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運命の輪(逆位置) ◆T0ldTcn6/s




タロットの大アルカナに属するカードが1枚、運命の輪。
それは正位置なら転換点、幸運の到来、チャンス、変化、出会い、解決、好転を示す。










だが、哀れで薄命な子羊たちよ。
お前たちに正位置は微笑まない――





++++++

そして、何事もなくモールの入口にまで辿り着いた。
当然といえば当然か。
明確な危険人物は咲夜とドナルド(生きていれば)だけ。
危険人物予備軍である言葉も含めると3人しかいないのだ。
行き合う確率はあまり高いとは言えない。

「あの建物、少し焦げてる気がするが大丈夫か?」
「大丈夫だろ、鎮火してるし。
 ぱっと見たところ消火設備は生きてるみたいだし、雨天だったのも助けになったんだろうな」

馬岱の懸念にタケモトは思い切りよく答えた。
実際、主催につながる手掛かりはモールにある格納庫だけだ。
本当ならば避けたい火事場への侵入だが、今回に限れば虎穴に入らずんば虎児を得ず。

「だが、気をつけた方がいい。大なり小なり焼けたということは床や壁が脆くなっている可能性がある」

タケモトも馬岱も首をわずかに縦に振ることで、その言葉に肯定を示し。
慎重にモールへと踏み入れた。

……

…………

意味が分からない、というのが3人の共通見解だったし第一印象でもあった。
周囲を警戒しつつ、エレベーターホールへ直行した3人が目にしたものは見事に吹き飛ばされた扉。
さらに扉の先は空洞……本来あるべき籠がない。
馬岱はその空洞を覗きこんだ。

「仕組みはよく分からんが……下のデカブツ、落下したみたいだな。
 ……なるほど岩罠に近いな、これは誰か潰されたか?」
「……」

何も返せない。暗がりで籠の状態までは分からないが、馬岱の示した可能性は十分なものだ。
ただ相手がチルノやベジータなら、その程度では足りないようにも思える。
要するに詳細不明。
ただこれだけは間違いないはずだ。
エレベーターの籠が落ちているということはつまり、同じ罠は二度と発動しない。
そういう意味では安心していいかもしれない。

「ま、どちらにせよ行くしか――」

行くしかない。もはや我々には選択肢など存在しないのだから。
そうタケモトが続けようとしたのだが、空洞から響く轟音が全てを台無しにした。

――ダッダッダッダッダッ
――ドォォォン
――ガシャンガシャン

メインとなる旋律は軽快な銃声と重厚な爆音。
それらを引き立てる伴奏は金属が砕ける嫌な音。

音源は言うまでもない。
タケモトは言葉を失った。
反対に、戦場に生きるものは饒舌になった。

「……戦の真っ只中に突っ込む気か?」
「侵入経路は一つしかない上、銃声からすると戦場はかなり近い。
 最悪、降りた瞬間に蜂の巣だな」

火薬と硝煙の死の舞踏(ダンスマカブル)は未だに止まない、むしろ激しくなっている。
タケモトは両手で頭を抱えた。

「世の中そう上手く事は運ばないか。
 ベジータたちなのかチルノたちなのか知らんが先走りやがってクソッタレ!
 ……仕方ない、入り口で言葉を待とう。
 現状ではそれぐらいしかできることがなさそうだ」

タケモトは苛立ちを隠そうとせず、今は亡きエレベーターに背を向けた。
馬岱とスネークはそれに続く形になり。
3人はそのままエレベーターホールから離れてしまった

このままエレベーター前で待っていればメタナイトと労せず合流できたことを露知らず。
あるいは危険を承知で乗り込んでいればベジータの結末が変わっていたかもしれない。
しかし踵を返したこの瞬間に、全てがIF(もしも)となった。
――まさに運命の悪戯。

++++++

「……来たわね」

咲夜は引き篭もる気満々であったが、さすがに相手の行方までつかめなくなるのは問題がある。
単純に考えて仲間割れだけで「全滅」はあり得ない。
心中でもない限りは、最低でも1人は生き残ってしまうはず。
つまり優勝を手にするなら、少なくとも最後の仕上げだけは咲夜自身がやらねばならない。
あの白フードの男の言うことがすべて真なら主催者に返り討ちということも考えられるが、いまいち胡散臭い。
あまり過度な期待をせず、疲弊したところに横槍を入れるぐらいの心構えは必要だろう。

それを為すには、篭もるべき場所を妥協する必要がある。
具体的にはモールが見えないと話にならない。
自分から相手が目視できるということは逆も成立する。
敵に見つかってしまうリスクは零にできない。
しかし、それは家捜しでもされない限り起こり得ないとも思っている。
絵空事としか言いようのない脱出を本気で実行しようと試みているなら、
民家の1つや2つ無視してくれるだろうと咲夜は踏んでいた。

