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時の邪神は何見て騙す? ◆ra6PN0VFoc





「ふん、まさかな。ホルアクティにやられちまってもまたチャンスが来るとは…」

B-5の西部、草原の端…銀髪の少年が一人呟いている。
長い髪と端正な容姿に、凶悪な意思を浮かべて。
彼の名はバクラ。闇のゲームの番人にして、大邪神ゾークの分身。

「…宿主の体じゃねえな。そもそも宿主の意思も見あたらねえ。
 おまけに千年リングからは邪気が抜けちまってて、触れるだけでイライラするぜ。
 普通じゃありえないことだが」

自身の首に掛けられたそれを見ながら、腹立たしそうに息を吐く。
もっとも、疑問に思っているわけでもない。
普通ではありえないなら、ここは普通の空間ではないということだ。

「ここは現実世界よりむしろ闇のゲームに近い空間か。
 こういった形を取っている以上、宿主の体と魂は現実空間に置き去り。
 そして今の俺の体は、消えるはずだったものをご丁寧に奴らが用意したもの。
 奴らが用意した以上、何かしらの小細工を仕組んでいるかもしれねぇ…
 この忌まわしい首輪がなくても俺は奴らの掌の上ってことか」

そう吐き捨てるバクラだったが、その実彼の表情は喜色に溢れている。
それも当然。ここは彼にとって存外心地よい空間だった。
彼は闇そのもの。世界が闇で満ちるほど、彼は力を増していく。
そして闇を増幅させ、ゾークに永遠の力を与えるは人間の心。
この空間ほど人間の心の闇を具現化し、肥大化させる場所はあるまい。

「わざわざ奴らは俺様にヴィンテージものの心の闇をプレゼントしてくれるってわけだ。
 問題は、今の俺様に与えられてる力がそこいらの人間と同じ程度ってことか…
 あの場にいた人間はおそらく99人もいねぇ。
 その程度の供物じゃ大邪神としてどころか、闇の大神官程度の力も得られるかどうか」

周囲を歩きながら、考えを整理するように一人呟いていく。
アテムとの戦いにおいてゾークの封印そのものは解かれた。
しかしながら、それを上回る光によって、闇は消し去られたのだ。
ならば三度ゾークとしての形を得るだけの闇を生み出せば、大邪神として蘇生することは可能。
だがそれには、数十人程度の闇では足りない。
この殺し合いで質を高めたとしても、なんとか届くかどうかと言ったところか。だが。

「せいぜいこのゲームを盛り上げて、憎悪や悲嘆を味わわせた上で死なせ。
 心の闇を増幅させてこの場を満たす…『バクラ』としての役割を果たすってワケだ」

足が止まる。
「ゾーク」は無理でも、「バクラ」を現世に復活させるには数十人は十分すぎる。
たとえ、優勝の褒賞を反故にされたとしてもだ。
結論は出た。すなわち…

「いいだろう、従ってやろうじゃねえかゲームマスターども。
 盛り上げてやるぜ、この闇のゲームを!」

邪悪な笑みを浮かべて、デイパックを開く。
これが闇のゲームと同じものであるならば、重要なものは力だけではない。
アイテム。イベント。設置物。それらが重要な役割を果たすはず。
闇のゲームをさんざん行ってきたバクラは、それをよく知っている。

(…せいぜい俺に地位を奪われないよう、気を付けるんだな。
 俺はプレイヤーよりゲームマスターの方が好みなんでね…クク)

そして、いかなるルールにも抜け穴があることも。
反逆の意思は心中にとどめてバクラがデイパックを探っていると、携帯テレビのようなものが出てきた。
疑問を浮かべながらも付属の説明書を読んだバクラの顔に浮かんだものは…笑みだった。

           ※              ※

ライトたちと話し終わったあと、てゐは東のエリアへ向かっていた。
理由は単純。西はライトが行った方向、南は行き止まり、北はもともと自分が来た方向。
となると残りは東しかない。そうしてモールが見えてきた頃、後ろから足音が響いてきた。
警戒も何もない、一直線に向かってくるそれに振り返る。

(…うわ、よっわそう。しかも一人か)

駆け寄ってくる少年を見て、てゐが抱いた感想がそれだった。
役に立ちそうにない、と早くも心の中で評価を下したのと、彼がてゐの前で立ち止まるのはほぼ同時。

「ハァ、ハァ、よかった…誰かいてくれて」
「そんなに息を切らして、どうしたの?」

相手に先に口を開かれたことに心の中で舌打ちをしながら、てゐは言葉を返した。
もちろんかよわい兎を演じているが、これでは自分が助けを求めるどころか助けを求められる側だ。

