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「アカギーポッターと誰得の部屋Ⅲ」(2009/06/16 (火) 20:32:36) の最新版変更点
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*アカギーポッターと誰得の部屋Ⅲ ◆vXe1ViVgVI
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午後四時――誰得の部屋をけたたましいベルの音が包み込んだ。
どんなに深い眠りに付いている人間であろうと、叩き起こす事が可能な騒音。
その対象に例外は存在せず、稀代の麻雀打ちであるアカギもまた、他の者と同様に安眠から引き上げられる。
「……どれ……探索を始めるか……」
左右に首を振り、身体全体をほぐす様に軽く伸ばす。
ポキポキと骨の鳴る音。疲労も眠気も良い具合に取れていた。
右肩の怪我を除けば全快とも言える状態である。
アカギは寝起き特有の心地よさに満足を覚えながら、近くのガラクタ置き場に目をやった。
「……念のため貰っておくか……」
そう言い、ガラクタ置き場へと手を伸ばすアカギ。
その手が掴んだ物は、睡眠に入る前に発見した折り畳み式自転車と、完パン入り缶詰め数個。
アカギは、床に置かれているデイバックを拾い上げ無表情のまま、それらアイテムを詰め込んでいく。
そして一辺の躊躇いも見せる事なく、扉を開き、外の世界へと踏み出した。
(誰得の部屋……か……)
狂気が渦巻く殺し合いの世界へと再び舞い戻ったというのに、アカギの心中には欠片の恐怖心も存在しない。
代わりに浮かび上がるは、再び生死を賭けた狂気を味わえる事への歓喜。
アカギの口端が持ち上がり、狂気に満ちた、寒気さえ覚えるような笑顔を形成する。
そしてアカギは、思考する。
内容は先程まで休憩所として利用していた謎の部屋について。
情報不足は明確であるが、ただ歩いているだけでは退屈。
快眠により頭も冴えているのだ、暇つぶしの意味も兼ねて考察するのも面白い。
(誰得の部屋……ガラクタばかりが捨て置かれた、放送も届かない謎の部屋……辿り着くには迷宮とも言える洞窟を突破する必要がある……
恐らくは主催者達にとってもイレギュラーな存在……)
二度目の眠りに着く前に行った推理、誰得の部屋に関する事実を、脳内で整理していくアカギ。
あの部屋が主催者達の考えの範疇外だという事に、矛盾は感じられない。
短時間でとはいえ自分自身が考察し、求め出した解答だ。正解だという確証も無いが、まるっきりの外れという事も無い筈だ。
―――だが、何かが気に掛かる。
何か大事な事を忘れているような、何かしっくりとこない……そんな不快なしこりが胸の中に残っていた。
(……何かを見落としている……か……)
矛盾が存在するという根拠はただの直感でしかない。
だが、アカギは自分の直感を愚直なまでに信じぬく。
それが答えだと分かっているかのように、今までの行動を振り返り、矛盾を探し始める。
(洞窟を見つけ、奥に進み、休憩を取った……そして放送が届かない事から、この部屋が主催者の思惑の外にあると判断した……)
行動を省みる限り、矛盾は感じられない。
主催者達は、禁止エリアに侵入して爆死などという、退屈でつまらない死に様など求めていない。
主催者達が求めている物は血と絶望にまみれた狂気の宴。
こんな大仰な首輪を用意し、何十人もの人々を拉致し、謎の空間で殺し合わせる……言葉にすれば容易いが、その労力と資金は相当な量が必要な筈。
それら強大なハードルを乗り越えてまで、開催した狂気のゲーム。
正気の沙汰では無い。まさに狂気。
そして奴等はその狂気を、スポーツを見るかのように遥か高みから観戦し、愉悦に埋もれている。
そう、だからこそ放送の聞き逃しが発生する場所など、主催者達が望む訳がない。
誰得の部屋のような存在は、奴等がこのバトルロワイアルに求めているものと矛盾する。
このような部屋の存在など主催者達が許しす訳がない。
自分が偶然、あの迷宮を突破してしまった。
恐らくは、ただそれだけの事だろう。
(――だが……それでも、腑に落ちない……)
だが、アカギの直感は納得しない。
理路整然とされた考察を前にして尚、未だ矛盾の存在を訴えている。
(何かを見落としている……大事な……この考察を根本から揺らがす大事な何かを……)
歩き始めて十分ばかり。深淵の洞窟はまだ、続く。
記憶を頼りに足を動かすが、出口へは未だ辿り着けない。
快適な環境とは程遠い。暗闇と岩壁により形成されるは、人の心を締め付ける閉塞感。
しかし、既に狂っている人間の心を揺らがすには届かず。
アカギは淡々と足を動かし、無心で考察を続ける。
彼が矛盾の正体を突き詰めたのは、歩き始めて二十分程が経過した時。
矛盾に気付くと同時に、アカギの口唇が弧を描いた。
(そういう事か……確かにあった……矛盾が……)
誰得の部屋に辿り着いたその時を、アカギは脳裏に思い浮かべていた。
苔や植物が一切生えていない不自然な洞窟の中、唯一本物の洞窟のように加工されていた扉。
その先にあった誰得の部屋。
最初に目に映った物は壁に掛けられていた連絡板。
―――ここだ。この連絡板の存在が……俺の考察と矛盾するっ……!