白フードの男との約束が気になるが……
塚モールからは多少なりとも離れてるし、
こちらから手を出さなければあちらから絡んでくることもないだろう。
そもそもあの男、本気で仲間を想っているのかすらあやしいし。

幸いというべきか――都合よくモールの入口が見える民家を発見することができた。
今現在、咲夜はそこからスネークたちを観察している。
ただし、行動の全てが把握できるわけではない。

スネークたちは一言二言交わし、そのままモールへと入って行った。
咲夜に認識できたのはそれだけだ。
そこにどんなやり取りがあったのかまでは分からない。
重要な話なのか他愛もない世間話なのかすらも、彼女には知る由のないことだ。

(さすがに声までは拾えないか、まあ人の出入りが分かれば十分かしら)

咲夜が目指す終点は最後の一になることなのだから。
彼らが何を話しているかなどさして重要ではない。
考えるべきは最小の労力で最大の戦果をあげること。
だから、スネークたちの後をつけようなんて考えない。
そんな彼女に塚モールの真下で何が起きたかなど、分かるはずがない。
――これもまた、運命の悪戯。

++++++

「やれやれ、手持無沙汰になったな」

入り口に戻ったタケモトは空を仰いだ。
言葉は既にデパートを発っているはずだ。
多少アクシデントがあるにせよ、遅くとも放送までにはやってくるだろう。
早ければ10分もしないうちに到着するかもしれない。
逆にいえば放送までに到着しない場合、非常事態の線が濃厚となる。
可及的速やかに塚モールを離れるべきだ。

「……ときちくの奴、どこへ行ったんだ?」

先に塚モールを向かったのは間違いないはずだ。
性格的に1人でドンパチするような短慮な奴でもあるまい。
ならば。

「さて、な。どうせどこかに隠れてるんだろう。
 見つからなかったやつのことを考えても仕方ない」

馬岱は興味なさそうに一蹴した。
それを受けてタケモトが話を切り出した。
デパートを発った時点で懸念していたことを。

「そうだな……当面考えるべきは言葉の処遇だ。今まで後回しにしてきた、な」

タケモトは未だ改造されていない「最後の1個」のプレミアム首輪を思い浮かべる。
現状、改造済みのプレミアム首輪は自身を除くと以下の8人に渡されている。

ときちく、馬岱、スネーク、チルノ、グラハム、ベジータ、キョン子、メタナイト。

ギリギリになるまで使うな、と念を押したがさすがにバカ正直に守ってはいないだろう。
実際、タケモトたち3人はすでに装着済みだ。

「生存のチケットは残り1枚だ。
 藤崎が死んだ今、この1枚を言葉が手にする可能性が高くなってきた。
 …………おまえら、どう思う?」

プレミアム首輪・改の存在をもはや隠す必要はない。
装着した以上、そろそろバレている頃合いだろう。
それでも明言を避けたのはタケモトが慎重たるゆえんか。

「「おい、ちょっと待て。どういうことだ!」」

スネークにとっても、馬岱にとっても。タケモトの発言は寝耳に水だった。
生存のチケットが残り1枚しかないということは、それはつまり。

「もともと数に限りがあったんだよ。
 具体的にいうとな、あれは10個しかなかったんだ。
 ああ、あんたが持ってきてくれた1個は分解実験に使ったから除外するぞ。
 まあともかく。
 これ言うと絶対に内紛が起きるから、混乱を避けるために今まで黙ってたんだよ。
 ……あとは言わなくても分かるな。単純な引き算だよ」

タケモトはもっともらしい理由で相手からの質問および文句を封殺する。
実演段階で個数を明言すれば、確かに大混乱を招く。
最悪、10個しかない首輪をめぐり、阿鼻叫喚の地獄絵図が出来上がっただろう。
そうなればすべてが水泡に帰す。だったら、伏せておく方がマシだし賢いともいえる。
だから馬岱もスネークも、タケモトを責めるようなことはしなかった。
世の中誰かが割食うようにできているのは彼ら自身が経験としてよく知っていたし、
何より真に争点となってるのはそこではない。

「なるほど、おまえの言いたいことが分かったぞ」

――言葉は用が済み次第、ここで処断してしまうか?

