「―――世紀末」(2009/08/02 (日) 19:36:38) の最新版変更点
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*―――世紀末 ◆vXe1ViVgVI
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「なに……?」
閃きの速度で振り下ろされた無限刃は、地面を傷付けるに終わった。
確かにそこに居た筈の死に掛けの男に命中する事もなく、無機質な地面を抉っていた。
「う、後ろ!」
鼓膜を叩く声に首を回すと、未だ傷という傷から血を流している男が立っていた。
いつのまに……、と不審を浮かべつつ志々雄は振り返る。
首元を狙った一撃は、確実に奴の命を奪った筈だった。
だが、何の奇術を使用したのか、この男は必殺の刃を回避し自分の後ろを取った。
白兎の声を聞くまで、後方へ回り込まれた事に全く気付けなかった。
つまり、その影を追う事すら自分には出来なかったのだ。
まさかそれ程のスピードでこの半死人が動いたとでも――?
「……何をした」
常に張り付けていた笑みは遂に陰りを見せ、トキを睨む志々雄。
彼の発汗機能が正常であれば、その頬には冷や汗が流れていただろう。
対するトキは、その言葉を聞き流し志々雄を見やる。
瞳には未だ覇気が宿っていおらず、構えを取る訳でもなく志々雄を見る。
「……てめえは、何をしたんだ……!」
志々雄は明らかな警戒を見せていた。
今まで常に愉悦と余裕を持って戦っていた志々雄が、明らかな警戒を……。
引き締まった表情で無限刃を構える志々雄に油断は見られなかった。
「……貴様に……」
そんな志々雄を前にして、トキが遂に動いた。
ポツリと言葉を落とし、僅かな感情を宿した瞳を志々雄へと向ける。
彼を知る者であれば、その瞳に映る感情を見て驚く事だろう。
「――貴様に今日を生きる資格はないッ!」
『憤怒』―――その感情が彼の瞳を染め上げていたのだから。
元来、トキが『怒り』を見せる事など殆どない。
彼が救済を努めていた村が強盗集団に襲撃され、沢山の人々が殺害されたとしても彼は怒らなかった。
彼が本気で『怒り』を覚えた唯一の時は、拳王の正体を知ったその時のみ。
それから様々な戦いを経るが、彼が『怒り』という感情を宿した事はない。
その振る舞いを見た人々は、彼を聖者とさえ呼び敬った。
だが、そんなトキが今この場では憤怒に身をたぎらせている。
主催者達が設けた精神操作の所為か、彼の内に埋まった一枚のDISCの所為か、それともそのどちらもが影響してか―――彼は真に『怒り』を見せていた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
そのDISCは大河に支給された最後の支給品であった。
CDの形をした、まるでジョジョの奇妙な冒険に現れるスタンドDISCのような支給品。
その説明書には大河も目を通していたが、内容を理解する事はできなかった。
だから、大河はDISCについてを誰にも告げなかった。
告げる暇がなかったという方が正しいかもしれないが、大河がその支給品について語る事はなかった。
説明書に記されていた内容は以下の通り。
『支給品名・ニコ産AI』
『このDISCは。ニコニコで産まれたMUGENキャラのAIです。
装備したキャラのAIレベルをMAXにまで引き上げる事が可能です。……が、
装備できるキャラはMUGENにてキャラが作成されている者だけなんで気を付けてね』
MUGEN、キャラAI、MAXまで引き上げる……大河にとっては意味不明な単語ばかりが載せられた説明文。
見た目はただのCDで、装備の方法すら分からない。
取り敢えず、手に持ってみたものの何ら変化が起きた様子はなし。
その時、行動を共にしていた伯方の塩にも持たせてみるも何も起きず。
およそ数分に及ぶ試行錯誤の末、大河はDISCをデイバックの奥底に沈めた。
そして、後に起こった様々な出来事と、その理解不能な内容とが影響して、その存在は忘却の彼方へと追いやられてしまった。
その支給品が今、巡り巡ってトキへと装備された。
原作性能とまではいかないが、それでもMUGEN界で世紀末っぷりを見せ付けるトキへと渡されたのだ。
そしてAIレベルがMAXとなったトキは将に―――世紀末。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「ゆくぞ!」
ナギッという音と共にトキの姿が掻き消える。
否、掻き消えたかの如く加速で志々雄へと一直線に直進した。
間合いは一瞬で詰まり、トキの拳、志々雄の無限刃どちらもが届く距離へと縮まる。
「チィッ!」
自身の宿敵にさえ迫りかねない異常な速度に舌を打ちながら、志々雄が刃を横に薙ぐ。
その高速の横薙に対しトキが選択した行動は、
「――激流では勝てぬ」
白刃取り。
線と化した日本刀を両の掌で易々と受け止める。
そして放たれるは返しの裏拳。
白刃取りに使用された両腕の片一方を離し、流水の如く滑らかな動きで一撃。
まるで吸い込まれるように志々雄の顔面に当たり、その身体を吹き飛ばす。
―――ナギッ、ナギッ
地面と平行に飛ぶ志々雄を高速移動術で追尾するトキ。
宙に浮く志々雄は抵抗の術を持たない。
追い付いたトキの蹴撃が、その腹部に直撃する。
蹴り上げにより志々雄の身体が、まるで打ち上げ花火の如く空高く舞い上がった。
そして始動するは―――世紀末コンボ。
「北斗天翔百烈拳!」
技名を体現するようにトキが天へと飛翔、腕が増えたとさえ錯覚させる程の連打を志々雄へ撃ち込む。
衝撃に包まれ、地面へと墜落する志々雄であったが、まだトキのターンは終わらない。
志々雄よりも早く地面へ降り立ち、膝立ちからの小パン。
次いで、まるでリピートされているかのように同じ動作で蹴り上げ。
トキの身体が飛翔し、百の拳が炸裂した。
そして、志々雄に追撃を行うためまたもやトキが駆ける。
―――ナギッペシペシナギッペシペシハァーンナギッハァーンテンショウヒャクレツ―――
終わらない。
―――ナギッカクゴォナギッナギッナギッフゥハァナギッゲキリュウニゲキリュウニゲキリュウニミヲマカセドウカナギッ―――
幾度と宙を舞い、幾度と叩き落とされ、幾度となく叫びを上げても―――そのコンボが途切れる事はない。
地面に触れさせてさえ、もらえない。
何時までも何時までも、空宙で弄ばれ続ける。
―――カクゴォハァーンテンショウヒャクレツケンナギッハアアアアキィーン―――
「北斗有情断迅拳!!」
―――ようやく地獄が終焉を迎えるかと思われたその時、最後の最後にトドメの奥義が志々雄を貫く。
最早、地面と数センチの距離にまで迫っている志々雄に有情(笑)の手刀が振り下ろされ、全身の秘孔に衝撃が走った。
「あ……あ……」
眼前でリアル世紀末を見てしまったてゐは、再び蛇に睨まれたカエルになっていた。
自分にとっては捕食者とも云える存在の志々雄が、手も足も出せずに瞬殺された。
数秒前まではただの死にかけだった人間が、突如として驚異的な復活を遂げた。
意味が分からない。
この男は何者なんなのだ。
自分達は――この男に手を出すべきではなかった。
「……う、うわぁぁぁぁああああああ!」
恐怖に押し負けたてゐが、無防備に背中を見せ逃亡を始める。
