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「妄想神姫:外伝・その二十五(前半)」(2007/08/31 (金) 17:46:47) の最新版変更点
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**水辺に泳ぐ女神達──あるいは入水(前半)
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2037年の夏もピークを過ぎ、秋の気配が密かに忍び寄っている。
私・槇野晶も稼ぎ時に働き、また“妹”たる神姫達と共に様々な所へ
物見遊山に出かけたが……思えば“夏らしい事”は余りしていない。
そこで、私は彼女らにこんな提案をしてみる事としたのだな。有無。
「なぁ、皆……八月最後の定休日、ここは一つ泳ぎにでも行かぬか?」
「え?!い、いいんですかマイスター?でも、水着なんてあります?」
「案ずるな、ちゃんと作っておいた。だからこそ、今日しかないのだ」
「……塾の宿題も終わったし、それならボクらも安心して行けるかな」
「でも……マイスター、本当に……ほんっとうに“大丈夫”ですの?」
ロッテが、何度も念を押す様に私を見上げて問い掛ける……そう言えば
あの事を知っているのは彼女だけだったか。心配するのも無理はない。
だがそれ故に連れていってやらないというのは、“妹”達が可哀想だ。
「む……正直、カナヅチが治ったとは言い難い。苦手は克服したがな」
「ふぇ?ま、マイスターって泳げないんですか?そんな印象は~……」
「……泳ぎが下手なだけであって、入水即溺死等という事はないぞ?」
「それでも意外なんだよ。インドア派でも結構動くもん、マイスター」
「歩くのはいい、走るのも蹴るのもな。だが……イマイチ泳ぎはなぁ」
準備をしつつも私は鼻を掻く。何故か水が苦手でな、理由は分からん。
ロッテと暮らし始めたばかりの頃は本当に酷くて、文字通り溺れたな。
今はマシだが、まだまだ自在に泳げるとは言い難い。浮き輪は必須だ。
と言う訳で愛用の浮き輪を、空気を抜いた状態でバッグへと押し込む。
……待てそこ、笑うな!?猫柄の浮き輪位、別に構わぬだろうがッ!!
「なら、アルマお姉ちゃんは……クララちゃん、お願いしますの♪」
「わかったんだよ。これもマイスターの為だもんね……大丈夫かな」
「いざとなったら、あたしが動きますから……って、マイスター?」
「……いや、さっきから何を相談している?皆、準備は出来たのか」
貴様らを咎める間、ロッテ達は何事か密談をしていた様だ。気になるな。
まあ、深く追求してもしょうがない。皆が水着と足ヒレ等を用意したのを
見届け、私も替えの服やアンダー等をバッグに詰め込んで、ビルを出る。
照り付ける様な“クレイジーな”暑さを堪えつつも、ノースリーブの私は
両肩と胸ポケットに神姫を搭載するお決まりのスタイルで、電車に入る。
「ふぅ……ミストでワンクッション置いても、この寒暖差は堪えるな」
「相変わらず、車両の冷房は殺人的に効いてるんだよ……電気の無駄」
「MMSのあたし達は何ともないですけど、マイスター大丈夫です?」
「む?少々冷えるな。ビルの居住区も結構エアコンは効かせてあるが」
「でも個人的な好みに配慮がない分、ここの方が数段寒いですの……」
ぼやいてもしょうがないとは理解しているが、流石にこれは肌に悪い。
極力風の当たらない席に座り、急ぎ海浜区域のレジャー施設を目指す。
夏休みの盛を過ぎた今ならば、都心と言えども混雑は若干緩和される。
案の定、たどり着いたプールの人混みはテレビで見る程多くなかった。
「さて、着いたぞ皆。まず入場券を買ってと……大人一人頼めるか」
「え、え?あのお嬢ちゃん?……お父さんかお母さん、いないの?」
「馬鹿者ッ!この通り、私は子供料金ではないぞ!……それからだ」
「す、すみませんすみませんっ!……え、これは武装神姫、です?」
最初から子供扱いする不埒な受付嬢を喝破し、“妹”達を台へ降ろす。
彼女らの扱いがどうなっているのか、今回はリサーチしなかったのだ。
という訳で、彼女ら自身の口から自分達の処遇について聞いてもらう。
「はいですの♪わたし達は料金とか必要ですの、受付のお姉さん?」
「え?え、えーと……持ち込みはいいですけど、水は大丈夫です?」
「はいッ。水中で胸を開いたりしなければ、なんともありません!」
「そう言う物なんですね……わ、分かりました。でも壊れても……」
「弁償はしない、だね?それ位はボクらも分かってるもん、大丈夫」
受付の若い娘は、神姫を知っている様だった。説明の手間が省けたな。
そう言う訳できちんと私の入場料を払い、四人で女子更衣室へと赴く。
……こら、此処からは見るなッ!!女子の着替えを覗くな貴様ぁッ!?
「マイスターの水着はセパレートタイプなんですの?ってこれは~……」
「有無、お前達と同じデザイン……というより、この水着を元にだな?」
「あたし達の水着を作ったんですね?柄や色は違ってますけど……ふふ」
「皆、お揃いなんだよ……パレオまであるもん、マイスターに感謝だよ」
──────ちょっと遅い夏、精一杯堪能するよっ。
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