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**飲めなかった狸 659 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 09:24:37 ID:BdiXv1Ub 狸でも萌え 670 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 23:13:28 ID:8rimyxs9 [[≫656>老狐の釣り]]さん、老狐を書いていただいてありがとうございます。(*T∀T) 鼻の線と耳の大きさだけで「狐」と分からせることができるのはさすが絵師さんと感心しました。 それと、耳と眉と尻尾のフサフサとモフモフが・・・いいなぁ、フサフサとモフモフ これから次の話を書きますが、≫659へ。 「た・・・たまたま書こうとした話に狸が出てるだけで・・・・ べ、べつに・・・あんたのために書いたんじゃないんだからね! か・・・勘違いしないでよね!」 *** 「あちー、太陽ってこんなに強かったんだかなぁ・・・」 風鈴の鳴る縁台に寝そべって、太めの狸が愚痴を言った。 暖簾によりある程度の日差しが遮られているとはいえ吹き出る汗は止まらず、いつの間に脱いだのか、褌一丁に上着を引っ掛けているだけという、暑苦しさを絵に書いたような姿になっていた。 「あちー・・・こんな日は、酒でも一杯やりたいもんだなぁ・・・」 「そうかね、それはいいときに来た。」 突然声をかけられたのでそちらを振り向くと、そこには風呂敷つつみを下げた老狐が立っていた。 「何の用かね? こんな暑い日に。」 狸は不機嫌に答えた。それというのも、老狐には過去に何度も煮え湯を飲まされているので、今回も何か一杯食わされるのではないかと警戒しているのだ。 「いや何。さすがに前回は少々やりすぎたかと反省してな。侘びの印に、一緒にこいつを飲もうと思ってやってきたのさ。」 老狐が風呂敷を解くと、そこには狸もビンだけしか見たことの無い、幻の酒があった。 褌一丁で上機嫌の狸と一緒に座ると、老狐はどこからかグラスを2つ取り出した。そして、ビンの蓋を開け、酒を注ごうとしたのだが、手を止めて真面目な顔をして言った。 「しかし、この酒のせいで、『どちらが多い』『どちらが少ない』と、また喧嘩になってはいかんな。だから、2つのグラスが、ぴったり正確に同じになるように注がせてもらうぞ。」 その老狐の言葉に、狸は最もだとうなずいた。 老狐が2つのグラスに注ぐと、一方が一方より僅かに多かった。 「おっと、いけない。こっちが少し多いぞ。」 というと、多いほうのグラスに口をつけ、ずずっと啜った。 「おや、今度はもう一方の方が多くなってしまった。」 と言い、次は逆のグラスから少し啜る。 「いけない、またこっちが多くなってしまった。」 と言い、再度グラスに口をつける。 今か今かと待っている狸の目の前で、ちょっとずつ調整を行っていくのがしばらく続き、こっちを飲み、あっちを飲みと続けていった。 「なぁ、まだか?」 「いや、なかなか同じにならなくてな。」 「そんなもんでいいだろ?」 「いや、ダメだ。ぴったり正確にしなければ・・・」 と調整を続けたので、結局老狐は全ての酒を飲んでしまった。 「おやしまった。二人で飲むつもりが、一人で全部飲んでしまったわい。」 ・・・・・あ! またやられた! 老狐には侘びをするつもりなどなく、一杯喰わされたのだと気づいたとき、すでに老狐の姿は無かった。 「くそー!! またやられた!!! よりによって幻の酒を飲む機会を逃すだなんて!!! 俺はなんて間抜けなんだ!!!」 老狐を信じた自分の愚かさを嘆きながら、狸はすでに空になったビンを逆さに振って、せめて一滴でも飲みたいと思ったのだが・・・ ビンから落ちてきた一滴を舐めた瞬間、怒りに任せてビンを叩き割った。 「ちくしょう!!! 中身は水だったんだ!!!!! 二度も騙された!!!!」 「ワシだって、ビンしか見たことは無いさ。」 そうつぶやくと、老狐は上機嫌で家路についたとさ。 関連:[[老狐>老狐]]
