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βの鼓動 ◆wC9C3Zbq2k





日の当たらない夜中だからこそ、気温の低さは身に凍みる。
駅までたどり着いた二人がまず行ったのは、明かりの下での首輪の再確認だった。

「どうですか、タケモトさん」
「外せそうな箇所はある。けどこれは手が出せないな……」

彼の見立てでは、サイズ的にもこの先にあるのは直接の起爆スイッチ。
工具セットのここでの使い道は相手を騙して首輪の爆発で殺せということなのだろう。
このことに気付いてしまったせいで、カミーユの信頼が、逆に辛い。
急に言葉少なになったタケモトにカミーユが話しかける。

「どこまであいつらが本気なのか計りかねているのか?」
「一般人に殺し合えというからには火器か刃物か鈍器を配るのが普通のはずなんだ。けどこんなにも違ったら、どういう狙いなのか読めない」

二人ともろくな武器は支給されていない。一番高威力なのが輪ゴム鉄砲だが、これで殴って相手を殺せというのは無理がある。右上たちの言っていることとやっていることに差がありすぎるのだ。
だからわからない部分は、相手が投げ出さない範囲で最も嫌がる手段は何かという発想を当てはめる。タケモトはいつもその発想でゲームを改造し友人をtktkさせてきた。
今回も見ず知らずの人間達に殺し合いを強要するならどう追い詰めてゆくかと考えていけば、鬼畜な案はいくらでも沸いてきた。それこそ、歯向かうことすら無駄に思えてしまうほどに。

「弱気になるのはまだ早いですよ」
「一応平常心でいるつもりなんだから、そうあっさり感情を読まないでくれ」

何度もシミュレートするが、やはり会場に連れてこられた時点でほぼ積んでいる。余程奴らの計画が杜撰でない限り、首輪を一時的に無力化できたとしても強制瞬間移動を防げない。
タケモトはカミーユに問う。

「俺たちを会場に飛ばした瞬間移動って、催眠術の類じゃなかったよな?」
「断言はできませんが、あれは本当の瞬間移動でしたよ」
「謎の技術かよ。あー、誰かに殺されるくらいなら嫁の手にかかって死にたいぜ」
「若く見えるけど奥さんがいらっしゃるんですね。道理で大人に見えたわけだ」

ブラックパックンが実在して婚姻が可能ならその理屈は正しいが、そこまで説明する義理もない。ニュータイプがサトリの化け物などではないとわかっただけでもよしとする。

蛍光灯が照らす中空を見つめ、タケモトは再度質問する。

「それとお前、星座でここがどこかわかったりしないか?」
「あいにくそっち方面には疎くてね。サイド7じゃ無用の知識だし」
「外国の地名を言われてもわからねーよ。なら現在位置を読み取れる奴も探さないといけないな」

外部に助けを求めようにも現在位置がはっきりしなければ脱出経路を決められない。
情報も人員も武装も、今の二人には全てが不足していた。

ときおり冷たい風が吹き抜ける中、小さな駅構内でひっそりと二人は列車を待つ。
暗闇では外の風景から情報を得ることができないので、乗るとしても朝になってから。そのときには終点まで確認しに行くつもりだ。
夜の間はここに隠れ、誰かが電車に乗ってきていれば従軍経験があり洞察力も鋭いカミーユが単身対話を試みると話し合って決める。
何かあっても自分たちを見る限りマシンガンやダイナマイトのようなまとめて殺傷できるものは趣向的に配られていないだろうから、二対一であることを示せば相手は退いてくれるだろうという判断だ。

「カミーユ、お前はこれからどうする」
「首輪を無力化して、ここから脱出するんだろう?」
「その通り。だから脱出の障害になる敵と、脱出の障害になる味方には気をつけないといけない」
「敵はわかるとして、味方が脱出を邪魔して何の得があるっていうんだ」

その疑問ももっともだと言いながらタケモトは話を続けた。
「ナポレオンも言ってるだろ。『怖れるべきは有能な敵でなく無能な味方』って。俺たちがまずすべきことは脱出だ。穏健派でも脱出を最優先できない奴とは今は深く関わるべきじゃない」
「それは……そいつらを見捨てろっていうことじゃないのか!」
「俺だって最初から見捨てたくてこんなことを言ってるわけじゃないよ」

