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マンチ・グループSS


合計点<+29/「うしみつ舞踏会」まで>




「うしみつ舞踏会」<+1/千尋>


呪文の詠唱を終えた零華はそっと目を閉じる。
「…うん、きれいな魂がたくさん」

少女は幼い頃から屍術士(いわゆるネクロマンサー)として育てられた。
しかし、彼女には「死体を操る」才能はなく、そのかわりに「魂を固定する」能力が与えられた。
その能力のおかげで、彼女は人の魂を見ることができるのであった。

月読家では、自分専用の屍術人形(一般にフランケンシュタインとかキョンシーとか呼ばれる)を作ることで一人前と言われる。
中学生になった一族は屍術人形を作るまで家に戻ることは許されない。
もっとも、零華はあまりそんなことを気にすることはなく、今の生活も十分気に入っているのだが―
まあ、それでも一応は一族の掟に従い、強力な魂を(暇な時に)探しているのである。

外見にかかわらず魂の輝きはそのモノ(人に限らず、物にも魂は宿る。結昨日プリンがいい例だ)の力量を教えてくれる。
一見課長クラスの三田とかいうおっさんも、妙におびえてる赤頭巾の少女も、
ここにいる者はみな魂が輝いていた。

「みんなすごいな… ふふ、楽しくなってきちゃった♪
 さて、それじゃあそろそろステージの開幕ね。一緒に踊りましょ」

そう言って少女は力を解放する。
彼女の力により、この戦場に魂が「固定」される。

「もっと…みんなの輝きを見せてもらうね。
 誰もステージから下ろさせやしないんだから」

丑三つ時に幕は上がる。生きるも死ぬもごちゃ混ぜのダンスパーティー。

うしみつ舞踏会
  開 幕


『ダンゲロス史上初めての世界貢献』<+1/千尋>



千尋が召喚された後、一人の少女がやってきた。
彼女の名はダンゲロス子。学園一元気な娘である。

「ひゃっほー!! 三田元気か~い?! ん?この娘誰?」

三田が簡単に説明する。

「ふうん、おとなしそうな娘だね。もっと元気になった方が楽しいぜ!!」

「元気?」

「そうそう!!もっと活発的にさ!!私の友達は皆元気だぜ。」

「みんな元気なの?」

「そう、全員元気!!」

『あぁ、この世の人間は全員元気なんだ・・。』

世界中の人々が超元気になり、ニート、引き篭もり、うつ病、五月病が永遠に消えた瞬間である。
この日は世界的な記念日として、人々の心に記憶されていくだろう・・。

めでたし、めでたし・・。



あ、そうそう、この直後こんなことがあったらしいよ。

「く・・、マンチグループの厳しい猛攻だ!!セバスチャン壁を作れ!!」
「おうよ!!!!俺に任せときな!!」
超元気になったセバスチャンが能力を発動させようとする。

      • だが、失敗。

「くそ・・、五月病の雨月病はどうだ?」
「俺の出番か!見てろよぉ・・。うぉぉぉ・・・!!!くらえ!!」
もはや、五月病ではない雨月病も能力発動を試みる。

        • だが、これも失敗。

“働きたくねぇという気持ちがなくなったセバスチャン”と“やる気満々の雨月病”
もう彼らにはニートの壁を作ることも、自分の気分を伝染させることなど出来なかったのだ。


『イケメンの基準』<+2/千尋:これはもう洗脳だろ……w>



「あ、あぁ・・。」

千尋は言葉が出なかった。
見るからに高校であるこの場所に、オッサンが制服を着て千尋を見つめている。

「ちょ・・・え?」

「ようこそ!!希望崎学園へ!!」
オッサンの一人がにこやかに話してくる。
「俺は榎本と言います。よろしくね!」

もう一人は顔を真っ赤にして突っ立っているだけだ。
緊張してるのか、視点は定まっていない。
でも、50歳以上の貫禄はあった。

もの凄い加齢臭が辺りにたちこめ、息をするのも苦しい。
目も開けているのがきつくなっていた。

千尋はやっと口を開いた。
「あなた方は学生なのですか?」

榎本と名乗ったオッサンが答える。
「もちろんですよ!」

その瞬間、千尋は全てを理解した。

『あぁ、そうか・・。この世の男は全てオッサンだったんだ・・。』

全ての人がオッサン顔になったその後、榎本が千尋に囁く。

「そうさ、俺らがイケメン中のイケメン。今までもそうだったろ?」

千尋はゆっくりと頷いた。


イケメンの世界基準が改変された瞬間であった・・。


三田康成&末那識千尋&真名SS<+1/白金:『イケメンの基準』と整合性が取れてたらもっと良かったと思います。>


『真名、緊急参戦』

“こ、ここは何処なの?”

