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 明くる日。
「風邪?」
「だから今日休みからよろしくね」
「分かりました」
 いつもの様に柚姫を呼びに行くと珍しく風邪を引いたようだ。馬鹿はなんとやらと言うのは迷信の様だ。
 と言う訳で今日は私一人だけで登校して学校に来ていた。
「風邪ですか、大丈夫なんですか?」
「馬鹿はなんとやらっていうのにね」
「鵺さんも人の事言えないでしょう?」
「うっ」
 心配していた茜に対して、馬鹿が馬鹿といっていた鵺さんに釘を刺しておく。
「それほど酷くはないそうだからそこまで心配する事もないですよ」
「そうですか、大事じゃなくてよかったです」
 茜は安心して大きく息を吐く。
「でも柚姫の事だから明日明後日も休むかもね」
「それを聞くと本当に安心していいのか気になってしまうのですが……」
「大丈夫よ、少し長引く程度だから。柚姫なにかと治癒能力人並よりも少し低いから」
「それ本当に大丈夫ですか……」

 とりあえず今日も無事に授業も終えて、帰宅しようとしたその時、
「城岬さんちょっといいですか」
「何ですか先生?」
「九十九さんの話なんだけど、いいかな?」
「柚姫の?」
 私は担任に呼び止められて教室を移動する。
「先に入ってて、お茶でも用意するから」
「はぁ」
 私は言われるがままに生徒指導室のソファーに腰掛けた。生徒指導室には縁がなかったので入るのは初めてだった。中は保健室の半分くらいの部屋で、中央に長方形のテーブルがあり、それを挟むように大きなソファーがあり、端の方には何もたてられていない棚と畳まれたパイプ椅子が何脚かあるくらいの部屋だった。
 しかし何故呼び出されたのだろうか? さっき柚姫の事だって言ってたけどもしかしたら何か私の知らないところで問題を起こしていたとか?
 そんなことを頭に過ぎらせた。
「待たせちゃったわね」
 担任がそこで茶を入れたコップを抱えて入ってきた。
「あ、有り難う御座います」
 私はコップを受け取ってお礼を言うと直ぐに本題に切り出す。
「柚姫の事って何かあったのですか?」
「城岬さん、別に問題があったとかそんなのがあったわけじゃないからそこまで畏まらなくてもいいわよ」
「そうですか」
 じゃあ一体何の話だろうか?
 このタイミングで担任の事を紹介しておくと、名前は天上 天子というまるで天国にでもいそうな名前で、あだ名も自分で天使と名乗っており、結局「天使先生」なんて呼ぶ生徒も少なくない。話からすれば電波な人なのかもしれないが、これでも生徒の相談を聞いたりしていて、何かとウケもよく評判もいいので、結構生徒たちに慕われている。
「じゃあ何の話ですか?」
「んー、一応九十九さんからは口止めされていたんだけど、城岬さんにも関係ある事だし話しておかないと駄目だと思ったから呼んだんだけど、私から呼んでおいて何だけど聞くのやめておく?」
「とりあえず何の事なのか分からないので、聞いておきます」
「そう、じゃあ心して聞いてね」
 私はどんな事を言われるのか緊張していたが、それも直ぐに消える事になった。
「九十九さん貴女の事が好きみたいなのよ。ああ、友達としてじゃなくて、恋愛感情として」
「……そんなことですか?」
「へ? そんなことなの?」
「ええ、だって私一度告白されてますから」
 私は中学生になる前の春休みの時に柚姫に一度告白されていた。その時はもちろん私には友達としての感情しかなかったが、柚姫は恋人して告白してきたが、私は断っていた。告白を断られて柚姫はもう友達としても接して行けないって思って落ち込んだけど、私はそれからも親友として彼女に接して、私達は今の交友を気づいていた。だから柚姫が私に未だ好意を持っていても可笑しくはないからだ。でも、今この話を聞いてしまったので、確実に柚姫は私の事がまだ好きだったようだ。
「じゃあ、城岬さんはどうするんですか? 九十九さんの事を、受け止めるのか」
「それよりも聞いていいですか? 柚姫が先生にどんな相談をして話たのか」
「ええ、もちろんよ」