周りくどい言い方をせず、タケモトの言いたいことを要約すればこの通り単純になる。
前科は、ある。処断の理由にも、困らない。
そもそも殺し合いに乗り気だったのだ。
主催の甘事に乗せられ、誠とやらを蘇生するべく、箱庭に集められた者どもを全て犠牲にしようとした。
優勝への望みは己の実力不足に粉砕されたようだが、「狂気」だけは未だに消えていない。
だからこそ言葉は「自分が死んだら代わりに誠を生き返らせてくれ」などと阿呆みたいな頼みをしたし、タケモトはそれに対し嘘で取り繕ったのだ。

もはや爆弾以外の何物でもない。
変えられぬ事実として、時間制限を伝えた例の放送後に後先考えず大暴れしたこともある。
二度目の暴走がないとは、決して断言できない。
言葉はいつ手の平を返してもおかしくないのだ。

「今の俺たちにあの『危険人物予備軍』に情けをかける余裕は果たしてあるのか?
 ……ああ、俺は御免だぞ。背中を刺されたくはないからな」

タケモトは両手を広げ大袈裟に肩をすくめて見せた。
スネークは顎に手を当てて、痛々しそうな表情を浮かべている。
一方の馬岱は既に答えが出ているようだった。

「たぶん俺もおまえと同意見だ。
 だが、実行できるかは同行人次第か。
 ……特にチルノやメタナイトだな。
 あいつらは天地がひっくり返ろうと賛成しないだろうよ」
「……殺すのが最善だろう。
 だが今は乗ってない以上、それ以外の方法を模索するべきではないか?」

どうやら肯定的とは言い難い返事だった。
それはつまり殺人以外で言葉を抑える手段を講じる必要があるということ。
だからタケモトは、

(始末できそうにないか……
 仕方ない、最後の1個の改造は後回しにしよう。
 改造してたら強奪目的で殺しに来る恐れがある。
 言葉はプレミアム首輪の存在自体を知らないはずだが、念には念を入れておこう。
 俺を殺しても首輪が手に入らないなら、それで襲われる理由はなくなる。
 微妙に不安があるが、首輪を人質にとれば簡単には殺されないはずだ――)

やはり運命の悪戯だった。
当の言葉がちょうど反対側でグラハムとリンをサクッと殺っていることも。
プレミアム首輪の数に限りがあるという真実に行き着いたことも。

そして――

++++++

(……入り口で座り込んじゃったわね、監視しやすくていいけど)

塚モールへと踏み入ったスネークたちは10分ほどで、入り口に舞い戻って陣取ったのだ。
誰かを待っていると考えるのが自然だろう。
ただ、移動する気がないだけなら建物の内部の方が安全だ。
それに何やら車座になって、相談している風にも見える。

(何を話しこんでるのかしら? これって奇襲するチャンス? いや、ダメね……)

そもそも攻めるにあたって距離が離れすぎてる。
音声が届かないほどなのだ。時を止めて民家を飛び出したって間に合わない。
かと言って近づきたくもない。
様子見のつもりが、ベジータに先制されたことは記憶に新しい。
注意がこちらに向いてないからと言って、それがイコール安全とは言えなくなってきたのが現状だ。
古風な武将は情報がないため、実力が未知数。
少年――ドナルドは知り合いの情報を提供していない――も咲夜にとってはまた同じ。
スネークの実力は咲夜がその身をもって知っている。
それが単独で動いてるならまだしも、3人かたまっているのだ。
分析結果は、ハイリスクハイリターン。
生憎と言ったところか、咲夜はリスク受容的な思考回路を持ち合わせていない。

(まあいいわ、自分で攻める必要はないもの)

時はいずれ訪れる。
彼らが脱出など不可能と悟った瞬間こそが、それだ。
内輪もめに乗じて、優勝をかすめ取る。

咲夜の決意に応えるかのように、世界が「震え」た。

++++++

「おい、何だあれはっ!」

それは誰の第一声だったか。
地震と錯覚するような揺れとともに、爆発音が耳を裂いたのだ。
そして音の方向――つまりは北――に視線を向ければ、俄かには信じられない光景が広がっていた。

「ポケモンの“じわれ”ってああいうのを言うのかな、初めてみたぜ」
「らしくないぞ、タケモト。てかポケモンって何だ」

現実逃避を窘める馬岱も、タケモトと似たような心理状態だ。
眼前の事象は彼らの理解を超えているといっても過言ではない。

「とりあえず向かってみないか?
 無論リスクは承知だ。
 だが、現場に行かねば何も得られない」

おそらく今の爆発は殺し合いにおけるイレギュラーだろうとスネークは踏んでいた。
勘といえば勘だろう。
しかし、格納庫へ向かうという選択肢を切った以上、他に手掛かりが欲しいところでもあったのだ。

