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Yell "dead human" ◆4LgZV6zKDw




壮絶な死の宴が開始してから約半日以上が経過し、闇は再びエリア一帯を覆い尽くしつつある。
時が経てば経つ程に視認性が失われていくこの状況の中、数多の修羅場を潜ってきた二人の男が対峙していた。

一方は、集った同志達と共に、憂うべき国の未来を変えるべくして謀反を起こした誇り高き騎士。
一方は、核弾頭を搭載せし暗黒兵器の脅威から世界を救った、一介の傭兵にして伝説の英雄。

自身が掲げる正義を絶対に崩す事無く、"士"として直向に生き続ける怜悧冷徹な現実主義者である彼ら。
本来ならば互いに手を取り合い、主催者に反旗を翻す者同士であるはずなのだが――、
ある狡猾な剣客の虚言によって一方的な誤解が生じ、不要な衝突が起こっているという事実にはどちらも未だ気付くことは無い。

事の成り行きしだいではどちらか、運が悪ければ双方が命を落としかねないこの状況。
果たして二人は無事に真実に辿り着けるのか。彼らの生死を分けた静かなる攻防が今、始まる。




「何処だ…?」

狙撃があった方向へと全速で飛翔するメタナイト。
が、暗闇と鬱蒼と生い茂る草本とに邪魔をされ、狙撃手の位置を捕捉する事が出来ない。
滑空しつつも瞬時に状況判断を終えた彼は、茂みの奥へ一直線へ飛び込んでいく。
華麗に着地を決め、再び来るであろう銃撃を回避すべく素早く身を屈めた。
この茂みの中にいれば、自身の小柄な体躯が周りに曝される心配も無く、銃器で狙い撃ちにされる危険性も下がるだろう。

とは言っても、敵の所有武器が単純な銃器だけとは限らない。他にも何か武器や能力を隠し持っている事は十分考えられるし、
何より敵が一人だけと決まった訳でも無いのだ。現在の様相だけで見るなら、明らかにこちら側が不利。

だが――、彼としては出来る限り早急に勝負を着けて、美鈴達と合流したい所。
何とか長期戦に縺れ込む前に敵の位置を探り出し、接近戦で一気に片をつけなくては。

「…とにかく細心の注意を払わねばな」

呟くと同時、蝙蝠のそれに似た漆黒の翼を再びマントへと戻す。
そして、唯一の武器であるネギを片手に、360℃全方向に注意を向けつつゆるりゆるりと進み始めた。
空中からなら少しは敵の位置も探り易い筈だが、既にこちらは位置を殆ど把握されているのだ。
敵が遠距離攻撃に特化した者であるとすれば、上空へ飛んだ所で格好の的になるだけ――、

彼はそう考えていた。



◆ ◆ ◆



「まずいな…かなり距離を詰められた」

迎撃に失敗したスネークは、匍匐前進で敵から一旦離れつつもこの状況を打開する策を考える。

人間とかけ離れたその余りにも異質な姿に僅かながら動揺してしまったのも一因ではあるが、
その一頭身が持つ小さな身体と、並大抵のものではない俊敏性が動きを捉える事をより困難にさせていた。

そんな敵がこの茂みに潜り込む形となると、先程のような正確な狙撃を浴びせるのはかなり難しい。
大胆に立ち上がって真っ向勝負を仕掛けるという選択もあるが、あらゆる面でリスクが大き過ぎるのが問題だ。
敵に関しては何もかもが未知数、あの仮面にしても仮に防弾仕様だったとしたら、競り負けるのは十中八九こちらだろう。
当然弾も次なる戦いに備え、温存しておかねばならないし、誤って射殺してしまえば情報を引き出す事も出来なくなってしまう。

よって、彼は不意を突くという安全かつ確実な方法を狙う。
肝心なのは、その不意の一瞬というものを如何にして、作るか。
スネークは冷静に思案を続け、デイバックから目当ての支給品を引っ張り出す。

(……此処はまたこいつを使うしか無いらしいな)

スネークが取り出したのは言うまでも無く、自立思考が可能な高性能愛犬ロボ「てつ」である。
見た物、聴いた物に応じて、持ち主にしか分からない各々の信号を送る事が可能という、偵察や囮として使うに打ってつけの代物。
十六夜咲夜との戦いにおいても、戦果は挙げられなかったとはいえ、重要な役割を果たしてくれた。
敵の接近を許した今の状況において、これを使わない手は無いだろう。