 私はそれから先生にいろいろ聞いた。
 相談を始めたのはつい最近で、柚姫は私の事が好きだという事を相談したのが切っ掛けだったそうだ。好きと言っても異性相手ならまだしも同性愛となると結構複雑だ。それに女子高と言っても男子との出会いがない訳でもないし、別にどこかの隔離されたような場所でもないので、彼氏を持っている子だっている。むしろそれが普通だろう。私もここで女子同士の恋人がいるなんて話を聞いた事はそれほどなかった。しかもそれが公になってしまえば、女子と言うのは陰湿なもので、その恋人たちをネタにした変な噂をばらまいたりして、破局させたりする。それもそうかも知れないというのは否定出来なかった。そもそも同性愛なんてものは一般世間にはよく思われていないのも事実で、国という大げさな部分から考えても、繁栄出来ないということだってある。それに中には同性愛を気持ち悪く思っている生徒だって少なくないのだ。だからこそ柚姫はあの時から私も事を考えて今まで二度目の告白をしてこなかったのだろう。
 そして先生も聞くだけじゃなくて相談なのだからアドバイスもしていた。本当に好きという感情は簡単に消えるものじゃなくて、だけどずっと片思いというのも苦しい事だ。だからこそ告白はした方がいいとアドバイスはしたそうだ。他にもいろいろ言っていたが、結局はそういう事だった。
 だけど、
「もし、今告白されたら城岬さんはどうしますか?」
 いつかは決めなければならない事だった。彼女はまた断ってしまうだろう。だけど彼女はまた私に一方的に想い続けてしまうだろう。だから私に捨てられでもしないと彼女の恋は終わらないのかも知れない。だけど私には彼女を捨てる勇気もないし、彼女を受け入れる勇気もなかった。
 私だって柚姫が苦しむのを見るのなんて嫌だ。それでも矛盾した考えしか過ぎらない。
「少し考えます」
「そうですか、今日は遅くなるのも駄目ですしそろそろ終わりにしましょうか」
「はい」
 私は最後に余っていた茶を一気飲みして家に帰った。

 そして、私は夕食を食べてから見舞いに柚姫の家に来ていた。百々さんは外出中の様で、私は九十九家の家の鍵を使って中に入った。
 だけど柚姫の部屋の前まで来たものの、いつもの様に鍵が掛かっており、中には入る事は出来なかった。朝も百々さんには風邪もそれほど酷いという訳でもなく食事は自分で降りてくると聞いていたが、それでも私は彼女と話す理由があった。
「柚姫、お見舞いに来たけど入れてくれないかな? 別にリビングに降りてきてもいいよ。待ってるから」
 もしかしたら寝ているのかも知れないと思ったが、造作の音が中から聞こえたのでそういってリビングで待っていたものの、柚姫は降りてくる事は無かった。
 だけどただの風邪ならば部屋に入れてくれなくてもリビングに来ることくらい出来るだろう。じゃあ何故?
 もしかしたら病状が悪化しているのかも知れないと思い立ち直ぐ様柚姫の部屋の前までくる。
「柚姫大丈夫?」
「……うん」
 返事はあったので大丈夫だった。
「じゃあ部屋出て来てくれない?」
「……嫌」
「どうして」
「……先生にあの事を柚姫に話したって電話がかかってきた」
 扉越しに会話していても柚姫の声が震えているのが分かる。というか天上先生あの話を私に言ったなんてわざわざややこしい事をするのだろうか。しかしそんな事を考えている暇もなかった。
「知っているなら、その話で私も柚姫に話したい事があるの」
「……ごめんなさい」
「どうして謝るの? 柚姫は別に悪くないよ。それに今は柚姫が心配で話がしたいだけ」
「……じゃあそこでもいいじゃない」
「親友をこんな場所に放っておくつもり?別にリビングでもいいんだよ?」
「……嫌」
「じゃあ最後の手段だね」
「……え?」
 使いたく無かったが最後の強硬手段だった。それは何の知恵も使わないし、単純に開く事が出来る。
 私は扉に向かって思い切り体当たりした。
「ひっ」
 柚姫は怯えていたが私はそれを気にせず体を扉に叩きつける。
 別に特別力が強い訳でも無かったので、何度体をぶつけても扉はびくともせず、肩は赤く腫れていた。
 でも、私は無理やりにでも彼女と話をつけたかった。
 いや、私は彼女に、「柚姫が好き」と言ってしまいたかった。断りたいと想っているのが本音かもしれない。だけど私は自分に嘘を付いているのかも知れない。私も好きだった。今ここで好きと言ってしまえばすぐにでも開けてくれるだろう。だけど私は柚姫と顔を合わせて言いたかったから、無理やり顔を合わせようとした。
 そして、
「入って来ちゃダメー!」
 柚姫の叫びが掻き消される位の音を上げて、力を振り絞り体当たりすると扉の鍵が壊れてようやく開いた。
 そして私は柚姫を受け入れようと、告白しようとした。

