メーカー・機種別別故障率

  • 大人の事情で公開される事が少ない HDD のメーカー別故障率に関して。各種のレポートを掲載するが、各レポートによって条件が様々なので総合的に判断する事。

BE HARDWARE による返品率に関するレポート (2009/8/22)

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メーカー・機種ごとの返品率のレポート
http://www.behardware.com/articles/773-6/components-returns-rates.html
  • 小売業者に返品された割合(初期不良率)のみの集計。ただし RMA がある機種は直接メーカーに返品できる為あまり正確ではないとされる。

  • まずはメーカー別の返品率一覧。Seagate & Maxtor は smooth チップ燃損とファームウェアロック問題の影響か返品率が非常に高くなっている。しかし、特にリコールや不具合の発表もされていない Samsung の返品率の高さには目を見張るものがある。
Seagate 2.89%
Maxtor 2.79%
WesternDigital 0.89%
HGST 0.92%
Samsung 2.25%

  • 次に返品率が 3% を超える機種一覧。やはりファームウェアロックバグを抱えた 7200.11 と自らの発熱で死に至る Maxtor DiamondMax 22 が多いのだが、何故かそれらよりも返品率が高い機種が存在する事に注意。
返品率 メーカー 機種名 回転数
3.2% Seagate 320 500 GB IDE 7,200rpm
5.2% 7200.11 500 GB
3.6% 7200.11 750 GB
3.7% 7200.11 1 TB
4.8% Maxtor DiamondMax 22 500 GB
3.9% DiamondMax 22 750 GB
6.5% DiamondMax 22 1 TB
12.9% Samsung SpinPoint T 500 GB

  • 最後に 1TB 以上の容量の HDD の返品率一覧。やはり Seagate と Maxtor は多い。しかし何故か、特にリコールや不具合の発表もされていないのに返品率が高い機種が存在する事に注意。これらの何故か返品率が高い謎の機種達の間でも、回転数が 7,200rpm の SpinPoint シリーズの方が回転数が 5,400rpm と低い EcoGreen よりも返品率が高いという関係が成り立っている。
返品率 メーカー 機種名 回転数
3.7% Seagate 7200.11 7,200rpm
6.5% Maxtor DiamonMax 22
0% WesternDigital Caviar Black
0.9% Caviar Green WD10EACS 5,400rpm
0.8% HGST 7K1000.B 7,200rpm
2.9% Samsung SpinPoint F1
1.6% EcoGreen F1 5,400rpm
※何故かWD10EACSが二回書いてあり片方が 0% になっていたので 0.9% となっている方のみを掲載

  • このレポートから見出せるのは、Samsung 製や、その他のメーカーの不具合を抱えた機種には絶対に手を出してはいけないと言う事である。

HARDWARE.FR による返品率に関するレポート(2010/12/2)

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  • メーカー別故障率 (HARDWARE.FR はこの集計を小売店による集計であり、RMA がある場合は直接メーカーに送付出来る為必ずしも正確ではないとしている)

  • 前回集計時との比較。Seagate や Maxtor は不具合が沈静化してきた為か下がり、HGST が目立って高くなっている。WesternDigital が巻き起こした 5,000rpm 台の低回転数・低騒音・低発熱・低消費電力のシリーズがヒットし、Seagate がそれに追従し Barracuda LP (後の Barracuda Green シリーズ) をリリース、Samsung に至っては 2TB クラスの機種は全て 5,400rpm で 7,200rpm の機種は生産自体しなくなった。
メーカー 今回集計時の故障率 前回集計時の返品率 前回集計時との比較
Seagate 2.13% 2.58%
Maxtor 1.04% 1.73%
WesternDigital 1.45% 0.99%
Hitachi 3.39% 0.92%
Samsung 2.47% 1.93%