スネークはてつをすぐ傍に置き、これから彼が行う作戦と指示内容を一字一句丁寧に小声で伝え始める。



「…指示はこれが全てだ。分かったか?」

「ワカッタ」

てつが頷くのを見て、スネークは安心する。
当初はその愛らしい外見から若干勘繰ってしまったものの、やはり想像以上に頼もしい存在だ。

「…よし、じゃあ頼んだぞ」

スネークは最後にそう言い、敵の外側を廻り込むようにしててつから距離を取る。
当然堂々と立つ訳にいかない分、移動は匍匐前進で物音を最小限に抑えた緩やかなもの。
こうした挙動一つ一つが頗る機敏で慎重になるのは、戦地で死を掻い潜ってきたスネークだからこそか。

やがててつから20mほど離れた所まで来た辺りで動きを止め、一旦コルトパイソンの弾を補充する。
そうして偏に身を隠し続け――、てつが生み出してくれるであろうチャンスを、スネークは待ち続けた。


切迫した状況、そして実力・知性共に拮抗した二人であるが故に最終的に生じるのは、膠着。
ただ時間だけが延々と過ぎていき、戦場には似合わしくない閑寂とした空気が、その場を支配する。



◆ ◆ ◆



戦闘とは言い難い戦闘が開始してから、大よそ5分が経過した所でメタナイトは一考する。
先刻の出来事から判断するならば可能性としては限りなく低い――が、
余りにも長い間の為か、対主催側である彼は最も望ましい線も今になって視野に入れ始めた。

(…敵は先刻、どういう意図で撃ってきたんだろうか…?
 ゲームに乗った者である事は確実だろうが…聞いてみる価値はあるか)

ほんの僅かな希望であっても、一度交渉を試みるのも良いかもしれない。
万が一相手がゲームに乗っていない者で、何らかの誤解で仲間を撃ったものなのだとしたら、
互いに無駄な血を流さないのに超した事は無い。

声を出すという多少危険な行為ではあるが、このままでは埒が明かないのもまた事実。
意を決したメタナイトは、狙撃手の耳にも届く範囲の大声で叫んだ。

「先刻私の仲間を撃った者に問いたい!其方は既にゲームに乗っているのか?
 もし乗っていないなら姿を見せ、話を聞かせてくれ!勿論、私も武器は捨てる!
 我々はこのゲームに乗っている訳では無い!」



◆ ◆ ◆



この土壇場に来て、敵の思いがけない発言を聞かされたスネークは逡巡する。
悪人である志々雄と堂々と手を組み、ほぼゲームに乗っていたと思われる者が突然口にした、スタンスとは正反対の内容。
あの一頭身が、至って普通の声と人語を使って喋った事にもまた驚いたが――、正直言って今はどうでもいい事だ。
スネークはさっき見聞きした様々な事象と照らし合わせ、推察を始めた。


――どうすればいい?ゲームに乗っていないというならそれが一番だが、そう愚直に相手の言葉を信じる訳にもいかない。
奴は志々雄と共に対等な関係を保った上で行動していた。それは確かな事実。
奴と一緒に居た他の参加者も、俺が見た時には既に二人の人間を気絶、もしくは殺害した直後だった。
が、それも事前に志々雄の証言を聞いていたからそう判断しただけであって、何も決定的な証拠があった訳では無い。

仮に敵の今の発言に信を置くとするならば、先刻の志々雄の一連の発言は全て嘘偽りで、
倒れていた二人についても、敵の仲間が来る前からその状態にあったか、本人達に何らかの原因があったという事になる。
そもそも志々雄が奴らとの関係について事実を述べていたという確証など何処にも無い。
つまり、この段階ではどちらかが嘘を言っているという事が分かるが――


「…現時点では判断材料が少な過ぎるな」

いずれにせよこの局面でスネークに決断を下す余地は無かった。
ここで少しでも声を出せば、相手に自分の位置が知られてしまう。
もし今の発言が自身を誘い出す為の単なるハッタリでしか無かったら、声を出した時点で窮地に追い込まれるのは確実。
敵かも味方かも分からない者の話を聞くなら、完全に無力化してからの方が遥かに効率が良い。