この誰得の部屋ががガラクタ置き場として存在する事はまだ理解できる。
誰得の部屋が会場と連結している事も、可笑しな話ではあるが、まだ理解できる。
誰も辿り着く訳がないと高を括り、会場と繋がる地点に置いた部屋に、俺が偶然にも到達してしまっただけ。
こじつけも良い所だが、主催者達が大間抜けだったという事で一応話は通る。
だが、この連絡板に関しては説明しきれない。
そもそも、参加者の去来を想定していないのならば、連絡板を設置する意味が無い。
何故、わざわざ御丁寧に説明書きがしてある?
『参加者が辿り着くこと自体が予想外である部屋』に、何故『参加者への説明書き』が置いてある?
答えは簡単だ。
誰かが予想していたのだ。
『参加者が辿り着くことを予想していた誰か』が『参加者への説明書き』を設置したのだ。
恐らくは誰得の部屋へと続く扉も、その『誰か』が意図的に気付き易くしておいたのだろう。
いや、誰得の部屋の建設自体をその『誰か』が行ったのかもしれない。
『誰か』が……主催者達の思惑から外れた『誰か』が、居る。
そして、その『誰か』が、主催者達の思惑から外れた誰得の部屋を造り、殺し合いの会場へと繋げたのだろう。
(……導かれていた……。俺は……その誰かの思惑通り……導かれていた……)
目的は不明。
その『誰か』の正体も、見当を付けるには情報不足。
もしかしたら、主催者達の中にその『誰か』は存在するのかもしれないし、この殺し合いに介入できる程の力を有した第三者という可能性もある。
だが、あの部屋に『何か』が隠されているのは確かだろう。
主催者達の思惑から外れた『誰か』からのメッセージ。
物体か、それともあの環境自体か……判断は出来ず、またする気も無いが……あの部屋には『何か』が隠されている。
主催者の思惑から外れた『何か』が……!
(……道が見えたな……)
あの部屋の存在が、主催者の思惑の外である事は確かな事実。
その『誰か』の思想もまた、主催者の思惑と外れている事は事実。
綻びとしては極めて微細だが、殺し合いの転覆を目指す奴等とっては、地獄に垂れた蜘蛛の糸のような存在。
そのチャンスを切らないよう、切らないよう、慎重に手繰り寄せれば、もしかしたら未来へと繋がるかもしれない。
(……だが、その道のりは決して平坦なものではない……)
奴等は、蜘蛛の糸の存在にすら気付いていない。
だというのに、殺し合いは続き、奴等の戦力と知脳は徐々に削られていく。
戦力が無ければ主催者の打倒には到らず、知能が無ければ首輪の解除や会場からの脱出には到らない。
あの部屋に隠された秘密に気付けるかどうかは対主催組の運次第。
(抗ってみせろ……抗い、ゲームを混沌へと……更なる狂気へと導け……この先に待ち受ける艱難辛苦を突破してみせろっ……!)
奴等の戦力がデッドラインに到達するよりも早くあの部屋に隠された秘密に気付かなければ、そこでゲームオーバー。
だが、奴等がその秘密に辿り着けば、このゲームは更に極上な物へと変貌する。
対主催組、主催者達、そして殺し合いに乗った者達……その誰もが対等なフィールドに立ち、凌ぎを削る殺戮遊戯。
それは現在以上の狂気を孕んだ最高のゲームな筈だ。
(上り詰め……そして、昇華させるんだっ……! このバトルロワイアルを更なる高みへとっ……!)
愉悦が心中を染め上げていた。
可能性が見えた。
これ以上は望めないと考えていたこのゲームを、更なる狂気に染め上げる可能性が、見えた。
――最高だ。
――心が震える。
――この狂気こそ、俺が待ち望んでいたもの……!