飛行能力も駆使されたその速度は相当なもの……だが、この世紀末病人から逃げ仰せるには何もかもが足りなかった。
ナギッ、またの名を北斗無想流舞で回り込むと、トキは殺気の籠もった眼でてゐを睨む。
「ひっ!」
逃亡が不可能だという事に気付かされたてゐは、反射的に右手を差し出していた。
そして、指先から撃ち出される何十に及ぶ魔力弾。
ほんの数メートルの距離から放たれる弾幕。壁のように迫るそれに対してトキが構えを取った。
「―――激流に身を任せる」
両手が描くは真円。
たったそれだけの動作で眼前に迫る暴力の波は無効化され、代わりとして蒼色の球体が返された。
球体は弾幕という名の激流を意にも介さず直進し、てゐに急迫する。
「なっ!?」
自身が放つ弾幕を物ともしない謎の反撃に、てゐは驚く事しかできない。
一瞬の間の後に命中……その体勢を大きく崩した。
「闘剄呼法!」
命中と同時に放たれた追撃の衝撃波が、怯んだてゐを宙に吹き飛ばす。
そして、そのままコンボを繋げ、地に伏せる志々雄の所へと運送した。
―――が、そこで何故かトキの動きが止まる。
トキは苦しげに胸を抑えその場にうずくまってしまった。
苦悶の表情と共に口から吐き出されるは鮮血。
この土壇場……トドメの瞬間に至って、彼の全てを奪った病魔が再び暴れ出したのだ。
―――『怒り』とは北斗神拳の真髄……そしてトキはかつて伝承者に一番近いと称された男。
『怒り』を解放したトキはあの拳王すら凌駕する可能性さえ、ある。
だが、病に冒された『怒り』はトキの身を著しく蝕んでしまう。
拳王との初戦に於いても、『怒り』により病魔が進行し、一度の交錯のみで限界を向かえ敗北。
そして、トキはカサンドラへ幽閉されてしまったのだ。
その時と同様の現象が、今この瞬間にも発生していた。
今まででさえ『怒り』と『ニコ産AI』の二つの要素より、何とか身体を動かしていた状況。
此処にきて一転、トキは命の窮地へと追い込まれる事となった。
「シャアアアアアアアアア!!!」
加えて状況はまだ悪化する。
あれだけの攻撃を受けた志々雄が立ち上がり、刃を振り被ったのだ。
偶然により訪れた最後の勝機を、男は瀕死の身体であろうと見逃さなかった。
限界を超える身体を無理矢理に走らせ、トキへと急接近する。
「ガァァァぁぁぁぁああああああ!!」
志々雄の左手では、トキにより運送されたてゐが首根っこを掴まれていた。
おそらく気絶しているのだろう、てゐはピクリとも抵抗する様子がない。
そんなてゐを志々雄は利用する。
この弱肉強食の世界を生き抜く為に、自身の最強を証明する為に―――志々雄はてゐを投擲した。
視界がてゐの身体により覆われ、トキは志々雄の姿を見失ってしまう。
病により動かない身体、加えて敵を見失った現状……この最大の好機を前に志々雄が吼えた。
全身に襲うダメージを精神で抑え込み、疾走する。
(所詮この世は弱肉強食……強ければ生き弱ければ死ぬ)
志々雄が身を置いた場は、てゐの真後ろ。
奴の背後へと回り込めば、あの化け物はおそらく察知する。
自身の命を省みず、敵の排除を優先する筈。相討ちすら視野に入れて行動する筈だ。
ならば、この娘を盾に近付き、娘ごと奴を斬り裂く。
奴の攻撃が徒手空拳である以上、盾を貫通して攻撃を喰らわす事は不可能。
「生きるべき者は――」
この勝負、勝つのは――
「―――この俺だ!!!」
てゐの身体を刃が貫き、その先にいるトキへと襲い掛かる。
切っ先の直線上にはトキの頭部。
それは、刃が命中すれば確実に命を墜とすだろう部位。
迫る刃を前にトキは――
―――時は2006年……ある格ゲー大会の決勝にて理不尽な決着がついた。
ルールは2ラウンド先取。
1ラウンドを勝ち取ったのは、終始攻め続けた『タジ君』。
2ラウンドを勝ち取っのは、結果としてこの大会の覇者となる男『紅の豚』であった。
『紅の豚』の持ちキャラは、その当時圧倒的な性能で誰もが最強と認めていた曰く厨キャラ。
そんなキャラを用いて決勝に勝ち抜いてきた『紅の豚』を、応援する者は極少数だった。
会場の大半が『タジ君』に声援を送り、厨キャラを破っての優勝を望んでいた。
その勝負、優勢だったのは『タジ君』……客席が望んだその瞬間が確かに近付いているように思えた。
いや、誰もがそう確信していた。
コンボを失敗するも必殺奥義を命中させ、体力ゲージから見てもしても『タジ君』が有利な状況。
壁際に追い詰めた『紅の豚』へとブーストで接近する『タジ君』。
ここでコンボに成功すれば優勝、テーレッテーを決める事も可能。
だが――
セッカッコーハアアアキィーン
――この世紀末ゲーは……いや、この世紀末病人は―――最後の最後で全てをぶち壊した。
カウンターで当てられたブッパッコー、もといセッカッコーが『タジ君』を反対側の壁へと吹き飛ばす。
『タジ君』が壁に激突した時、『紅の豚』は既にコマンドを入力し終えていた。
テーレッテーホクトウジョーハガンケンハァーン
―――会場中が溜め息に包まれた瞬間だった。
歓喜するは『紅の豚』とその取り巻きのみ。
会場の殆どの人間が拍手すら送らず、悲しみと虚無感に静まり返っていた。
圧倒的劣勢を覆す余りにも無情な様式美……このコンボは後々にMUGEN界にも知れ渡る事となる。
その名も『紅の豚さんありがとう』――この世紀末ゲー愛好家を震い上がらせた凶悪コンボは、MUGEN界に於いても様々なキャラを葬ってきた。
そしてそれは、このバトルロワイアルでも例外ではなく―――
「――刹活孔!」
その技名が聞こえたと同時に、盾として差し出されていた筈のてゐが、物凄い圧力と共に吹き飛んだ。
逆に押し返され、自分へと迫るてゐを志々雄は身を捩り、避わす。
「チィッ!」
が、その身体を貫いていた無限刃の軌跡には僅かなズレが招じてしまい、無限刃はトキの頬を削り取るに終わった。
てゐの身体が、まるで氷上を滑るスケート選手のように後方へと飛んでいく。
その光景を背中で見送りながら、志々雄は空振りの刃を引き戻し、再び掲げた。
(まだ抵抗するとはな……なら、これで終わりにしてやるよ)
下方から掬い上げるように、刃を地へと擦り付ける。
鍔元から切っ先まで、無限刃の鋸状の刀身全てを地面に当て、その全発火能力を開放。
「終の秘剣・火産霊神(カグツチ)!!」
刃を隠す程の巨大な火炎が渦を巻き、無限刃を覆う。
その熱量は今までのものとは比べ物にならず、まさに業火と云うに相応しい。
志々雄が持つ、最強にして最後の奥義が発動された。
だがしかし、
(なに―――)
志々雄が勝利を確信する事はそれでも、ない。
逆に志々雄は、血煙の先に現れた不可思議な景色へ、意識を取られていた。
(あいつは、何を―――)
何の原理か宙に浮かび胡座をかくトキ。
トキは、驚愕の志々雄と迫る火炎を前にして、両手を降参を表すかのように掲げる。
勿論、それが意図するところは降参などではない。
その不可解な体勢から放たれるは読んで字の如く一撃必殺の―――
「―――北斗有情破顔拳!!」
―――テーレッテー♪
//本来投下された原文では「―――テレッテー♪」だったが、どうしてもこれだけは譲れなかったので修正
//あえてネタとして「―――テレッテー♪」を選んでいたというのなら、気にせず復元してしまってかまいません
「ハァーン!!」
―――紅の豚さんありがとう!!