 しただけだった。
「何……これ……」
 彼女が全く入れてくれなかった部屋は別に散らかっている訳でも無かったし、きちんと整えられていた。
 だけどそれは何があるのか無視した場合で、
「どういうこと……」
 私は柚姫の部屋を見回すと恐怖すら覚えた。
 何故なら至る所に私の写真がポスターの様に貼られていた。中には盗撮の様な、私が着替えているところを映し出したところだって有った。そして本棚にはアルバムが何冊もあったのでそれは予想がついた。柚姫が放心状態になっている間にアルバムを確認すると中には私の写真だけだ整理されて入っていた。
 柚姫が誰も部屋に入れなかった理由がこれだった。
 私だって愛されることを嫌う訳じゃない。だけど明らかにこれは異常だった。好きだという感情すら消え失せてしまうほどで、いくら私が柚姫の事を好きでも許せるはずもなかった。
 私は手に持っていたアルバムを床にたたきつける。
「ねぇ、柚姫、何なのよこれ?」
 私は柚姫に問い詰める。
「……ごめん……なさい」
 柚姫は泣きながら謝っていた。どうやら私の言葉も聞こえていないのかも知れない。
 私は彼女を救うはずだった。だけど彼女は私をどんな風に見ていたのかすら疑問にすら覚えた。
 だけど私はどうしたらいいのか分からなかった。彼女の好きという感情を受け止められないだろう。だけど私は彼女が好き。
 だから私は意地悪しようと考えた。今までの関係なんて全部無かったかのような意地悪だ。
「許してほしい?」
「うん、何でもするよ……」
「本当?」
「うん、本当だよ。だって私が悪いんだもん。だから乙女が許してくれるなら私は何だってする」
「そう、じゃあ」
 私は一息ついて告げた。もう戻れないであろう壊れた関係に踏み出した。
「今日から柚姫は私の―――」

「今日から柚姫は私の下僕ね」
「……下僕……?」
「そう下僕、他に言うなら奴隷ね。柚姫、出来る?」
「……それだけでいいなら、私は乙女の下僕でも奴隷でも何でもなるよ」
「じゃあ、これでいいわね」
「うん」
「柚姫が賢い子で私は嬉しいわ、頭を撫でてあげるからしゃがみなさい」
 そういうと柚姫はすぐさま正座を崩したように座って、私はその頭を撫でると、柚姫は嬉しそうな顔をしていた。
「本当に、柚姫はいい子ね。だから別に私がこの部屋にある写真を処分しようと思ったけど止めようかな」
 そういうと柚姫は撫でられやすいように下げていた頭をあげて、視線を私の方に向けた。
「え、本当に?」
「ええ、本当よ。でも本当に私の下僕になってくれるか命令するよ」
「うん!」
 ここにある写真が処分されないのが余程嬉しかったのか、柚姫は喜々として答えた。
 が、私はそれほど甘い訳ではない。
「柚姫、自分でこの写真を捨てなさい」
「……え……?」
「聞こえなかった? 貴女が自分でこの写真を捨てるのよ」
「……どうして、処分しないって」
「それは私がよ。だから貴方が自分で処分するの。出来るわよね?」
 私だってこんな写真を残しておく気なんてなかった。
「……それは」
「出来ない?」
「……全部は嫌」
「全部捨てるのが嫌? 私の言う事が聞けないって事?」
「……でも」
「でもじゃない。一枚でも残したら柚姫とは完全に縁を切らせて貰うわ」
「……分かった……全部……捨てるよ……」
 柚姫は流石に私と居られなくなるのが嫌だったようで、すぐさま部屋に貼ってある写真も剥がしにかかったが、やはり捨てるのには抵抗があったようで、剥がそうとする手は時々止まり、涙目にすらなっていた。
「捨てるのがそこまで辛い? でもね、そんな盗撮をされていた事を知った私の方が辛いよ。分かるでしょ」
 私はアルバムを手に取りパラパラと捲りながら、柚姫に向かって言う。
「…………」
 柚姫は既に答える気力すら失って、黙々と手だけを時々止まりながらだが、しっかりと剥がしていく。
「柚姫、貴方が私の下僕と言っても私の言う事を聞けば、御褒美もあげるわよ」
「御褒美……?」
「飴と鞭って奴よ。私だって柚姫を辛い目ばかりに合わせる気はないわよ。だから御褒美も時々出すかもね」
 そういうと明らかにさっき程よりもペースが上がって行った。
 そして壁に貼ってあった写真は全て剥がし終えたようだ。
「これ、どうしたらいいのかな?」
 柚姫はに一面広がる写真を指差す。その数はそのまま捨てるにはかなりの数で、それはそれでこのまま捨てるのはある意味危ないだろう。
「そうね……」
 私も言ったものの、どう処分しようか考えていなかった。最近はシュレッダーでも安全とは言えないものだとか、少し過剰に考えすぎかも知れないが数が数だ。過剰に考えるのも今回ばかりは悪くはないだろう。分割して捨てるかとか、やはりシュレッダーでいいかとか考え、最終的にはシュレッダーで一気に切り刻んで、捨てる事にし、柚姫の家にはそのシュレッダーが無かったので、私の家から一旦持って来て、シュレッダーにかける。しかしシュレッダーにかけていた自分の写真を見ているのは、少し複雑な気分だった。

