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悪事身にかえる


うふふうふふ、ついに完成したわ‥‥
このケータイを翠香のケータイとすり替えれば、翠香は‥‥なんねん…
学園ナンバーワンは…ひとりでええんや!
せや、あたしひとりや!
芳本亥狐鹿はぶつぶつとつぶやくと、工作室から出ていった

「ネェ翠香、またケータイいじってんの?」
「いいじゃんべつにさー」
「で、何見てんのさ」
「2ちゃんの京浜東北線スレでアホを煽ってんの」
「あんた変人だわー」

「さあ授業始めるザマスよ」

生徒たちが大稲荷先生に促されて着席する

「ケータイの電源は切るザマス。鳴らしたら没収するザマス」

他の生徒が電源を切るなか、翠香だけはまだあのスレに未練があるようで、先生の注意を無視してしまった

授業の半ばまでは平穏だった
数人の生徒は机と一体化し、眠りこけていた
くそ退屈な授業はもうすぐ終わる、ほかの生徒たちはそう思っていた

授業終了まであと10分、突如翠香のケータイから大音量の着メロが流れてきた
教室の片隅で気持ちよさそうに寝ていた塚本や来栖を叩き起こし、甲山が教科書の陰で
飲んでいたドリンクを噴出した

「山手さん!ケータイは没収するザマス。放課後職員室に来るザマス!」
「ちょっと返せよドラキュラー」
「ダメザマス!」

芳本は二人をチラチラ見ながら、これはチャンスとほくそ笑んだ

翠香はイラついていた
ランチタイムにケータイがない
翠香にとって、それは考えられないことだった

「うううう‥‥」
「翠香大丈夫?」
「大丈夫じゃない」

翠香は憮然とした表情でつぶやくと、黙り込んでしまった

放課後
職員室で大稲荷先生が延々と説教する
それを聞き流す翠香

「…返せ」
「明日まで学校で保管するザマス」
「パパに言うぞ」
「校長先生とあなたのお父さんから許可を得ているザマス。無駄ザマス」
「くそドラキュラー」
「頭を冷やすザマスね」


その頃、校舎の裏で芳本と加東がコソコソ話をしていた

「アカネ、お願いがあるんやけど」
「何ね?」
「職員室にある山手のケータイを持ち出してほしいねん」
「えーなんでね?」
「理由は聞かんといてや」
「タダならいやよ」
「あんたが欲しがってたシュシュつきTシャツとワンピースのセット買うたるさかい」
「ニットパーカーとキャミワンピほしいなー」
「わかったそれも買うたる」
「約束ね」

ニコリとしながらケータイを受け取るアカネ
高いものについたと嘆く芳本

その夜のこと
翠香は帰ってきたパパにひどく叱られてしまった
ケータイを没収されたのもショックだったが、パパに叱られたのもショックだった
翠香は涙をこらえて布団に潜りこんでしまった

その頃アカネは校舎に忍び込み、鮮やかな手口で仕事を果たした

翌朝
呆然としながら登校する翠香
誰かが通りすがりに挨拶しても、魂が抜けたかのように反応しない
いのりんが声をかけてみたが、やはり反応はない
翠香はそのまま教室に入っていってしまった。

ぼんやりとじぶんの席についた
机の上を見るとなぜか自分のケータイがある
大稲荷先生が返してくれたのかもしれない
翠香は嬉しさのあまり、ケータイを持って教室から出ていってしまった
教室の隅でその様子を眺めていた芳本はニヤリとした

「あんたは今日で終わりやねん、あたしの天下よ」

ケータイをいじり始めた翠香、見守る芳本

芳本が作ったニセケータイは、あるボタンを押すと屁の音と強烈な臭いが出る仕掛けになっていた
夢中でケータイをいじる翠香、だが変化はない

「おかしいねん。ちゃんとすり替えたはずやねん」

芳本は自分の持っている翠香のケータイのボタンを押してみた
ぷぅぅううぅぅーと間の抜けた音がして、ケータイから異臭が放たれた

「わ!なんだ!くせえ!」
「うっ!誰だ!」
「窓だ!窓を開けるんだ!」
「しまった!間違えた」
「うーうー、くっせー」
「テロだ!アルカニダのしわざに違いない!」

教室は大混乱に陥り、混乱に乗じて芳本は逃げ出してしまった
芳本は逃げながら次こそ翠香を倒してやると誓った
一方、翠香は何事もなかったかのようにケータイをいじり続けた
異臭も混乱もものともしないこのねーちゃんは、実は偉大な人なのかもしれない

おしまい。