-あれから数年-
親也様の治めるこの国に
戦はなく、諸国の戦乱をよそに
穏やかな日々を過ごしていた
まだ幼かった風貴様も今じゃ立派な蔵伊里家の城主
となり、親也様の手足となり
日々を忙しく暮らしている
この穏やかさに年はとりたくねぇなと思いながら
風貴様のそばに仕えていた
暖かな陽気にうつらうつらしてると天守の真下に
一つ気配を感じた
「どーしたんです、風貴様」
「んー…父上が戦をするとおっしゃった。この日の本を平定し、より良い国をお作りになりたいそうだ」
「近いうちに戦ですか…まぁ仕方ない事ですかね」
「うん…」
城下を見ながら風貴様が軽くあくびをした
近頃、西の動きが目聡いと夜影から報告があった
こうも早く来るとは思わなかったが…
「なぁ、弥助。お館様だったらどのようにおっしゃっただろうか」
「…大の戦嫌いでしたから…行かないか、一回親也様に抗議しに行きますね」
「そうか…」
青々と晴れた空を見上げ風貴様は再度欠伸をした
「世の定めかな…父上に返事かかなきゃ」
「…なんと?」
「参戦いたし候」
「りょーかい、いい部隊編成しときます」
「頼りにしてるよ、弥助」
そう笑って風貴様は天守を去った
これから戦が始まる
「さて…仕事しますか」
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数ヶ月後…親也様率いる東軍と
敵武将、巳名友 寿光率いる西軍がぶつかる事になった
寿光は親也様の昔からの宿敵らしい
だから、今日はやけにギラついてるのか親也様は…
編成した部隊に指示を渡し
風貴様のいる本陣奥へと向かった
「風貴様…」
「ご苦労、弥助。開戦は明日だ。休めよ」
「諾…」
武装した風貴様は凛としており
数年前までのガキとは
大違いだった
昼寝が出来ると喜んで本陣から出ようとした時
風貴様に呼び止められた
「弥助…これが乱世おそらく日の本を平定する最後の戦だ…この戦が終われば乱世は終わる」
「そうですね…」
「帰ってこいよ、弥助。これは命令だ。戦に染まるな、何があっても帰って来い」
「わかってますよ、間違っても死んだりしませんから」
そう笑ってやった
この命に換えても守り切ります
風貴様、あなたが帰って来いと云ったから
必ず帰ります
上総様と一緒に蓮の宿で昼寝なんて
まだお預けにしときます
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