不意に開ける視界。
夕暮れではあるものの、洞窟内と比較すれば圧倒的な眩さがアカギの視界を埋め尽くした。
空調が効いていたとはいえ、やはり外気は瑞々しく、肺の奥底にまで新鮮な空気が行き渡る。
日光の下に再び舞い降りた天才――アカギ。
類い希なる直感により、主催者に対立するどの参加者よりも早く、ゲームの穴と成りうる存在を発見した男。
男は歩き始める。
自身の飢えを満たしてくれる狂気を探しに――……
【E-2 洞窟前/一日目・夕方】
【赤木しげる@闘牌伝説アカギ 闇に舞い下りた天才】
[状態]:右肩にダメージ(小)、ユベルに興味
[装備]:レイガン(12/16)@スマブラX、寝袋@現実
[道具]:支給品一式(水一食分消費)、DMカードセット(スピード・ウォリアー、魔法の筒)@遊戯王シリーズ
写真(残り数枚)@心霊写真にドナルドらしきものが
ヤンデレ妹の包丁@ヤンデレの妹に愛されて夜も眠れないCDシリーズ
普通のDMカード数枚@現実、折り畳み式自転車@現実、乾パン入り缶詰×3@現実
[思考・状況]
1:さて、どうするかな……。
2:愛……そういう賭けも悪くない。
3:キョン子(名前は知らない)ハク(名前は知らない)アレックス(名前は知らない)もいずれ…
4:殺し合いに乗り、狂気の沙汰を楽しむ
5:主催者と命を賭けた勝負をする
6:誰得の部屋……ククク……
7:対主催組に期待
[備考]
※魔法の筒が使用できるのは4時間後。
※アカギが進んだ道には途中から心霊写真が置かれています。
※誰得の部屋には誰が得するのか分からないような道具が多く存在するかもしれません。
※ルールを壊せるかもしれないという点で、誰得の部屋に興味を示しました。
※第二回放送を聞き逃しました。
|sm174:[[Junk the Eater]]|[[時系列順>第三回放送までの本編SS]]|sm176:[[猛獣注意]]|
|sm174:[[Junk the Eater]]|[[投下順>151~200]]|sm176:[[猛獣注意]]|
|sm157:[[アカギーポッターと誰得の部屋Ⅱ]]|赤木しげる|sm:[[]]|
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*アカギーポッターと誰得の部屋Ⅲ ◆vXe1ViVgVI
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午後四時――誰得の部屋をけたたましいベルの音が包み込んだ。
どんなに深い眠りに付いている人間であろうと、叩き起こす事が可能な騒音。
その対象に例外は存在せず、稀代の麻雀打ちであるアカギもまた、他の者と同様に安眠から引き上げられる。
「……どれ……探索を始めるか……」
左右に首を振り、身体全体をほぐす様に軽く伸ばす。
ポキポキと骨の鳴る音。疲労も眠気も良い具合に取れていた。
右肩の怪我を除けば全快とも言える状態である。
アカギは寝起き特有の心地よさに満足を覚えながら、近くのガラクタ置き場に目をやった。
「……念のため貰っておくか……」
そう言い、ガラクタ置き場へと手を伸ばすアカギ。
その手が掴んだ物は、睡眠に入る前に発見した折り畳み式自転車と、完パン入り缶詰め数個。
アカギは、床に置かれているデイバックを拾い上げ無表情のまま、それらアイテムを詰め込んでいく。
そして一辺の躊躇いも見せる事なく、扉を開き、外の世界へと踏み出した。
(誰得の部屋……か……)
狂気が渦巻く殺し合いの世界へと再び舞い戻ったというのに、アカギの心中には欠片の恐怖心も存在しない。
代わりに浮かび上がるは、再び生死を賭けた狂気を味わえる事への歓喜。
アカギの口端が持ち上がり、狂気に満ちた、寒気さえ覚えるような笑顔を形成する。
そしてアカギは、思考する。
内容は先程まで休憩所として利用していた謎の部屋について。
情報不足は明確であるが、ただ歩いているだけでは退屈。
快眠により頭も冴えているのだ、暇つぶしの意味も兼ねて考察するのも面白い。
(誰得の部屋……ガラクタばかりが捨て置かれた、放送も届かない謎の部屋……辿り着くには迷宮とも言える洞窟を突破する必要がある……
恐らくは主催者達にとってもイレギュラーな存在……)
二度目の眠りに着く前に行った推理、誰得の部屋に関する事実を、脳内で整理していくアカギ。
あの部屋が主催者達の考えの範疇外だという事に、矛盾は感じられない。
短時間でとはいえ自分自身が考察し、求め出した解答だ。正解だという確証も無いが、まるっきりの外れという事も無い筈だ。