「そうだな、なら急いで「――いや、それには及ばん」って何だ、上か?」

タケモトの言葉に覆いかぶさるように。
一頭身の騎士(ナイト)が頭上から舞い降りた。

「何が起こったか説明する。
 チルノの身に起きたことも、そして――道を開いたベジータのこともな。
 長話になるが付き合ってほしい」

++++++

「うっわ、整理すればするほど被害がヤバいな。外部に漏れるよりはマシだけど」
「はい、確認したところ会場内にある『いくつか』のカメラに接続障害が発生しています。
 どうやら電送処理を担う機器がベジータにいくつかやられたようですね。
 あくまで『一部』ですが、一切応答しないカメラが存在します。
 ……復旧は間に合わないでしょう。試算したところ、タイムリミットの方が早い」
「マジかよ……リスク分散して正解だったな。全部だったら商売上がったりだったぞ」
「不幸中の幸いです。それにしても……迂闊でしたね。サイヤ人の特性は調査済みだったはずなのに」
「……それに関してはお互い様だろうが」

ため息をつきながら右上は額を手で覆った。
参加者と遠慮なく接触できるということで上がったテンションは一気に下げられてしまった。
被害状況の確認と整理という作業で、ベジータの最後っ屁がバカにならないことを再認識させられたのだ。

(うっわ、頭が痛ェ……てかマジで“少し”しか休めなかったなー)

泣いても叫んでも現実は変わらない、変えようがない。
今の手札で何とかするしかない。

「あ、そだ左上。デフコン2は?」
「発令しました。現在、職員に武器類を配分している最中です。交戦規定の配布も既に」
「相変わらず運営長は決断早いねー……さて、と」
「どこへ行くのですか、まだ仕事は」
「ああ仕事さ。運営長に許可もらってくる。
 咲夜を引き入れたいが、俺の一存で決めるわけにはいかないだろ?
 ま、すぐに咲夜が必要になるわけじゃないが、予め許可もらっといた方がスマートだしな」

右上と左上の視線が交差した。
二人の瞳は己が意思を雄弁に語っている。

「……珍しく意見が一致しましたね」
「……不思議なこともあるもんだな」

右上と左上の見解の一致。
これも運命の悪戯だろうか?

++++++

先の爆発音は咲夜としても気になるところであったが、3人を襲う切っ掛けにはなり得なかった。
さすがこの時まで生き残ってきた強者というべきだろう、混乱した様子はまるでなかった。
さらには間髪をいれず丸っこい騎士が空から降ってきて合流してしまったのだ。
あの騎士は知っている、つい先ほど辛酸を嘗めたばかりだ。

(上から来たってことはやっぱり死ななかったのね。
 チルノとベジータは別行動かしら?
 あの一頭身仮面が生きている以上、2人とも死んではいないでしょうし)

もはや安全確実に命を摘み取るのは不可能ということか。
個々人の戦闘能力がどうにも高すぎる。
しかも徒党を組んでると来た。
悔しいが状況をひっくり返すには自分一人だけの力では無理だ。
きっかけが欲しい。
それも多少の隙などではない。
もっと強力な手札だ、自分の見える風景が変わるぐらいのものが欲しい。

主催陣が咲夜との接触を検討しだした時を同じくして、
咲夜が「手詰まり」を明確に自覚し始めていたのは。

――運命の悪戯

++++++

発端は咲夜の奇襲を看破したこと。
グラハムとリン、キョン子をデパートに向かわせ、逃げる咲夜を追撃。
塚モールにまで辿り着いたところで格納庫を発見。
咲夜にエレベーターごと落とされる形で格納庫に侵入。
進行役である右上と遭遇、そのまま戦闘に突入。
チルノは行方不明。
ベジータは死亡。
格納庫は何とか破壊に成功。
それにより南北のループは消滅。
北に見える大穴は戦果そのものである――

メタナイトの長話を箇条書きにしてまとめるとこういうことだ。

「下が騒がしいと思ったらそういうことだったのか」
「馬岱よ、気づいてたのか? なら救援に来てほしかったものだが」
「無茶を言わないでくれ。
 聞こえてきたのは戦闘音だけだったんだ。
 いくらなんでも自殺行為は趣味じゃない」

メタナイトが馬岱を軽く皮肉るが、当の馬岱はどこ吹く風だ。
そもそもあの時救援に行っていれば、なんて結果論にすぎない。
それはこの場にいる誰もが分かっている。
何の事前情報もない状態で、主催の息がかかってるとされる施設で戦闘音が聞こえれば、待ちの一手に入るのは当然だ。
悪かったのはタケモトたちでもメタナイトたちでもない。
だから感情的な部分はこの際、横に置こう。
そしてメタナイトは決定的な情報を紡いだ。

「主催の本拠地はここから北にある。あの山の向こうだ」

過ぎたものはもうどうでもいい。
今やるべきは正確な現状把握。
正面突破が不可能な相手であることは皮肉にもメタナイトが証明した。
ならばゲリラ戦術しかない。
与えられた情報からスネークがそのように整理する。
その上でやるべきことも、スネークは導き出す。

