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違う自分 -ADVENT- ◆F.EmGSxYug




ドナルドは不満だった。表情は依然として、笑みのままだが。
ビリーが話しかけてきている以上、注意をそちらに向けるしかなかった。
それでもなんとか耳をそばだて、チルノとレンの会話もしっかりと聞いておく。

「よーするに。
 スペルカードルールってのは死なないような戦いを前提にしてるのよ」
「へぇ……」

チルノが話している内容もまた、ドナルドにとっては頭が痛い。
主催者を気に食わないとは思っているドナルドであるが、
「殺し合いを見るのは楽しい」ということに関しては同意見だ。
チルノの意見などケンタッキーのチキン並みに唾棄すべき事象でしかない。
しかもあのバカはそれをせっかく洗脳したレンに語っている。
(ドナルドにとっての)悪影響を防ぐためにもさっさとチルノを洗脳すべきなのだが、
下手にチルノへと執着して、余計な猜疑心を持たれては困る。
こうなった以上はしょうがない。大人しくビリーと話すしかない。
ただし、どうせ話すなら有益なものを。切り出していた話題は、死者について。
今二人が話しているのは、パンツレスラー達。
既にこの世の者ではない、赤さんとカズヤについてである。

「……要するに、その二人はビリーの知り合いだったってことだね。
 ビリーはなんで平気なのかな?」
「死は覆せない。過去を振り返ってる暇があったら、前に進んだ方がいい。
 二人とも、最期まで歪みねぇ生き方を貫いたはずさ」

そう言うビリーの表情に、影は無い。後ろを向かず、ただ前を向いて歩く漢の顔。
それを聞きながら、笑顔でドナルドは結論を出した。

――こいつは駄目だ。使えない。

ビリーはこの殺し合いの中でも、確固たる自分を保っている。
恐らく、簡単に洗脳される存在ではあるまい。
それどころか、ドナルドの真意を知ればすぐに妨害工作に走るだろう。
人が死のうとも、その死を乗り越えた上で自分の意志を貫き通す。
歪みねぇ在り方を求め、だらしねぇことを嫌う兄貴であるがこそだが……
ドナルドにとっては、そんなものはこれ以上なく邪魔だ。
道化とは外から滑稽に、変化球で相手を茶化すもの。歪んだ形で表現する存在である。

(こうなると、わざわざ付き纏ってくるのも怪しいなぁ。
 天然かな? それとも、ドナルドの狙いに気付いたのかな?)

笑顔の裏で、策謀を巡らせるドナルド。
正解は前者であるが、これに関してドナルドは正解がどちらかを調べる気はなかった。
どちらにせよ、自分が妨害されているという事実は変わらないのだから。
害をなすものにぶつけるのが妥当だと思ったが、誤りだったらしい。

(早く手を打たないとね……)

わざわざ悠長に待ってやる暇はない。
片付ける機会が来たら、さっさと処分するべき。
それが、ドナルドの出した答えだった。


「それで、あたいはちゃんとやったんだけど。ルナの奴がうっかり手を滑らせてさー」

あたいは歩きながら、レンとかいう奴と話してた。
今は自分のさいきょーっぷりを証明するために、
サニーたちの悪戯に付き合ってやった話をしてやってるとこ。

「……なあ、一つだけ聞いていいか?」
「言ってみなさい、さいきょーのあたいがちゃんと答えてあげるわ!」
「いつの間にか話逸れてるような……」
「え? そうかな」

外側だけ凍らせて中は水のままにしておく、
なんてあたいにしかできないと思うんだけどなー。
ま、レンがこの話を聞き飽きたって言うなら仕方ない。

「他の話が聞きたいって言うんならいいけどさ。
 そーねー……ミスティアの焼き鳥撲滅作戦に付き合って、
 クリスマスに人里へ七面鳥を解放しに行った話とか」
「…………」

あたいの言葉を聞いて嫌そうにするレン。なんでよ。ノリが悪いなぁ。
最初はノリノリであたいの話を聞いてた癖に。

「なら新しく妖怪の山の上に来た蛙に勝負を挑んだ話に……」
「……いや、俺が聞きたいのはそういうのじゃなくて」
「ちょっと待った。誰かこっちに来てないかな☆」

あたいの話にドナルドが割り込んできた。少しむかついた。
とりあえずドナルドが指差している方を眺めると……
確かに誰かこっちに歩いてきているような気がしなくもない。