身体を包む衝撃……だがその衝撃の中に痛みは含まれておらず、むしろ志々雄は快感すら覚えていた。
薄れ歪んでいく意識で、志々雄は最後の光景を知覚する。
それは、夕刻だというのに燦々と空に輝く一組の星座。
そして、もう一つ……七つ連なるその星座に寄り添うように光る星。
志々雄はその光を最後まで見詰めながら、後方に吹き飛ばされたてゐと同時に―――爆散した。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
そして、立つ者が誰もいなくなった草原……トキは爆散した二つの死体を眺め、血を吐いた。
「……まだだ……まだ……」
それでもトキは力尽きようとはしない。
てゐの不意打ちと志々雄の斬撃により限界へ追い込まれていた身体は、『ニコ産AI』と『怒り』の効果により限界を越えた動きを行い、もうボロボロだった。
だがそれでも、トキは手足を引きずり身体を動かす。
一つでも多くの命を、一人でも多くの人々を助ける為に、トキは動く。
「頼む……生きて、くれ……」
視線の先にいるのは、地を鮮血で染める二人の人間。
今のトキには、二人が生きているのか死んでいるのかすら、判断する事すらできない。
……事実だけを言えば、二人の心肺は既に停止しているのだが……それを知らずにトキは最後の瞬間を燃やし続ける。
そして、二人の元に辿り着いたトキがその身体に触れた。
「……ダメ、か……」
直接触れる事により、その事実はようやくトキにも伝わった。
温もりはまだあるものの、拍動は感じられない。
二人は―――死んでいる。
「……い……や……まだ……諦め……」
その事実を認識して尚、トキは北斗の拳を振るった。おそらくはこれが最後になる拳を……。
もはや漆黒に染まる視界の中でも、トキの二指は正確に秘孔を貫いた。
何度も、何度も、何度も何度も、何度も……その効果が回数に比例しないと知っておりながらも、トキは二人の秘孔に刺激を送り続ける。
「……頼、む……生き返ってくれ……頼……む……」
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も……トキは、秘孔を突き続ける。
「……命は、投げ捨てるものでは……ないのだ……こんな殺し合いなどで…………投げ捨てられるもの……で、は…………」
まるで祈るように、それ以外の動作を忘れてしまったかのように、秘孔を突く。
「……命は……投げすてるもの――「うるせえんだよ、人殺し野郎がぁぁぁぁああああああああああ!!!!!」
―――そして、トキの頭部へと、唐突にスケボーが振り降ろされた。
頭部がグシャッと凹み、血を噴き出す。
だが、それで開放される事はあらず……先程のトキのように何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、振り降ろされるスケボー。
スケボー自体が衝撃に耐えられず、徐々に崩壊へと進んでいく。
そして、スケボーのデッキ部が割れ、武器として役目が果たせなくなったその時に至り、ようやく動きは止まった。
「ちっ、クソが」
半分に割れたスケボーを手に、トキを殺害せし者―――KAITOは周囲を見回し、唾を吐き捨てた。
KAITOが意識を取り戻した時には、全てが終わっていた。
血を流して横たわる五つの死体に、倒れ伏すアレックス。
動いている者は一人……アレックスと口論の最中、突然襲撃してきた男のみ。
その惨状をボヤけた意識で眺め、KAITOは決め付けた。
この惨劇を起こしたのはあの男だと、やはり殺し合いに乗っているから自分を襲撃したのだと……大した思考も行わず、歪んだ答えを押し付けた。
仮面ライダーに変身していたお陰か、身体に大したダメージは残っていなかった。
KAITOは側に転がっていたスケボーを拾い上げ、何かを呟きながら死体を弄ぶ男へと近付く。
そして、迷う事なく振り降ろした。
何度も、何度も、何度も、スケボーを振り下ろし、最後の瞬間まで仲間を想い続けていたトキを―――殺害した。
「アレックスは……もう良いか。所詮、俺の正義も理解できない筋肉バカだ。
この男にも負けたようだし、連れて行っても足手まといにしかならないだろ」
今まで助けて貰っていた自分を棚に上げ、言うだけ言ったKAITOは歩き出す。
惨場の中に仲間だった男を放置して、自分が成した罪に気付こうともせずに―――KAITOは五角形の織り成す惨劇から抜け出した。
【D-4 草原/1日目・夕方】
【KAITO@VOCALOID】
[状態]:健康、精神的疲労(中)、高揚感、
[装備]:ベレッタM96(残弾数10/11)@現実、ブレイバックル@仮面ライダー剣
[道具]:支給品一式×3、ハンバーガー4個@マクドナルド、クレイモア地雷×5@メタルギアソリッド、
必須アモト酸@必須アモト酸、2025円が入った財布(ニコニコ印)@???、ハーゲンダッツ(ミニカップ)×3@現実、
Rホウ統(使用済)、ブレイバックルの説明書、医療品一式(簡易な物のみ)、はてなようせいがプリントされた毛布
[思考・状況]
1:クラッシャー殺したぞ、俺は強くなったんだっ!
2:強くなった俺が間違ってるはずはない、死ぬはずもない!
