|新しいページ|検索|ページ一覧|RSS|@ウィキご利用ガイド | 管理者にお問合せ
|ログイン|

-チィ-


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

「ヤー、ヤーッ!」
 モンゴルの草原を駆ける、馬の群れ。そして、その戦闘の馬に乗っている一人の少女。まだ幼く、馬を御することが出来るとは思えないのだが、少女は巧みに馬を御している。
 手綱もなく、腰や太股を痛めないように鞍が付いているだけの馬の上で、どうやって平衡感覚を取っているのだろうか。さらには、後ろに控える十頭余りの馬をも率いている様はさながら、統率の取れた部隊のようでもあり、明らかに異様な光景は、それを見た人を慄かせる程度には迫力がある。
 或いは、馬に浚われる少女――いや、少女と呼称出来るか否かは微妙な所であるが。
 明らかにリーダーの少女だが、同時に浚われた幼女と言い換えてもおかしくない光景なのである。まだ、十代に達しているかどうかも分からない少女――チィは、この馬の群れで生活を送っているのだ。
「チィ、そろそろ水辺が近くにある。小休止しても、日暮れまでには到着出来るが、どうする? お前はそろそろ、咽喉が渇いただろう?」
 チィの乗っている馬が【喋った】。
「ううん、ローズィおじさん。私は、まだ大丈夫。皮袋に、まだ半分も水が残っているもの」
「それならいいのだが。お前は俺達のシンボルなんだ、倒れた時にお前を癒してやれるものなどいないのだから、身体には気をつけるのだぞ」
 チィは頷くと、ローズィに停まってくれと言った。そして、群れに声が、意思が、伝わるように【願った】。
「この辺りで、私達は小休止しましょう! もうすぐ水辺があるから、それまでの辛抱よ、みんなで頑張ろうね!」
 黒髪のツインテールを靡かせ、ローズィから降りると、自身も手ごろな位置の岩に腰掛けた。
 願うことで、動物と会話出来る能力――それが特別だと、馬と共に生活を送ってきたチィはまだ知らない。