「普通に山を越えるのもいいが、ベジータの切り開いた道を使って地下から侵入するという手もあるな」

メタナイトによると格納庫はその言葉通りの施設だったらしく、侵入と同時に兵器がお出迎えしてくれたらしい。
加えて右上なんていう「大物」のおまけつきだ。
間違いなく本拠地と繋がっているだろう。

「ただどう打って出るにせよ、相応の覚悟は必要だ」

主催の懐へ潜り込もうというのだ。
想定される苦難は参加者同士の戦いの比ではないだろう。

「山を超える場合、主催は最大戦力で迎え撃てる。
 A-10なんてものが存在する以上、最悪航空戦力が存在するかもな」

冗談だと流せないのが恐ろしいところだ。
空から一方的に蹂躪されるのは勘弁願いたい。

「……対策は一応ある。
 前提として森の中を歩く人間を空から捉えることは不可能だ。
 そして目でみたところ主催に続く山道はいわゆる『はげ山』じゃあなさそうだ」

生い茂る木々の葉がちょうど傘の役割を果たしてくれるのだ。
ともすれば意外とあっさりやり過ごせるかもしれない。

「わかった。それじゃあ地下から侵入するルートはどうだ?」
「そうだな……通路の幅にもよるが一度に多数の戦力を相手にせず済むはずだ」

スネークの話を聞く限り山を通るルートに比べて戦いやすく聞こえる。
こっちは少数なのだからできる限り多人数を相手取ることは避けたい。
だが、当然リスクは存在する。

「通路自体が封鎖される可能性……
 最悪通路そのものを崩されるかもしれないな」
「……結局、一長一短か」

スネークの講釈がすべて終わったところで、タケモトはまたも頭を抱えた。
頭では分かってはいた、茨の道になることぐらい。
スネークだって相応の覚悟は必要だと念を押した。
だが、真の意味で受け止めることができていなかった。
メタナイトも馬岱もスネークも、一切の動揺が見られないのに。
むしろ「この程度で怖気づいてどうする」とでも言いたげだ。

(くそ……この場で一番認識が『甘い』のは俺ってわけかい)

運命がタケモトを蝕む。

++++++

「首尾はどうですか」
「上々だよ。これでいつでも咲夜と接触できる」

運営長は基本的に決断が早い。
参加者が主催に手を出せるようになった今、もはや主催が参加者に手を出すのはタブーとなり得ない。
問題は引き込むに値する人材か否かであるが、十六夜咲夜はその条件を見事に満たしている。
突発的な吸血衝動を恐れているようだし、なんなら輸血パックでも提供してやればいい。

「他に使えそうな人材はいるか」
「いません。百歩譲って誰かを挙げろというなら言葉でしょう。
 混乱のせいで伝達が遅れたようですが、グラハム・エーカーと鏡音リンは死亡しています。
 場所はもしかしなくてもデパートです」
「ああ、そりゃ言葉の仕業だな。そん時の映像は?」
「残念ながら。ちょうど監視の死角に入っていたようです」
「……そういやデパートはボロボロだったな。
 ベジータのせいでただでさえ多かった死角がさらに増えたんだっけか」

……もしもデパートの監視が健在であれば。
キョン子がキョン子ではなくなったことに気づけたかもしれない。
今まで何もしなかったキョン子にチルノのような心境の変化が訪れるはずがない。
キョン子がキョン子である限りグラハムを嵌めることも、言葉に取引を持ちかけることもあり得ないのだ。
だが、今や穴だらけとなった監視は真実を霧の中に隠してしまう。
ユベルが制限を打破した事実を、主催者陣営は誰一人として知らない。

運命は主催すら嘲笑う。

「ああ、右上。あなたまさか桂言葉を引き込む気ですか」
「さすがにそこまで抜けてねーよ。あいつは扱いにくいだろ」

++++++

メタナイトが情報を提供した次は俺たちの番だった。
主催との衝突が明確になった今、コソコソと主催に怪しまれないようにする配慮なんて必要ない。
遠慮なく音声偽装装置のスイッチを入れてから――
デパートで起こった全てを掻い摘んで話す。
この情報交換で、箱庭の全体像が朧ろげながら見えてきた。

――生存者から逆算してドナルドは死亡してるな。

放送が終わってしばらくした後に生存者が一人減ったことは既知だ。
それにメタナイトの情報を合わせると、死んだのはドナルドしか考えられない。
当面の危機は去っていたようだ。
……というより主催の相手でいっぱいいっぱいなんだから去ってくれないと困っていた。

