※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

【クエストを達成しました】


凍えるような寒さの洞穴の中を、二人のハンターが息を殺して進む。
やがて、二人は洞穴の中の広場へと到達した。

広場の真中には、全身の傷を癒すために眠りにつく黄色と青の縞模様の飛竜が一頭。
この広場を住処にしている白い鳥竜は既に始末した。
よって、寝ている飛竜を起こしてしまう要因は無いも同然。

二人のハンターはお互いに顔を見合わせ、タイミングを推し量る様に無言で頷く。

一人のハンターは静かに飛竜に近寄り、その傍に火薬が詰まった特大の樽を二つ並べる。
そしてもう一人のハンターは樽を置いたハンターが離れるのを待ち、小石を樽にめがけて投げつける。

――――刹那

ドワォッ!!

小石が当たった衝撃に反応して、二つの樽爆弾が連鎖的に大爆発を引き起こす!
無論のこと、寝ていた飛竜にとってはこの爆発はたまったものではなく。
飛竜は何が起きたのかも分からぬままに呻く様な声をあげながら地に倒れ伏し、そのまま事切れた。


【クエストを達成しました】

「いいぃぃやったぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

携帯ゲームの画面に表示されたメッセージを見た彼が、尻尾をばたつかせ、歓喜の雄叫びを上げる。
ここに至るまでかなりの苦労が伴った。
何度もキャンプ送りにされそうになりながらも敵の尻尾を切り落とし、
顔面を傷つけ、爪を全てへし折り、そして遂にトドメをさしたのだ。まさに完全勝利だった。
彼のその喜びは想像に難くないだろう。

「やったな。これでお前も俺と同じランクだぞ」
「ああ、ここに至るまですっごく苦労したぞー! 感無量だー!
今まで倒せなかったティガを倒せたのはお前さんのお陰だー! 本当にありがとう!」

「いやいや、お前もよく頑張ったよ。あそこでお前が閃光玉投げてくれなかったら俺が乙る所だったからな」
「いやー、まぐれだって―」

そして、彼と同級生は互いの健闘を称え合う。
それはまさに漢の友情のワンシーンだった。

「さて、報酬確認だ。一杯貰えるといいなー」
「アレだけ苦労したんだ、これでたった基本が5、6品だけだったら泣きたくなるよな」
「お、轟竜の頭殻ゲットー! しかも報酬が一杯だー、嬉しいなー!」
「へえ、一杯貰えたみたいだねー。で、もう授業時間だと言う事、二人とも忘れてないかな?」
「ああ、そう言えばそうだっ…ぁ…」
「いけね、夢中になって忘r…ぇ…」

後から掛かった何処かで聞いた声に、急に言葉が尻窄みになる二人。
彼と同級生は気付いたのだ。喜びに水を差した、後ろに立つ三人目の正体に。

「え、えっと、サン・スーシ先生? 俺達は別に授業をサボろうとは思ってはいなかったんですよ? はい。
それに、そもそもこいつに俺が協力するなんて言わなきゃこんなに時間が掛からなかったんだ、
だから、こいつはぜんぜん悪くないぜ?」

「そうそう、ただ本当にゲームに夢中になって時間が経つのを忘れただけなんだー、
それにこいつは悪くないぞー、そもそもゲームに誘った俺が全面的に悪いんだー」

言い訳をしつつもお互いをかばい合う二人、何と言う涙ぐましい友情!
だが、数学の教師は二人が思っている以上に甘くは無かった。

「友情のワンシーンは良いけど、二人とも、覚 悟 は い い よ ね?」

恐ろしくて振り向けなかったが、その声は明らかに怒気を含んでいた。
このまま居れば酷い目に遭うのは確定事項だ。


「ちっ、この場合はっ! 閃光玉だっ!」

窮地に追いやられた同級生はズボンのポケットからボールのような物を取り出し、教師めがけて投げつける。
ボールのような物は教師と同級生のちょうど中間距離のあたりで、ポム、と音を立てると―――

パシュゥゥゥゥゥッ!!

凄まじい閃光を放ち、一瞬の間だけ周囲を白一色に染め上げる。
同級生が投げたのは所謂マグネシウム閃光弾と呼ばれる投擲弾で、材料さえあれば一般人にも作れる代物。
小学生時代は悪ガキとして有名だった同級生お手製の物である。

「うおっ、まぶしっ!」

まともに閃光を直視した教師は、何処かで聞いたセリフを言いながら思わず目をふさぎ、身体を丸める。
これで暫くは追う事は出来ないだろう。後は彼を連れてほとぼりが冷めるまで逃げるだけ。
同級生はそう目論んでいた……だが

「うあー、前がみえねー!」

彼も閃光を直視していたとは、予想だにしていなかった。

「お、おい、何やってるんだ、早く逃げろ!」
「え? 何処だ? 何処に居るんだー!? 目が見えないぞ―!」
「ちょ、その場でくるくる回るな! 尻尾が――ハブシッ!?」

同級生が慌てて彼の手を引こうとした所で、視覚を失った事でパニックを起こした彼がその場で回転。
当然、同級生は避ける間も無く、回転によって勢いのついた彼の尻尾の一撃をまともに食らい、勢い良くすっ転ぶ。
その様子は彼らがやっていたゲームの中の、飛竜の尻尾の一撃を食らって吹き飛ぶプレイヤーの姿その物だった。

……そして結局、

「……先生の犬パンチ、思ったより痛かったな……」
「……うー、鱗が硬いからって台車で殴るとは思ってなかったー……バケツが重いー……」

なんだかんだとやっているうちに、
視覚を取り戻した教師に彼も同級生も捕まり、たっぷりと愛のムチを食らった後、
授業が終わるまでの間、水入りバケツを両手にした状態で二人仲良く廊下に立たされたのであった。