3:知り合いが殺されたんだから例え人殺しをしても仕方ないだろ。仇討ちの一種だ。
4:生きるためなら例え卑怯な事をしても仕方がないだろ。正当防衛の一種だ。
5:リン、レンが心配。特に洗脳されているリンが心配。
※高揚しているので気づいてませんが、ブレイバックルにより自身の崩壊のイメージが植えつけられました。
再び臆病になると強くイメージが脳内に現れるようになります。
※クラッシャーのデイバッグを拾いました。
「ウッ……」
「グッ……」
KAITOが地平の彼方へと歩き去った数分後、死が蔓延する場に、声がなった。
この場に残された唯一の生者は、その疲労の深さも影響してか、沈黙のまま気絶している。
この声はアレックスのものではない。だが、他の六人は既に死体と化している。
二人は斬り裂かれ、二人は叩き潰され、二人は爆散して、死んでいる。
アレックスを除けば、声を出せる者など誰も居ない。
その筈なのに―――僅かではあるが、声が響いたのだ。
―――少し、考えてみよう。
この場にある死体の殆どは相当に損傷している。
大河は胴体を真っ二つに裂かれ、加えて無限刃の発火能力により炎上、炭化。
志々雄とてゐは北斗有情破顔拳の効果により顔面と上半身が爆散。
トキは執拗な殴打により、その判別が付かない程に顔面を潰されている。
この四つの死体は、物理的にすら声を上げる事は不可能だろう。
ならば―――答えは自ずと見えてくる。
そう、トキは二人の蘇生に成功したのだ。
幻の北斗神拳継承者の技巧が、死を前にしたガムシャラな気持ちが―――奇跡を起こしたのだ。
彼は最後に二人の仲間を死から救う事が出来た。
血塗られた、悲哀と闘争に支配された彼の人生は『救済』によって締めくくられた――
&color(red){【海原雄山@美味しんぼ 死亡】}
&color(red){【逢坂大河@とらドラ! 死亡】}
&color(red){【因幡てゐ@東方project 死亡】}
&color(red){【志々雄真実@るろうに剣心 死亡】}
&color(red){【トキ@北斗の拳 死亡】}
【D-4 草原/1日目・夕方】
【紅 美鈴@東方project】
[状態]頭部にダメージ(大)、右脚に銃痕、フランドールへの絶対的な忠誠、気絶中
[装備]無し
[道具]支給品一式
[[思考・状況]
基本思考:参加者の救出及びゲームからの脱出
1:日没までに映画館へ戻りフランドールと合流する。フランドールの意思を最優先
4:十六夜咲夜を警戒
5:知り合いの情報集め
6:殺し合いに反対する者を集める
7:ちゃんとした剣をメタさんに持たせたい
8:脱出方法を確立する
[備考]
※主催が簡単に約束を守ってくれる、とは考えていないようです。
※フランドールと情報交換をしました。
【相楽左之助@るろうに剣心~明治剣客浪漫譚~】
[状態]:肩から脇腹にかけて斬り傷と重度の火傷、左脚に銃痕、気絶中
[装備]:マッハキャリバー(ローラースケート状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS リボルバーナックル@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1:これが俺だ。全部守って闘う。
2:三人と共に行動。
3:志々雄を警戒
4:二重の極みが打てない……だと……?
5:主催者相手に『喧嘩』する。
6:弱い奴は放って置けねぇ。
7:主催者になんとかたどり着く方法を模索する。
8:最悪の場合は殺す。でもそんな最悪の場合には絶対持ち込ませねぇ
【マッハキャリバー(ローラースケート状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 】
[思考・状況]
0:なんという……
1:サノスケに同行する。
2:可能な限りの参加者を救助したい
3:志々雄真実を警戒
4:相棒……無事ですよね?
[備考]
※マッハキャリバーの不調もサノスケの不調も制限によるものです。
※佐之助はマッハキャリバーを結構使いこなせていますが”完全”には使いこなせていません。
※佐之助の機動力はかなり強化されています。
※E-5の橋を通過した者のおおよその行き先を知りました。
※支給品についてマッハキャリバーから説明を受けましたが、若干事実とは異なっています。
※PDA(長)(携帯電話)を落としました。
※マッハキャリバーが意思を持っていることは誰にも気付かれていません。
※志々雄と自分の時間軸が違うことに気付いていません。
【アレックス@MUGEN】
[状態]:重度の疲労、全身に打撲(少し回復)、左腕に刺し傷(少し回復)、困惑、気絶中
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、九条ネギ@現実、伯方の塩(瓶)@現実、魔王(芋焼酎)@現実、福沢玲子のシャーペン@学校であった怖い話
[思考・状況]
1:カ……、カイト…………。
2:自身についてを再認識。
3:リンに出会ったら…………。
4:バルバトスが死んだことに安堵
5:殺し合いを止める為、仲間を集める。知人や、首輪が解除できそうな人物を優先。
6:あのピエロに出あったらどうしよう……
7:温泉にはいつか行きたい……
※F-3のデパート内に、床に大きく穴が空き、壁が一部粉々になっている部屋が一つあります。
※トキ、DIO、十六夜咲夜をMUGEN出展の彼等と誤解しています。
また、MUGEN内の扱われ方からDIOと咲夜が親子だと思っています。
※名簿が最初白紙だったのには、何か理由があると考えています。
※弱音ハクの支給品を拾いました。
※D-4の草原にトキ、大河、志々雄、てゐの死体が転がっています。
またその側に、ニコ産AI@MUGEN、日本刀@現実、無限刃@るろうに剣心、
トキのデイバック(支給品一式×2、エリアジャンプスクリプト機能(二日目午前まで使用不可)@ニコニコ動画、不明支給品0~1)、
志々雄真実のデイバック(支給品一式、医療品一式、禁止エリア解除装置@オリジナル、スタポカード刺しクリップ@ Ragnarok Online、リボン@FFシリーズ )、
てゐのデイバック(支給品一式)が放置されてます。
※トキの死体等から二百メートルほど離れた場所に雄山の死体と雄山のデイバック(支給品一式、桑の実×10@現実、至高のコッペパン×10@ニコニコRPG
ニコニコ列車のダイヤ表、佐賀⇔ソウル間のチケット@塚☆モール、A-10のマニュアル(英語)@現実?(おじいちゃんのエースコンバット6))が放置されてます。
※大河のデイバックは死体と共に燃えてしまいました。
|sm186:[[激流の後に訪れる―――]]|[[時系列順>第三回放送までの本編SS]]|sm187:[[第三放送]]|
|sm186:[[激流の後に訪れる―――]]|[[投下順>151~200]]|sm187:[[第三放送]]|
|sm186:[[激流の後に訪れる―――]]|メタナイト|sm:[[]]|
|sm186:[[激流の後に訪れる―――]]|ソリッド・スネーク|sm:[[]]|
|sm186:[[激流の後に訪れる―――]]|KAITO|sm190:[[どうしてこうなったⅠ]]|
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|sm186:[[激流の後に訪れる―――]]|相楽左之助|sm190:[[どうしてこうなったⅠ]]|
|sm186:[[激流の後に訪れる―――]]|アレックス|sm190:[[どうしてこうなったⅠ]]|
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*―――世紀末 ◆vXe1ViVgVI
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「なに……?」
閃きの速度で振り下ろされた無限刃は、地面を傷付けるに終わった。
確かにそこに居た筈の死に掛けの男に命中する事もなく、無機質な地面を抉っていた。
「う、後ろ!」
鼓膜を叩く声に首を回すと、未だ傷という傷から血を流している男が立っていた。
いつのまに……、と不審を浮かべつつ志々雄は振り返る。
首元を狙った一撃は、確実に奴の命を奪った筈だった。
だが、何の奇術を使用したのか、この男は必殺の刃を回避し自分の後ろを取った。
白兎の声を聞くまで、後方へ回り込まれた事に全く気付けなかった。
つまり、その影を追う事すら自分には出来なかったのだ。
まさかそれ程のスピードでこの半死人が動いたとでも――?
