|新しいページ|検索|ページ一覧|RSS|@ウィキご利用ガイド | 管理者にお問合せ
|ログイン|

7話


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

 例えば家。
 マンションや一軒家などマイホームを持ったとしても住民税、固定資産税等の税金も掛って仕方がない。マンションはさらに管理費なるものがかかり、更に負担が増加している訳である。例えば私が住んでいる此処なんかは無駄に管理費が高く、三十年近くしたら同じマンションがもうひと部屋変えるくらいある。正確には月二十万強。まあ無駄に高いが、管理費が高いだけあって設備もしっかりしており、全室防音設備があり、住居の部屋以外には地下にカラオケルームやスポーツジムなどあり、温水プールなんてものもある絵に描いたような高級マンションである。一度も使ったことないけど。
 後は週に数回何処かのシェフにルームサービスとして料理を作って来て貰える。管理費からその食費は出ているようだが、一応月に五万までと決まっている。これは私としては管理費から出ている訳であって、使わないのも勿体無いので限度ギリギリまで利用している。恐らく割増に取られている気がしないでもないが、そこそこ美味しいので気にはしていない。食材も普通に高そうなのも含めて。
 他には風呂や水道、ガスが使えなくなるような故障が起こった時は修理の業者も呼んでもらえる。これも管理費から出るようなので、ここでは管理費はどちらかというと保険でもあるような気がする。
 私はここに住み始めて三年近く経つ。立地も日当たりも良く、マンションから少し歩けばいくつも有名なブランドショップが争っているような激戦区があり、何でも揃っているかの様な大型百貨店もあるが、私は住み始めた時は良く行っていたが、最近では出歩くことも少ないので、いいとこその周辺に並んでいるコンビニくらいしか行った記憶がない。
 特にブランドショップでは、服や鞄などには興味がなく、時計を何個か買っていた。とはいっても住み始めた時なので、マンションを購入し、財産も減っている時だったので思いきった事も出来ずに、金で出来ている五十万程度のだったが、一般大衆には高級品には違いないだろう。私も少し前までその一人だったけど、やはり金によって性格は変わるものなのかもしれない。まあその時計は部屋のインテリアとして時を刻んで働いている。やはりといっていいのか、値段が張っていた分見た目だけでなく、性能もきちんとしており、最近多い電波時計でも無いのに、時差はあまりなかった。
 しかしブランドショップは繁盛しているのに対して、百貨店というのは結構存続が危ういらしく、最近ではネットでの購入の方が安く済んで楽という点があり、百貨店ではセールをしても年々客が減ると共に比例し売り上げが減少しているそうだ。確かに百貨店というのは大きな土地を必要とし、人件費というのもかなり掛かる。それに対してネット通販なんてものは、土地代は適当な事務所を構えて、倉庫を用意するだけで百貨店よりも安くつくため、値段も下げやすいのだ。
 それに最近ではネット通販を扱う場所も多くなり、より一層百貨店というのはきつい商売が強いられるというのには変わりはない。
 まあ私にしたらこんな事考えても全く関係ない事だと正直に言っておく。

 なんて事を考えつつ、久しぶりに外に出てみる事にする。
 良く分からない柄のタンクトップにデニムの半ズボン、千円位で買った日傘に安物のスニーカー。誰がどう見てもその辺の女子である。誰も金を持ってるなんて思わないだろう。財布の中にはクレジットカードと、ないとは思うがクレジットカードが使えなかった時の現金数万円だけが入っている。クレジットカードはブラックなんて事は無く、あれは本当にほんの一握りで私なんかが持つには程遠い。
 エレベーターは二基とも最上階の二十階を示しており、その片方が降りてくる。エレベーターが私のいる十一階に降りてくると、私はそれに乗り込み一階まで降りた。
 エレベーターを降りた先にはシャンデリアなんかを飾ったりしているエントランスがある。壁にも良く分からないが有名なのかも知れない画家の絵が飾られていたりするのだが、盗まれないのか他人事だが心配になる事もあるが、むしろ盗れるものなら盗ってみろというような印象もする。あちらこちらに防犯カメラが備え付けられているし。
 ともかく私はそのエントランスを抜け、先ほど言っていた百貨店に向かってみる事にする。

