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武装神姫のリン
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ハウリングソウル
ウサギのナミダ
アスカ・シンカロン
引きこもりと神姫
キズナのキセキ
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浸食機械
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えむえむえす ~My marriage story~

2014年

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悪魔に憑かれた微駄男
Nagi the combat princess
えむえむえす ~My marriage story~

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深み填りと這上姫
キズナのキセキ
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類は神姫を呼ぶ
浸食機械
引きこもりと神姫
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フツノミタマ
白濁!? 阪高神姫部
白い英雄を喰う黒い女神
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流れ流れて神姫無頼
アスカ・シンカロン
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天海市神姫黙示録
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Forbidden Fruit
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車輪の姫君
樫坂家の事情!
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2010年

おまかせ♪ホーリーベル
戦うことを忘れた武装神姫
Gene Less
The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
PRINCESS BRAVE
神姫☆こみゅにけ~しょん
アルトアイネス奮闘姫
ロンド・ロンド

2009年

せつなの武装神姫
双子神姫
鋼の心 ~Eisen Herz~
犬子さんの土下座ライフ。
狛犬はうりん劇場
Memories of Not Forgetting
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2008年

武装神姫のリン
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師匠と弟子
マリナニタSOS!(仮)
橘明人とかしまし神姫たちの日常日記
戦う神姫は好きですか
スロウ・ライフ
徒然続く、そんな話。
妄想神姫
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剣は紅い花の誇り
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武装神姫~ストライカーズ・ソウル~
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クラブハンド・フォートブラッグ
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ホワイトファング・ハウリングソウル
ハウリングソウル
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 ぱらりと、紙をめくる音が響く。
 学校の帰りにコンビニで買ってきたマンガ雑誌だ。
 今読んでるのは、良くあるバトルもの。どのくらい良くあるかと聞かれれば、お爺ちゃんの家で読んだ三十年前のバトルまんがと大筋が変わらないくらい、よくある話だ。
 お爺ちゃんや父さんに言わせれば、「連綿と受け継がれた様式美の極み」なんだそうだけど。
 ちょっと話が逸れた。
 今見ているのは、見開きで描かれた、敵の新必殺技が炸裂するシーンだ。
 さらりと見て、ぱらりとめくる。
「あ、まだそのページ読んでない」
「ごめん、ジル」
 傍らから聞こえてきた声に、ページを戻す。
 どうやら彼女は、見開きの大きなコマを読むのが余り得意じゃないらしい。
「うし、いいよ」
 めくった次のページは、戦いを見守る仲間達が敵の必殺技の詳細を解説するシーンだった。
「なー。まだ読み終わらないの?」
 小さなコマは読みやすいのか流しているのか、読むのが異様に早い。
「はいはい……」
 必殺技の種明かしは後で読み直したときの楽しみにするとして、次のページへ。
「そうだ、十貴」
 次回に続くで雑誌を閉じれば、机の上でマンガを覗き込んでいた『彼女』が口を開いた。
「何? やっぱり肩に乗って読む方が良い?」
 身長十五センチのジルにとって、机の上に広げられたマンガを読むのは結構な大仕事らしい。考えたら、机の上に広げたマンガ雑誌を、同じ机の上に顎を乗せて読んでいるようなものだ。
 一度同じやり方で雑誌を読んでみたら、五分くらいで力尽きたことがある。
「や。それは慣れたからいいんだけどさ」
 じゃ、何だろう。
「この一週間すっかり忘れてたけど、あたしの武装は?」
 武装って……?
「……十貴」
 ジルの声が、一オクターブ下がった。
 あ、これ、怒ってるときの声だ。
「な、何?」
「あたしの商品名は、何だ?」
 えっと確か、武装神……
「……あ」
「今まであたしがバトルフィギュアだって忘れてたろっ!」
 次の瞬間、ボクの額にはジルの右足が叩き込まれていた。
 っていうかそれ、ほのぼのとバトルまんが読んでる奴に言われたくないよっ!