あれこれ悩んだ末に、とうとうスネークは返答を返す事無く、現状維持に徹したのだった。



◆ ◆ ◆



メタナイトは辛抱強く待ち続けたが返答は返ってこない。
何十秒と経った後でも、鼓膜を叩くのは夜風が草を揺らす音のみ。
彼はやや落胆し、現状での説得は無理だとの結論に至る。

「……反応無し、か。まあ予想はしていたが……やはりこの手で倒すしか無いようだな」

当初の予定通り敵を反抗不可能な状態に追いやる事を決め、再び敵を探し出そうとした――その時であった。





「 アソボウヨー! 」





突如辺りに響いたのは、覇気の無い、子供のような愛らしい声。
殺し合いの場には全く似つかわしくないその声にメタナイトは一瞬呆気に取られたが、
素早く声のした方向へと向き直り、鋭い視線を投げかけた。

「狙撃主か…?」

今の台詞にどういった意味があるのかは分からない。
が、すぐそこに何者かがいると判明した以上、確かめない訳にもいくまい。
疑念と混乱が頭の中を渦巻きながらも、彼は声の発信源を突き止めるべく、声主の元へ近づこうとする。


「アソンデヨー!」


一度目と全く変わらぬ口調・声量で、その"誰か"は同じような台詞を続けざまに叫ぶ。
一体何をどうしたいというのか。余りにも支離滅裂なその言動にメタナイトは一層訝しみ、より警戒心を強める。
ネギを振り上げ攻撃体勢を整えながらも、一歩一歩、着実に声の正体に接近していく。


「コッチダヨー!」


3度目の台詞。もはや敵がこちらを誘って来ているのは明白である。
長く続くこの空白の時間に痺れを切らしたのか、或いは腕に余程の自信があるのか。
この際どちらでも構わないが、このまま行けば真っ向からのぶつかり合いになる事だけは必至。
100m以上離れた距離からあれだけ正確な狙撃をやってのける人物だ。
一筋縄にはいかない相手であるのは間違いない――が、だからと言って退く気は毛頭無い。
極度の緊張に身を任せながらも、メタナイトは草を掻き分け、その領域へと足を踏み入れる。

そして遂に、"それ"は姿を現した。


そこに居たのは、犬。恐らく姿さえ見れば誰でも即座にそれと分かるような、極普通の犬だった。
余りにも見当違いなその風貌を目の当たりにしたメタナイトは拍子抜けし、余計に混乱する。

まさかこの犬が犯人だとでも言うのだろうか。
それにしては特に武装もしていないし、迫力や殺気といった気質が微塵も感じられない。
大きさも一般的な品種と差して変わらず、このゲームの参加者の中では比較的小柄体型であるメタナイトよりも小さい。

暫く様子を窺ってみるものの、攻撃を行う素振りどころか、喋る気配すら見せなかった。
不可解な台詞を繰り返し叫んではいたものの、これでは正直話が通じるのかどうかさえ疑わしい。

常に冷静で機転の利く彼故か、この時メタナイトは明らかな違和感を覚え始めていた。
とにかくこの犬が何なのかを知るべく、更に前へ近付くと――





「 アソバンカーー!! 」






「! 何だ…?」

距離を詰めるや否や犬がまたも叫び、メタナイトは衝撃を受ける。
言葉の意味そのものは先程までのものと相違無い。ただ、今度は張り上げる声がさっきと比べやや大きいのだ。
それは――まるで "何らかの変化を誰かに通告している" ようにも取れる。


「!!」


待て、冷静にこの犬をよく見ろ。この犬は何処にも首輪らしき物は付けられていない。
仮に爆弾の役割を果たす物が首輪という形状に縛られないにしても、
必ずそれが身体の何処かに、周囲の人間が判別可能な形で付けられている事が参加者である絶対条件だ。
つまりこの犬は参加者では無い。参加者で無いとすれば、残る線はただ一つ。

支給品だ。支給品であるこの犬が直前まで叫んでいたという事は、これは何者かによって仕組まれた紛れも無い囮。
その囮がたった今、自分が肉薄した途端にその前の3回とは"微妙に"異なる台詞を叫んだ。
この一連の動作を行わせた目的は何か――、それが支給品だと分かれば、自ずと答えは見えてくる。