「これでもドナルドは視力には自信があるんだ☆」
「ふーん」

ドナルドの言葉を適当に流す。
文とたまに一緒にいるい……いな……いに……いぬなんとかより目がいいのかなぁ。
しばらくすると、あたいの目にも歩いてきた奴の姿がはっきり見え始めてきた……


遠くを眺めながらも、ドナルドはほくそ笑む。
放送前に、ドナルドはつい自分の能力の一端を見せてしまった。
聞いたのはレンとタケモトだけ。しかし、後々あの事が話題にならないとも限らない。
列車の中に誰が乗っていたか、それについて話し合うことは有りうる。
ならばあらかじめ先手を打っておき、「自分は異様に目がいい」という事にしておく。
幸いチルノの住む幻想郷――ビリーと話しながらも盗み聞きした――では、
多種多様な能力を持つ生物がいるようだ。特に問題はないだろう。

(……さて、と)

注意をこちらへ歩いてくる相手へと戻すドナルド。
時刻は真昼間で、曇ってもいない。
視界はこれ以上なく万全、もう常人の肉眼でも見える距離だ。
歩いてきているのは、恐らく女性……いや女子。
歩くペースにせよ構えにせよ、何か特異なものは無い。
寧ろ、無防備だと言ってもいいだろう。

(となると、恐らくは一般人だね)

ドナルドにとってはその方がありがたい。
実力が無いものは、得てして精神もまた成熟していないのが常。子供がいい例だ。
洗脳する上では、当然精神的に発達していないほうがやりやすいのだが……

(……あれ?)

そこで、ドナルドは後ろから放たれた気配の変化に気付いた。
視線を動かさないまま、注意を後ろへと向ける。
その段階で、だいたい情勢は理解した。そして、この後起こるだろう事も。
それを予測しながら、敢えて道化師は止めず。

(なるほどね。使えるかもねぇ、彼女☆)

ただ、ほくそ笑んだ。


「……女の子……かな」

向こうから歩いてくる誰かを見ながら、レンが呟いている。
けど、なぜかあたいは歩いてくる相手そのものを見る気になれなかった。
理由は単純、他に注意を引くものがあるから。
あいつが持っている剣が、なんか気になる。
あの色合いやカタチ。
もし自分が剣を作ってもらうとしたら、きっとあれと同じ物を頼むと思う。
別に氷のように綺麗な刀身を持ってるわけじゃない。
そういった綺麗さなら、妖夢の剣の方がよっぽど綺麗だ。
ごちゃごちゃにした色んなお菓子を一本に組み合わせたようなカラフルな剣。
案外バラバラに分解できたりするのかもしれない――いやまぁ五本も六本も持ってても、
手は二つしかないんだから意味無いけど、それでもなんとなくその方がかっこいいし。
あいつがなんとか構えられているところを見ると、あたいでもなんとか扱えそうだし。
それに、上手く扱える剣があれば、りょほーせんと接近戦でもちゃんと戦えるかも……

……要するに、あたいはあの剣がなんか気に入っている。
いや、気に入っているどころの話じゃなくて。
そう、まるで……以前実際に、あたいはあの剣を作ってもらったと思えるくらい、
なんかあれはしっくりと来ていて……

そんなことを考えていると、突然すごい音が後ろから響いた。

「……ちょ、ちょっと!?」

歩いてきたやつも、驚いたように剣を構えている。
その目が向けられている先は、やっぱりあたいの後ろ。
慌てて後ろを見ると、ビリーがことのはの銃を掴んでるのが見えた。
その下の地面には、まるで何かが撃ち込まれたように穴が開いている。
歩いてきたやつを撃とうとしたことのはを、
武器を無理やり下に向けさせることでビリーが止めたみたい。

