、となって大体一人と手足三本くらいが一マスに入るわけだ。
 だけど、私が実際に会ったのは2人の人間、私を含めると実に3人もの人間が一マスに入っていた。
 しかも、これはこのゲームとやらが開始されて間もないころ、つまりはまだ誰もほとんど動けていない時になるわ。
 すると、計算が変わってくる。たとえば、地図に書かれている駅や館といった施設の数々。
 すると、50÷17=だいたい3になって、計算に合う。
 なら、地図に記載されているような施設は徹底的に避けるべき。

 じゃあ、体力を温存するためにも人の寄り付かないだろうマップの隅に行くのはどうだろう?
 たとえば……、マップで言う右下は温泉ね。疲れを癒すにはいいかもしれないけれど、ここは遠すぎ。
 それに、駅を三つも跨がないといけないから人と出会う確率も飛躍的に上がって……却下ね。
 右上も同じ理由で却下ね。しかも、飛行を織り交ぜるにせよ徒歩で移動することに危険は付きまとうわ。
 左上は来た道を戻ることになることと、館の問題から外して……。
 なら、左下しかないわね。

 とは言ったものの、まだ問題は山積み。
 離れ小島に入ってしまってはいざと言う時、逃げ場がなくなってしまう。
 それに、一応地図には村らしき記号が書いてあるけど、もしもまともな建物がなかったら篭城には不利ね。
 どうせ長居をする気はないけど、寒気にさらされて体力を失ってしまっては本末転倒。

 なら、現在いる草原に留まってはどうか? 確かにこの辺りにはめぼしい施設という施設は何もない。
 唯一そうと言える駅にしても、ぶらり旅の途中に気まぐれで下車するにはあまりにあまりだろう。
 南西に向かうにしても、北西の施設に向かう中継点にしても、まるで意味がないのだ。
 だから、A-4からB-6に至る6ブロック、いわゆる南西部に陣取ること。
 特にいざと言う時のために駅を押さえておくことは、一見とても魅力的な提案に思えた。
 だが、やっぱり問題はある。

 ――悪くはないけどあまりに遮蔽物がなさ過ぎるわ。いくら視界に駅を収めたと言っても、このまま睨み続けると言うのではいまいち格好が付かないし。
 それより後手後手に回り続けてはいざと言う時、遅れを取ってしまう。つまらない箱に見えてもけして、羊を追って狼が飛び出してくる保障がないとは言えないもの……。
 でも、この案は一応取っておきましょう。

 でも、それ以上に、気にかかるのは他の参加者のことだわ。
 多分……、参加者には妖怪がいるわ。数はわからないけど。
 なぜそう思うかと言ったら、勘ね。根拠を言うなら、今宵が満月だから……。

 なぜか?

 かく言う私の主もまた夜闇を友とする吸血鬼であるからに他ならない。だって、なんだかタイミングを計り過ぎているの。
 そして、妖怪は多かれ少なかれ、そのすべてが夜と月齢の影響を受ける。無論、吸血鬼ほど極端な形がそう多くはないにせよ……だ。
 正直、用心をし過ぎるに越したことはない。能力が削られた現状では尚更だわ。ただの人間相手でさえ、今の私では手こずるかもしれないのだから。
 生きて帰ると決めた以上、出来ることはすべてやっておかなければいけない。

 だから――、決めたわ。これ以上は考えてられない。
 不意打ちが出来れば妖怪相手だろうと越したことはないけど、正面きって勝負するなら昼間の方がいい。
 だから、A-6に行くのは夜が明けてからにしましょう。それまではここで周りに目を配りながら待機していましょう。
 そのA-6にしても問題があったらすぐにこっちに戻ってくればいいけど、どうせ鉢合わせるなら少しでもこちらに有利な方がいい。
 まず来ないでしょうけど、ここに他の参加者が降りてきて、それが危険な奴だったとしても汽車を使ってやり過ごせばいいわ。
 たとえば――、時を止めてから飛び降りるとか、ね。

 ――この駅にはだいたい一時間くらいおきに汽車がやってくるみたいね。
 だとしたら、各駅の移動時間も同じ位ね。ああ、それと残念。駅の中には何もなかったわ。
 そうそう……考え事してても、足くらいなら動かせるものなのね。

☆☆☆

 ふと気付けば、月もその色と形を薄く見せはじめた。
 夜明けは……近い。ならば、それからを、私の「時間」としようか。

 月の容貌を見つめる様は「佳人薄命」と呼ぶにふさわしく思えるも……?


【B-4駅/1日目・黎明】
【十六夜咲夜@東方project】
 [状態]:疲労度小 、腹と背中に打撲(小)、
 [装備]:果物ナイフ×2
 [道具]:基本支給品、 石礫×6@現実(会場内)、ランダム支給品1~3(確認済み。投擲用武器は無し)
 [思考・状況]基本思考:優勝狙い。 
 1:最初はなるべく戦闘しない。
 2:どうしようもない場合は即座に暗殺。
 3:参加者が減ってきたら慎重に本格的に行動する。
 4:常に駅を視界に収め、迅速に行動できるようにする。
 5:夜明けまでは動かず現状維持。夜が明けたら、とりあえずB-4駅からA-6駅へ移動。

【備考】
 ※七夜志貴の名前を知りました。
 ※ときちくは姿しか知りません。
 ※時間操作は2秒が限度です。
 ※飛行が可能かどうかはわかりません。
 ※主催者側が参加者を施設を中心として割り振ったと推理しました。
 ※高い能力を持つ参加者は多くが妖怪と思い、あえて昼間挑む方が得策と判断しました。



sm35:F線上の帝王 時系列順 sm37:フラグイズ初音
sm35:F線上の帝王 投下順 sm37:フラグイズ初音
sm23:とある館の暗殺者達 十六夜咲夜 sm63:朝霧の幻影殺人鬼(前編)






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