周りでは怒号が響き渡り、多くの魔人たちが殺気立っていた。
これは明らかに戦争している。

“ひっ・・、怖い。”

千尋は恐怖で動けなくなっていた。
元々、戦闘に特化した魔人ではない。
絶大なる能力を持ち合わせる千尋でも、巻き込まれて生き残るのは難しいだろう。
そうたった一人では・・・。

千尋は自分の目の前にいる魔人たちに目をやった。
ついさっきまで千尋は平和な異国でのんびりしていたはずである。
それがいきなり戦場のど真ん中に移動してしまった。

“・・・・何故??”

そう、目の前に立っているオッサンが千尋を呼んだから。
遠くから、優しい声で

“呼んだから??”

千尋は呟いた。
“もしかして・・・もしかすると・・。”


“あぁ、きっとそうだ。 間違いないわ!!”

『この世界では・・心の中で想い人へ呼びかけると、本当に来てくれるんだ!!』


千尋が今最も必要としている人物。
その者へ向けて、その御名を繰り返し唱える。
        • 瞳を閉じ、心を込めて、『助けて』と
そして・・・、ゆっくり目を開けると

千尋の頭上に華奢だが、優しい大きな手が・・

「よう、久しぶりだな千尋。お前を苛めるニャントロ星人はコイツらか? ・・・安心しろ、すぐ掃う。」

                 ・・・・・・末那識真名、降臨


『ToLoveる in 希望崎』<+2/千尋:最後の一行が卑怯臭いww>


「そんなに臭いかしら。そうは思わないけど」
鏡子は無表情のまま首をかしげる。
対面に腰掛けている大柄な男はおもわず下を向いて顔を赤らめた。

この男は、当時まだ希望崎に入学したばかりのドリアン助皮であった。
悩みを相談に来たのだが、養護教諭の妖しい魅力にとまどっているのだ。

「そ、そ、そ…その、普段はファブリーズで何とか。
で、でもダメなんです。俺興奮するとどうやっても消えないくらい…」

なるほど、たしかにドリアンの周囲からは夏場に丸二日放置した生ゴミのような臭いが立ち上ってきはじめた。
息を止めても臭う。まるで脳髄に直接染み込んでくるようだ。
――間違いなく魔人の能力。
しかし現にこうして困っているのを見ると、本人の意思によるものではないらしい。

「フフ…」
鏡子は笑みを浮かべた。

自分から立ち上る臭いにパニックを起こしかけていた助皮も、毒気を抜かれたようにその顔に見惚れている。

「…それじゃあ、先生にもっとよく嗅がせてみて?」

そういうや否や、カーテンをサッと閉じる。

「こっちへいらっしゃい」
ベッドに腰掛け、となりをポンポンと叩く。

「い、今いきます!!」

(18歳以下に配慮して中略)

保健室を後にした助皮は見違えるように自信に満ち溢れ、ルックスもイケメンになっていた。

臭いが何だ。無味無臭な人間に何の価値がある。
やるぞ!俺はこの臭いを魅力に変えるような大きな人間性で勝負してやる!
ありがとう、鏡子先生。ありがとう、マンゴスチン。

その後、ドリアンはネットラジオでみんなの悩み相談にのるようになり、絶大な人気を博す。
その方針は、何かといえば「保健室に行け」と答える北方謙三イズム溢れるものだったという。