「こんな場だし過敏になるのは仕方ないね。
 でも、話も聞かずに殺そうとするのはだらしねぇな」
「……すみません」

ビリーの言葉に、大人しくことのはが頭を下げる。
まあ、それにおかしいところはないと思う。けど。

「…………?」

今なんか、ドナルドが変な表情をしてたような。
まぁ、あいつは普通に変な顔だし、いっつも変な表情だけど……気のせいかな?
そんなことを思うあたいを余所に、ドナルドが歩いてきたやつに話しかける。

「言葉ちゃんが先走ってすまないね。彼女、臆病な性格かもしれないから☆
 少なくとも、ドナルド達は君を殺そうと思ってるワケじゃないよ」
「……そ、そう。変な真似はやめてよ全く」

とりあえず、歩いてきたやつは剣を下ろした。と言ってもまだびくびくしてるけど。
特にことのはに対しては撃たれても当たらないようにしたいのか、
微妙に他のやつの影に隠れた位置にうごいてる。
弾を一つ撃たれそうになったくらいで、臆病なやつだなぁ。

「それよりあんた、俺の兄妹を見なかったか?
 まず緑色の髪をしてて……」
「レン、まず自己紹介しないとわけが分からないとドナルドは思うんだ。
 みんなも自己紹介しようよ☆」
「え……あ、ごめん。俺は鏡音レン。兄妹を探してる」
「……逢坂大河」
「ビリー・ヘリントン。パンツレスラーをやらせてもらってるね」
「今まで言った通り、ドナルドはドナルドだよ☆」
「……桂言葉です」
「あたいはチルノ。さいきょーの妖精よ!」

あたいとその部下のさいきょーな自己紹介を聞いて、タイガは。

「……お前ら、変なのばっかり」

そんなことを言った。

「変なのってゆー……」
「まあ変な集団に見えることもあるかもしれないけど、仕方ないね」
「幻想郷さいきょーのあたいが変なのなわけないでしょ!?」

あたいの言葉をビリーが遮る。手下の癖に。しかも変なのだって認める始末。
思わず言い返そうとしたところで、

「……ちょっと待って。今、幻想郷って言った?」

大河から、予想外の言葉が返ってきた。その言葉に一番早く反応したのは、レン。

「大河はチルノと知り合いなのか?」
「あ……そうじゃなくて、グラハムってやつからの又聞きだけど、
 キョン子を助けてくれた文って天狗が幻想郷とか言うところから来たとか……」
「えー……あの新聞ガラス?」

思わずテンションが下がる。声の調子も下がる。
あいつとの思い出で思い浮かぶのはでたらめな記事書かれたりとか、
池を飛んでたらストーカーされたりとか、変な写真集作られたりとか、そんなの。
負かしてもニヤニヤしてるから始末に終えない。
絶対あたいの部下になんかならないと思う、あいつ。
というか部下にしたら変なことされそうな……
そんなあたいを余所に、勝手にレンは話を進める。

「それで、そのアヤとかいう奴はどこにいるんだ?」
「あいつなら映画館で寝てるわよ」
「じゃあチルノは今すぐ映画館に行った方がいいんじゃないか?」
「あのブン屋なら放っておいても死なないわよ、きっと」

レンの言葉にそう返す。
しょーじきあいつが大人しくやられるところが思い浮かばないというか。
そういう意味では、信頼してるのかもしれない。
さいきょーのあたいは、やられることさえしないけどね。

「そんな事を言ってる場合じゃないだろ! そいつが誰かに殺される前に……」
「チルノにはチルノの事情がある。
 レンが兄妹に一刻も早く会いたいのは分かるけど、
 自分の感情を他人に押し付けるのはよくないね」
「だ、だけどさ!」

しつこく食い下がってくるレンを、ビリーが止めてくれた。
さすがあたいの部下、レンも見習ってほしいなぁ。
そんなことを考えていると、ぽんぽんとあたいの肩を大河が叩いた。
相変わらずことのはと真正面から向き合わないように隠れてる。

「あんた、あいつと知り合いなの?」
「……一応」

からかわれたり悪戯されたり盗撮されるのを知り合いというなら、
そうなんじゃないかなぁ。まあいたずらならあたいもよくやるけど。

「聞きたいんだけど……文って怒ると怖い?」
「あんた、なんかしたの?」
「……ちょっと」

そういう大河の顔は微妙に暗い。何か負い目でもあるんだろうか。
でもそんなこと言われても、あいつはいつもニヤニヤ余裕ぶってて、
本気で怒った所なんて見たことない……
どう答えようか考え込むと、ふと大河の持っている剣が再び目に入ってきた。
そこで思わずひらめいた言葉が一つ。あたいったら天才ね!