 少し大きめのシュレッダーだったので、結構速いペースで処理出来、百々さんが帰ってくる前に全て切り終えた。そしてゴミ袋一杯になったのが二袋分にまでなったが、流石に今捨てれないので、明日捨てる事になった。
「柚姫、よく頑張ったわね」
「うん、これで私は乙女の下僕だよね?」
「そう、私の下僕ね」
 私は頷き、頭を縦に振る。
 しかし下僕という扱いにも関わらずも、どうしてここまで嬉しそうなのか。それほど私に構って欲しかったのだろうか、真偽は分からない。
 兎も角、私達の関係は親友から恋人という有り触れた関係ではなくなり、私と柚姫の関係は主従として成り立つ事になった。
 そしてそこで百々さんが帰ってきたのか、玄関の戸が開く音がした。
 そして、私は百々さんにも私達の関係を知って貰おうと二人で百々さんを迎えに行った。

「へ?」
 私は先ほどの事を全て百々さんに話した。
 柚姫がまだ私の事を思っていた事、私も柚姫を好きだった事、だけど柚姫が私に部屋の事を隠していた事、その罰として主従としての関係を築いた事。
「えーと、じゃあ恋人とかじゃなくて……」
「そうです」
 それにもう恋人なんて関係になれない事も、言うべき事は全て言った。
「そっか、そうなっちゃったんならしょうがないね」
 本当は姉として、妹がこんな立場になってしまったという事をどう思っているのだろうか、私ならばすぐさま手を出してしまいそうな話だというのに、百々さんはちゃんと話を聞いてたからこそ出た結論なのかも知れない。
「でも、私から、姉として、いえ、今面倒を見ている保護者としてお願いがあるの」
「お願い?」
「まぁ出来ればでいいんだけどね」
「なんでしょうか?」
「下僕っていう立ち場も柚姫が受け入れているならいいけど、これから先どんな事があっても柚姫の事を裏切ったり、捨てたりしないでね」
 私はその言葉にクスリと笑った。
「私おかしい事言った?」
 百々さんは私が笑った事に苛立ちを覚えたのか、声を低くして聞いてくる。
 だから私も言ってやった。
「ええ、おかしいですよ。だって私が私の物を傷つけたり捨てたりしないですよ。ずっと柚姫は私の物ですかし、それにこんな私好みの子を手放すとでも思いますか? 私の言葉を素直に受け入れてくれて、私の愛を受け入れてくれて、私の愛に答えて私を愛してくれる。それに、柚姫は私がここまで育てて染め上げたんですから」
「フフッ、言ってくれるわね。まさか育てただなんて言われるなんて思わなかったわ。だけど確かにその愛は貴女達が何年も掛けて育て上げた物には違いないわね」
 そういうと百々さんは柚姫の頭を撫でて、
「柚姫、今幸せ?」
「……うん、乙女の物になれたから嬉しいし、私の事も捨てないって言ってくれたから」
「そう、じゃあしっかり乙女ちゃんに愛して貰いなさいよ」
 そう言い残して何故か外へと出て行った。
 残された私達はどうしたらいいのか分からず一度柚姫の部屋に戻った。