『学ッコが終るまでは(替え歌)』<+1/千尋:ごめん元ネタ分からん(´・ω・`)>

所属:マンチ・グループ

希望崎に 僕はもう一人で
投げ捨てられた 生ごみのようだ
友達一人 作れるまでが
卒検ならば いっそ 永久に留年ろうか…

学ッコが終わるまでは 寂しいこともない
そう願っていた 入学の前と
戻らない髪だけが 何故か抜け落ちて
あぶらぎった 頭だけが 目立つ
友達欲しい… この康成Night

そして僕は 友達求めて
かけがえのない 無所属を捨てる
マンチだらけの とこなら 僕も
友達を 絶対 作れるさ

学ッコが終わる前に 急に聞かれたよ
「三田君はなんで ウチに入ったの?」
友達が欲しいから 素直に返したら
「…それは きっと 無理じゃないのかな」
友達になって この康成Night

学ッコが終わるまでは 寂しいことはない
そう願っていた 入学の前と
戻らない髪だけが 何故か抜け落ちて
あぶらぎった 頭だけが 目立つ
友達欲しい… この康成Night


キャラ:うううう『消費型制約は無い方がいい』<+2/千尋>



うううう は かいた゛んをあか゛った。
→はなす
「ここは ふ゛きのみせた゛。なんの ようた゛い?」
→かいにきた
「つえ て゛いいんた゛な。」
「これをそうひ゛していると、MPしょうひのせいやくなして゛まほうか゛つかえるせ゛。」
「さっそく そうひ゛するかい?」
→はい
「せっかくかったのに そうひ゛しないんし゛ゃ いみか゛ねえやな。」
うううう は つえ をそうひ゛させてもらった。
「ほかに ようはあるかい?」
→やめる
「また よってくれよな。」
うううう は さっそく まほうをつかってみることにした。
→まほう
→ホ゛ルヘ゛ール
と゛こへ いきますか?
→きほ゛うさ゛きか゛くえん
うううう は ホ゛ルヘ゛ール をとなえた!


うううう は てんし゛ょうに あたまを ふ゛つけた!


『皇すらら&三田康成SS』<+1/千尋>



「と、友達として・・・、あ、あ、握手。」
 バチン!
 平手打ちが三田康成の頬を貫く。
「あ……あ……あぁぁ……」
 三田は呆然とただ立ち尽くす。
 遠目でその様子を見守っていた皇すららは意を決したように三田に駆け寄る。
「あの……大丈夫ですか?」
「……」
 三田の返事は無い。
 すららには、三田の放心としたその姿は、まるで屍のように見えた。
 すららはおずおずと三田に言う。
「あの、良かったら……私と友達になってもらえませんか?」
 思いがけない申し出に、心ここにあらずだった三田も、さすがに耳を疑う。 
「え、ど、ど、ど、ど……」
 心臓の鼓動がそのまま口をついて出てくる。緊張のあまりに、三田の呂律はまわらない。
 今まで「課長、課長!」と呼ばれていた三田にとって、こんな経験は初めてだった。
 すららはそんな三田をみてくすりと笑う。
 その笑みはどこか優しげで、何故だか、不思議と三田の緊張の糸は緩んだ。
「どうして、ぼくなの?」
「『皇すらら』としてじゃなくて、私自身の友達が欲しいからかな。それに、あなたとなら友達になれそうな気がするの」
 彼女が何を言っているのか、三田には理解できなかった。
 しかし、彼女が自分を必要としている、そのことがわかっただけで、三田の心は充足した。
 だが、一抹の不安は残る。
「ホントにおっさんみたいな、こんな僕でいいの?」
 三田は恐る恐るそうすららに尋ねた。すららはうなだれ、静かに首を振る。
「そういうのはさ、やめよ。誰だってコンプレックスの一つや二つあるよ」
 そう言ってすららは三田に手を差し出す。
 三田は意味がわからず、すららの顔を見返した。そんな三田にすららは微笑む。
「友達の証」
「あぁ…あ…」
 ふいに目頭が熱くなり、三田は思わず鼻をすすった。
「……ありがとう」
 これが、友達ってやつなのか……
 そのときの三田の中は優しい気持ちであふれていた。
 三田はふと、足元の子犬に目をやる。
「あれ、この子犬は?」
 三田がそう尋ねると、すららの表情は急激にこわばった。
「……マダマテ(まだ、待て)」
 すららは、何もないところに視線を逸らし、どこか気まずそうにした。
 子犬はすららの足首に頬ずりしながらくるくると周っている。
「どうしたの?」
 そう三田が問いかけても、すららの返事は無い。
 ぐっと胸を押さえ、その顔はだんだんと土気色へと変わっていく。呼吸もどこか苦しそうに見えた。
 すららは三田を見据え、ぼそぼそと囁く。
「もし、また会うことがあったら、私のこと……友達って呼んでくれる……?」
「いいですとも!」
 そう言う三田に、すららはどこか諦めにも似た眼差しで「ありがとう」と言った。