「教えてもいいけど、じゃあその剣貸してよ」
「え?」

目に入ってくる、きょとんとした表情。
それを無視して、言葉を続ける。

「だってなんかかっこいいじゃん、それ。
 それ貸してくれたら教えてあげる!」
「……かっこいい……ねぇ。でもこれ、おもちゃみたいな装丁……」
「ハッピーセットが子供達に売れるのと同じだよ☆」

ドナルドにはこの剣のかっこよさが分かるらしい。さすがだ。
ハッピーセットとか言っている意味は全然分からないけど、
きっと「この剣はかっこいい」って意味なんだろう。たぶん。

「……まぁ、いいけど。ほら」

ともかく、大河は剣を差し出してくれた。
ひとまずその剣に、手を伸ばす。
握ってみると、やっぱりしっくりと来た。
ちょっとまだおっきいけど、あたいがもう少し成長すればいい感じに――

「……あれ?」

なんか、頭が、くらっとした。


「…………じゃない?」
「……方ない……」

いつの間にか閉じていた目を開けると、周りの風景が変わっていた。
背中には変な感覚。何か建物に背もたれているみたい。
と、レンの言葉が耳に入ってきた。

「あ。あいつ、目を開けたみたいけど」
「……何があったの?」
「剣を握った瞬間、突然君が倒れてね」
「といっても、二十分くらいしか経ってないけど☆」

ビリーとドナルドの言葉に、とんとんと頭を叩く。
なんか、あの剣を握ってからいきなり時間が飛んだような気がする。
いや、気絶したみたいだから実際トンだみたいなもんだろうけど。
とりあえず起き上がる。別に動きに支障はなさそう。
どうやら、ホテル……だっけ?ここはその庭みたいだ。
噴水があるし、明らかに人の手が入っている木が植えられてる。

「チルノちゃんには起きたばっかりで悪いけど、
 君は大河ちゃんと一緒に図書館に行ってくれるかな?
 彼女に護衛が必要だし、疲れてる君は戦わずに休んだ方がよさそうだからね☆」
「……あたいは別に疲れてなんかないわよ」
「あのな、倒れた奴が言っても説得力ないだろ」

レンの言葉にむっとする。あれは剣のせいかもしれないのに。
でも、口には出さない。なんとなく、あの剣を悪く言うのは嫌だ。

――仮にも、アタイの名前が入っている剣なんだから。

そんなことを考えていると、ビリーが近づいてきて耳打ちした。

「言葉と大河を一緒にいさせるわけにはいかないから、仕方ないね」

どうやら、二人はまだピリピリしているらしい。
視線を移すと、相変わらず言葉は少し離れた位置で黙っている。
まぁ……二人を引き離す口実を兼ねているなら、しょうがないのかな。
そこまで考えたところで、ふと思った。

「……そういえばあの剣は?」
「あれなら普通に私が持ってるけど」

あたいの声に、大河が答える。
どこにあるか分かったなら、話は早い。

「出発する前に、もっかいあの剣を貸してくれない?」

あの剣を握ったときの、変な感覚。
あれはあの時あたいがたまたま倒れたのか、それともやっぱりあの剣のせいなのか。
少なくともそれを確かめておきたい、んだけど。

「……なんかやたらこの剣に拘ってみたいけど、あげないよ。
 私、これしか武器が無いんだし」

一回ちらりと言葉を見た後、そう大河は返事を返してきた。
つくづく言葉を信用してないみたいだ。
……ちょっと困った。確かめたいのはもちろんだけど、できれば、この剣欲しいし。

「でも、武器は一番上手く扱いやつの手元にあるべきよね!」
「……よーするに、あんたの方がこの剣を上手く使えるって言いたいの? 
 私よりチビなのに?」
「そりゃもちろん。
 あそこにある木を、切り倒せるくらいには」