 百貨店に着いた。
 が、疲労が激しい。
 筋肉痛という運動不足が祟ったようだ。分かっていたけど。
 むしろすぐに筋肉痛が起こるだけ若いと、勝手にポジティブに考えてみるが、運動不足には変わらなかった。
 私は初めに何か休憩がてら食事でもしていこうと考え、フードコートにでも行く事にする。
 ここのフードコートは大型百貨店なだけあって広々としており、店も結構あるものの、平日の昼食時間も過ぎており、人はそんなにいなかったが、さすがに少なすぎるという印象もある。それほど集客率が減っているのだろう。
 やはり足を運んでみてみると良く分かる。
 まあ、私は一応お腹が空いているのは事実であるので、何か買う事にする。
 もちろんセルフサービスなので、私から店に出向くが、何が食べたいという事も考えてないので、少し悩んでみる。
 あっさりした和食にするか、それとも最近インスタントばかり食べていたラーメンにするか、或いは定番のカレーに走るか、ちょっと私は場違いなイタ飯にするか、某美食倶楽部支配人が嫌いなハンバーガーなんてものもいいかも知れないと悩んでみる。
 悩んだ結果は飲茶だった。
 ここの飲茶はちゃんとした感じで、私は適当な茶といくつか餃子や春巻きなど鹹点心だけを買ってみた。
 作り置きという訳ではなく、私が注文してから作っているようで、少し時間が掛かりそうだったので、先に茶だけ貰って飲みながら待つことにした。
 茶は点心の鹹点心という塩味中心のものと逆に甜茶を買ってみた。甜茶は逆と言ったとおり甘い薬草茶である。甜点心を買ってみても良かったのだが、私はそこまで甘ったるいのは好きではなく、甜点心はお菓子という印象があり、どちらかというと昼飯には向いていないと考えて止めておいた。
 甜茶は普通に甘みを含んだ美味しいお茶だった。まあどんな葉が使われてるか知らないけど。
 軽く茶を啜っていると、注文したものが出来たようなので、とりに行く。
 買ったのは定番の餃子、春巻き、そして実は好物の小籠包だ。
 餃子は普通に肉と野菜を練り込んだものが餡として入っている。水餃子なんてものもあったが、芸もなく普通の餃子を選択した。醤油に軽く付けて食べる。どうやら韮が多く入っているため、臭いがきつく、大蒜以上の臭いだ。春巻きは口にして分かったのだが、どうやら此処の春巻きは小豆餡を入れた甜点心だったようだ。普通の春巻きだと思って確認しなかったのが間違いだった。そしてここの小籠包は肉汁が多く入っており、口にした瞬間、肉汁が口の中を駆け巡る。肉も味付けは濃くないが、しっかりしていて歯ごたえもある。百点を挙げよう。と料理評論家みたいな事を考えながら一人黙々と食する。
 少し離れた所にいたにいたカップルらしき若い男女には中指をこっそり立てておく。
「止めておきなよ」
「珍しいわね、こんなところで声を掛けてくるなんて」
「外に出る方が珍しいよ」
「そうかもね」
「どうして外に出てきたの?」
「外の空気が吸いたくなった。じゃ駄目かな」
「そっか、でもそれで筋肉痛なんてなってたら世話ないね」
「御尤も」
「スポーツジムに行ったらどう?」
「倒れるわよ」
「日々精進だよ」
「日々衰退してるから安心して」
 私は視線を感じ、その視線の先を見ると先程のカップルは私の方を見ていて、一人で何を言っているのかと怪訝そうな目をして去って行った。とりあえずもう一度中指を立てておく。そんなことより私の事を颯爽と忘れてほしいのが本音だ。