「……何をした」
常に張り付けていた笑みは遂に陰りを見せ、トキを睨む志々雄。
彼の発汗機能が正常であれば、その頬には冷や汗が流れていただろう。
対するトキは、その言葉を聞き流し志々雄を見やる。
瞳には未だ覇気が宿っていおらず、構えを取る訳でもなく志々雄を見る。
「……てめえは、何をしたんだ……!」
志々雄は明らかな警戒を見せていた。
今まで常に愉悦と余裕を持って戦っていた志々雄が、明らかな警戒を……。
引き締まった表情で無限刃を構える志々雄に油断は見られなかった。
「……貴様に……」
そんな志々雄を前にして、トキが遂に動いた。
ポツリと言葉を落とし、僅かな感情を宿した瞳を志々雄へと向ける。
彼を知る者であれば、その瞳に映る感情を見て驚く事だろう。
「――貴様に今日を生きる資格はないッ!」
『憤怒』―――その感情が彼の瞳を染め上げていたのだから。
元来、トキが『怒り』を見せる事など殆どない。
彼が救済を努めていた村が強盗集団に襲撃され、沢山の人々が殺害されたとしても彼は怒らなかった。
彼が本気で『怒り』を覚えた唯一の時は、拳王の正体を知ったその時のみ。
それから様々な戦いを経るが、彼が『怒り』という感情を宿した事はない。
その振る舞いを見た人々は、彼を聖者とさえ呼び敬った。
だが、そんなトキが今この場では憤怒に身をたぎらせている。
主催者達が設けた精神操作の所為か、彼の内に埋まった一枚のDISCの所為か、それともそのどちらもが影響してか―――彼は真に『怒り』を見せていた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
そのDISCは大河に支給された最後の支給品であった。
CDの形をした、まるでジョジョの奇妙な冒険に現れるスタンドDISCのような支給品。
その説明書には大河も目を通していたが、内容を理解する事はできなかった。
だから、大河はDISCについてを誰にも告げなかった。
告げる暇がなかったという方が正しいかもしれないが、大河がその支給品について語る事はなかった。
説明書に記されていた内容は以下の通り。
『支給品名・ニコ産AI』
『このDISCは。ニコニコで産まれたMUGENキャラのAIです。
装備したキャラのAIレベルをMAXにまで引き上げる事が可能です。……が、
装備できるキャラはMUGENにてキャラが作成されている者だけなんで気を付けてね』
MUGEN、キャラAI、MAXまで引き上げる……大河にとっては意味不明な単語ばかりが載せられた説明文。
見た目はただのCDで、装備の方法すら分からない。
取り敢えず、手に持ってみたものの何ら変化が起きた様子はなし。
その時、行動を共にしていた伯方の塩にも持たせてみるも何も起きず。
およそ数分に及ぶ試行錯誤の末、大河はDISCをデイバックの奥底に沈めた。
そして、後に起こった様々な出来事と、その理解不能な内容とが影響して、その存在は忘却の彼方へと追いやられてしまった。
その支給品が今、巡り巡ってトキへと装備された。
原作性能とまではいかないが、それでもMUGEN界で世紀末っぷりを見せ付けるトキへと渡されたのだ。
そしてAIレベルがMAXとなったトキは将に―――世紀末。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「ゆくぞ!」
ナギッという音と共にトキの姿が掻き消える。
否、掻き消えたかの如く加速で志々雄へと一直線に直進した。
間合いは一瞬で詰まり、トキの拳、志々雄の無限刃どちらもが届く距離へと縮まる。
「チィッ!」
自身の宿敵にさえ迫りかねない異常な速度に舌を打ちながら、志々雄が刃を横に薙ぐ。
その高速の横薙に対しトキが選択した行動は、
「――激流では勝てぬ」
白刃取り。
線と化した日本刀を両の掌で易々と受け止める。
そして放たれるは返しの裏拳。
白刃取りに使用された両腕の片一方を離し、流水の如く滑らかな動きで一撃。
まるで吸い込まれるように志々雄の顔面に当たり、その身体を吹き飛ばす。
―――ナギッ、ナギッ
地面と平行に飛ぶ志々雄を高速移動術で追尾するトキ。
宙に浮く志々雄は抵抗の術を持たない。
追い付いたトキの蹴撃が、その腹部に直撃する。
蹴り上げにより志々雄の身体が、まるで打ち上げ花火の如く空高く舞い上がった。
そして始動するは―――世紀末コンボ。
「北斗天翔百烈拳!」
技名を体現するようにトキが天へと飛翔、腕が増えたとさえ錯覚させる程の連打を志々雄へ撃ち込む。
衝撃に包まれ、地面へと墜落する志々雄であったが、まだトキのターンは終わらない。
志々雄よりも早く地面へ降り立ち、膝立ちからの小パン。
次いで、まるでリピートされているかのように同じ動作で蹴り上げ。
トキの身体が飛翔し、百の拳が炸裂した。
そして、志々雄に追撃を行うためまたもやトキが駆ける。
―――ナギッペシペシナギッペシペシハァーンナギッハァーンテンショウヒャクレツ―――
終わらない。
―――ナギッカクゴォナギッナギッナギッフゥハァナギッゲキリュウニゲキリュウニゲキリュウニミヲマカセドウカナギッ―――
幾度と宙を舞い、幾度と叩き落とされ、幾度となく叫びを上げても―――そのコンボが途切れる事はない。
地面に触れさせてさえ、もらえない。
何時までも何時までも、空宙で弄ばれ続ける。
―――カクゴォハァーンテンショウヒャクレツケンナギッハアアアアキィーン―――
「北斗有情断迅拳!!」
―――ようやく地獄が終焉を迎えるかと思われたその時、最後の最後にトドメの奥義が志々雄を貫く。
最早、地面と数センチの距離にまで迫っている志々雄に有情(笑)の手刀が振り下ろされ、全身の秘孔に衝撃が走った。
「あ……あ……」
眼前でリアル世紀末を見てしまったてゐは、再び蛇に睨まれたカエルになっていた。
自分にとっては捕食者とも云える存在の志々雄が、手も足も出せずに瞬殺された。
数秒前まではただの死にかけだった人間が、突如として驚異的な復活を遂げた。
意味が分からない。
この男は何者なんなのだ。
自分達は――この男に手を出すべきではなかった。
「……う、うわぁぁぁぁああああああ!」
恐怖に押し負けたてゐが、無防備に背中を見せ逃亡を始める。
飛行能力も駆使されたその速度は相当なもの……だが、この世紀末病人から逃げ仰せるには何もかもが足りなかった。
ナギッ、またの名を北斗無想流舞で回り込むと、トキは殺気の籠もった眼でてゐを睨む。
「ひっ!」
逃亡が不可能だという事に気付かされたてゐは、反射的に右手を差し出していた。
そして、指先から撃ち出される何十に及ぶ魔力弾。
ほんの数メートルの距離から放たれる弾幕。壁のように迫るそれに対してトキが構えを取った。
「―――激流に身を任せる」
両手が描くは真円。
