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戦う理由 ◆VoBPM./vd6




 塔での戦闘から数十分後。
 美鈴たちが立ち去った後、アカギが訪れる少し前。
 映画館には誰もおらず、見ていない僅かな間隙。
 キョン子たちはなんとか無事にその中まで逃げ切っていた。

「・・・段差があるのに、あの丸いの乗り回してる。」

 映画館内でも平気でDホイールを乗り回すグラハムに、キョン子は呆れ返る。
 段差だろうと狭い空間だろうと踏破していく様子は確かな操縦技術を感じさせるが、
 マナー的にどうかと言う気がする。
 こんな場でマナー云々言ってもしょうがないとは分かっているけれど、
 更に服がボロボロの文を抱えているのでヤバさは更に倍増している。

「まさに、眠り姫だ…!」

 ようやくDホイールを止めて文を下ろしたグラハムが言ったのは、そんな言葉だった。
 暴走を続けるグラハムにドン引きしながら、キョン子と大河も近くの長いすに座り込んだ。
 いくらグラハムがDホイールの速度を緩めていたとはいえ、
 それなりに疲労する速度だったことには変わらない。
 二人が汗を拭いながら呼吸を整えていると、突如グラハムが立ったまま口を開いた。

「二人とも、死んだ覚えはあるか?」
「は?」
「いえ、ありませんけど」
「死んで地獄に落ちたからこのようなものに参加させられたと私は思ったのだがな。
 射命丸の見立てによると私は生きていて、未来から来たらしい。
 君たちが死んだ覚えが無いというなら、そちらが正しいのだろう」
「いや、どう考えてもどっちもおか」
「たぶん、それで間違いないと思う」
「未来人を見ても、驚かないの?」
「まぁ、知り合いにいるから」
「どういう交友関係持ってんのよ!?」
「…あなただって塩に入れこんでたじゃない」
「そ、それは…その。」

 口ごもる大河に、横からグラハムが割りこんだ。

「塩だろうとなんだろうと、彼が漢であったのは確かだ。
 私は射命丸に着せる服がないか探しに行く・・・と言っても、
 このような施設に服があるかは怪しいが。二人とも休んでいるといい」



 そう告げて、グラハムは立ち去っていった。
 残ったのは長いすの上で寝息を立てている文と、静かに座っているキョン子と大河。
 とは言っても二人だけ残されても、話題はなかなか思いつかない。
 もともとキョン子はどちらかというと聞き手よりなのだし、
 大河は塩の死のショックがまだ抜け切っていないのか黙りきっている。
 互いに言葉を発することもないまま、ゆっくりと、だが確実に時間が過ぎていく。
 微妙な空気に耐え切れなかったのか、キョン子は何か話題は無いかと思っていた。

「…なんか揺れてない?」

 それが起こったのは、その時だった。 
 外でのフランドールとアカギの戦闘だ。
 映画館間近で行われている戦闘は、当然映画館に影響を及ぼす。
 向こうから降って沸いた話題を、思わずキョン子は呟いていた。
 けれども。

「…私、自分が何をしないといけないのか考えてた。
 何で塩のやつは、あんなにがんばれたのかって」
「え?」 

 あさっての方向を向いた、返事が返ってきた。
 大河の言葉に、思わず間の抜けた言葉を返すキョン子だったが、
 それを尻目に、大河は立ち上がる。足を震わせながらも、意を決したように。

「様子を見てくる。」
「は!?」
「誰かが襲われてるかもしれないでしょ。
 それに、爆弾降らしてる奴が入ってくるかもしれないし」
「いや、どう考えても危ない・・・」
「私もキョン子に同感だな」

 そんなことをさらりと言ったのは、いつの間にか戻ってきていたグラハム。
 どうやら服は結局見つからなかったらしい。
 そうしている間にも、現在進行形で音は響き揺れは続いている。



「引きこもってるだけじゃどうにも・・・!」
「では逆に聞くが。
 映画館を揺らすほどの存在と相対した場合に、私たちが勝てると思うか?」

 大河の言葉は、あっさりと静止される。
 はっきり言って、ただの人間でしかない彼らの戦闘力は低い。
 間違いなくこの殺し合いに参加している中では下位に位置するだろう。
 グラハムは、文とバルバトスの戦いから冷静に自分の戦力を評価している。
 だから、グラハムは動かない。