「後ろかッ!!」

弾かれた様に地面を蹴り、メタナイトはとっさにそこから飛び退こうとする。
だがメタナイトが気付いた時には既に遅く、撃鉄が鳴るのと同時に発射された2発の銃弾が彼に迫っていた。
1発は彼の所持する強固なネギを真っ二つにし、もう1発は左腕の上部――メタナイトにとっては、肩に当たる部位を抉った。

「グッ…!」

瞬間、電流の如き激痛の波が走り、鮮血が飛び散る。彼は呻きながらも瞬間的にマントに包まり――、
文字通り、そこから一瞬にして消え失せた。



◆ ◆ ◆



スネークがてつに対して与えた指示は次のようなものだった。

『自分が移動を開始してから1分後に「アソバンカ」以外の適当な台詞を15秒の周期で叫び続け、
 その後、敵がてつのいる位置から半径5m以内の領域に入ってきたら「アソバンカ」と叫べ」

まず最初の1分の間に、てつや敵と十分な距離を取り、敵の隙を突く体勢を整える。
アソボウヨと叫ぶ際にわざと15秒の間隔を置かせているのは、てつに与えた役割を敵に気付かれ難くする為。
叫んでいるてつの元に近付いていくであろう敵の背後を無難に狙える位置へ再び移動し、
そして、てつが敵を引き付けた事を知らせる合図を受けて立ち上がったスネークが、背後から一気に叩くという算段だ。

この作戦は結果として巧く働いたものの、発砲する寸前で敵もこちらの狙いに気付いたらしい。
放った2発の銃弾を完全に躱される事は無かったが、その直後に奴が突然マントに身を包み――、
はっきりと目で捉えていた筈のその姿はいつの間にか影も形も無くなっていた。

「……消えた…?」

続く3発目を発射する事も出来ず、スネークは敵の予想外の反応と抵抗にただ唖然としていた。
敵が透過能力や瞬間移動に準ずる能力を発現する術を持っていたとは、流石の彼も想定していなかったのだ。

尤も今目の当たりにした現象は、時間そのものを無視した完全なる"瞬間移動"を行った十六夜咲夜の時とは違い、
スネークが元居た世界の技術力と科学レベルを考慮に入れれば決して珍しい事では無い。

真っ先にスネークの脳裏に浮かんだのは、このゲームに連れて来られる前に目にした、最新型の兵器である"ステルス迷彩"。
メタルギアREX開発班チーフである、オタコンことエメリッヒ博士がアームズ・テック社のステルス技術の枠を集めて
完成させたという画期的な光学迷彩装置だ。

アームズ・テック社のバックアップを受けた戦闘部隊の間では既に実用化が進んでいる装備品らしく、
自分も実際にオタコンを始め、FOXHOUND部隊の隊員の一人であったサイコ・マンティス、
かつての盟友にして宿敵であるグレイフォックスと思しき忍者が使用しているのを確認済みだ。

だとしたら、敵が翻したあのマントにもステルス迷彩と同様の原理で作られた何らかの機能が
実装されていると考えるのが妥当だが――、

早合点しても痛い目を見るだけなのは承知している。そもそもこの世界では現世の常識というものが何一つ通用しない。
自身の持つ知識と情報だけを頼りに、起こった全ての事象を推し量ろうとするなど、余りに無意味な行為だ。
この場では、単純な戦闘技術と自身が持ち得る第六感をフルに活用して状況に対処するより他無い。
スネークは引き金に指を掛けたまま、注意深く辺りの様子を窺う。

(俺の勘が正しければ…敵はまだ此処から離れてはいないはずなんだが…)

やがてそれを裏付けるようにして、やや離れた距離で草がガサガサ、と音を立てるのをスネークは聞いた。
すかさず銃口をその位置へ向け、敵がどう動くかを見極めようとする。

最初の一撃で既に武器の破壊には成功している。まだデイバッグの中に何かを隠している可能性は否めないが、
一向に反撃を仕掛けてこないという事は、少なくとも遠距離からの攻撃は不可能と見ていいだろう。
この局面であれば、説得して仲間に引き入れる事も難しくはない。