たったそれだけの動作で眼前に迫る暴力の波は無効化され、代わりとして蒼色の球体が返された。
球体は弾幕という名の激流を意にも介さず直進し、てゐに急迫する。
「なっ!?」
自身が放つ弾幕を物ともしない謎の反撃に、てゐは驚く事しかできない。
一瞬の間の後に命中……その体勢を大きく崩した。
「闘剄呼法!」
命中と同時に放たれた追撃の衝撃波が、怯んだてゐを宙に吹き飛ばす。
そして、そのままコンボを繋げ、地に伏せる志々雄の所へと運送した。
―――が、そこで何故かトキの動きが止まる。
トキは苦しげに胸を抑えその場にうずくまってしまった。
苦悶の表情と共に口から吐き出されるは鮮血。
この土壇場……トドメの瞬間に至って、彼の全てを奪った病魔が再び暴れ出したのだ。
―――『怒り』とは北斗神拳の真髄……そしてトキはかつて伝承者に一番近いと称された男。
『怒り』を解放したトキはあの拳王すら凌駕する可能性さえ、ある。
だが、病に冒された『怒り』はトキの身を著しく蝕んでしまう。
拳王との初戦に於いても、『怒り』により病魔が進行し、一度の交錯のみで限界を向かえ敗北。
そして、トキはカサンドラへ幽閉されてしまったのだ。
その時と同様の現象が、今この瞬間にも発生していた。
今まででさえ『怒り』と『ニコ産AI』の二つの要素より、何とか身体を動かしていた状況。
此処にきて一転、トキは命の窮地へと追い込まれる事となった。
「シャアアアアアアアアア!!!」
加えて状況はまだ悪化する。
あれだけの攻撃を受けた志々雄が立ち上がり、刃を振り被ったのだ。
偶然により訪れた最後の勝機を、男は瀕死の身体であろうと見逃さなかった。
限界を超える身体を無理矢理に走らせ、トキへと急接近する。
「ガァァァぁぁぁぁああああああ!!」
志々雄の左手では、トキにより運送されたてゐが首根っこを掴まれていた。
おそらく気絶しているのだろう、てゐはピクリとも抵抗する様子がない。
そんなてゐを志々雄は利用する。
この弱肉強食の世界を生き抜く為に、自身の最強を証明する為に―――志々雄はてゐを投擲した。
視界がてゐの身体により覆われ、トキは志々雄の姿を見失ってしまう。
病により動かない身体、加えて敵を見失った現状……この最大の好機を前に志々雄が吼えた。
全身に襲うダメージを精神で抑え込み、疾走する。
(所詮この世は弱肉強食……強ければ生き弱ければ死ぬ)
志々雄が身を置いた場は、てゐの真後ろ。
奴の背後へと回り込めば、あの化け物はおそらく察知する。
自身の命を省みず、敵の排除を優先する筈。相討ちすら視野に入れて行動する筈だ。
ならば、この娘を盾に近付き、娘ごと奴を斬り裂く。
奴の攻撃が徒手空拳である以上、盾を貫通して攻撃を喰らわす事は不可能。
「生きるべき者は――」
この勝負、勝つのは――
「―――この俺だ!!!」
てゐの身体を刃が貫き、その先にいるトキへと襲い掛かる。
切っ先の直線上にはトキの頭部。
それは、刃が命中すれば確実に命を墜とすだろう部位。
迫る刃を前にトキは――
―――時は2006年……ある格ゲー大会の決勝にて理不尽な決着がついた。
ルールは2ラウンド先取。
1ラウンドを勝ち取ったのは、終始攻め続けた『タジ君』。
2ラウンドを勝ち取っのは、結果としてこの大会の覇者となる男『紅の豚』であった。
『紅の豚』の持ちキャラは、その当時圧倒的な性能で誰もが最強と認めていた曰く厨キャラ。
そんなキャラを用いて決勝に勝ち抜いてきた『紅の豚』を、応援する者は極少数だった。
会場の大半が『タジ君』に声援を送り、厨キャラを破っての優勝を望んでいた。
その勝負、優勢だったのは『タジ君』……客席が望んだその瞬間が確かに近付いているように思えた。
いや、誰もがそう確信していた。
コンボを失敗するも必殺奥義を命中させ、体力ゲージから見てもしても『タジ君』が有利な状況。
壁際に追い詰めた『紅の豚』へとブーストで接近する『タジ君』。
ここでコンボに成功すれば優勝、テーレッテーを決める事も可能。
だが――
セッカッコーハアアアキィーン
――この世紀末ゲーは……いや、この世紀末病人は―――最後の最後で全てをぶち壊した。
カウンターで当てられたブッパッコー、もといセッカッコーが『タジ君』を反対側の壁へと吹き飛ばす。
『タジ君』が壁に激突した時、『紅の豚』は既にコマンドを入力し終えていた。
テーレッテーホクトウジョーハガンケンハァーン
―――会場中が溜め息に包まれた瞬間だった。
歓喜するは『紅の豚』とその取り巻きのみ。
会場の殆どの人間が拍手すら送らず、悲しみと虚無感に静まり返っていた。
圧倒的劣勢を覆す余りにも無情な様式美……このコンボは後々にMUGEN界にも知れ渡る事となる。
その名も『紅の豚さんありがとう』――この世紀末ゲー愛好家を震い上がらせた凶悪コンボは、MUGEN界に於いても様々なキャラを葬ってきた。
そしてそれは、このバトルロワイアルでも例外ではなく―――
「――刹活孔!」
その技名が聞こえたと同時に、盾として差し出されていた筈のてゐが、物凄い圧力と共に吹き飛んだ。
逆に押し返され、自分へと迫るてゐを志々雄は身を捩り、避わす。
「チィッ!」
が、その身体を貫いていた無限刃の軌跡には僅かなズレが招じてしまい、無限刃はトキの頬を削り取るに終わった。
てゐの身体が、まるで氷上を滑るスケート選手のように後方へと飛んでいく。
その光景を背中で見送りながら、志々雄は空振りの刃を引き戻し、再び掲げた。
(まだ抵抗するとはな……なら、これで終わりにしてやるよ)
下方から掬い上げるように、刃を地へと擦り付ける。
鍔元から切っ先まで、無限刃の鋸状の刀身全てを地面に当て、その全発火能力を開放。
「終の秘剣・火産霊神(カグツチ)!!」
刃を隠す程の巨大な火炎が渦を巻き、無限刃を覆う。
その熱量は今までのものとは比べ物にならず、まさに業火と云うに相応しい。
志々雄が持つ、最強にして最後の奥義が発動された。
だがしかし、
(なに―――)
志々雄が勝利を確信する事はそれでも、ない。
逆に志々雄は、血煙の先に現れた不可思議な景色へ、意識を取られていた。
(あいつは、何を―――)
何の原理か宙に浮かび胡座をかくトキ。
トキは、驚愕の志々雄と迫る火炎を前にして、両手を降参を表すかのように掲げる。
勿論、それが意図するところは降参などではない。
その不可解な体勢から放たれるは読んで字の如く一撃必殺の―――
「―――北斗有情破顔拳!!」
―――テーレッテー♪
//本来投下された原文では「―――テレッテー♪」だったが、どうしてもこれだけは譲れなかったので修正
//あえてネタとして「―――テレッテー♪」を選んでいたというのなら、気にせず復元してしまってかまいません
「ハァーン!!」
―――紅の豚さんありがとう!!