口からでまかせ。
ただ木が目に入ったから、思いつきで適当に言ってみただけ。
それなりに歴史がある木なのか、結構太い。だから目に付いたんだろうけど。
妖精の隠れ家としても成り立ちそうな、そうそう折れそうにない大きな木。
――それでも。
なんか今のアタイには、なんとなくそれが出来るような気がするのも事実だった。

「……じゃあ、やってみせてよ」

案の定、大河はそんなことを言いながら剣を渡してきた。疑問げな表情もセットで。
まぁ、斬れなかったらそれはそれでいい。
剣を握って、さっき起きたのがたまたまなのかどうか確かめられるだけでもいいし……
頭の中に浮かぶ、よくわかんないイメージを実践して確かめたいし。
渡された剣の柄をもう一度、警戒しながら握って――

「……づっ!?」

慌てて握力を緩める。気のせいでも、偶然でも、たまたまでもなかった。
今回は気絶しなかったけど、それでも意識が揺らぐ。
身体は少しも傷ついていないのに、頭が雪崩に押しつぶされたような圧迫感。
あるいは頭が湖の氷みたいに、上に乗った重さに耐え切れず砕けるような錯覚。
まるで雪が解けるように、一瞬握っただけで意識が消えかけた。
けれど、感じたのは熱さじゃなくて、眼を痺れさせるような鋭い寒さ。
あたいは寒いなんて思ったことはあんまりないのに、
まるで、身体の中に尖った吹雪が凝縮されて押し込まれたように。

「は……あ……ぅ」

なんとか吐息を漏らして、気分を落ち着ける。
今だって、呂布にやられたとこが少し痛い。
だけど、さっき流れ込んできた辛さに比べればそんなの痛みとさえ呼べない。
剣を握るとよくわかんない痛みと……なんか知らないけど、
やっぱりよくわかんない変な何かが流れ込んでくる。
……いや、水とかみたいな、実際にあるものが流れ込むんじゃなくて。
何か、変なものが……見えるというか、感じると言うか。
あたいには、上手く表現できないけど。

「やっぱお前、疲れてるんじゃないか?」
「平気よこれくらい。ちょっと待って……」

レンの言葉を適当に流して、剣の柄をとんと叩く。直接持たなきゃ大丈夫だと思う、多分。
それで、柄の周りが凍った。凍ったのは周りだけで、柄自身は少しも凍ってない。
サニー達に頼まれてカープボールを作った時と似たような感じだ。
氷越しに、剣を握り直す。予想通り、今度は何も流れ込まず意識が飛ばない。

「えっと、何やってんの?」
「こっちの方が握りやすいの。あたいなら氷はすぐ消せるし文句言わない」

てきとーに言葉を返して、バスタードチルノソードをバラした。
ウエハースが二つ、チョコエッジが二つ、スイカソードが一つ。
あたり剣を軸として組み合わさっていた一つから、五つになって外れる。
といっても完全に外したわけじゃなくて、ブラブラしながらくっついてる。
もちろん、わざと。そのまま構えようとすると、剣の持ち主が変な声を上げた。

「……その剣、そんなことできたの?」
「なんだ、あんた知らなかったの?
 ま、アタイに掛かればこれくらい簡単さね。
 ……ところで、あんたなんて名前だっけ」
「……大河。忘れるの早すぎ」
「そりゃゴメン。それじゃ――行くよ」

大河の言葉を適当にスルーして、木から数mほどのところで構える。
――どんな風に構える?そんなの、『いつも通り』構えるに決まってる。

「ブレイク! 奥義……」

魔力を全開にして、五剣の止め具を完全に外しながらあたり剣を振った。
剣を振った勢いで、五剣はあたり剣から完全に外れて飛んでいく。
魔力による制御も合わせて、飛んだ五剣は綺麗に木の幹に撃ち込まれる。
同時に、地を蹴る。撃ち込まれたのは五つの剣。舞い散るは氷の華。
そして、手元に残るは一つの大剣!

