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デパートでほぼイキかけたKAITOの御退散レース ◆jU59Fli6bM





誰もいないデパートの一階。
聞こえるのはぶらぶらと行ったり来たりを繰り返す俺の足音だけ。

――ハクとアレックスが行ってから、どのくらい経ったかな。

本屋の壁にあった時計を見る。そんなに長くは経っていなかった。
こうやってただ無意味にうろうろとしていると、時間の流れがとても遅く感じる。
そう、だから。

――まだまだ、時間がある。

二人を追いかけるか、このままここで隠れながら過ごすか。
どちらを選ぶのか決めるこの猶予の時間が苦しくて仕方なかった。
実を言うと、あれから俺の葛藤は一向に進展していない。

「ハクのせいだ、ハクがあんなじゃなかったら、俺だって……」

――何を言っているんだ、悪いのは俺の方だろう。

口をついて出てくる言い訳も鬱陶しくなって首をぶんぶんと振る。
ああ、元々ここを出て行く気なんて、アレックスについていく気なんて全く無かったのにな……。
わざわざ外を歩き回りたくないし、襲われてる人を助けるなんて危険な事、絶対に無理だ。
むしろ、俺がいても邪魔にしかならない。役に立つはずない。

――だから、こんな俺を誘ってくるあいつらが悪いんだ。

何度目だろう。さっきからずっと頭の中は同じような言葉の繰り返しだ。
そして結論がでないまま、無駄になった時間だけが流れていく。
そんな中、頭には先ほど見たハクの姿がちらつく。
笑顔で、はきはきと話しかけてきたあの姿を。

「ハクがネガティブ思考じゃないなんて……」

いつも後ろ向きで、事あるごとに弱音を吐いていたハク。
それは普段話す時も、踊る時も、歌う時でさえ変わらなかった。
なのに、なのにさっきのハクは。

――まるで別人じゃないか。



こんな殺し合いに呼ばれているのに、いつも通り弱音を吐いて泣きべそをかいてるだろうと思ったのに、あれは何なんだ。
弱音どころか、俺を説得する余裕さえあるなんて。
初め、ハクじゃないんじゃないかとさえ思ってしまったのは秘密だ。
けれど、ハクは俺の好きなアイスの種類を知っていた。
ちゃんと俺の知っているあのハクだったんだ。

もう無理です、ツマンネ、って愚痴ってうずくまるお前はどこに行ったんだよ。
あがって上手く歌えなくておろおろと慌ていたお前はどうしたんだよ!
これじゃ、これじゃあ。

――俺が惨めすぎるだろ……!

情けなかった。
年下のハクにも慰められる自分が、とても、とても。
そして別れる際に言われた言葉。ハクの思いが針のように俺のヘタレ根性に刺さっているようで、凄く痛い。
だから、俺の絶対に行かないという意思は揺らぎに揺らいでいた。
ハクでさえ、あんなに頑張っている。ミクに、リンとレンもそれぞれ必死に生きてるんだろう。

――でも、それでも、俺は。

何度考えても、次にはこの言葉が出てくる。
本当は嫌なのだけれど、嫌でたまらないけれど、どうしてもそう思ってしまう。
俺には怖くて無理だ、と。
そして、何度目か分からない保身的な反論を返した時。


「痛い、痛いよ……。もう、太陽なんて嫌い……!」


俺の体は一切の動きを止めた。

「ひっ……」

電流が走ったかのような衝撃が体を震わせ、思わず声が漏れる。
危うく腰を抜かしてしまいそうになった。

耳を裂くような爆音。
デパートの奥で瓦礫となった壁が、床が、棚の商品が宙に舞っている。
不規則にばらまかれる鮮やかな弾が飛び回り。
そのリズムに合わせるかのように混じる甲高い笑い声。
そして、全ての中心に、黒ずくめの何かがいた。

北側の入り口から入ってきた誰かが、このデパートを破壊している。
誰か?何か? いや、何と形容すればいいんだろう。あれはまるで――

――悪魔。




「あの女も、あの男も、綺麗に並んだこいつらも!嫌いよ!!
みんな壊れちゃえ!」


怖い。
怖い。
怖い。

何だよ、あれ……!


「あ はは は は は はは は !!!」


ヤバい、ヤバい、殺される。このままじゃ俺、死ぬ!
だから……。
お願いだ、俺の足、動いてくれ!
何でさっきから棒みたいに固まってるんだよ!

「あ は は は は は は は は は !!!」

少しだけ、少しだけでいいから。このままじゃ、見つかる!死ぬ!!
だ、誰か来てくれよ、頼むよ!
ああ、こっち、こっち来……!
う、うわあああああああ!!


……あ?

尻餅をついてふと見ると、あの姿は消えていた。
あぁ、助かった。あの道を曲がったのか。
運が良かった。俺は陳列棚の影にいた。
だから、あの仮面の化け物は俺に気づいていなかった。

「今の、うちに……」

一歩、一歩、物陰から出口へと進んでいく。
棚の隙間から人が見えたような気がしたが、今は見なかったことにしよう。
確認する余裕なんてない。それに、こんな危険なところに来る奴なんかいないだろう。
うん、いない、いないはずだろ。声がする? 空耳だ、そうに決まってる。

そして、東側の出口からなんとか脱出した。
気がつけば四つん這いに這い出してなんとも情けない姿となっている。
安堵のため息が出た。
気が抜けて、一休みしようかとうずくまり――

「いぎゃああああ!!」

地面が震えるような衝撃にまたも戦慄した。
右奥に見える壁が木っ端微塵に吹っ飛んだのだ。
瓦礫の中にどろりとした赤い塊を見たような気がして、全身ががたがたと震えた。

もう嫌だ。
何でもいい、早くデパートから離れないと。
ああ、何なんだよ。あんな奴がいるなんて聞いてないぞ!
見てない、見てない、俺は何も見ていないっ!!


今度は足に力が入った。俺は駅へと全力で駆け出す。
あんな所はもうごめんだ、今は駅に隠れるのが一番安全だろう。
あの二人に見つからないように、そっと、そろーっと入ることにしよう。

二人についていくかは、まだ決まってないのだから。
――また人を見殺しにした、こんな奴は誰に合う資格もないのだから。

【F-3 デパート前/1日目・昼】
【KAITO@VOCALOID】
[状態]:健康、苦悩、全力疾走
[装備]:ベレッタM96(残弾数11/11)@現実
[道具]:支給品一式、ハンバーガー4個@マクドナルド、クレイモア地雷×5@メタル
ギアソリッド、必須アモト酸@必須アモト酸、2025円が入った財布(ニコニコ印)@???
、ハーゲンダッツ(ミニカップ)×3@現実 ]
1:死 に た く な い
2:ミク、リン、レン……許してくれ……
3:生きるためなら例え卑怯な事をしても許されるはずだ
4:とにかくデパートから離れて安全そうな駅へ
5:でもあの二人についていくかは決めかねている

[デパート備考]
※500円がデパートB1階レジに置いてあります。
※城之内の死体はデパート外に吹き飛ばされ、放置されています。



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