「確認したところで、今の私たちに打つ手はない。ならば、確認するだけ無駄だ」
「でも、でも…他にもやらなきゃいけないことはあると思う。
 他の施設がどんな感じか、人が死んじゃう前に調べないといけないし、
 私は最初から、塩とそうするって決めてて・・・」
「現在、私たち四名の中の最大戦力は言うまでも無く射命丸だ。
 故に、彼女が目覚めるまでは動く気はないし、それからでも遅くは無い。
 それより他にすべきことがあるだろう。
 キョン子くん、君は未来人に会ったことがあると言ったな?」
「え、あ、はい」
「ならば、そういったことについて互いに知っておくべきだ。
 塔では最低限のことしか話していなかったからな」
「・・・」

 グラハムが提示した行動指針に、大河は黙り込む。
 情報交換。確かにそれは必要なことだと彼女も思う。
 それでも、じっとしていることが耐えられない。
 塩が頑張ったのに、自分は安穏と平和を享受していていいのかと思ってしまう。
 どこか気まずい空気の中で、会話は進む。
 自分の住んでいた街はどんな場所で、どんな技能があるか。
 今まで出会ってきた参加者はどんな相手か。
 どんな支給品があって、どんな時に使えるか。
 揺れも音も無くなってから結構な時間が経った後、大河は一つの道具を取り出した。

「マイリスト機能?」
「十時間に一回、あらかじめこれに記録した施設にワープできるんだって。
 記録の数にも限りがあるらしいから、まだ何にも記録してないんだけど。
 でもこれを使えば、ここから出てもすぐ戻ってこれる」
「…さっきからずいぶん、外へ行くことに拘っているな、君は」
「うるさいバカ! さっき外で派手に戦いがあったばっかりじゃない!
 こうしてる間にも人が死んでるのかもしれないのに!
 引きこもってばかりじゃ、何にも解決しないし・・・」



 大河の言葉は、明らかに自分の感情に踊らされて戦況を見失っているだけ。
 戦況が冷静に分かっているグラハムが、それに追従するはずが無い。
 それにグラハムとしては、正直解決する必要は無いのだ。
 極論すれば、最後に自分と文が残ったところで自分が自殺してもいい。
 ただ単に参加者を殺して回ろうとは思っていないだけで、
 積極的に主催者をなんとかしようと思っているわけではない。
 もちろん、文を守るためには味方が多いほうが多いとは思っているのだが。
 だからため息を吐いて、話題を違う相手に向けた。

「・・・キョン子、君はどう思っている?」
「え、あ、私ですか?
 その…確かに引きこもってばっかりじゃどうしようもないとは思いますけど、
 文さんが起きてからにしたいなぁ、って…」
「ふんだ。別にいいけどね、私一人で。
 もともとこれでワープできるのは一人だけってあるし。
 そいつが起きる前に、ちょっと他の施設の様子を見てくるだけだから。」

 大河に大人しく下がる気はないらしい。
 死への恐怖がなくなったわけではない。寧ろ、その心中には塩の死が色濃く残っている。 
 だから何か行動していないと、恐怖と罪悪感で押しつぶされそうになる。
 いくら理屈を捏ねようと、感情を無理やり理論で後追いさせているに過ぎない。
 今の大河は、塩を死なせた自責感から逃れようとしているだけだ。

 だが部下を失い修羅の道を歩んだグラハムにそれを責める資格はないのも、事実だった。

「・・・わかった、好きにすればいい。
 ただし、条件がある」

 諦めたような声を出すと共に、グラハムはいきなりカードを投げつけた。
 慌ててキャッチする大河。

「う、うわ!?」
「そのカードを貸そう。使用可能になる時間帯と、効果は述べた通り。
 すぐ戻ってこれると言うなら、何があろうと午後3時までには戻って来たまえ。
 私たちがここを離れる場合でも、最低でも書き置きくらいは残しておく」



 しばらく言葉を交わして大河が映画館を離れて言った後。
 おずおずとキョン子は口を開いた。

「あの・・・いいんですか?」
「言っても聞かないだろうさ、彼女は。同じ経験があるから分かる」

 珍しく真剣な顔で、グラハムは返した。
 彼にとっても、大河の心境は理解できないわけでもない。
 大切な仲間を失い、その悲嘆から自分の命を失ってでも目的を果たそうとする。
 いわゆる死にたがり・・・グラハム自身が体験したことだ。

(最後の出撃で私を見送った者達も・・・このような気持ちだったのか?)