 ヒョウカキョウショウ
「氷華⑨咲!」

そのまま突進するような勢いで、手元に残したあたり剣を振り抜いて……

「あだっ!?」

勢いを殺しきれずに、転んだ。
おっかしいなぁ。普通に出来ると思ったんだけど。
けれど、周りはずっこけたあたいを見ていない。

「――うわ」
「……大当たり……じゃないか。ちぇ」

鈍い音を立てて切り倒された木を、見ているから。
起き上がりながら、ぱんぱんと埃を払う。
……でも、アタイとしては不満だ。
森羅仕込みの剣技ならこれくらい簡単に両断できると思ったのに、
あたり剣は木の幹の途中で止まっていた。
半分以上は切れたから結果として木は倒れたけど、普段の50%も成果を出せていない。
転んだときといい、どうも身体の動きが中途半端にしか思い出せていないような……

「……あれ?」

ふと疑問が浮かぶ。
森羅って、なんだっけ。というか幻想郷にそんなのあったっけ?
また指でとんとんと頭を叩く。分からない。ただ、知らない名前を知っている。
なんであたいはそんな言葉を思い浮かべたんだろう?
いや、そもそもなんでこの剣の名前が分かるんだろう?
いつも通りって、普段っていつ?
思い出すって、こんな戦い方をいつどこでしたの?
分からない。分からない。分からない。
……こういう時に霊夢がいたら、
『いよいよバカを通り過ぎてボケでも始まったの? この嫌われ者』
とかニヤニヤしながら言うんだろうなぁ。
なんか想像するだけでムカついてきた。帰ったらぶった切ってやる。

「ともかく、この剣はちゃんと使いこなせるアタイが使うってことで」
「……図書館にいる奴は私が使えそうな代わりの武器、持ってるの?」
「うん、それなりにあったと思う」
「じゃ、我慢するけど……」

相変わらず言葉を警戒しながらむくれた表情で答える大河に、そう返した。
この異常は、どう考えたってこの剣を握ったときから。
……つまり、氷越しにじゃなく直に握って我慢すれば、
完璧に剣が使いこなせるようになるんだろうか?
おぼろげに頭に浮かぶ、変な記憶がはっきりするんだろうか?

「…………」

握ったときのことを思い返して、少し震える。
流石に、あたいでもあれを繰り返すのは、ちょっと怖い。
と、ここで突然思い出したように大河が口を開いた。

「あ、そういえば。
 文って怒ると怖いかどうか、まだ答えてもらってないんだけど」
「そういえばそんなのもあったっけ。
 でもあたい、文が怒ったところ見たこと無いからわかんないや」
「ふ、ふざけんなあああああああああ!」


【C-3 ホテルの東側/一日目・昼】
【逢坂大河@とらドラ!】
[状態]:健康、死への恐怖
[装備]:ハネクリボー@遊戯王GX(使用可能まで2時間)
[道具]:支給品一式×2、しじみ@松岡修造、ハロー大豆3パック@かんなぎ、
 もやし3パック@THE IDOLM@STER、ケフィア(瓶)@現実、ランダム支給品(0~1)
 マイリスト機能@ニコニコ動画、オリジナル
[思考・状況]
0:殺し合いをせずに脱出する。
1:塩だって頑張れたんだから、きっと私だって何かできるはず。
2:図書館に行った後、三時までに映画館に戻る
※塩の言葉により死への恐怖を克服したわけではありませんが、だいぶ感じなくなりました。 また、吐き気はおさまりました。
※グラハム、キョン子、ドナルド達と情報交換しました。
※マイリストに映画館を記録しました。


【チルノ@東方project】
[状態]全身強打、右肩甲骨、左肋骨に若干のヒビ(怪我は60%程度回復)
[装備]バスタードチルノソード@東方project派生
[道具]支給品一式
[思考・状況]
基本思考:殺し合いには乗らないが手当たり次第倒して部下にして回る、主催を倒す
1:なんで知らないことが頭にあるのか知らないけど、ま、いーや。
2:図書館に戻る。
3:さいきょーを証明する。
4:さいきょーのあたいがさいきょーのチルノ軍団を結成して主催者を倒す。
5:呂布を倒して部下にする。
【備考】
※空は飛べますが体力を余計に消費します
※ビリー・レン・タケモト・ドナルドを勝手に部下にしました。
※スプーを妖怪だと思っています。
※氷符 アイシクルフォールは制限対象に入っていないようです。
弱体化してはいますが、支障なく使えます。
但しイージーモード限定です。自機狙い5way弾は出せません
※バスタードチルノソード越しに並行世界の情報を得ることで、
その世界の自分の能力を使えます。
ただし並行世界の自分の情報と混濁するため記憶障害などの負担が掛かります。
※並行世界の知識を得ましたが、一瞬触っただけのため断片的にしか得られておらず、
習得した剣技もまだ不完全です。
※少し漢字が読めるようになりました。