「僕の名は獏良。いきなり怪物に襲われて、なんとか逃げ出したはいいけどどうしたらいいか
分からなくて、必死に逃げ回ってて…」

息を荒げたまま、彼は続ける。
目には涙を溜め、ズボンは汚れ、これ以上なくみっともない。
やっぱり使えそうにない、とてゐは心の中でため息を吐いた。

―実際は、バクラがわざわざ自分で汚したのだが。

ともかくこうなったら強引に自分のペースにしよう。
そう思い、てゐが口を開く。

「私は因幡てゐって言うの。大丈夫だよ、私もひどい目に遭わされて困っ…」
「なんだ、さっきみたいに別人を装わねえのか?」
「!!」

しかしいきなり顔を上げたバクラは、一歩足を踏み込まて近寄りながら威圧的にそう告げた。
予想外の言葉に、てゐの口が止まる。いや、予想外なのは言葉ではなく、態度も。
さっきまで息を切らしていたのに、今はそれがない。
どこか怯えた、狩られる兎のような様子は消えている。
当然だ。
さっきまでのは、宿主である獏良了を参考にした演技であるのだから。

「あいにくだったな。
 俺はコイツで一時始終を見てたんでね」

そう言ってバクラは千年リングを持ち上げた。真っ赤な嘘である。
いくら千年リングが優れていようと、てゐの行動を逐一監視できるほどの性能はない。
実際には、これはバクラがとある支給品によって得た情報だ。
てゐが誰を偽ったのか名前まで分かっているのだが、それは敢えて口に出さない。
互いに手を伸ばせば届くほどの距離で、てゐとバクラは睨み合う。

「…ふん、変化の杖を使ったところを見てたってこと?
 なんでもありのこの場で、与えられた道具を使いこなすことの何が悪いって?」

どこか切羽詰ったような調子で、てゐは言葉を返した。無論、演技である。
敢えて自分から道具のことを話題に挙げて、自分自身は無力であると装う。
相手がいつから見ていたかは知らないが、ここに来てから使ったのは道具と頭脳だけ。
なぜいきなり態度を変えたのかは分からないが、変えたからには狙いがあるはず。
ならば追い詰められた兎の振りをして、首を刎ねる機会を窺う。
それに対し、バクラはアテムが吐き捨てそうなほどの偽装を以って返す。

「まあ待てよ。こちとら、しがないコソ泥をやってるだけのただの人間でな。
 別に嘘を責めようなんざ思っちゃいねえ。ただ確認したかっただけの話だ。
 単純な話だ…生き残るために手を組まねえか?」
「私が人を騙したのを知った上で?」
「一人が言うより二人が言ったほうが、嘘に説得力が出る。
 さっきの俺の演技はなかなかのモンだったろう?」
「わざわざそれを言うためにあんな真似をねえ。けど、もし私があんたを騙そうとしたら?」
「奇遇だな、俺も役に立たないようならてめぇを見捨てるつもりだ」

その言葉とともに、てゐとバクラの視線に軽い火花が散った。そこに信頼はない。
つまりは、そういうことだ。
バクラが提示したのは、相手に利用価値がないと認めれば切り捨てることを是とした同盟。
言い換えれば、俺より頭がいいと思うなら乗ってみろという挑戦状である。
互いが互いを諮りあうように見つめあうこと数秒、てゐが片手を差し出して。

「まあ、悪党と組むんなら不意打ちしても心が痛まないからね」
「ふん、痛む心があるとは思えねえがな。当分頼むぜ、相方さんよ」

バクラはそれに応え、両者は握手する形を取った。
形式上の信頼を示すもの。もっとも、そこに感情はない。
ある意味、彼らの関係を表すにこれ以上相応しいものだろう。
その後両者は歩き出し…てゐがふと話を切り出した。

「ところで、私をそれでずっと見てたって嘘でしょ?」
「半分な。実際はレーダーの助けを借りた」
「レーダー?」
「こいつだ。周囲にいる参加者の名前が表示される…それを参考にしたってわけだ」

そういってバクラは、携帯テレビのようなものを取り出した。
その画面には「因幡てゐ」という名前が表示されている。
ふーん、とてゐが相槌を打つとともに、バクラはそれを仕舞い込んだ。
ちなみに、言うまでもないが。これもバクラの嘘である。

(たかだが1000年程度を誇りにするガキがずいぶん勘のいい。
 だがアイテムの本当の力については気づいてねえな。
 逆に言えば、下手にアイテムを曝け出せば命取りか)