――塚モールにやってくるのはグラハム、リン、キョン子、言葉の4人。

何というか、あまり待つ意味のない顔ぶれだ。
グラハムはA-10を乗り回すだろうから、別行動になるのは必定。
残りのメンツは絶望的だ。
キョン子は毒にも薬にもならないだろうし、リンと言葉に至っては毒にしかならない。

――行方不明はチルノとときちくの2人か。

あの様子からしてときちくを探す必要はないだろうし、向こうから接触もしないだろう。
もしかするとどこかで隠れて俺たちの様子をうかがっているかもな。
とすると問題はチルノ。
主催者の本拠地に乗り込むのが行動方針の中核を占める今、彼女の力はなくてはならないものとなっている。

――ちくしょう、何で肝心な時に居やがらないんだあのバカ氷精。

「やむを得ない、チルノを探そう。塚モールには置手紙の1枚でも残しておけばいい」

我ながらバカらしいとは思う。
にもかかわらず提言したのは、単に他の選択肢がそれ以上にバカバカしかっただけの話。

「残念だが、手掛かりがないぞ。分かってるのは右上の仕業だろうということぐらいだ」

メタナイトの突っ込みも分かっていた。
今から会場内を歩き回ったところで時間が足りない。
せめて、場所ぐらい見当が付いていないと探しに行けない。
しかし、それでも――チルノを欠いた状態で攻勢に移るのは拙すぎる。

「今の俺達にはチルノの力が必要不可欠なはずだ!
 手掛かりのあるなし以前に、彼女がいないと話にならないだろう!
 それに、A-10を駆るグラハムとは足並みを合わせることができない」
「……キョン子とリン、言葉はどうするつもりだ。
 チルノの心配も大事だが、彼女たちにも気を配るべきではないか?」

はっ、メタナイトらしい。
見上げた騎士道精神だが、それは無意味だ。
リンと言葉に与える「生存切符」はもとより存在しない。
具体的にはプレミアム首輪は残り1個しかない。
生存枠が致命的に足りない。
この事実、俺が伏せてるからメタナイトは知らないんだったな……実に滑稽だ。

それ以前にさ。
言葉は元・危険人物で今は危険人物予備軍。
リンは亡きドナルドの手下だから良くて元・危険人物。
こんな奴らのフォローなんて願い下げだ。だから――

「リンと言葉に情けをかけるなんてあり得ないだろ。
 この2人の経歴を考えてみろよ。
 気配りしろってんならキョン子だけで十分だ。
 そしてキョン子の面倒ぐらいグラハムならできる」
「それが貴様の本音か、タケモト――見損なったぞ」
「へー、俺のことをずいぶん高く評価してたんだな、メタナイト」

「おい、2人ともやめないか!」

++++++

「はぁ……やっぱり遠すぎるかしら」

内輪もめに乗じると決意したはいいものの、離れすぎてて口論してるのか相談してるのかまったく聞き取れない。
4人が向き合ってるのは間違いないのだが、はたしてそれはプラスになってるのかマイナスになっているのか。

「いっそ身内同士で殺し合ってくれればいいのに」

思わず黒い願望を独り言つが、それが現実になるとしたらまだまだ先だろう。

「片腕も動かないし、休憩時間と考えた方がいいのかもしれないわね」

何というかその方が前向きな気分になれる。
半ば現実逃避といえなくもないが、正直打つ手がない。
タイムリミットもあるんだから、現実を直視すればするほど憂鬱になれる。

咲夜は知らない。
東の端で咲夜の望むモノが芽吹き始めていることを。

運命はどこまでも罪深い。

++++++

――おい、2人ともやめないか!

撃発しかけたタケモトとメタナイトを俺は一喝した。

「タケモト。逸る気持ちは理解できる。
 だがそんな時こそ心の置きどころを見失うな」

無慈悲、冷静沈着、保身主義者。
そのいずれもがタケモトという人間を端的に表す単語だ。
だからこそ見落としていた、タケモトの本質を。
彼は俺や馬岱のように死と隣り合わせに生きる存在ではない。
言葉を処断するという冷酷な提案も。
プレミアム首輪の個数を伏せるという惨酷な判断も。
他者を捨て石にするような冷血な行動も。
源泉は「死にたくない」というごくごく当たり前の願望だったのだ。
「万人受けしない性格」をしていても本質はあくまで一般人。

だから脱出につながる「道」を見つけてしまったばっかりに、今まで抑えてた感情が溢れたのだろう。
1秒でも早く家に帰って平穏に暮らしたい、そんな当たり前の焦りが落ち着きを乱してしまった。

「メタナイトもだ……タケモトはお前のように強くはない」

彼がわずかに感情を奮わせたのはタケモトの言動が自らの精神に反したからだろう。
しかし、メタナイトの信念は弱者にこそ優しくない。
世界の大部分を占める、平和を満喫する者たちには彼の信念は遠いものに映るはずだ。