こうして、ドナルド達四人とチルノ・大河の二人は別れることになった。
ギャーギャー口喧嘩しながら歩いていく二人を、呆れながら見送る四人。
その中で、チルノの異常に気付いたものはいない……いや、一人だけいた。
唯一異変に気付いたのは、ドナルドだけ。
そして、チルノが意識を失っている間に、
「彼女は疲れているんじゃないかな?」と真っ先に発言したのもドナルドである。
もちろん、本心からの発言ではない。

(何があるのか少し気になるねぇ。ドナルドが持ったときは普通だったし……)

チルノを見送りながら、ドナルドはそう思考する。
実際、大河に頼んでドナルド自身も持たせてもらったが何も異常は起こらなかった。
となると……あれは、チルノが持った場合限定の異常だと見るべきか。
数分前に聞いたばかりの大河の名前を忘れていたのも、恐らく異常のうちだろう。

(惜しかったなぁ、そうだって知ってればドナルドの組に入れたのに)

心中で舌打ちする。
組分けと方針の決定は、チルノが気絶している間にドナルドが決めたものだ。
恐らくあの剣が齎したのは、精神への影響であろうとドナルドは推測していた。
それならば尚更洗脳は容易くなり、絶好の機会だったのだが……
そう推測を立てたのは、チルノが大河の名前を聞き直した時、
つまりチルノと大河を図書館に戻すように決めた後である。

(ま、いいさ。それでも十分、ベターな組分けをしたからね)

分けた面子は四人と二人。
四人は、ドナルドとビリーと言葉、レン。最初に決めていた通り、殺人者の排除を行う。
二人は、チルノと大河。図書館へ戻る大河の護衛。
ドナルドとしては、チルノを戻らせたくは無かった。
タイミング次第では、バクラが藤崎を殺す場面に出くわすこともないとは限らない。
だがレンはどうもチルノに妙な憧れを抱いているようだ。
正確には、「自分の望んだヒーロー像」の押し付けか。
やたら自分の聞きたい話だけをチルノに聞きたがったのもそれに起因する。
つまり、レンは「殺さずに相手を止める」ということに憧れている可能性があるのだ。
普通ならば、発信源のチルノを洗脳すればそれで終わり。
レンへの(ドナルドにとっての)悪影響どころか、
むしろ良い影響を与えるようになるだろう。
しかし、現在それを行うにはビリーという壁がある。
理由を付けて引き離すしかなかった。
今ドナルドがすべきことは、目の上のたんこぶを排除することだ。

(ねぇ、そうだろう……桂言葉ちゃん?)

にやりと笑う。
彼女は大河が現れたときに、明らかな過剰反応を示していた。
殺し合いの空気に精神不安定になっているのか、とドナルドは推測している。
それなら黙り込んでいるのも説明が付くからだ。
他人を信じていないのかもしれない彼女なら、あっさり彼を殺してくれるかもしれない。
それがドナルドの考えである。
もっとも実際のところ、精神不安定なのは当たっていてもその理由は違うのだが。

狙うはただ一人。
自分に付き纏い妨害する、洗脳できそうにない存在――ビリー・ヘリントン。


【C-3 ホテルの西側/一日目・昼】
【ドナルド組殺人者駆除班基本思考】
1:西に向かい、ブロリー、呂布、てゐ、志々雄、黄色い怪物(スプー)の討伐。
2:役立たずは……
※大河と情報交換しました。
 文、グラハム、キョン子はとりあえず信頼できると認識しました。

