※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

立場、逆転 ◆7UfBAN/wns





(……そうね……兵力としては、使えるかもしれませんわ)

キーボードクラッシャーを部下にするか否か。
それを考えるに当たって、リンがまず注目したのは彼の戦闘能力だった。
二対一という不利な状況にあるにも関わらず、彼は優位に立っていた。
それはつまり、単純に彼が強いという事だとリンは判断する。
愚民どもを皆殺しにする。
その目的を考えれば、彼は非常に役に立つだろう。

「……でも、やはり抵抗がありますわね」

しかし、即座に決定する事が彼女には出来なかった。
キーボードクラッシャーが己の部下になるという事に、少々の抵抗があった。
乱暴で、粗雑で、貧相で、五月蝿い事この上ないこの男を部下にしたとして。
それが他の者達に伝われば、どう思われるだろうか。
結果は火を見るより明らか……主であるリンの品性が、真っ先に疑われてしまう。
下賎な輩によって自らが汚されるなど、彼女にとって耐え難い屈辱。
そしてそれが起こりうる以上、彼女はクラッシャーに対する処遇を決めかねていた。

「……あら?」

そうして悩む中、リンの視界へとある物体が入った。
クラッシャーの持っていたデイパックから、偶然にも零れ落ちた彼の支給品。


――――――それを目にした瞬間、リンの表情が一変した。

「……嘘……?」

クラッシャーにとって、いや、この殺し合いにおいては誰にとっても完全な外れ品。
しかし、リンはそれをよく知っていた。
忘れられるわけがない、想い人がいつも身に纏っているある装飾品。

「このマフラー……どうして、こんな男が……!?」

リンはそれを……KAITOのマフラーを手に取り、思わず声を上げてしまった。
戸惑い、マフラーとクラッシャーとを交互に見やる。
何故、こんな下賎な輩がこのマフラーを持っているのか。
予想だにしなかった事態を前にし、驚きのあまり思考が混乱するが……
ここで彼女は、一番気付いてはならないある事実に気付いてしまった。

(……まさか……この男が……!?)

それは、先ほどの戦闘でも分かったとおり、キーボードクラッシャーが殺し合いに乗っている人間であるという事実。
その証拠として、彼の無限刃には血糊もちゃんと付着している。
それがリンに悟らせたのは、一つの真実と一つの誤解。
まず真実は、この殺し合いにはKAITOも呼び出されているということ。
もっとも、呼び出されたのはリンの知るKAITOとは別人ではあるのだが。
そして、誤解の方は……クラッシャーにとって、あまりにも性質が悪いものであった。

「……ウゥッ……?」

ここでクラッシャーに、意識が戻る。
彼は自分が気を失っていた事に最初に気付き、まだ若干の痛みが残る体を持ち上げようとする。
そして、ゆっくりと瞳を開いた時……彼は絶叫を上げた。

「……ホワアアァァァァァァァァァァァァァァッ!!??」


――――――彼の目の前には、鬼の様な形相をして鉈を振り上げたリンがいた。


「許せない……許せない、許せない、許せない、許せない!!」

リンは憎悪をこめ、鉈をクラッシャーの脳天目掛けて振り下ろす。
もはや彼女の中には、クラッシャーを部下にしようなどという気持ちは微塵も無かった。
この時、クラッシャーには知る由もなかったが、KAITOが絡んだ時のリンの恐ろしさは普段の彼女の比ではない。
恋敵であるミクに嫉妬し、彼女を治める国諸共滅ぼしにかかった事までもあった程だ。

「イイィィヤァァァァァァァァァァァァッ!!??」

クラッシャーはとっさに横へと跳び、鉈を回避。
もはや、体の痛みなど一瞬で吹き飛んだ。

「何しやがんだよテメェえェぇエェッ!!!!」

クラッシャーは彼女に激怒する。
殺し合いの場なのだから、誰かに襲われるというのは至極当然のシチュエーション。
先の戦いでも、松岡達にそう彼自身が告げたばかりだ。
だが、彼は自らが襲われたのが許せなかった。
自分はやってもいいが、他人にやられるのは嫌。
傍から見れば、何と理不尽な態度だろうか。

「ああん!?しかもテメェ、勝手に人の支給品取ってんじゃねぇぇぇええええぇぇぇえぇぇぇっ!!」

続けて、リンの手にマフラーが握られている事に気付き激怒。
外れ品とはいえ、勝手に自らの支給品を持っていかれた事は、彼の怒りの炎に油を注いだ。
しかし、リンもこれに怒りを込めて返答する。

「黙りなさいっ!!
 あの人を手にかけて、強盗なんて汚らしい真似までして……よくも、そんな態度で……!!」
「はぁっ!?」

クラッシャーはリンの言葉を聞き、戸惑いの声を上げた。
確かに先ほど、一人の参加者の首を刎ねた。
だから殺人に関しては否定しないが、強盗なんてしていない。
ここにきて、支給品以外のものは一切手にしていない……つまりは完全な濡れ衣だ。
勘違いの恨みで殺されるなど、腹が立つにも程がある。

「ふざけんじゃねぇ……ん?」


――――――しかし、ここでクラッシャーが先程のはっぱ隊員殺害時の事を思い出せた事により、事態が急変する。


(……そういえば、あのマフラー……逃げやがったあの男が、同じのしてなかったか?)