矢継ぎ早にタケモトは首輪を無力化しての脱出にどれだけの条件とその全てに成功する幸運が必要かということを述べてゆく。

「楽観的な見方をしてもいいなら、みんなの首輪はフェイクで爆弾なんて仕込まれてない。この可能性はそれほど低くはないけれど、間違っていたら人死にが増えるし俺はどうやら違ったかなと思ってる」

だから今は、相手が本気を出していることを前提に対処を考えないといけないと彼は告げる。
孔明と怖れられた鬼畜作者の考える「本気」だけに、それは頭を抱えたくなるほど付け入る隙がなく―――
だからこそと言うべきか、カミーユには彼の大げさな警戒が非常に臆病なものに思えた。
武器はふざけたものを配っているし、殺し合いに乗らざるを得ないと思わせるほどのこともしていない。そんな相手に対して慎重になりすぎてはただ機会を逸するだけではないのかと。

「なあタケモトさん」
「俺があいつらなら、首輪を本当に外せるような職人や工具はこの地図の範囲内からまず排除してある。首輪に電波を届かなくして脱出し、助けを呼ぶのが今の段階で考えられる最善手だ。
瞬間移動の仕掛けがわからないことも含めて不安要素だらけだから、うまくいくとは言い切れないし失敗したら殺されるだろうけどな。
ほとんどの奴は自覚してないだろうけど、殺し合いに乗って優勝を目指すなり最後まで隠れ続けて相討ちを期待するなりしたほうが堅実かもしれないくらい悪い状況だよ」
「なあ! ……いくらあいつらの得体が知れないとはいえ、殺し合いを真面目にさせる気があるのかどうかも微妙な奴に対して脅えすぎじゃないのか?」

カミーユは、たとえ出会う相手が役立たずだったとしても危険な相手でないのなら救いたいし、救えると信じたい。
ガンダムに乗って戦場を駆けるようになって以来、母を始めとしてあまりに多くの命が目の前で散っていった。
危険なことは承知の上だ。このうえ救えるかもしれないものまで切り捨てるようなことはしたくはなかった。
声を荒らげつつあるカミーユをタケモトは諭す。

「落ち着けよ。今の段階ではそれくらい思ってないと命を落としかねないってことを……」
「あんたもやっぱり大人の論理で動くんだな。保身ばかり考えて!」
「!」

意見の違いで、溝が、生まれた。
二人ともそれを確信しながらも、我を通そうとすればそれが亀裂になることもまた悟り―――

「冷静になろう。少し時間をくれ」
「ああ」

お互いの思いを抑え込みながら、ただ日の出を待つ。
夜は、まだ長かった。


【A-6 駅/一日目 黎明】
【タケモト@自作の改造マリオを友人にプレイさせるシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、精密ドライバー@現実 野菜ジュース@ぽっぴっぽー
[思考・状況]
1:日が昇るまで待ち、二人で電車に乗って終点まで行ってみる
2:人の命に関わることなのに理想論を持ち込まないでくれよカミーユ
3:首輪を外せはしないと判断。無力化するための協力者を集める
4:実験のための首輪を手に入れる

【カミーユ・ビダン@機動戦士ガンダムZ】
[状態]:健康
[装備]:シルバーウルフ(12/12)(予備弾188本)@フルメタル輪ゴム鉄砲
[道具]:支給品一式、ダイヤの結婚指輪のネックレス@ネ実板(ブロントさん)
[思考・状況]
1:日が昇るまで待ち、二人で電車に乗って終点まで行ってみる
2:人の命に関わることなのに慎重論に逃げないでくれよタケモト
3:首輪を外すもしくは無力化するため、協力者を集める
4:実験のための首輪を手に入れる

※電車はホテル倒壊のせいで定刻通りには来ないはずです



sm50:神様が見た月夜の臆病風 時系列順 sm52:魔法をかけて…?
sm50:神様が見た月夜の臆病風 投下順 sm52:魔法をかけて…?
sm26:SとNTがこの先生きのこるには タケモト sm69:鏡音のドナルコロニー改造 化かし合いし編
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