「……どうやら大人気なかったようだ。タケモト、すまなかった」

メタナイトは謝罪したが、タケモトはだんまりだ。
当然、険悪な空気はそのまま。
やれやれ、これは少し時間が必要みたいだな。
馬岱は……やはりというべきか、少し呆れ気味に腕を組んでいる。

――仕方ない……俺が仕切るか。

「俺に提案がある、聞いてくれ」

++++++

タロットの大アルカナに属するカードが1枚、運命の輪。
その逆位置は……情勢の急激な悪化、暗転、別れ、すれ違い、アクシデントの到来を示す。

++++++

今すぐに主催のもとへ向かう、それがスネークの提案だった。
チルノがどこに分断されたかは分からないが、目的そのものは主催打倒。
ならば本拠地に向かった方が結果的に確実に合流できる……生きていれば。
4人で先行するのは戦力に不安があるが、ここまで来るとむしろ時間制限の方が深刻だ。
既に主催の提示したタイムリミットまで8時間を切った。
グラハムも我々が動いたことを知れば、航空戦力で援護するはずだ。

「以上だ……反対意見や質問はあるか?」

メタナイトは。
タケモトは。
馬岱は。
スネークの提案に対し――

【C-4 塚モール入り口 / 2日目・夕方】
【タケモト@自作の改造マリオを友人にプレイさせるシリーズ】
[状態]:精神疲労(小)、僅かな焦り
[装備]:アイスソード@ちっこい咲夜さん、プレミアム首輪改
[道具]:[タケモトのデイバッグ]
支給品一式(水一食消費)、精密ドライバー@現実、野菜ジュース@ぽっぴっぽー、 
ドアラの首輪、シルバーウルフ(12/12)、(予備弾188本)@フルメタル輪ゴム鉄砲、万葉丸(11/30)@零シリーズ 
強姦パウダー@ニコニコRPG(4/9)、ブロントさんの首輪(真っ二つ)、
プレミアム首輪×1、小型位置音声偽装装置(現在オン)×2、隠し部屋に関する説明
プレミアム首輪の設計図、工具、隠し部屋のカギ、三国志大戦カード(不明)@三国志大戦
モンスターボール(空)@いかなるバグにも動じずポケモン赤を実況、キモイルカのメモ
DMカードセット(天使のサイコロ、スタープラスター)@遊戯王シリーズ、ブレード@サイべリア
北条鉄平の首輪
[思考・状況]
1:???
2:自分が生き残るために最善の行動を取る。
3:大連合は組まない、最低限の人数で行動。
4:規格外の者に対抗出来るように、ある程度の戦力が欲しい
5:最後の一個のプレミアム首輪はとりあえず改造しない。
※射命丸から首輪に関しての情報を得ました。
※会場のループを知りました。
※殺し合いの目的をショーだと推測しました。
※積極的な脱出は不可能と考えました。

【馬岱@呂布の復讐】
[状態]:精神疲労(中)、疲労(小)
[装備]:鍬@吉幾三、三国志大戦カード(群雄SR馬超)@三国志大戦、プレミアム首輪改
 包丁@会場内
[道具]:基本支給品×8(水、食料三食消費)、ヒテンミツルギ極意書@ニコニコRPG
    張遼の書@ニコニコ歴史戦略ゲー、医療品一式
    セーブに使って良い帽子@キャプテン翼、射影機(07式フィルム:28/30)@零~zero~
    予備07式フィルム30枚、寝袋@現実、普通のDMカード数枚@現実
    DMカードセット(スピード・ウォリアー、魔法の筒、ガーゴイル・パワード)@遊戯王シリーズ
    折り畳み式自転車@現実、乾パン入り缶詰×3@現実
    忍具セット(火薬玉、忘却玉)@忍道戒、不明支給品0~1
    ねるねるね3種セット@ねるねるね、鏡(破損)@ドナルド、美希の私服
    禁止エリア解除装置@オリジナル、リボン@FFシリーズ
    てゐの木槌@東方project(破損)、防弾チョッキ@現実
    上海人形@東方project、変化の杖@ドラゴンクエスト
[思考・状況]
[思考・状況]
1:???
2:これからは生きるために戦う。
3:もっと武器が欲しい。
※参加者の多くの名前を見た覚えがあることに気が付きました。ニコ動関連の知識の制限は実況者達等に比べて緩いようです。
※徐々に記憶制限が解けてきた様です
※藤崎の荷物は馬岱が回収しました。上記通り支給品が幾つか破損しています。