―――だが、何かが気に掛かる。
何か大事な事を忘れているような、何かしっくりとこない……そんな不快なしこりが胸の中に残っていた。
(……何かを見落としている……か……)
矛盾が存在するという根拠はただの直感でしかない。
だが、アカギは自分の直感を愚直なまでに信じぬく。
それが答えだと分かっているかのように、今までの行動を振り返り、矛盾を探し始める。
(洞窟を見つけ、奥に進み、休憩を取った……そして放送が届かない事から、この部屋が主催者の思惑の外にあると判断した……)
行動を省みる限り、矛盾は感じられない。
主催者達は、禁止エリアに侵入して爆死などという、退屈でつまらない死に様など求めていない。
主催者達が求めている物は血と絶望にまみれた狂気の宴。
こんな大仰な首輪を用意し、何十人もの人々を拉致し、謎の空間で殺し合わせる……言葉にすれば容易いが、その労力と資金は相当な量が必要な筈。
それら強大なハードルを乗り越えてまで、開催した狂気のゲーム。
正気の沙汰では無い。まさに狂気。
そして奴等はその狂気を、スポーツを見るかのように遥か高みから観戦し、愉悦に埋もれている。
そう、だからこそ放送の聞き逃しが発生する場所など、主催者達が望む訳がない。
誰得の部屋のような存在は、奴等がこのバトルロワイアルに求めているものと矛盾する。
このような部屋の存在など主催者達が許しす訳がない。
自分が偶然、あの迷宮を突破してしまった。
恐らくは、ただそれだけの事だろう。
(――だが……それでも、腑に落ちない……)
だが、アカギの直感は納得しない。
理路整然とされた考察を前にして尚、未だ矛盾の存在を訴えている。
(何かを見落としている……大事な……この考察を根本から揺らがす大事な何かを……)
歩き始めて十分ばかり。深淵の洞窟はまだ、続く。
記憶を頼りに足を動かすが、出口へは未だ辿り着けない。
快適な環境とは程遠い。暗闇と岩壁により形成されるは、人の心を締め付ける閉塞感。
しかし、既に狂っている人間の心を揺らがすには届かず。
アカギは淡々と足を動かし、無心で考察を続ける。
彼が矛盾の正体を突き詰めたのは、歩き始めて二十分程が経過した時。
矛盾に気付くと同時に、アカギの口唇が弧を描いた。
(そういう事か……確かにあった……矛盾が……)
誰得の部屋に辿り着いたその時を、アカギは脳裏に思い浮かべていた。
苔や植物が一切生えていない不自然な洞窟の中、唯一本物の洞窟のように加工されていた扉。
その先にあった誰得の部屋。
最初に目に映った物は壁に掛けられていた連絡板。
―――ここだ。この連絡板の存在が……俺の考察と矛盾するっ……!
この誰得の部屋ががガラクタ置き場として存在する事はまだ理解できる。
誰得の部屋が会場と連結している事も、可笑しな話ではあるが、まだ理解できる。
誰も辿り着く訳がないと高を括り、会場と繋がる地点に置いた部屋に、俺が偶然にも到達してしまっただけ。
こじつけも良い所だが、主催者達が大間抜けだったという事で一応話は通る。
だが、この連絡板に関しては説明しきれない。
そもそも、参加者の去来を想定していないのならば、連絡板を設置する意味が無い。
何故、わざわざ御丁寧に説明書きがしてある?
『参加者が辿り着くこと自体が予想外である部屋』に、何故『参加者への説明書き』が置いてある?
答えは簡単だ。
誰かが予想していたのだ。
『参加者が辿り着くことを予想していた誰か』が『参加者への説明書き』を設置したのだ。
恐らくは誰得の部屋へと続く扉も、その『誰か』が意図的に気付き易くしておいたのだろう。
いや、誰得の部屋の建設自体をその『誰か』が行ったのかもしれない。
『誰か』が……主催者達の思惑から外れた『誰か』が、居る。
そして、その『誰か』が、主催者達の思惑から外れた誰得の部屋を造り、殺し合いの会場へと繋げたのだろう。
(……導かれていた……。俺は……その誰かの思惑通り……導かれていた……)
目的は不明。
その『誰か』の正体も、見当を付けるには情報不足。
もしかしたら、主催者達の中にその『誰か』は存在するのかもしれないし、この殺し合いに介入できる程の力を有した第三者という可能性もある。
だが、あの部屋に『何か』が隠されているのは確かだろう。
主催者達の思惑から外れた『誰か』からのメッセージ。
物体か、それともあの環境自体か……判断は出来ず、またする気も無いが……あの部屋には『何か』が隠されている。
主催者の思惑から外れた『何か』が……!