思考を纏め、スネークが口を開こうとした瞬間――、


その丸い影は、茂みから飛び出し猛スピードでこちら側へと突っ込んできた。
不服としか言いようの無いそのタイミングに思わず舌打ちし、正確にその影に照準を合わせ指に力を込める―――が、

「!?」

その丸い影は前面に盾か何やら分からぬ物体を突き出し、身体全てを覆い隠していた。



◆ ◆ ◆



メタナイトがスネークの銃撃から逃れる際に使った技は、"ディメンジョンマント"と呼ばれるもの。
翼にも変形可能なそのマントに内包された魔力を一気に放出することで、
一時的に別次元へ転移、簡単に言えばどんな攻撃も受け流す透過状態になる特殊な技だ。
ただし、マント自体に宿った魔力が微々たるものである事に加え、主催者によって施された制限がある故に、
現状この技を使って一度に姿を消せる時間は僅か0.8秒程度しか無く、連続での使用もおよそ3回が限度である。
しかし、その1秒にも満たない時間の最中、メタナイトはスネークの追い討ちを回避し、再び茂みの中に移動したのだ。

敢え無くネギを破壊されたメタナイトは、傷の出血を抑えながらも次の一手を模索した。
ここでふと、ランダム支給品の一つであるバトルドームの存在を彼は思い出していた。
有効な活用法が見出せず、一向にデイバックから出る事の無かったその玩具――。
それをこの瀬戸際で巧く活用する、取って置きの方法をメタナイトは閃いた。

まず、周知の通りメタナイトは身体が非常に小さい。
彼のライバル(?)として知られるカービィ(身長約20cm)よりやや大柄であるとはいえ、
実際に計測したとしても恐らく50cmあるか無いか程度のもの。
対するバトルドームは机上に置き、それを囲む形で同時に4人までが遊べる3Dアクションゲーム。
当然そんな卓上ゲームも相応のサイズを保持したものとなっており、
支給されたNEW! アメリカンタイプの型は、全幅625×奥行625×高さ340mm!
メタナイトの身体を覆い隠すには十分過ぎる程の大きさを持つ。

彼はこのバトルドーム上部にある緑色の突起を掴み、それを盾のように使うことで
敵の弾を防ぎつつ一気に接近するという、一見無謀としか思えない作戦に出たのだ。

一か八かの大博打である事はメタナイト自身も十分理解していたが、
現状で思いつく最良の反撃方法がこれだった以上、このトンデモ展開もやむを得ないだろう。
まさに超!エキサイティン!!である。



◆ ◆ ◆



スネークは焦燥感に追われながらも後退し、迅速かつ的確に狙いを定め、銃を放つ。
当然単なる玩具として作られたバトルドームで、コルトパイソンのマグナム弾を防ぎ切る事など出来る訳が無いだろう。
だが、即席の盾の役割を果たしたバトルドームの阻害を受け、勢いを殺がれた弾はゼロの仮面を貫くまでには至らない。
仮面にヒビが走るがそれにも構わずに、メタナイトは更に距離を詰めていく。
ここでスネークが4度目の銃撃を放ったことで、装填されていた残りの弾全てを消費し、完全に無防備な状態となる。

その後、遂にメタナイトがスネークの眼前まで踏み込み、手にしていたバトルドームをスネークの顔面目掛けて投げつける。
スネークはそれを間一髪で回避するが、自身のそれを遥かに上回る機動力を持つメタナイトの追撃に間に合わせる事は出来ない。

間髪容れずに、拳銃を握り締めているスネークの手に向けて、上方から凄まじい勢いで手刀を叩きつけ、

手刀をまともに喰らったスネークが堪らず銃を取り落とし、

それを素早く先に拾い上げたメタナイトがその銃口を、スネークへ突きつけようとした――、






――そんな時、放送の時間は訪れた。






『――やあ、お前ら久しぶりだな――、』


「………」

「………」

上空に出現したモニター。それに映った、かの右上による定時放送。
戦闘中とはいえ、主催者側から伝えられる唯一の情報であるそれを聞き漏らす訳にはいかなかった。
二人は目の前の相手に対し最大限の注意を払いながらも、一体に響き渡る機械音声に耳を傾ける。