【ソリッド・スネーク@メタルギアソリッド】
【状態】肉体疲労(中)、全身に擦り傷、切り傷
【装備】コルトパイソン(6/6、予備弾45)@現実、TDNスーツ@ガチムチパンツレスリング、越前の軍服、プレミアム首輪改
 愛犬ロボット「てつ」@日本郵販テレホンショッピング
【持物】支給品一式(水、食料一食消費)
 やる夫の首輪、ハイポーション@ハイポーション作ってみた、馬鹿の世界地図@バカ日本地図、全世界のバカが考えた脳内ワールドマップ
 咲夜のナイフ@東方project、さのすけ@さよなら絶望先生、基本医療品、至高のコッペパン×3@ニコニコRPG
 タバコ一箱@メタルギアシリーズ
【思考・行動】
基本思考:情報を集める。
1:???
2:自分から攻撃はしない。見つかった場合も出来れば攻撃したくない。
3:十六夜咲夜のような奴が居れば、仲間に誘った後、情報を聞き出した後倒す。
4:てつを使用し、偵察、囮に使う。
5:十六夜咲夜、ドナルドを警戒
6:これ以上仲間を死なせない
[備考]
※馬鹿の日本地図の裏に何か書いてあります。

【メタナイト@星のカービィ(メタナイトの逆襲)】
[状態]ゼロマスク (半分破壊)、左腕から出血(応急処置済み)、
 疲労(中、但し右腕に関してだけは休憩かアイテムによる治療が必要)
[装備]七星宝剣@三国志9、ゼロの仮面(顔が入るサイズに改造、半分が損壊)@コードギアス
 プレミアム首輪改
[道具] なし
[思考・状況]
基本思考:参加者の救出及びゲームからの脱出
1:???
2:格納庫か地上か、いずれかのルートによる運営基地への攻撃
3:チルノの探索
[備考]
※フランドール、スネーク、藤崎、馬岱と情報交換をしました。また、東方project出展のキャラについてそれなりの情報を得ました

【C-4 塚モール近辺の民家 / 2日目・夕方】
【十六夜咲夜@東方project】
[状態]吸血鬼化、右腕不随、攻守半減、疲労(中)
[装備]時計型麻酔銃@名探偵コナン、日光遮断のための服装、メス32本
[道具]支給品一式(水抜き)、
 ライトセイバー@外人が想像したとてつもない日本が出てくるゲーム(RedAlart3)、
 痛PSP@現実、マスクザ斉藤のマスク@ニコニコRPG 
 [装備] 
[思考・状況]基本思考:優勝し、死亡者含め全ての参加者を元の所に戻すと主催に望む
1:参加者がモールに集まるまでしばらく待機。
2:気を払いつつ休息を取る。
3:対主催組の仲間割れに乗じて優勝を狙いたい。
【備考】※ときちくは姿しか知りません。
※時間操作は4秒が限度です。停止した後に使用するには数秒のブランクが必要です。
 疾風のゲイルの効果が時間停止に効力を及ぼしているかは不明。
※主催者側が参加者を施設を中心として割り振ったと推理しました。
※高い能力を持つ参加者は多くが妖怪と考えています。
※サムネホイホイ(出だしはパンツレスリングだが、その後別の映像は不明)は、A-5の平原に投げ捨てられました
※一度幻想の法則から外れた者ももう一度幻想の法則の中にもどせば幻想の法則が適用されると推理しました。
※ヤバいDISCがINしました。スタープラチナの真の能力にも気づきました。
※吸血鬼化しましたが、本家吸血鬼と比べると回復やパワーアップが小さいです。
※基本支給品と計量匙、及びフジキがC-4からD-4にかけて散らばっています。
※塚モールで火事が再発していますが、雨のため火勢はそれほどでもありません。
※べジータと情報交換をしました。しかし自分が吸血鬼であること、美希やDIOを殺害したことは伏せています。
※阿倍さんのツナギ@くそみそテクニック、便座カバー@現実はDIOのデイバッグと一緒に病院の奥の部屋にあります。
※激しい吸血衝動に襲われ自我と本能がせめぎあっています。しかしドナルドの魔力が消え次第半減します
※ときちくの言った事には半信半疑ですが、状況を利用できると考えました。



sm249:Liar Game 時系列順 sm251:Q&A
sm249:Liar Game 投下順 sm251:Q&A
sm247:Interlude Ⅱ タケモト sm:[[]]
sm247:Interlude Ⅱ 馬岱 sm:[[]]
sm247:Interlude Ⅱ ソリッド・スネーク sm:[[]]
sm248:さらば誇り高き戦士 メタナイト sm:[[]]
sm247:Interlude Ⅱ 十六夜咲夜 sm251:Q&A
sm248:さらば誇り高き戦士 右上 sm251:Q&A
sm248:さらば誇り高き戦士 左上 sm251:Q&A






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