そう、クラッシャーはKAITOと一瞬ではあったものの遭遇していた。
そして幸運にも、逃げ去ったKAITOの首に巻かれていたのが、自らの支給品と全く同じものだったのに気付いた……!!

「フッフフフ……アーッハッハッハッハハハハハ……!!
 あー、おっかっしっ! ホッホッホッ!!」
「何よ……何がおかしいのですかっ!!」

こうなると、笑わずにはいられない。
当然、リンからすればクラッシャーが笑い出したのは奇行にしかとれない。

「お前、バッカじゃねぇの!!
 何勘違いしてんだよッ!!!!!」

しかし……リンが何を誤解しているのか、クラッシャーは気付いたのだ。
ここで一つことわっておくが、クラッシャーは短気であり、狂人と言ってもおかしくはない。
だが、彼が常に絶叫を上げて怒り狂っているのかと聞かれると、その答えは否である。
これは、彼が一つのキーボードを見事にクラッシュしたある日の話になるのだが、
彼はキーボードを派手に握り拳で叩き怒りをぶつけた後に、「あいつはポジティブ」と自らに言い聞かせて
クールダウンを図ろうとしたのだ。
もっとも、その数十秒後に再び絶叫を上げる事にはなったのだが……
つまり彼は、冷静にならねば出来ない事があるという事も分かってはいるのだ。
そしてそれは、正しく今……!!

「ホホッ!!
 これの持ち主は俺が殺したんじゃねぇよっ!!」
「え……!?」

クラッシャーは、リンの誤解を大笑いしながら指摘した。
そしてこの指摘は、彼女を動揺させるには十分だった。
震えていた手が止まり、表情からも怒りが僅かに消える。

「ど、どういうことなの!?
 なら、どうしてあなたがそれを……!!」

リンはクラッシャーへと問いかける。
その瞬間、クラッシャーの顔に笑みが浮かんだ。
ここで素直に、KAITOが仲間を見捨てて逃げ出した事を言うのは面白くない。
寧ろ、この情報を餌にして彼女を殺し合いに使った方が良いんじゃないか。

一人で殺し合いを勝ち抜くのが難しい事ぐらい、クラッシャーも理解出来ている。
これは、またとないチャンスと言えるだろう。

(フッフフフ……アーッハッハッハッハハハハハ……!!
あー、おっかっしっ! ホッホッホッ!!)

キーボードを壊してばかりだった、苛々続きの日常。
そんな中で久しくやってきた自分のチャンスに、クラッシャーは内心高々と声を上げて笑っていた。


【F-6 温泉旅館・玄関/一日目・早朝】
【鏡音リン@VOCALOID2(悪ノ娘仕様)】
[状態]:クラッシャーの言動に混乱中
[装備]:レナの鉈@ひぐらしのなく頃に、KAITOのマフラー@VOCALOID
[道具]:基本支給品、不明支給品(0~2)
[思考・状況]
1.KAITOに何があったのかを知りたい
2.家来を見つけて愚民共を皆殺しにしてもらう。
3.歩きたくない。荷物を持ちたくない。
4.レンに会いたい

※参加者の中に、KAITOがいることに気付きました
クラッシャーに対する反応同様に、彼にとって危険な人物と見なした相手には襲いかかる可能性があります。

【キーボードクラッシャー@キーボードクラッシャー】
[状態]:腹部打撲
[装備]:無限刃@るろうに剣心
[道具]:支給品一式、不明支給品1~2
[思考・状況]
1:KAITOの情報をダシに、リンを利用できないか考える
2:優勝して日本国籍を手に入れる
  殺し合い打倒するとか現実逃避してんじゃねええええええええええええええええええ!!!!


【KAITOのマフラー@VOCALOID】
KAITOが普段身に着けている、青色のマフラー。
ただし、マフラーにしては少々長めであり、実はスカーフなんじゃないかとも言われている。
公式でもその点は明らかにされていない為、正体は謎に包まれている。



sm63:朝霧の幻影殺人鬼(後編) 時系列順 sm65:デバイスは儚き覚悟の悪に
sm63:朝霧の幻影殺人鬼(後編) 投下順 sm65:デバイスは儚き覚悟の悪に
sm34:熱き血潮に 鏡音リン sm94:クラッシャーさん空回りはずかしぃぃぃぃぃ!!!
sm34:熱き血潮に キーボードクラッシャー sm94:クラッシャーさん空回りはずかしぃぃぃぃぃ!!!






| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
@wiki - 無料レンタルウィキサービス | プライバシーポリシー