  • 1TB クラスの機種の返品率。概ね同じメーカー製であれば回転数が高い機種程返品率が高いという関係が成り立つ。この時特に返品率が高かったのは他のレポートでは信頼性が高いとされている HGST 製となっている。それ以外では例の不具合を抱えた Seagate や半島製が高い。
返品率 メーカー 機種名 回転数
3.68% Seagate Barracuda 7200.11 7,200rpm
2.51% Barracuda 7200.12
2.10% Barracuda LP 5,900rpm
1.24% Maxtor DiamondMax 23 7,200rpm
1.35% WesternDigital Caviar Black WD1001FALS
2.37% Caviar Green WD10EARS 5,400rpm
1.55% Caviar Green WD10EADS
5.76% HGST Deskstar 7K1000.B 7,200rpm
5.20% Deskstar 7K1000.C
3.37% Samsung SpinPoint F1
1.57% SpinPoint F3

  • 2TB クラスの機種の返品率。他のレポートでは信頼性が高いとも評価されている WD の Black が最も高く、次いで HGST の 7K2000 となっている。いずれも 7,200rpm の機種である。
返品率 メーカー 機種名 回転数
4.35% Seagate Barracuda LP 5,900rpm
9.71% WesternDigital Caviar Black WD2001FASS 7,200rpm
2.90% WesternDigital Caviar Green WD20EADS 5,400rpm
4.83% Caviar Green WD20EARS
6.87% HGST Deskstar 7K2000 7,200rpm
4.17% Samsung EcoGreen F3 5,400rpm

  • HARDWARE.FR は 7,200rpmよりも5,000~5,400rpm の低回転数のものの方が故障率が低い傾向にあるとしている。例の半島メーカーはこの時大容量の 7,200rpm の機種の生産を縮小しており、現在でも唯一 2TB 以上で 7,200rpm の機種をラインナップさせていない事に注目。高回転数の機種を出さなければ初期不良も返品率も下げられる。→しかし Samsung はバグ入りファームウェア搭載の HD204UI をリリースしてしまうのであった。さすが斜め上…

日本データテクノロジーによるレポート(2010/2/5)

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2009 年度にデータ復旧に持ち込まれた HDD の統計情報。メーカーによって出荷台数 (母数) が大きくちがう為、シェアを加味して判断する必要がある。
http://www.ino-inc.com/util/nr100205.html

  • 明らかにシェアが劣っている某メーカーの割合は高めである。
フォームファクタ メーカー 持ち込まれた割合
(各フォームファクタ内に占める割合)
持ち込まれた割合
(全フォームファクタ内に占める割合)
3.5"
(全体の 64.2%)
Seagate 22.3% 14.3%
Maxtor 13.2% 8.5%
WesternDigital 31.5% 20.2%
HGST 14.0% 9.0%
Samsung 16.7% 10.7%
その他 2.2% 1.4%
2.5"
(全体の 34.2%)
Seagate 8.9% 3.0%
WesternDigital 6.4% 2.2%
HGST 29.8% 10.2%
東芝 32.1% 11.0%
富士通 16.8% 5.7%
その他 6.0% 2.1%
その他
(全体の 1.6%)
- 100% 1.6%

  • 日本HDD協会2011年1月セミナーレポートによる全世界における HDD メーカー別シェアは以下の通り。このデータを利用し故障率を算出しているブログもあるものの、メーカーによって 2.5"と 3.5"の出荷比率が大きく異なり、(日本国内における) フォームファクタ別のメーカー別シェアと比較しない限りこのレポートからメーカー毎の故障率の違いを正確に見極めるのは困難と思われる。
Seagate(Maxtorを吸収) 30.3%
WesternDigital 31.3%
HGST 17.2%
東芝(富士通のHDD事業を吸収) 10.9%
Samsung 10.3%

  • また、2008 年製造の特に WesternDigital と Samsung 製 HDD は持ち込まれた割合が高くなっている。

日本データテクノロジーの技術者、趙暁豪氏の見解(2011/02/28)

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  • Seagate Barracuda 7200.11 や 7200.11 ベースの Barracuda ES はファームウェアに不良がある為地雷
  • WesternDigital は故障しにくいがいざ故障した場合に適合部品を探すのが難しく復旧は困難
  • HGST はヘッドがクラッシュした場合プラッタが傷付きやすく復旧は困難
  • 2.5"では東芝製が信頼性が高いうえ復旧率が高い
  • 全体的に故障率が高いのは 3~5 年目の機種
  • お勧めの機種は WD の Black で信頼性が高いのが理由。

ロシアのデータ復旧業者「Storelab」のレポート(2010/8/13)

