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16話

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「・・・・・・そうか」
蒼豹の言葉に、星光王子はため息をつきゆったりとした木製椅子の背もたれに体を預けた。
数分前やって来た蒼豹の言葉は、星光の元気を根こそぎ奪っていくには威力が強すぎた。虎に腕をもがれたこと、盾として仕えることはもう出来ないということ、この二つを淡々と語る蒼豹を前に、星光はがっくりとうなだれていた。
「・・・・・・これからどうするつもりだ?」
「まだ決めておりませんが、頂いた部屋は近日中に空けます」
星光は、そういうことじゃない、と言おうとしたが、元気が足りず断念した。彼が言いたかったのはこれからどうやって生活していくかという意味なのだが、それを説明することさえ億劫だった。
「部屋は当分使っていて構わん。近衛兵を追加する予定も無いからな」
星光がため息と一緒に吐き出した言葉に、蒼豹はありがとうございます、と慇懃に答え、さっと礼をして彼の部屋を辞した。


「どうするつもりなんでしょう」
星光は背後から聞こえた紅兎の言葉に、首だけで振り返った。
「盾をクビになって生きてる奴が行き着く先なんてたかが知れている」
星光が眉間をおさえながら投げやりに言うと、紅兎はわずかに眉間に皺を寄せた。
「盾でなくなった者は王宮の外ではまず生きては行けません」
紅兎の言葉に、星光はイラだったように行った。
「俺にどうしろと言うんだ。就職先を世話してやれとでも?」
言いつつ、星光はギリ・・・・・・と音がするほど奥歯を噛み締めた。まただ、また一人自分のせいで傷付き、王宮から去る者が居る。その事実が、星光の胃の中をかき回し、彼の脳髄を悔しさで満たした。
 自分の為に傷ついたというのに、自分は何もしてやれない。皇子など所詮は飾りだ、と星光は自嘲気味に思った。部下一人守れず、何のための皇子の名だ。
 そういえば、と呟いた紅兎の言葉で、星光は現実に引き戻された。
「妹君の麗華(リーファ)様が、次女にまた暇を出したようですね。なかなか気難しくていらっしゃいます」
星光は突然変わった話題に眉を寄せた。まだ10歳の麗華が我侭で次女を困らせ暇を出すのはいつものことだ。それが今の話と何の関係が──────
星光は目を見開き、まっすぐ紅兎を見た。紅兎の表情筋はぴくりとも動くことはなかったが、目だけは笑っているようだった。
星光はたちまち笑顔になり、紅兎に言った。
「お前の名、紅兎より黒狸(ヘイ・リー)の方が似合ってるんじゃないのか」



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