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コンビニとリオ


 学校の帰り道、リオはコンビニに寄った。
 お気に入りのアニメのキャンペーンをしているからだ。

 「最近のコンビニは二次元頼りでけしからん」とこめかみに十字路を作りながらパンコーナーを物色する。
 今、このコンビニでパンを買うと限定グッズがもらえるキャンペーンをしているのだ。そのシールを集めるために
せっせと足しげくパンを買い続ける。朝食はご飯だと説得しても、今のリオには通用しない。
 応募券を集めるだけ。というとだけなので、別に「アニメ」目当てでないことがばれずに購入できるお店の優しさに感謝した。
いや。これが世間の誰もが知っている少年誌連載のミリオンセラーなら堂々と買いたい。むしろ自慢したい。ところが、あろうことに
コンビニが目をつけたのがとある流行りを築いた作品だったのだ。確かに『あきっぱらBlog』でもツイート数を誇る人気作品だが、
それが通用するのは『あきっぱら』に集う人たちの世界のみ。世間と世界は違うものなのだと、リオは理解していた。

 「ナスカかわいいよナスカ」

 レジに急ぐリオはためらった。
 学校の先生だ。

 たれ耳ウサギの化学教師。三十路独身というお年頃の男子らしく着るものを気にしないのは仕事熱心の証拠。
 彼はお弁当を買っていた。店員の「暖めますか」の問いかけの前に「暖めて」と先制してオーダーする器用さ。
暖めてもらう間、次の客がレジ係に商品を差し出せるように、ちょっと右にずれて待つ優しさ。お釣りは募金する慈愛に満ちた精神。
 彼こそ『コンビニマスター』の称号が相応しい。

 ただ、リオにはレジの液晶画面にキャンペーンのアニメキャラが映し出され、くたびれた三十路の男の脇を飾っている
光景が耐えられなかった。悪いのは彼ではない。コンビニでもない。それを意識するリオが何もかも悪い。
 窓に張られたポスターにまでそのアニメが描かれているから、一層リオは早く会計を済ませようとやきもきするのだった。


  おしまい。