数年後、親也様が
晩年を謳歌し、先日…
静かにその生に幕を下ろした
親也様の後を継ぎ
風貴様がこの国の主となった
「風貴様、就任の折…誠にめでたく。家臣一同、至極の喜びにて」
「うん、みんな有難う」
二十を過ぎた風貴様は立派な城主となり
上座にちょこんと座っていた
一国…日の本の長なんだから
もう少し、構えて座ってもいいと思うのだが
そこが風貴様らしくてまた好いと影で
見守りながら、夜影達と笑った
「挨拶終わった?」
「あ、え、は…はい」
「よしっ!弥助!宴の準備ー!」
その声に笑顔が零れる
宴好きは親父譲りだと笑いながら
「と、殿?!」
「めでたいならみんなで祝う!ほらほら、準備!」
「風貴様、大老衆が焦ってますよ。宴は夜やりますから、とりあえず溜まってる政務片付けてください」
後ろに降り立ち、終始笑顔の風貴様に声をかける
「えー!今からやっても大丈夫だってば!」
「ダメです。さ、いきます「長も書類溜めてるんですから風貴様と一緒にやってください」このっ!水無月!!」
いつの間にやら後ろにいた
水無月に図星をつかれ
風貴様を見ればニヤリとでも笑いそうな顔をしてた
「弥助も仕事溜まってるんでしょ?さ、やるよ!」
「いきなりやる気出さないでください!てめっ、水無月!!あとで覚えてろよ!!」
「頑張ってくださいねー」
「夜影も共犯者かー!」
困惑気味で見ている大老衆を
目尻に風貴様に連れて行かれた
笑顔で手を振る夜影と
何か企んでる水無月
ニコニコと笑顔の風貴様
仕方ないと想ってる自分がいる
「弥助!」
「はい」
「これから改めて宜しくな」
「…はい」
その言葉はくすぐったいほど
嬉しくて思わず笑顔が零れた
それは穏やかな日差しが
優しく降り注ぐ
ある晴れた日の朝の出来事…
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