魔女っ子神姫 マジカル☆アーンヴァル

~ドキドキハウリン外伝~

その2



「いや、バトルフィギュアだってのは覚えてたんだけど……」
 押さえた額には、ご丁寧に十分の一スケールの足跡が刻み込まれている。
「何だ」
 対するジルは既に机に着地した後。ものすごく偉そうに腕を組んで、こちらを見上げている。
 見上げてるのに、見下ろされてる気になるのはどうしてだろう。
「何というか、父さんの超合金とか気に入ってたし、専用武装出す必要ないなぁとふみゃっ!」
 また蹴りが来た。
「ばかやろう! ありゃ趣味だ!」
 金色のハンマーを抱えてみたり、ミサイルランチャーを腕に付けてニヤニヤしてたのって、趣味だったんだ。
「それに専用装備じゃないと公式バトルに出られないだろうがっ!」
 これだけ凶暴なのに、武装なんか加わった日には……どうなるんだろう、ボク。『中立地帯』の張り紙も三日くらいで効果なくなっちゃったし、なんかボクの体が本気で保たない気がしないでもない。
「ていうか、バトルに出る気あったんだ……」
「当たり前だろ! 神姫ってのはそういうもんだ!」
 こんな血の気の多いロボット娘達が、武装までしてド突き合うの?
 嫌だ。それ本気で嫌だ。
 しかもそれにボクが巻き込まれるとか、洒落になってない。
 あ、でも……。
「っていうか、まだ神姫って正式発売されてないから、公式バトルもへったくれもないんじゃ……」
「あ……」
 ジルの動きが一瞬止まり。
「そう言うことは先に言えっ!」
 次に来たのは、やっぱり容赦のない蹴りだった。


 一週間ぶりに取り出された神姫の箱の中には、様々な武装がひとセット納められていた。まだテストショット段階だったのか、塗装の済んでいない装備もちらほらと入っている。
「……ふむ」
 二の腕のジョイントに凶悪そうなデザインの片手剣を取り付けながら、ジルは満足そうな笑みを浮かべた。
「ロケットパンチもいいけど、やっぱりこれがしっくり来るな」
 そんなことを呟きながら、今度は手首のジョイント機構を解放する。解放信号を受けた形状記憶合金製のリングが平らな板状に展開し、接続待機状態へ。
 そこに装備を近付ければ、展開していた金属板が装備にしゅるりと絡み付き、基部に備えられたハードポイントに武装をしっかりと接続・固定する。
「初めて見たけど……。すごいね、そのジョイント」
 外観のイメージとしては腕時計に近い。
 腕時計のベルトの部分が武装固定部品となる展開式の金属板で、文字盤の部分がパワー供給部を兼ねたハードポイントだと思ってもらえばいいだろう。
 この機構のおかげで、神姫は装備の接続部分の形状を気にすることなく、自由自在な装備を行うことが出来るのだという。
「だろ。便利だぜ?」
 慣れれば、手が塞がっていてもその辺のものをつまんだり、ドアノブをひねったり出来るらしい。
「そうなんだ……」
 両足をオプション武装に付け替え、背中には大型腕を装備。
 身長は二割増といったところか。四本腕と、翼にも見える曲がりくねった刃を備えた異形のシルエットこそが、ストラーフの完全武装モードらしい。
 その姿は、悪魔というよりまさに怪物といった……。
「ンだよ、十貴」
 うわバレたっ!
「いや、別に……」
 マズい。
 この姿のジルに蹴られたら、ホントに死んじゃうよ。足の甲にもなんか刃物みたいのがあるし、そもそも脚力は十倍くらいになってそうだし、回し蹴りとか来たらとか、考えただけでも恐ろしい。
「その目はあれだろ! なるほど悪魔だなとか、そういう事考えた目だろ!」
「ち、ちがうよぅ」
 もっとヒドいこと考えてたなんて……。
「まあいいや。これでマンガも読み放題だし、十貴の隠してるエロ本も探し放題っと」
 ……え?
 そりゃまあ、その腕ならマンガのページだってめくれるだろうけどっていうか、エロ本って何!
「そもそもジル、その武装で公式バトルに出るのが目的じゃなかったの?」
「公式バトルはまだ始まってねえぜ?」
 ニヤニヤと笑うジルの目は、「さっきお前が言ったばっかだろ?」と意地悪く囁いている。
「それに、お前の父さんのレビューが終わったら、あたしはメーカーに戻されるだろうしな」
 あ……。
 そう、か。
 ジルは父さんが借りてきた、レビュー用の神姫なんだっけ。
「ま、短い付き合いになるだろうけど、よろしく頼むわ。マスター」
 どこか寂しそうに微笑みながら、ジルは背中から伸びた大型腕をこちらにすいと向けてくる。
「うん……」
 ジルの手は小さくて、指先でしか握手できなかったけど、大型腕はしっかりと握り返すことが出来た。
「だから返される前に、青春の秘密が置いてある場所だけ教えてな」
 いや、そもそもそんなもの持ってないから!