「…………」
「………………」
「……………………」
「…………………………」
 長い沈黙が続いた。私としても柚姫を下僕にしてしまったものの、どう扱えばいいのか分からなかった。柚姫もどうしたらいいのか分からない様子で同じく沈黙している。
 恋人という別の関係になれたなら、明るく会話でもしていただろう。
 だけど今と違う事を考えても仕方がない事で、今の状況を打破しないことには話が進まないけど、どんな風に声をかけたらいいのか分からず、私は無理やり柚姫の唇を奪った。
 私も何を思ってやってしまったのか分からないが、いきなりにも関わらず、柚姫は全く嫌がる事無く受け入れてくれた。むしろ当たり前の様に体も寄せて来て、私もその寄せてきた体を抱きいれた。いつも近くにいたはずなのに、今正面にいる柚姫からはいつもと違う匂いを漂わせていた。香水の様な甘ったるい様な物でも無く、シャンプーの様な優しい匂いでも無かった。それは柚姫その物の匂いだった。だけど今までそれまで気付かなかったこの香りは、まるで私を誘うようかのフェロモンの様なものだと思った。その証拠に私は何も考えていないはずなのに柚姫を求めていた。
 服越しなのに、互いの心臓の音まで響きあっているのが感じられた。キスしかしていないはずだったのに、これ程私達は高揚していた。
「んっ……」
 一度唇を離すと体の方に柚姫が倒れこんできた。
「……もうやめちゃうの……?」
「もっとしたい?」
「したい、もっと乙女としたい」
「でも駄目」
「どうして?」
「柚姫、貴女は私の下僕なのよ? その貴女がお願いして私が簡単に聞くと思う?」
「じゃあ、どうしたら続きしてくれるの?」
「そうね、まず呼び方から変えないとね。普段はそのままでいいわ、でも今みたいに二人きりの時は、そうね、御主人様とでも呼んでもらいましょうか」
「御主人様、もっと……私にキスしてください」
「いい子ね、でもまだキスを強請るには早いわよ。次は勉強でもしましょうか」
「……勉強?」
「そう、だって私の下僕の頭が悪いだなんて悲しいわ。だから私の為に頑張ってくれるわよね?」
「……うん」
 流石にこのタイミングで勉強しろだなんて言われるなんて思っていなかったようで、機嫌を損ねたようだ。だけどこうでもしないと柚姫は基本的に勉強しないだろう。だから命令出来るのであれば命令してでも勉強させた方がいいと考えた。
 でも勉強なんてものを私の言う事でも喜んでする筈もなかったので、不純だけど後押ししてあげることにした。
「柚姫、今度のテストで総合五十位以内に入ったら御褒美上げるわよ。キスの続きじゃ足りないくらい事してあげる」
 全くもって私はなんて甘いのだろう。だけど一学年五クラスで約百七十人くらい居り、柚姫の前回のテストの総合順位は百四十位という記録を叩きだしており、進級ギリギリという状況だった。だから去年も進級ギリギリで滑り込みセーフで進級出来たようなものだった。
 まあ単純に物で釣ろうとした訳だが、簡単に柚姫は釣れており、いつもより早いペースで問題を解いていった。
 その後は本当に勉強だけしていた。流石にペースが早いのは最初だけで、直ぐに普段の様な早さに戻ったが、それでも内容はいつもよりも確り頭の中に入っているようで、問題の間違い減っており、教科によっては二割も正解率が上がっているものもあった。
 やはり柚姫の扱いは簡単だった。