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データ復旧に持ち込まれた HDD から算出された各メーカー(機種)の平均寿命のレポート。
http://www.tomshardware.com/reviews/hdd-reliability-storelab,2681.html
http://www.storelab.ru/sravnenie-nadezhnosti-hdd.htm
  • 最も信頼性が高いのは HGST で平均寿命 5 年
  • Seagate は例のファームロック問題を起こした 7200.11 に関しては平均寿命 1.5 年、7200.10 に関しては平均寿命 3 年、7200.12 以降の機種はデータ不足
  • WD は 500GB 以下の機種では平均寿命 3.5 年、500GB を超える容量の機種では磁気ヘッドブロックの固定用ネジと磁気ヘッドの回転軸のネジが共通であることが原因で、特に温度が 45 度以上になる環境、衝撃の多い環境、HDD のカバーに強い力が掛かる環境ではヘッドがクラッシュしやすく平均寿命 1.5 年
  • Samsung は特にハズレ型番でなくともヘッドがクラッシュしやすい為、Seagate や WD のハズレ品同等の平均寿命 1.5 年とされている。

Google

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2007 年に公開された大容量 HDD 群の故障の傾向に関するレポート
Failure Trends in a Large Disk Drive Population (PDF)

  • 2009年に公開された Google のサーバーの一台。電源ユニットが 12V 単一出力でマザーボードとの間に無停電装置が挟んであり、マザーボード上で 5V や 3.3V に変換する事で消費電力を抑えている等見るべきところが多いが、注目すべきは採用されている HDD に HGST が採用されている点である。

結局…
  1. Samsung (特に HD203WI、HD204UI) は地雷なので買わないこと。それ以外のメーカーもやらかす時はやらかす(目立って故障率が高いハズレ機種がある。Seagate 7200.11 がこれに該当する)。情報を集めて当たりの機種を見出す事。
  2. 回転数が低い方がモーター・軸受けへの負担はもちろん電源回路への負担も低いため (要は糞電源を繋いでも回転数が高い = 消費電力が高い HDD から先に壊れるという事) か故障率は低い傾向にある。システムドライブの場合は回転数が低いと体感速度に大きな悪影響があるが、でかいエロ動画などのデータ倉庫専用ドライブなら回転数は低い方が良い。予算に余裕があるならシステムドライブとデータ用ドライブと別々にして、システムドライブにはSSD使え。
  3. 乱暴な輸送業者 (佐川や SG ホールディングスや飛脚がトレードマークのあそことか) を使用しているショップ・梱包が雑なショップ (セコイ方法で脱税している犯罪企業 Amazon 等) はなるべく避け、地震直後の購入も避けるべき。
  4. 故障確率はバスタブ曲線を描く。買ったらまず高負荷を掛け初期不良を洗い出す。そして 3年~5年経ったら壊れてなくとも買い換える。
  5. 転ばぬ先の RAID1 と定期バックアップと無停電装置。
  6. ユーザーの扱いで故障率は変わる。温度は必ず 25度以上45度以下に保つ。(熱すぎても冷えすぎてもダメ、SMART で常に温度管理を) 振動もダメ(共振やビビリが無い1mm厚以上の板材を使用した頑丈なケースにしっかり固定する)。糞電源もダメ(目安としては一万円以下の電源は大体糞、ニプロン・Zippy製電源であれば品質が安定している)。糞ケーブルもダメ(ラッチ付きケーブル等で確実な固定を)。埃もヤニも過剰な湿気もダメ。急に温度が変わると結露するのでダメ。外付けにすると固定されてないので振動の影響が大きくなり軸ブレが早まる・窒息ケースで熱が溜まる・糞ACケーブルでHDDを傷める三重苦。


各メーカーの保証・RMA について

メーカー RMAの有無 RMA保障期間 RMA送付先
Seagate 有り無しが混在 機種による 千葉県かシンガポール
WesternDigital 有り(現行品) 3年 シンガポール
HGST リテール品のみ 3年 日本国内
Samsung 無し 0秒 この世には無い
※RMAとは別に代理店・小売店による保障がある場合がある。送付先が海外の場合送料が割高・返却まで時間が掛かる・途中経路で荷物が消失する頻度が高い事に注意。