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思考迷路

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考えてみると不可解である。
気づいてみると不思議である。
解ったときには――非日常である。
……いや、否。
解ってしまった、か。


私は駅のホームにいる。
隣町に在る、おばあちゃんの骨を訪ねるのだ。
季節は晩冬。
風が強かった、寒くはなかった。
こちらのホームには私以外に、(私が確認できる限り)老人が三人。対して向かいのもう一つのホームには、老若男女、人が沢山立っている。当然のことだが私と同じように、機械的に淡々と走るあの鉄の塊を待っているのだろう。

「…………」
そういえば。
人は何故死ぬのか、生きるのか、居るのか――存在するのか。
そのどれもが不可解な問題――疑問。
それらについて真剣に考えていた時期がある。
といっても、それは私が昔小学生のときに思った事であったので――所詮、飽きやすい子供。結局結論は出なかった。
今考えれば、所謂若気の至りなのか――だが、それよりも、私は何故いまさらそんな思い出を思いだしたのかが、不思議でならない。
しかし少なくとも、それは何となくではないと気づく。
向かいのホーム。
何時の間にか、電車は通過していたらしく、人は綺麗に消え去ってしまっている。
あれだけの人数を一瞬にして持ち去ってしまうのだ。

恐ろしくてたまらない。
不可解で、たまらない。
だから思い出したのだ、私は。

そしてそれは、突発的に、刹那に。

「……ならば」
生きるって、何だ。
死んだら――解るか?
と、思った瞬間。
私は一歩、一歩、一歩――!
歩く。
進む。
暗い、横穴へ。

知りたい。
知りたい。
どうしようもなく知りたい!
この世の森羅万象を余すことなく解りたい!


足の裏が盲目者のための黄色いブロックにつく。おそらく、あと大股で二歩。確か電車はもうそろそろで――。
「……私は、さっき何て思った?」
多分、いや、確実に。
森羅万象、と。

お墓参りを何故するのか、死んだ人の御加護を望むためか。
風は何故吹かなければいけないのか、自然が生み出す副作用なのか。

解らなかった。
答えは、出なかった。
そして同時に、解ってしまった。
私は――無知だと。

何が――森羅万象だ。戯言も絵空事もいいところじゃないか。

しかし。
だけど、そういうことだと、どうだとしても。
今私がが立っている場所は、きっと一種の境界線。
「――私は、そうか」
まだ死にたくない、のか。

と。
目の前をビュンと横切る――私の死神。
折角来ていただいて申し訳ないのですが。
君の役目はありません。
君に御用はありません。
お騒がせしました、御免なさい。

「…………」
先ほど私は、『これ』を恐ろしいといったけれど、躊躇無く乗ってしまった。自分でも矛盾した行動だとは思う。そう、自分で思っただけで――何故矛盾が生まれたかは、解らない。
「私は、死にたいよ……」
けどそれは、この世の全てを知ってからにしておこう。
嗚呼、死が待ちどうしい。
死んだら全てが解りそう。
根拠は無いけど――解らないけど。
どうしようもなくそう思った。


これが私の生きる理由。
これが私の生きる言い訳。