「うわぁああああぁあああ!!」
 その後、化物に変わっていくチート会・マンチグループを見て、真っ先に逃げたのは他でもない三田であったという。


『マンチグループ人物紹介(一部のみ』<+3/千尋:希望崎死四星! 気付かなかった!>

所属:マンチグループ 審査員指定:かがみさん

前回のあらすじ~マンチグループは死ぬような思いで真・覇琉魔外曇に勝利した~

MUSASHI「しかし早えもんだぜ。 あの地獄の真・覇琉魔外曇からもう一ヶ月か。」
フジギリ 「生きてまた希望崎の校門をくぐれるとは思わなかったぜ。」
MUSASHI「ああ、まったくだ。」
フジギリ「俺たちは傷をいやすため特別休暇をもらって今日がはじめての登校だが新学期はすでにはじまってるってわけか。」
榎本「やったーっ!!俺たちは希望崎二年生に進級したんじゃーっ!!」
ドリアン「さーてどんな新入生どもが入ってきおったかのう。」
榎本「カッカカ、先輩としての愛のムチでビシバシしごいてくれようぞーっ!!」
ドリアン「へっへへいやがるいやがる。どうやらまだ授業ははじまってねえらしいな。」
榎本「集まってなにかだべっておるわ。」
ドリアン「ここはそーっといって奴等新人類の生態観察をしとこうぜ!」
榎本「おうそりゃあいい考えじゃ!」

金超好「なにーっ!?マンチ・グループで一番強えのはだれだってーっ!!
それはいい質問だ。わしゃあここのことなら入学する前からなんでも知っておるかんね。
まずはなんたって特攻部隊隊長木下恭介先輩よ!!
今は亡き木下狂介(*なんだかんだで生き返ります)から木下家家長を継承し、腕はもちろん仲間からの信頼も篤くこの人に並ぶ者はいやしねえ!!
そして続くは伝説の剣豪MUSASHI!!剣をとったら天下無双の腕前だあっ!!
ダンゲロス子を失ったが(**ING開戦前に「お、おまえ達───っ!!」って感じで復活します。)
聖天使猫姫☆ミ・てんこの希望崎三女神もそりゃあ強えぞ!! 特に猫姫先輩の痛々しさは敵も目を背けちまうって話だぜ!!
おっと忘れちゃいけねぇのが深淵の晶石・Dr.ルナ・雨月病・月読零華の希望崎死四星!
まだ真・覇琉魔外曇で受けた傷がいえず療養中だがその根性と強さはハンパじゃねえ!
親衛隊隊長フジギリもそりゃすげぇ!!魔剣・火越死魔はこの世に斬れぬものなしという業物よーっ!」

ドリアン「な、なんだ。え、榎本よ。い、いつまでたっても俺達の名前が出て来ねえじゃねえかよ。」
榎本「………!ちょっとおとりこみ中だけどよ。」
金超好「あ───ん!?」
榎本「も、もっと強いのを忘れちゃいねえかよ・・・!」
金超好「もっと強いやつ…?」
ドリアン「ほ、ほら強くてシブくて二枚目で…!」
金超好「ああ──っ!!肝心なのを忘れた───っ!!」
ドリアン「や、やった~~~~~っ!!」
榎本「そ、それだ───っ!そいつの名は───っ!」
金超好「爆弾魔の小竹勃姫~~~~っ!この人にかかればどんなヤツでも爆弾にされちまうって話だぜーっ!」
ドリアン&榎本「て、てめえふざけるんじゃねえ!ドリアン助皮、榎本和馬、このふたりの名を知らねえのかーっ!」
金超好「ドリアン、榎本…!? あのドリアン、榎本~~~~~っ!?
ワッハハハありゃあマンチ・グループの実況中継兼解説者!!体臭がきついだけの単なるお祭り男達じゃーっ!」
ドリアン「じっ実況中継兼解説者…!!」
榎本「た、単なるお祭り男……!」
ドリアン「て、てめえ!ぶっ殺してやる──っ!!!」
金超好「ま、まさかあんた等は~~~~っ!!」
榎本「な、なに──っ!あんただとこのガキゃあ──っ!」