身体を包む衝撃……だがその衝撃の中に痛みは含まれておらず、むしろ志々雄は快感すら覚えていた。
薄れ歪んでいく意識で、志々雄は最後の光景を知覚する。
それは、夕刻だというのに燦々と空に輝く一組の星座。
そして、もう一つ……七つ連なるその星座に寄り添うように光る星。
志々雄はその光を最後まで見詰めながら、後方に吹き飛ばされたてゐと同時に―――爆散した。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
そして、立つ者が誰もいなくなった草原……トキは爆散した二つの死体を眺め、血を吐いた。
「……まだだ……まだ……」
それでもトキは力尽きようとはしない。
てゐの不意打ちと志々雄の斬撃により限界へ追い込まれていた身体は、『ニコ産AI』と『怒り』の効果により限界を越えた動きを行い、もうボロボロだった。
だがそれでも、トキは手足を引きずり身体を動かす。
一つでも多くの命を、一人でも多くの人々を助ける為に、トキは動く。
「頼む……生きて、くれ……」
視線の先にいるのは、地を鮮血で染める二人の人間。
今のトキには、二人が生きているのか死んでいるのかすら、判断する事すらできない。
……事実だけを言えば、二人の心肺は既に停止しているのだが……それを知らずにトキは最後の瞬間を燃やし続ける。
そして、二人の元に辿り着いたトキがその身体に触れた。
「……ダメ、か……」
直接触れる事により、その事実はようやくトキにも伝わった。
温もりはまだあるものの、拍動は感じられない。
二人は―――死んでいる。
「……い……や……まだ……諦め……」
その事実を認識して尚、トキは北斗の拳を振るった。おそらくはこれが最後になる拳を……。
もはや漆黒に染まる視界の中でも、トキの二指は正確に秘孔を貫いた。
何度も、何度も、何度も何度も、何度も……その効果が回数に比例しないと知っておりながらも、トキは二人の秘孔に刺激を送り続ける。
「……頼、む……生き返ってくれ……頼……む……」
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も……トキは、秘孔を突き続ける。
「……命は、投げ捨てるものでは……ないのだ……こんな殺し合いなどで…………投げ捨てられるもの……で、は…………」
まるで祈るように、それ以外の動作を忘れてしまったかのように、秘孔を突く。
「……命は……投げすてるもの――「うるせえんだよ、人殺し野郎がぁぁぁぁああああああああああ!!!!!」
―――そして、トキの頭部へと、唐突にスケボーが振り降ろされた。
頭部がグシャッと凹み、血を噴き出す。
だが、それで開放される事はあらず……先程のトキのように何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、振り降ろされるスケボー。
スケボー自体が衝撃に耐えられず、徐々に崩壊へと進んでいく。
そして、スケボーのデッキ部が割れ、武器として役目が果たせなくなったその時に至り、ようやく動きは止まった。
「ちっ、クソが」
半分に割れたスケボーを手に、トキを殺害せし者―――KAITOは周囲を見回し、唾を吐き捨てた。
KAITOが意識を取り戻した時には、全てが終わっていた。
血を流して横たわる五つの死体に、倒れ伏すアレックス。
動いている者は一人……アレックスと口論の最中、突然襲撃してきた男のみ。
その惨状をボヤけた意識で眺め、KAITOは決め付けた。
この惨劇を起こしたのはあの男だと、やはり殺し合いに乗っているから自分を襲撃したのだと……大した思考も行わず、歪んだ答えを押し付けた。
仮面ライダーに変身していたお陰か、身体に大したダメージは残っていなかった。
KAITOは側に転がっていたスケボーを拾い上げ、何かを呟きながら死体を弄ぶ男へと近付く。
そして、迷う事なく振り降ろした。
何度も、何度も、何度も、スケボーを振り下ろし、最後の瞬間まで仲間を想い続けていたトキを―――殺害した。
「アレックスは……もう良いか。所詮、俺の正義も理解できない筋肉バカだ。
この男にも負けたようだし、連れて行っても足手まといにしかならないだろ」
今まで助けて貰っていた自分を棚に上げ、言うだけ言ったKAITOは歩き出す。
惨場の中に仲間だった男を放置して、自分が成した罪に気付こうともせずに―――KAITOは五角形の織り成す惨劇から抜け出した。
【D-4 草原/1日目・夕方】
【KAITO@VOCALOID】
[状態]:健康、精神的疲労(中)、高揚感、
[装備]:ベレッタM96(残弾数10/11)@現実、ブレイバックル@仮面ライダー剣
[道具]:支給品一式×3、ハンバーガー4個@マクドナルド、クレイモア地雷×5@メタルギアソリッド、
必須アモト酸@必須アモト酸、2025円が入った財布(ニコニコ印)@???、ハーゲンダッツ(ミニカップ)×3@現実、
Rホウ統(使用済)、ブレイバックルの説明書、医療品一式(簡易な物のみ)、はてなようせいがプリントされた毛布
[思考・状況]
1:クラッシャー殺したぞ、俺は強くなったんだっ!
2:強くなった俺が間違ってるはずはない、死ぬはずもない!
