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13話

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 真夜中の少し前、紺鮫(ガンジャオ)は王宮から十数キロ離れた街中の賭場に居た。

室内は酒の臭いと人の熱が篭って蒸し暑かった。紺鮫は酒場の隅で3人の男達と共にボードゲーム

の卓を囲んでいた。紺鮫の番が来た。山から牌を一つ取り、手持ちのものと一つ交換する。

別のものと交換すれば得点の高いまま上がれたが、さっきの一戦で少し大勝し過ぎた。そろそろ負け

ておかないと客が帰ると言い出しかねない。難しいところだ。

 「よし、俺の勝ちだ」紺鮫の向かいに座っていた男が得意げな笑みを浮かべた。紺鮫は調子を合わ

せてひたすら褒める。「いやぁ、あんた強いな。俺はそろそろさっきの貯金が無くなりそうだ」言いつつ

かすかに苛立ちを覚える。ここの主人は、大粒銀二つ程度の額を客に落とさせれば情報をくれると

言った。さっさと終わらせたいが、あまり派手にやると席を蹴られてしまう。

 紺鮫が言われた額を達成したのは、月が傾き始めてかなり経った頃だった。紺鮫は賭場の奥の

一室の扉を開け、中に入った。中でふんぞり返っていた男に、金の入った巾着を放る。

「大粒銀二つ分だ。これで情報をくれるんだろうな」男は巾着の中身を確認すると、ホクホク顔で

紺鮫に言った。「いいぜ。本当は大粒銀三粒分くらいは取るんだが、お得意様値引きだ」

 紺鮫は懐から紙切れを取り出し、男に渡した。髪には墨で人の顔が描かれている。「あんたの

馴染みの刺客か殺.し屋の中に居るか?」男は首を傾げ考えていたが、少しして言った。

「居ないねぇ。少なくともこの街のもんじゃない。殺.しを生業にしてないもんの中にも居ないね」

紺鮫はうなずくと、次に腰帯を一本取り出した。独特の織り方をしており、この周辺の地方には無い

ものだ。「どこのものか、わかるか」男は腰帯を灯りにすかしたりしてから、紺鮫の方に向き直った。

 「ここから馬で西に二日ほど行ったところに、織物の村がある。間違いなくそこで織られた物だ。

あそこは異国人が作った村だからな。今でも村人しか知らない伝統の織り方があるらしいぜ」

 紺鮫は腰帯を受け取ると、似顔絵を蝋燭にくべ、外に出ようとした。出て行こうとした紺鮫を男が

呼び止めた。「紺鮫よぉ、悪いことは言わねぇから、この件からは手を引け」「なぜだ?」「」俺の長年

の勘が、ヤバいって言ってるんだよ。俺達裏の人間にも掴みきれてねぇでっかい何かが動いてる。

お前、このことに首突っ込むと、命だけじゃ済まねぇかもしれねぇぞ」

 紺鮫は、眉一つ動かさないまま答えた。「忠告は受け取っておく。だが、俺は俺の主人のために

全存在のの全てをかける。例え命以上のものを失っても、俺を信頼してくれる主人を、失いたく

ないんだ」

 男は肩をすくめて言った。「ま、お前の主人が誰かなんて知らねぇが、好きにしな。忠告はした

からな」

 紺鮫は賭場の外に出た。暗い空に星が明るく光っている。星空を見上げながら、紺鮫は一人思った

『守ってみせる───命にかえても』







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