バクラが先ほど示した支給品は、レーダーではない。
正確にはコメント一覧というもので、周囲の発言を文字にして画面に表示する。
発言主を特定することも可能で、それによりバクラはてゐの発言を見ることができたのだ。
彼は開始からしばらくB-5に留まり、三つ目の支給品…光学迷彩スーツで隠れ動いていなかった。
組む上で便利な相手をコメント一覧の機能で見付けるためだ。
バクラにとって幸運だったのは、てゐが「兎」と自ら発言してくれたこと。
この支給品の届く範囲は自分を中心に半径2マス、直径4マス…一エリアよりも小さい。
これで位置に関して分かるのは、周囲にいるということのみ。
しかも発言しなければそれさえ分からない。レーダーとしての機能を求めるには無理がある。
幸い分かりやすい特徴を言ってくれたことで、バクラはてゐをあっさり発見することができた。
同行している限り裏でいかなる発言をしようと確認できる、それがバクラのアドバンテージだ。
だが。

(明らかにまだ何かしら隠してる。というか人間ですらないような気も。
 何か凄い物持ってるのか、それともそれなりに腕に覚えがあるのか…
 ある程度は実力行使に出られるのを隠しておかないと、対策を立てられておしまいね。
 もし殺る時が来たなら一発で決めないと)

バクラは気づいていない。てゐは頭脳だけではなく、それなりの力も持っていることを。
それがてゐのアドバンテージ。頭を強調したのは、力を隠すため。
追い詰められた振りをして、話題を知恵へと向けさせたのだ。

今のところ、二人の利害は一致している。
二人で組んでいれば、より信用を得やすい。
二人で話せば、より言葉に説得力がある。
二人で無力な存在を演じれば、より同情を誘う。
それがバクラが敢えててゐに話しかけた理由であり。
てゐが敢えてバクラと組むことにした理由だ。
バクラはてゐの頭脳ならばおそらく見破っても乗ってくるだろうと踏み、
てゐはバクラの意図を勘付いた上で、自分の策を補強するために乗った。
単純な利害の一致。だがそれがなくなった時、彼らは相方を殺しにかかるだろう。
彼らの行く末は、果たして。


【B-5 平原/1日目・黎明】
【チーム・うさみみ】
[共通思考]
1.集団に潜り込み機会を窺う
2.隙あらば相方を切り捨てる

【バクラ@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ 】
[状態]:服に軽い汚れ
[装備]:千年リング@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ
[道具]:共通支給品、 光学迷彩スーツ@東方project、コメント一覧@ニコニコ動画
[思考・状況]
1:集団にもぐりこみ機会をうかがう
2:誤情報を流し争いを促進する
3:できるだけ参加者を苦しめ、心の闇を肥大化させる
4:用済みになったらてゐを切り捨てる
※原作終了後(アテムが冥界に帰った後)から登場

【因幡てゐ@東方Project】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:共通支給品、上海人形@東方Project、変化の杖(約5時間使用不可)@ドラゴンクエスト
[思考・状況]
1:集団にもぐりこみ機会をうかがう
2:その際にベジータ、言葉、月を危険人物として知らせて信用を得る。
3:何をしてでも生き残る
4:ベジータ、夜神月を警戒
5:用済みになったらバクラを切り捨てる
※リュークが見えました。ただしはっきりとは見えず、声も聞こえません。
※月を、死神に憑かれて死が近い人間だと思っています。

【光学迷彩スーツ@東方project】
光学「オプティカルカモフラージュ」「ハイドロカモフラージュ」でにとりが使用するもの。
制限の代わりに耐久性が原作以上にひどいものとなっており、一般人の攻撃を受けただけでもぶっ壊れる

【コメント一覧@ニコニコ動画】
動画の右にあるあれ。
自分を中心として半径ニマス先までの発言を盗聴し、画面に表示する。
名前も特定できるが位置は分からない。NG機能もある

【千年リング@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ】
バクラが封じられていた千年アイテム。
自分の魂の一部を物質に封じ込めるパラサイトマインド、他人の魂を人形に封じ込めるマインドール、
意識を失わせる、自分の金縛り状態を解除するor相手を金縛りにするなどかなり多機能。
古代編ではバクラの分身も揃ってこれを持っているところを見ると、宿主と分離した状態でも持っていないと駄目らしい



sm56:夢想歌 時系列順 sm58:魂のYOU☆斬
sm56:夢想歌 投下順 sm58:魂のYOU☆斬
獏良了 sm74:トリプルステルスVSプレミアムマーダー(前編)
sm48:ヤンデレは大変なフラグを投下していきました 因幡てゐ sm74:トリプルステルスVSプレミアムマーダー(前編)






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