3:知り合いが殺されたんだから例え人殺しをしても仕方ないだろ。仇討ちの一種だ。
4:生きるためなら例え卑怯な事をしても仕方がないだろ。正当防衛の一種だ。
5:リン、レンが心配。特に洗脳されているリンが心配。
※高揚しているので気づいてませんが、ブレイバックルにより自身の崩壊のイメージが植えつけられました。
再び臆病になると強くイメージが脳内に現れるようになります。
※クラッシャーのデイバッグを拾いました。
「ウッ……」
「グッ……」
KAITOが地平の彼方へと歩き去った数分後、死が蔓延する場に、声がなった。
この場に残された唯一の生者は、その疲労の深さも影響してか、沈黙のまま気絶している。
この声はアレックスのものではない。だが、他の六人は既に死体と化している。
二人は斬り裂かれ、二人は叩き潰され、二人は爆散して、死んでいる。
アレックスを除けば、声を出せる者など誰も居ない。
その筈なのに―――僅かではあるが、声が響いたのだ。
―――少し、考えてみよう。
この場にある死体の殆どは相当に損傷している。
大河は胴体を真っ二つに裂かれ、加えて無限刃の発火能力により炎上、炭化。
志々雄とてゐは北斗有情破顔拳の効果により顔面と上半身が爆散。
トキは執拗な殴打により、その判別が付かない程に顔面を潰されている。
この四つの死体は、物理的にすら声を上げる事は不可能だろう。
ならば―――答えは自ずと見えてくる。
そう、トキは二人の蘇生に成功したのだ。
幻の北斗神拳継承者の技巧が、死を前にしたガムシャラな気持ちが―――奇跡を起こしたのだ。
彼は最後に二人の仲間を死から救う事が出来た。
血塗られた、悲哀と闘争に支配された彼の人生は『救済』によって締めくくられた――
&color(red){【海原雄山@美味しんぼ 死亡】}
&color(red){【逢坂大河@とらドラ! 死亡】}
&color(red){【因幡てゐ@東方project 死亡】}
&color(red){【志々雄真実@るろうに剣心 死亡】}
&color(red){【トキ@北斗の拳 死亡】}
【D-4 草原/1日目・夕方】
【紅 美鈴@東方project】
[状態]頭部にダメージ(大)、右脚に銃痕、フランドールへの絶対的な忠誠、気絶中
[装備]無し
[道具]支給品一式
[[思考・状況]
基本思考:参加者の救出及びゲームからの脱出
1:日没までに映画館へ戻りフランドールと合流する。フランドールの意思を最優先
4:十六夜咲夜を警戒
5:知り合いの情報集め
6:殺し合いに反対する者を集める
7:ちゃんとした剣をメタさんに持たせたい
8:脱出方法を確立する
[備考]
※主催が簡単に約束を守ってくれる、とは考えていないようです。
※フランドールと情報交換をしました。
【相楽左之助@るろうに剣心~明治剣客浪漫譚~】
[状態]:肩から脇腹にかけて斬り傷と重度の火傷、左脚に銃痕、気絶中
[装備]:マッハキャリバー(ローラースケート状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS リボルバーナックル@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1:これが俺だ。全部守って闘う。
2:三人と共に行動。
3:志々雄を警戒
4:二重の極みが打てない……だと……?
5:主催者相手に『喧嘩』する。
6:弱い奴は放って置けねぇ。
7:主催者になんとかたどり着く方法を模索する。
8:最悪の場合は殺す。でもそんな最悪の場合には絶対持ち込ませねぇ
【マッハキャリバー(ローラースケート状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 】
[思考・状況]
0:なんという……
1:サノスケに同行する。
2:可能な限りの参加者を救助したい
3:志々雄真実を警戒
4:相棒……無事ですよね?
[備考]
※マッハキャリバーの不調もサノスケの不調も制限によるものです。
※佐之助はマッハキャリバーを結構使いこなせていますが”完全”には使いこなせていません。
※佐之助の機動力はかなり強化されています。
※E-5の橋を通過した者のおおよその行き先を知りました。
※支給品についてマッハキャリバーから説明を受けましたが、若干事実とは異なっています。
※PDA(長)(携帯電話)を落としました。
※マッハキャリバーが意思を持っていることは誰にも気付かれていません。
※志々雄と自分の時間軸が違うことに気付いていません。
【アレックス@MUGEN】
[状態]:重度の疲労、全身に打撲(少し回復)、左腕に刺し傷(少し回復)、困惑、気絶中
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、九条ネギ@現実、伯方の塩(瓶)@現実、魔王(芋焼酎)@現実、福沢玲子のシャーペン@学校であった怖い話
[思考・状況]
1:カ……、カイト…………。
2:自身についてを再認識。
3:リンに出会ったら…………。
4:バルバトスが死んだことに安堵
5:殺し合いを止める為、仲間を集める。知人や、首輪が解除できそうな人物を優先。
6:あのピエロに出あったらどうしよう……
7:温泉にはいつか行きたい……
※F-3のデパート内に、床に大きく穴が空き、壁が一部粉々になっている部屋が一つあります。
※トキ、DIO、十六夜咲夜をMUGEN出展の彼等と誤解しています。
また、MUGEN内の扱われ方からDIOと咲夜が親子だと思っています。
※名簿が最初白紙だったのには、何か理由があると考えています。
※弱音ハクの支給品を拾いました。
※D-4の草原にトキ、大河、志々雄、てゐの死体が転がっています。
またその側に、ニコ産AI@MUGEN、日本刀@現実、無限刃@るろうに剣心、
トキのデイバック(支給品一式×2、エリアジャンプスクリプト機能(二日目午前まで使用不可)@ニコニコ動画、不明支給品0~1)、
志々雄真実のデイバック(支給品一式、医療品一式、禁止エリア解除装置@オリジナル、スタポカード刺しクリップ@ Ragnarok Online、リボン@FFシリーズ )、
てゐのデイバック(支給品一式)が放置されてます。
※トキの死体等から二百メートルほど離れた場所に雄山の死体と雄山のデイバック(支給品一式、桑の実×10@現実、至高のコッペパン×10@ニコニコRPG
ニコニコ列車のダイヤ表、佐賀⇔ソウル間のチケット@塚☆モール、A-10のマニュアル(英語)@現実?(おじいちゃんのエースコンバット6))が放置されてます。
※大河のデイバックは死体と共に燃えてしまいました。
|sm186:[[激流の後に訪れる―――]]|[[時系列順>第三回放送までの本編SS]]|sm187:[[第三放送]]|
|sm186:[[激流の後に訪れる―――]]|[[投下順>151~200]]|sm187:[[第三放送]]|
|sm186:[[激流の後に訪れる―――]]|メタナイト|sm192:[[Yell "dead human"]]|
|sm186:[[激流の後に訪れる―――]]|ソリッド・スネーク|sm192:[[Yell "dead human"]]|
|sm186:[[激流の後に訪れる―――]]|KAITO|sm190:[[どうしてこうなったⅠ]]|
|sm186:[[激流の後に訪れる―――]]|&color(red){海原雄山}|&color(red){死亡}|
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|sm186:[[激流の後に訪れる―――]]|相楽左之助|sm190:[[どうしてこうなったⅠ]]|
|sm186:[[激流の後に訪れる―――]]|アレックス|sm190:[[どうしてこうなったⅠ]]|
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