右上の意味深な前置きが終わり、死亡者と禁止エリアについての情報が告げられ始め――、

そこで呼ばれた名前を聞き、両者が示した同様の反応。
声には出さないものの、互いの表情がその感情を露にしている。
彼らの居ぬ間に突如発生した"死"によって浮かび上がる、様々な感情――そして疑問。

やがて放送が終了し、先に口を開いたのはメタナイトであった。

「…ここはまず話し合おう。どうやら我々が戦っている間に事態は思わぬ方向に進展していたらしい」

「…確かに、それが賢明だな」

メタナイトの率直な意見に、スネークも同意する。
放送では、つい先刻別れたばかりの仲間の名前がはっきりと呼ばれていた。
敵との条件がほぼイーブンに縮まった今、殺し合いに乗っていると断定出来ない相手と無闇に争いを続ける必要は無い。
それよりは、情報を共有し合い真相解明に努める方がずっと利口で、建設的だ。

スネークが茂みの外へ場所を移すよう提案すると、メタナイトもそれに応じ、奪い取った銃をスネークの元へ返した。
両者は攻撃が来ない事にひとまず安堵し、停止していた足を再び動かし始める。
かと言ってどちらも未だ相手を完全に信用している訳では無い為、常に警戒は怠らない。

スネークがてつを回収した後、二人は無事に茂みの外へ抜け出し、
メタナイトの傷の手当と並行する形で情報交換は始まった。



◆ ◆ ◆


それぞれの簡素な自己紹介から始まり、
このゲームに召還される直前はどのような状況にいたか、
ゲームが開始してからどのように行動してきたか、
与えられた支給品はどういったものか、
現状で信頼に足る人物、また危険人物と見られる人物は誰か――、
その他諸々の事を互いにかいつまんで話し合う。

ここまで来てようやく、二人はある程度お互いの事を信用するようになった。

共に冷静沈着で聡明な二人故か、終始要点を正確に纏めた発言に徹し、大した脱線もしなかったことで、
情報交換が非常に的確かつスムーズに進んだからだ。

途中、スネークが特に強い口調で話した十六夜咲夜に関する情報。
それを聞いたメタナイトは、その少女は自身が行動を共していた紅美鈴の同僚、
端的に言えば身内に当たる存在であるらしい事を語る。
彼女らの意外な関係性を知らされたスネークは思わず怪訝な表情になるが、
そこで特に追及しようとはせず、後で本人に直接問い詰める事にする。
当然、メタナイトの十六夜咲夜に対する警戒度も、この情報交換を通じて引き上がる事になった。

やがて議題が志々雄が関わる所まで行き着き、一気に殺伐とした雰囲気に変わる。
彼らが衝突を起こした原因は紛れも無くその男にあるのだ。

そして――、




「――つまり…お前達はそういった事情で、志々雄に同盟を組む事を持ちかけられても断れなかった、という訳か」
「…ああ。あの場では、ああするより他に無かった」

メタナイトは、あの時に志々雄から目を外してさえいなければ、と自身の注意の足りなさを呪わずにはいられなかった。
スネークも自身が志々雄に踊らされていた事を改めて悟り、ぶつけようの無い怒りと悔恨の念を抱く。

「…すまないな。俺が志々雄の嘘を見抜けてさえいれば、こうしてお前達を傷付ける事も無かったんだが」
「あの状況では仕方あるまい。それよりも今は一刻も早く彼らの元いた場所に戻り、真相を確かめなければ」
「…その通りだな」

そう、何時までも自身が犯した過ちばかりに目を向けていてはいけない。
いくら失敗しようとも、何を失おうとも、生きる意味そのものが完全に消滅する訳では無い。
重要なのは反省をし、それを次に生かす事。過去を悔やんでいる暇などありはしない。
二人にはまだ、すべき事が残っているのだから。

メタナイトとスネークが交戦する傍で、突如として巻き起こった"何か"。
スネークが行動を共にしていたという因幡てゐと海原雄山、メタナイトらが追っていた逢坂大河とトキ、
そして、最も厄介な存在であった志々雄真実、計5人の不可解な死。

美鈴と左之助だけが生きているという事が気に掛かるが、本人らと再開して直接話を聞くまで答えは出せないだろう。
事件の真相を探るべく早速元居た場所へ引き返す事を決めた二人は、不穏な空気が漂う中、夜を静かに往く。
その空気とは裏腹に、辺りは不気味な程に静けさを保っていた。