 向かい合ってレトルトのカレーを食べながら、父さんがぽつりと口を開いた。
「なあ十貴」
「レトルトなら別に気にしないでいいよ」
 父さんが食事当番の日はいつもこうだ。仕事も忙しいみたいだし、二人の食卓にももう慣れた。
 普通に離婚しただけだから、母さんとはいつでも会えるしね。
「それは分かってるから良いんだが……ジル、どんな感じだ?」
 ああ、そっちか。
「父さんはあれいい感じだと思うんだけどな。ネットの前評判は今までの自律式アクションフィギュアの二番煎じだとか何とか言われてるけど、今回はちょっと違う気がするんだよなー」
 AI搭載型の自律式小型ロボットは、何も武装神姫が初めてじゃない。
 特にロボット技術の小型化が飛躍的に進んだここ十年は、様々な自律式アクションフィギュアが世の中を席巻してきた。
「GFFとかSRWのこと?」
 生誕五十周年企画として発売された超小型ロボットを使った対戦ゲームに始まり、自作武器の規定まで盛り込んだ無差別ジャンルのロボット戦に、ヒーローフィギュアを使った多人数戦、果てはぬいぐるみにAIや駆動機構を組み込んで対戦させるといった良く分からないものまで、数限りない企画が生まれ、消えていった。
「あの辺も面白くはあったけどなー。何だかんだ言ってバトル特化だっただろ?」
「まあ、そうだね」
 何度か父さんがレビューで借りてきたロボットで遊んだことがあるけど、長続きした覚えがない。わざわざ買ってまで遊ぼうと思ったものに至っては皆無といって良かった。
 せいぜい、害虫駆除用に使えるってことで、ホイホイさんとコンバットさんを買ってきた程度だ。
「今回はバトルとコミュニケーションの両方を攻めるコンセプトで作ってあるみたいだし、ハマれば流行るんじゃないかなぁ?」
 だから、武装神姫はこの手のジャンルとしては最後発。ひいき目な見方をすれば、今までのジャンルを全て取り込めるポジションにあるとも言える。
「本音は?」
「父さんのコレクションを分かってくれたAIロボットなんて初めてだ」
「やっぱりそっちなんだ……」
 前に借りてきたバニング大尉仕様のジムカスタムは、父さんが愛して止まないドリルを全否定してたしね。随分と渋い声で喋るジムカスタムだったけど、性格のベースになったキャラに何か嫌な思い出でもあったんだろうか?
「ん? 十貴はジルと合わないか?」
「そういうわけじゃないけど……」
 ジルは言葉遣いは荒いし、すぐ手が出るし、セクハラネタばっかり振ってくるし……。
 ……でも。
 ……。
 ……でも。
 ……。
「……ごちそうさま」
 何となく食欲が無くなったボクは、そのまま席を立った。
「十貴。ちゃんと食べないと大きくなれないぞ?」
「いいよ別に」
 本当は全然良くないけど、そこで戻るのも癪だったので一息に部屋を後にする。



「……反抗期かねぇ」
 残された男は、静かにため息を吐いた。
「ジルとは長い付き合いになるんだから、もうちょっと仲良くして欲しいもんだが……」
 食事の間は控えていたタバコに火を点け、胸の奥まで吸い込んでやる。禁煙運動華やかりし二十世紀末に生まれた彼だが、今となっては当時の教えを快調に逆行する、重度のヘビースモーカーだ。
 ラベルの八割を占めるようになった注意書きをぼんやりと眺めながら、煙混じりの息を長く吐く。
「武装神姫の長期レビューは前途多難、か」
 レビュー期間は一年半。公式大会への参加が条件で、レビュー期間が終わった後の神姫はこちらで引き取っていい事になっていた。

 その条件を息子にまるまる伝え忘れていることに気付くのは、それからさらに一週間ほど経ってからの事となる。





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