(……道が見えたな……)
あの部屋の存在が、主催者の思惑の外である事は確かな事実。
その『誰か』の思想もまた、主催者の思惑と外れている事は事実。
綻びとしては極めて微細だが、殺し合いの転覆を目指す奴等とっては、地獄に垂れた蜘蛛の糸のような存在。
そのチャンスを切らないよう、切らないよう、慎重に手繰り寄せれば、もしかしたら未来へと繋がるかもしれない。
(……だが、その道のりは決して平坦なものではない……)
奴等は、蜘蛛の糸の存在にすら気付いていない。
だというのに、殺し合いは続き、奴等の戦力と知脳は徐々に削られていく。
戦力が無ければ主催者の打倒には到らず、知能が無ければ首輪の解除や会場からの脱出には到らない。
あの部屋に隠された秘密に気付けるかどうかは対主催組の運次第。
(抗ってみせろ……抗い、ゲームを混沌へと……更なる狂気へと導け……この先に待ち受ける艱難辛苦を突破してみせろっ……!)
奴等の戦力がデッドラインに到達するよりも早くあの部屋に隠された秘密に気付かなければ、そこでゲームオーバー。
だが、奴等がその秘密に辿り着けば、このゲームは更に極上な物へと変貌する。
対主催組、主催者達、そして殺し合いに乗った者達……その誰もが対等なフィールドに立ち、凌ぎを削る殺戮遊戯。
それは現在以上の狂気を孕んだ最高のゲームな筈だ。
(上り詰め……そして、昇華させるんだっ……! このバトルロワイアルを更なる高みへとっ……!)
愉悦が心中を染め上げていた。
可能性が見えた。
これ以上は望めないと考えていたこのゲームを、更なる狂気に染め上げる可能性が、見えた。
――最高だ。
――心が震える。
――この狂気こそ、俺が待ち望んでいたもの……!
不意に開ける視界。
夕暮れではあるものの、洞窟内と比較すれば圧倒的な眩さがアカギの視界を埋め尽くした。
空調が効いていたとはいえ、やはり外気は瑞々しく、肺の奥底にまで新鮮な空気が行き渡る。
日光の下に再び舞い降りた天才――アカギ。
類い希なる直感により、主催者に対立するどの参加者よりも早く、ゲームの穴と成りうる存在を発見した男。
男は歩き始める。
自身の飢えを満たしてくれる狂気を探しに――……
【E-2 洞窟前/一日目・夕方】
【赤木しげる@闘牌伝説アカギ 闇に舞い下りた天才】
[状態]:右肩にダメージ(小)、ユベルに興味
[装備]:レイガン(12/16)@スマブラX、寝袋@現実
[道具]:支給品一式(水一食分消費)、DMカードセット(スピード・ウォリアー、魔法の筒)@遊戯王シリーズ
写真(残り数枚)@心霊写真にドナルドらしきものが
ヤンデレ妹の包丁@ヤンデレの妹に愛されて夜も眠れないCDシリーズ
普通のDMカード数枚@現実、折り畳み式自転車@現実、乾パン入り缶詰×3@現実
[思考・状況]
1:さて、どうするかな……。
2:愛……そういう賭けも悪くない。
3:キョン子(名前は知らない)ハク(名前は知らない)アレックス(名前は知らない)もいずれ…
4:殺し合いに乗り、狂気の沙汰を楽しむ
5:主催者と命を賭けた勝負をする
6:誰得の部屋……ククク……
7:対主催組に期待
[備考]
※魔法の筒が使用できるのは4時間後。
※アカギが進んだ道には途中から心霊写真が置かれています。
※誰得の部屋には誰が得するのか分からないような道具が多く存在するかもしれません。
※ルールを壊せるかもしれないという点で、誰得の部屋に興味を示しました。
※第二回放送を聞き逃しました。
|sm174:[[Junk the Eater]]|[[時系列順>第三回放送までの本編SS]]|sm176:[[猛獣注意]]|
|sm174:[[Junk the Eater]]|[[投下順>151~200]]|sm176:[[猛獣注意]]|
|sm157:[[アカギーポッターと誰得の部屋Ⅱ]]|赤木しげる|sm181:[[斜陽]]|
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