 思わず、グラハムは心の中で呟いていた。

【D-2 映画館外/一日目・午前】
【逢坂大河@とらドラ!】
[状態]:健康、死への恐怖
[装備]:バスタードチルノソード@東方project派生、ハネクリボー@遊戯王GX(使用可能まで4時間)
[道具]:支給品一式×2、しじみ@松岡修造、ハロー大豆3パック@かんなぎ、
 もやし3パック@THE IDOLM@STER、ケフィア(瓶)@現実、ランダム支給品(0~1)
 マイリスト機能@ニコニコ動画、オリジナル
[思考・状況]
0:殺し合いをせずに脱出する。
1:塩だって頑張れたんだから、きっと私だって何かできるはず。
2:どこかの施設を見て可能なら仲間を増やした後、三時までに映画館に戻る
※塩の言葉により死への恐怖を克服したわけではありませんが、だいぶ感じなくなりました。 また、吐き気はおさまりました。
※グラハム、キョン子と情報交換しました。
※マイリストに映画館を記録しました。

【D-2 映画館中/一日目・午前】
【キョン子@涼宮ハルヒコの憂鬱】
[状態]:健康
[装備]:DMカード【ユベル】@遊戯王デュエルモンスターズ (使用可能まで6時間)、
    言葉のノコギリ(レザーソー)@school days
[道具]:支給品一式、長門有希のギター、Ipod(少佐の演説の音声入り)@HELLSING
[思考・状況]
1:殺し合いには乗らない
2:とりあえず文さんたちと一緒にいる
3:町へ行きたいけど贅沢は言わない。
4:異世界という確信を得るため情報を得る。
5:生きて帰りたい
6:ユベルはなんで放送のこと知ってるの?[\
※グラハム、大河と情報交換しました。
【ユベルの思考・状況】
1:大好きだよ、十代……
2:十代に会うためこの世界を『愛』(苦しみと悲しみ)で満たす。
3:そのために女(キョン子)を利用し、痛みと苦しみを味あわせる。
4:彼女も誰かを愛しているのかな……?フフフ……
[備考]
※ 制限によりユベルは参加者の体を乗っ取ることができません。
※ 参加者との会話はできますが、自分からの実体化はできません。
※ バトルロワイアルの会場を異世界の一つだと思っています。
※ 自身の効果以外で破壊された時、第2形態、第3形態に進化できるかは不明


【グラハム・エーカー@機動戦士ガンダム00】
[状態]:ほっぺたにビンタ痕
[装備]:養由基の弓@三国志Ⅸ(矢残り8本)
[道具]:支給品一式(一食分食糧と水消費)、ホイールオブフォーチュン@遊戯王5D's
[思考・状況]
1.フラッグ(文)に惚れた
2.フラッグを守る
3.ひとまずここから離れる
※参戦時期は一期終了後(刹那のエクシアと相討ちになった後)。
※キョン子、大河と情報交換しました。

【射命丸文@東方project】
[状態]:睡眠中、疲労(中)、脇腹に中程度のダメージ、服がボロボロ
[装備]:七星宝剣@三国志Ⅸ
[道具]:支給品一式(一食分食糧と水消費)、究極のコッペパン@ニコニコRPG
[思考・状況]基本:一番大事なのは自分の命、次がチルノさん。後はどうでもいい。
1.情報収集。自己保身を優先する。特に究極のコッペパンは絶対に自分で食べる。
2.主催者の方が強そうだったら優勝狙い、脱出できそうなら脱出狙い。それまでは1に徹する。
  少なくとも人数が半分以下になるまでは立場を確定させない。
3.優勝狙いが確定しない限りグラハムと一緒にいてやる(ただし優勝狙いに決めたら速攻で殺す)。
4.ブロリーと出会ったら何を犠牲にしても全力で逃げる。
5.呂布、バルバトスを警戒。

【マイリスト機能@ニコニコ動画、オリジナル】
あらかじめマイリストに登録しておいた施設に、使用者をワープさせる。
使用間隔は十時間に一回、記録できるのは三つまで。


sm125:時をかける従者 時系列順 sm130:Chain of Memories
sm126:りょふだよ。たたかいもするけどこうさつもするよ 投下順 sm128:テーレッテー!なんと腰抜けな神々の遊び!
sm90:塩くれてやる! -若本製塩編-(後編) 逢坂大河 sm140:違う自分 -ADVENT-
sm90:塩くれてやる! -若本製塩編-(後編) キョン子 sm151:「正解」と「理想」 -Killer Queen-(前編)
sm90:塩くれてやる! -若本製塩編-(後編) グラハム・エーカー sm151:「正解」と「理想」 -Killer Queen-(前編)
sm90:塩くれてやる! -若本製塩編-(後編) 射命丸文 sm151:「正解」と「理想」 -Killer Queen-(前編)






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