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現実と架空の接点part4


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架空の世界には架空だけでなく現実が入り混じる――

                     ――それを語るのを許されたのは我ら語り手のみ

とある街の外れに一人の若い男がいた。
男は画家だったが絵はまったく売れず、金がつき、外れに追い出されたのだ。
つまり、現実世界で言うホームレスの状態であった。
けれど男は街が好きだった。あの賑わいが彼の心を落ち着かせた。
男は今日も街中に入り、その賑わいを絵に描こうと一本の鉛筆を取り出した。
そして流れるように、街の風景をスケッチブックの中に収めていった。

ニ枚目を描き終えたときであった。
八歳ぐらいの子どもが二人、男の絵に顔を寄せた。

「「お兄ちゃん、絵、うまいねー」」

二人は声を揃えて言う。
顔はそっくりで、髪とランドセルの色しか違っていなかった。
きっとこの二人は双子なのだろう。
男はそう思いながら、二人ににこりと笑ってみせる。
そして二人にこう言った。

「よければ二人の絵描いてあげるよ」
「「本当!!!??」」

二人は大喜びして飛び跳ねた。
カチャカチャとランドセルの蓋が鳴る。
男は微笑ましそうにその様子を見て、こう付け足した。

「ただ、放課後だよ?二人とも早く行っておいでよ」
「あ!本当だ!急ごう、――」

黒髪の子が腕時計を見る。時間がギリギリだと悟ったのだろう。
聞き取れはしなかったが、白髪の子を急かし手を引っ張っていった。

「「お兄ちゃん!約束だよ、絶対放課後、絵、描いてねー」」

男はこくりと頷くと、スケッチブックに顔を戻した。

……そこで夢は覚めた。
男――ウェクハは目を擦り、無垢なカンバスに目を向ける。
ウェクハは世界有数の画家となっていた。が人物画を描いたことがなかった。
彼の脳内には、二人の姿が鮮明に映し出されていた。

「……約束、今果たそうか」

彼はそう言って笑い、カンバスに向き合った。

――夢は時空を捻じ曲げ時空を繋げ不確かなものを見せる
男はその中の約束も全てを果たそうと夢をカンバスに描きこむ――