エロ海坊主(≫635からリレー)
「うーむ、完全に挨拶するタイミングを逸してしまった」
サン先生が水際で獅子宮先生を挑発し始めた頃、美術教師水島は少し沖の海に居た。
立ち泳ぎで頭だけ出して浜を観察する姿はさながら海坊主である。
彼はサン先生率いる臨海合宿の前調査とは全く別の目的で、偶然同じ浜を訪れていた。
《夏期休暇限定、黒潮に乗って北上部》の前調査である。
水棲生物な生徒達からは通称《くろのり》で知られる恋の芽生えるチャンス多き人気の
部活だ。
だが水島が実際に泳いでみた結果、一昨年にも増して巨大クラゲが多いため、やむなく
中止を決定したところであった。
夏休みに愛しい生徒達(主に女子)に会えない事を残念に思いながら浜に向かう折、サン
先生一行を見つけた次第である。
水島が浜を見やると、サン先生が獅子宮先生に水を掛けた。
獅子宮先生の毛並みが濡れ、服が濡れ、テラテラと輝く。
「ほほう……」
意味深に呟く水島。
水面下で鼻の下はのびていた。
エロ海坊主である。
サン先生が海へ駆け、挑発する。
獅子宮先生が憤怒し、海へ駆ける。
そして目にも止まらぬうちにキャッチ&スロー。
片腕をぐるりと回した男勝りなピッチングであった。
水島は、外野に高く上がったフライをキャッチするような心持ちで、サン先生の放物線
を眺めていた。
「おー、よく飛んどるのぅ……オーライオーライ」
立ち泳ぎで頭だけ出して浜を観察する姿はさながら海坊主である。
彼はサン先生率いる臨海合宿の前調査とは全く別の目的で、偶然同じ浜を訪れていた。
《夏期休暇限定、黒潮に乗って北上部》の前調査である。
水棲生物な生徒達からは通称《くろのり》で知られる恋の芽生えるチャンス多き人気の
部活だ。
だが水島が実際に泳いでみた結果、一昨年にも増して巨大クラゲが多いため、やむなく
中止を決定したところであった。
夏休みに愛しい生徒達(主に女子)に会えない事を残念に思いながら浜に向かう折、サン
先生一行を見つけた次第である。
水島が浜を見やると、サン先生が獅子宮先生に水を掛けた。
獅子宮先生の毛並みが濡れ、服が濡れ、テラテラと輝く。
「ほほう……」
意味深に呟く水島。
水面下で鼻の下はのびていた。
エロ海坊主である。
サン先生が海へ駆け、挑発する。
獅子宮先生が憤怒し、海へ駆ける。
そして目にも止まらぬうちにキャッチ&スロー。
片腕をぐるりと回した男勝りなピッチングであった。
水島は、外野に高く上がったフライをキャッチするような心持ちで、サン先生の放物線
を眺めていた。
「おー、よく飛んどるのぅ……オーライオーライ」
──ドバチャーーン!
「ぐえっ!」
見事、回転のついた白球(サン先生)が水島にミートした。
ランナーアウト。
ランナーのシャコが悔しがったかは判然としない。
(いててっ!マジ洒落にならんくらい痛かった!)
水島は水中に潜ってサン先生と距離を取った。
が、打ち所が悪かったのか、サン先生は白目を剥いて沈んで来た。
(ちょっ……!起きろ!起きろサン先生!傷は深いか?浅井カー!)
水島はテンパって親父ギャグを飛ばしたが、アザラシの水中話法を犬が解するはずも無
い。
水面に浮上して、サン先生の口をしっかり押さえる。
(戻ってこーい!)
水島はサン先生の口をしっかり押さえたまま、サン先生の鼻先に空気を吹き込んだ。
「ぶはっ!げほっ!し、死ぬかと思った」
サン先生が水を吐いて気を取り戻した。
「大丈夫ですかサン先生?ワシが人工呼吸しなきゃ死んでましたぞ」
「あれ、水島先生?なんでここに……ていうかじ人工呼吸ぅぅ?!せ、先生がやったの?」
「当たり前でしょうが」
「うーん……」
がくっ。
サン先生はまたもや気絶し、水中に沈んでしまった。
水島は慌ててサン先生を引き上げようとしたが、「大丈夫ですかサン先生!今助けます!」
と叫ぶいのりんが猛然とクロールで近付いて来たので、水島はいのりんにサン先生を任せ
て、見つかる前にその場を去ったのだった。
サン先生が獣同士の人工呼吸がマウストゥマウスでは構造的に成立しないのに気付いた
のは、浜辺から帰って口を濯いだ時だったとさ。
見事、回転のついた白球(サン先生)が水島にミートした。
ランナーアウト。
ランナーのシャコが悔しがったかは判然としない。
(いててっ!マジ洒落にならんくらい痛かった!)
水島は水中に潜ってサン先生と距離を取った。
が、打ち所が悪かったのか、サン先生は白目を剥いて沈んで来た。
(ちょっ……!起きろ!起きろサン先生!傷は深いか?浅井カー!)
水島はテンパって親父ギャグを飛ばしたが、アザラシの水中話法を犬が解するはずも無
い。
水面に浮上して、サン先生の口をしっかり押さえる。
(戻ってこーい!)
水島はサン先生の口をしっかり押さえたまま、サン先生の鼻先に空気を吹き込んだ。
「ぶはっ!げほっ!し、死ぬかと思った」
サン先生が水を吐いて気を取り戻した。
「大丈夫ですかサン先生?ワシが人工呼吸しなきゃ死んでましたぞ」
「あれ、水島先生?なんでここに……ていうかじ人工呼吸ぅぅ?!せ、先生がやったの?」
「当たり前でしょうが」
「うーん……」
がくっ。
サン先生はまたもや気絶し、水中に沈んでしまった。
水島は慌ててサン先生を引き上げようとしたが、「大丈夫ですかサン先生!今助けます!」
と叫ぶいのりんが猛然とクロールで近付いて来たので、水島はいのりんにサン先生を任せ
て、見つかる前にその場を去ったのだった。
サン先生が獣同士の人工呼吸がマウストゥマウスでは構造的に成立しないのに気付いた
のは、浜辺から帰って口を濯いだ時だったとさ。