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スレ>>36 アリスのウサギさん



 起きてまずやるべき事は、シーツとパジャマを裏返してブラシで毛を取ること。
 僕は寝具の汚いライカン≪獣人≫を信用しない。そういう奴に限って時計も持たずに待ち合わせ場所に向かうような不道徳的な行いをするんだ。
 見た目に違わぬビースティでは、単なる獣と変わらない。
 次いで、全身のミルク色の毛並みにブラシを通す。抜け毛を撒散す奴も、ライカンとしては最低だ。
 鏡を覗き目の縁の毛並みを鋏で梳いて、視界を確保。長い耳の内側の毛も切って、聴覚を確保。
 真赤なみつくちから伸びた前歯は……まだ鑢を掛ける必要は無さそうだ。
 身支度で散った毛をモップで集め、屑籠にぽいっ。
 クローゼットから燕尾服を取りだし、蝶ネクタイの色をしばし吟味。

 ……ふむ、赤のベストに黒のタイ。これにしよう。

 準備万端整って、さて紅茶でも淹れようかと思っているとき、一番大事なことを思い出した。
 壁に目をやる。時計は止まっている。
 慌てて懐中時計を取り出す。これも止まっている。ぜんまいを巻き忘れたんだ!
 ああ、なんてことだ。なかなかチャイムが鳴らないから変だと思ったんだ。
 ハートのクイーンにまた怒られてしまう!
 僕は走った。
 途中で道を聞かれたけど、答えてあげる余裕は無かった。ごめんよ、
 迷子のかわいいお嬢さん。





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