【ドナルド・マクドナルド@ドナルド動画】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 不明支給品0~1 1outキノコ@奴が来る
[思考・状況]
基本思考:教祖として信者を沢山作りつつ、信者を指揮してバトルロワイアルを盛り上げ主催者になりかわる
1:隙を突いて言葉を洗脳或いは共謀し、ビリーを殺す
2:レンとチルノを殺し合い向きな人材に育てていく
3:タケモトの首輪解除及び無力化のための手伝いをする。利用した後は……
※僧侶のネガキャンを聞きました。

【ビリー・ヘリントン@ガチムチパンツレスリング】
[状態]:小ダメージ、股間が少し痛む。 
[装備]:敗れかけの半袖ジーパン(二試合目の最初の姿)
[道具]:支給品一式,万葉丸(15/30)@零シリーズ、強姦パウダー@ニコニコRPG(4/9)、不明支給品0~1個
[思考・状況]
基本思考:強者を求める。
1:ドナルドが気に入った。
2:強者と戦う。
3:トキともう一度戦いたい。
4:リョホーセンやあの怪物(スプー)と戦いたい。
【備考】
※チルノから呂布の簡単な姿と行き先を教えてもらいました。

【桂言葉@SchoolDays】
[状態]:疲労(小)、病み具合微上昇中
[装備]:ランサーアサルトライフル(349/350)@Gears of War2
[道具]:支給品一式、ののワさん@ののワさん、魔法の石(ののワさん使用中)@Heart Of Darkness
[思考・状況]
0:月、バクラと協力し、3人で優勝を目指す。(所謂ステルスマーダーとして行動)
1:バクラに対する不信感、でもとりあえずドナルドたちについていく。
2:どんな方法でも誠くんを生き返らせる。生き返るなら自分は死んでもいい。
3:ベジータやブロリーのように圧倒的に強い相手には無理を避けたい。
※アニメ最終話後からの参戦です。
※希望を見出したため、ヤンデレ分は沈静化し、目のハイライトも戻っています。

【鏡音レン@VOCALOID】
[状態]:肉体的・精神的に疲れ ドナルド信者状態
[装備]:朝倉さんのナイフ@涼宮ハルヒの憂鬱
[道具]:支給品一式×2 不明支給品0~1 ダイヤの結婚指輪のネックレス@ネ実板(ブロントさん) スタンドマイク@VOCALOID
[思考・状況]
基本思考:弱い悪党から殺していき、出来る限り早く強くなる。(悪気はないが足を引っ張る参加者=悪党)
1:拡声器でミクの悪口を言っていた悪党(僧侶)を殺しに行く
2:強くなって、いつか志々雄にリベンジする
3:兄弟たちに会いたい
4:ドナルドを尊敬、信頼
5:不安だったがタケモトも見直した
6:チルノの言う『最強』に興味
※僧侶のネガキャンを聞きました。


sm139:The last wolf strategy ~志々雄真実の策略~ 時系列順 sm140:好奇心は並行世界の猫を殺す -Nicht-
sm139:The last wolf strategy ~志々雄真実の策略~ 投下順 sm140:好奇心は並行世界の猫を殺す -Nicht-
sm127:戦う理由 逢坂大河 sm140:好奇心は並行世界の猫を殺す -Nicht-
sm119:危険人物?いいえ、対主催です チルノ sm140:好奇心は並行世界の猫を殺す -Nicht-
sm119:危険人物?いいえ、対主催です ドナルド・マクドナルド sm140:好奇心は並行世界の猫を殺す -Nicht-
sm119:危険人物?いいえ、対主催です ビリー・ヘリントン sm140:好奇心は並行世界の猫を殺す -Nicht-
sm119:危険人物?いいえ、対主催です 桂言葉 sm140:好奇心は並行世界の猫を殺す -Nicht-
sm119:危険人物?いいえ、対主催です 鏡音レン sm140:好奇心は並行世界の猫を殺す -Nicht-
sm138:矛と盾の話――PRIDE―― 右上 sm140:好奇心は並行世界の猫を殺す -Nicht-
sm00:オープニング 運営長 sm140:好奇心は並行世界の猫を殺す -Nicht-






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