「しかし…これで残り32人、約半数が死んだという事になるな…」

空になった弾倉に新たな弾薬を詰め込みながらスネークは何気なく呟く。

「ああ…右上は後半戦の開始だ等とふざけた事を言っていたが」

「………」

そんな味気の無い問答を交し、スネークは何とも形容し難い空虚な視線を浮かべていた。
死者が次々と増えていく事で――、彼の心の中で渦巻く感情はより一層複雑なものへと変貌していく。

「…? 何か気に掛かる事でもあるのか」

押し黙るスネークを不審に重い、メタナイトは彼に問い掛ける。
すると、スネークは重々しい口調で呟いた。

「……俺が今までに助けようとした奴は皆死んだ。俺が生きていた世界でも、このバトルロワイアルの中でも――だ」

「!」

「戦いとは無縁の者が次々と死に、兵士である俺が今もこうして生き延びている事が…皮肉としか思えなくてな」

「………」

何処までも苛酷、それでいて不条理さが付き纏う戦争という名の悪夢を身を以て
体験してきた者でしか口にしないであろうそんな苦言。
それを受け、心の奥底で少なからぬ共感を覚えた騎士が、英雄と呼ばれたその男に掛けるべき言葉は見当たらなかった。


【D-4 草原/1日目・夜】
【メタナイト@星のカービィ(メタナイトの逆襲)】
[状態]顔面打撲、肉体疲労(小)、精神疲労(小)、左肩に銃創(処置済み)、ゼロマスク
[装備] ゼロの仮面(顔が入るサイズに改造、4箇所に亀裂)@コードギアス
[道具]支給品一式、割れた仮面@星のカービィSDX
[思考・状況]
基本思考:参加者の救出及びゲームからの脱出
1:何が起きたのかを突き止める
2:美鈴、左之助と合流
3:殺し合いに反対する者を集める
4:脱出方法を確立する
5:触覚の男(呂布)との決着
6:十六夜咲夜、サンレッドを警戒
[備考]
※E-2付近の川底で何か見たようです(気のせいという可能性もあります)
※フランドール、スネークと情報交換をしました。また、東方project出展のキャラについてそれなりの情報を得ました


【ソリッド・スネーク@メタルギアソリッド】
【状態】肉体疲労(小)、精神疲労(小)
【装備】コルトパイソン(6/6、予備弾22/36)@現実、TDNスーツ@ガチムチパンツレスリング、越前の軍服
 愛犬ロボット「てつ」@日本郵販テレホンショッピング
【持物】やる夫の首輪、ハイポーション@ハイポーション作ってみた、馬鹿の世界地図@バカ日本地図、全世界のバカが考えた脳内ワールドマップ
 咲夜のナイフ@東方project、さのすけ@さよなら絶望先生、基本医療品
【思考・行動】
基本思考:情報を集める。また、首輪を専門の奴に見てもらう。
1:何が起きたのかを突き止める。
2:メタナイトの仲間と合流。行き先はその後で決める。
3:自分から攻撃はしない。見つかった場合も出来れば攻撃したくない。
4:十六夜咲夜のような奴が居れば、仲間に誘った後、情報を聞き出した後倒す。
5:てつを使用し、偵察、囮に使う。
6:十六夜咲夜、フランドール・スカーレット、サンレッドを警戒。
[備考]
※馬鹿の日本地図の裏に何か書いてあります。
※ミクが危険人物という情報を得ましたが、完璧に信用はしていません。
※盗聴されている可能性に気付きました。また首輪に電波が送られているか何かがあると思っています。
※電波を妨害するチャフグレネード等の武器を使えば、どうにかなると考察しています。
※てゐからは千年以上生きている、知り合いの事を話してもらいました。
※メタナイトを通じて、美鈴、咲夜、フランドールの関係について新たな情報を得ました。



sm191:聲 “こえ” 時系列順 sm193:熱血と冷静の間
sm191:聲 “こえ” 投下順 sm193:熱血と冷静の間
sm186:―――世紀末 メタナイト sm209:Scarlet devil
sm186:―――世紀末 ソリッド・スネーク sm209:Scarlet devil






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