「そろそろ今日は終わりにしましょうか」
「はーい」
 そういうと柚姫はすぐさまシャーペンを机に放って仰向けになった。
 時間はデジタル表記の時計が弐参:参零と表示していた。二十三時半という事はあれから休憩なしで三時間以上も勉強を続けていたようだ。そのおかげで結構問題集も進んでおり、今までの復習という感じで勉強を進めてみたのだが、わりかしと良かったのかも知れない。というか何でこの時計漢数字なのだろうか、すごく見にくい。
「何か食べたい?」
「乙女……じゃなくて、御主人様が何か何か作ってくれるの?」
「簡単なものならね」
「じゃあね、御主人様が作ったものなら何でもいいよ」
「じゃあ、サラダのみね」
「えーと、やっぱりラーメン……」
「はいはい」
 私達は一度リビングまで戻ってきたが、百々さんの姿は見当たらなかった。もしかして気を使って何処かに泊まろうとしているのだろうか? そこまで気を使わなくてもいいと思ったが、百々さんも色々考えたいのだろう。
「っと」
 ポケットの中に入れっぱなしだった携帯が鳴り響き、その流れたメロディでメールだと分かり、ポケットから取り出すと兄貴からのメールだった。
 何だろうと思い内容を見た。
「ああ、百々さんこんな所に……」
 内容には、
「おい、どういうことだ。百々が泊めてくれと研究所に押しかけて来たぞ。一体お前ら何しでかした? 百々は答えてくれん。それにそのお陰で俺は研究所でいい笑い者だ」
 兄貴にとばっちりだと謝ったメールを打ち返して、一応面倒な事になると困るので、電源を切ってからまたポケットにしまった」
「どうしたの?」
「百々さん研究所に押し掛けたんだってさ」
「悪い事しちゃったね」
「そうでもないんじゃないかな? 兄貴全然百々さんに構ってやってないし、いい機会だよ」
「うーん?」
「ほら、ラーメン食べるんでしょ。さっさと作ってこれ食べたら寝るわよ。もちろん一緒に一緒の布団で」
「え?一緒にねるの?」
「嫌?」
「全然嫌じゃないよ!」
「ほらほら夜食も遅すぎると体に悪いわよ」

 そうして夜食を食べ終わると一緒に柚姫の部屋に戻り、一緒に寝た。


とある夢~乙女の場合~

 目を開くと何処かも知らない土地だった。
 しかしそこは活気が溢れて、私の横を通り過ぎて行く人達は誰も彼もが楽しそうな足取りで、辺りにでは商人が出店を開いていたり、サーカスの見習いの様な人が曲芸を行っていて、そこで道行く人達は足を止めてた。だけどここはまるで作り話の様な世界で、少なくとも日本にはこんな場所もないだろう。
 じゃあ外国?
 私は疑問しか溢れず、一度目を閉じた。
 そしてまた目を開くと、先ほどとも全く違う場所だった。
 そこはさっきと対象的に物静かな公園というような感じの場所で、小さな子供達が大人も交えてまるで一所懸命に遊んでいるようだった。
 そして次は瞬きをしてしまうと、また違う場所だった。
 そこは最初と対象的に全く人気の無い場所で、元々は綺麗に咲き誇っていたであろう花は枯れ果てていた。まるで墓地を思わすかの様な風景で、近くにはこの場所には似つかわしい協会が見えた。
 そしてまた瞬きをすると、その協会の前に立っていた。その協会はここが黒い世界だと例えるならば、この教会は真白いこの世界を浄化するような場所だろうか。
 そこからは瞬きしても何も起こらなかった。
 まるでこの教会の中に自分で入ってきてほしいかのようだった。
 だから私は教会の扉を自分の手で開けた。余程使われていない協会だったのか、結構固く閉ざされていたが、その扉を開いた瞬間だった―――、

 それはこう例えるしかないだろう。
『世界が白く染められた』
 本当にこの教会は何もかも浄化してしまったかのように、白い色で包まれた。
 さっきまであった黒い墓地の様な場所もこの白に飲み込まれて、何も無くなっていた。
 もしかしたら更に前に進むしかないのだろうか。
 そう思ったときには足は自然と真っ直ぐ前へと動いていた。
 だけど進んでも進んでも何もない白い場所で、一向に何かがあるという訳ではなかった。
 いや、何か、誰かが何かに座っていた。服も真っ白なのだろうか、近くに寄るまで全く気が付かなかった。気付いた時には既にその誰かの目の前までいた。
 そしてその誰かは私に気付いたのか俯いていた顔をあげた。
 それは少年で、私よりも何歳も年下だろう。それに顔をあげられても、その肌もこの白い場所に融ける様な白さだった。
「…………」
 その少年は私に気づいても何かを喋ろうともしなかった。それどころか表情も全く変えず、私の事を疑問にすら思っていないようだった。だけど私はその少年に声を掛けた
「貴方が私を呼んだの?」
 正確には呼んだ訳でもないだろうし、それに勝手に私が呼ばれたと思っている。そして少年は閉ざしていた口を開き、
「……また、呼ばれたんだね」
 その一言を聞いた時に、真っ白な世界が見えなくなった。
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