**飲めなかった狸 659 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 09:24:37 ID:BdiXv1Ub 狸でも萌え 670 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 23:13:28 ID:8rimyxs9 [[≫656>老狐の釣り]]さん、老狐を書いていただいてありがとうございます。(*T∀T) 鼻の線と耳の大きさだけで「狐」と分からせることができるのはさすが絵師さんと感心しました。 それと、耳と眉と尻尾のフサフサとモフモフが・・・いいなぁ、フサフサとモフモフ これから次の話を書きますが、≫659へ。 「た・・・たまたま書こうとした話に狸が出てるだけで・・・・ べ、べつに・・・あんたのために書いたんじゃないんだからね! か・・・勘違いしないでよね!」 *** 「あちー、太陽ってこんなに強かったんだかなぁ・・・」 風鈴の鳴る縁台に寝そべって、太めの狸が愚痴を言った。 暖簾によりある程度の日差しが遮られているとはいえ吹き出る汗は止まらず、いつの間に脱いだのか、褌一丁に上着を引っ掛けているだけという、暑苦しさを絵に書いたような姿になっていた。 「あちー・・・こんな日は、酒でも一杯やりたいもんだなぁ・・・」 「そうかね、それはいいときに来た。」 突然声をかけられたのでそちらを振り向くと、そこには風呂敷つつみを下げた老狐が立っていた。 「何の用かね? こんな暑い日に。」 狸は不機嫌に答えた。それというのも、老狐には過去に何度も煮え湯を飲まされているので、今回も何か一杯食わされるのではないかと警戒しているのだ。 「いや何。さすがに前回は少々やりすぎたかと反省してな。侘びの印に、一緒にこいつを飲もうと思ってやってきたのさ。」 老狐が風呂敷を解くと、そこには狸もビンだけしか見たことの無い、幻の酒があった。 褌一丁で上機嫌の狸と一緒に座ると、老狐はどこからかグラスを2つ取り出した。そして、ビンの蓋を開け、酒を注ごうとしたのだが、手を止めて真面目な顔をして言った。 「しかし、この酒のせいで、『どちらが多い』『どちらが少ない』と、また喧嘩になってはいかんな。だから、2つのグラスが、ぴったり正確に同じになるように注がせてもらうぞ。」 その老狐の言葉に、狸は最もだとうなずいた。 老狐が2つのグラスに注ぐと、一方が一方より僅かに多かった。 「おっと、いけない。こっちが少し多いぞ。」 というと、多いほうのグラスに口をつけ、ずずっと啜った。 「おや、今度はもう一方の方が多くなってしまった。」 と言い、次は逆のグラスから少し啜る。 「いけない、またこっちが多くなってしまった。」 と言い、再度グラスに口をつける。 今か今かと待っている狸の目の前で、ちょっとずつ調整を行っていくのがしばらく続き、こっちを飲み、あっちを飲みと続けていった。 「なぁ、まだか?」 「いや、なかなか同じにならなくてな。」 「そんなもんでいいだろ?」 「いや、ダメだ。ぴったり正確にしなければ・・・」 と調整を続けたので、結局老狐は全ての酒を飲んでしまった。 「おやしまった。二人で飲むつもりが、一人で全部飲んでしまったわい。」 ・・・・・あ! またやられた! 老狐には侘びをするつもりなどなく、一杯喰わされたのだと気づいたとき、すでに老狐の姿は無かった。 「くそー!! またやられた!!! よりによって幻の酒を飲む機会を逃すだなんて!!! 俺はなんて間抜けなんだ!!!」 老狐を信じた自分の愚かさを嘆きながら、狸はすでに空になったビンを逆さに振って、せめて一滴でも飲みたいと思ったのだが・・・ ビンから落ちてきた一滴を舐めた瞬間、怒りに任せてビンを叩き割った。 「ちくしょう!!! 中身は水だったんだ!!!!! 二度も騙された!!!!」 「ワシだって、ビンしか見たことは無いさ。」 そうつぶやくと、老狐は上機嫌で家路についたとさ。 関連:[[老狐>老狐]]

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