キャラ:Dr.ルナ『草の下の楽しい記憶』<+1/千尋>



「ふふ、ふふふ。遂に完成したわ。ありとあらゆる病を治す特効薬『タミフルX』!」
彼女の高い声が暗い研究室に響く。
ここまでの道のりは長かった。
弱冠10歳という若さで研究室入りした彼女。
研究と製薬に明け暮れる日々、充実した毎日。
そんな彼女に、一言
「バカにつける薬はねえんだよ」
と言った男がいた。
その日、彼女の負けず嫌いの精神は業火のごとく燃え上がった。
そして、研究に研究を重ね、幾多の試薬を経てできたのがこの薬だ。
この薬を投与すれば、
どんな大病を患っていても死ぬことはなく、
どんな重傷を負っていても死ぬことはなく、
どんなバカでも中二病は発症しない。
「――完璧」
なぜかサンプルを投与した生命はことごとく数日で命を終えてしまったのだが……。
「仕方ないよね。そのかわりに短い間でも無病息災でいられるんだもの」
そう呟いて、彼女はカプセルを遮光性ビニールの袋に詰め、鞄に収納した。
この薬の威力を世に問うために。
そうして、彼女は部屋を出ようとして……
ふと、唐突に思った。
あの時、バカにつける薬はないと言った男は、今どこにいるのだろう。
あの時、彼はなぜ、そんな事を言ったのだろう。
かすかな記憶は遠く、研究の日々のはるか向こう側にある。
答えは出ない。


キャラ:EA01『そんな開発者たち』<+1/千尋:EA01のイメージがガラッと変わった>



「お、来た来た」
「おや、そのビニール袋は差し入れですか? これはありがたい」
出迎えもせず、座ったままそう言った二人に、私は黙ってコンビニ袋を渡した。
中身は安っぽい缶コーヒーと安っぽい肉まんが二人分。
「おお、これこれ。この砂糖がどばーっと入った甘ったるい味がたまらないよね」
そう言ったのは右の一人。白髪交じりの、しわくちゃの白衣の男。
そいつのことは気にせず、もう一人のほうに切り出すことにした。
「それで、完成したと伺ったのですが」
「ええ、完成しましたよ。機体、オペレーティングシステムともにね」
左の男が答える。こちらはストライプのシャツの上に黒のベスト。クリーム色の上下スーツという出で立ち。
二人とも掛け値なしのマッドサイエンティストだが、どちらかと言えばこいつのほうが話が通じる……気がする。
「依頼通り、どのような戦場でも汎用的な活動が可能なように仕上げました」
「それは結構です。それで、実物はどこに?」
その質問に、白衣のほうが答える。
肉まんを口の中でくっちゃくっちゃ言わせながら。
「おー、今呼ぶ」
そう言って、そいつは背後を向いて、何事か合図をする。
それに従って現れたのは……
「…………なんですか、これは」
「嫌だなあ。ご注文いただいたEA01ですよ。我々は頭文字をとってエアーたんと呼んでいますがね」
クリーム色のほうがにこやかに言う。
現れたのは女の子だった。
艶やかな長髪、ぴっちりした衣装。日本人とほぼ同じ色の肌。
ありえないくらい丈の短いミニスカートに、黒ニーソ。
ただ、首の所に深々とぶっ刺さっているネジだけが、その子が人外だと主張している。
というかエアーたんって何だ。
色々と言いたいことはあったが、とりあえず。
「私どもとしては、戦闘兵器を注文したつもりだったのですが?」
「いえいえ、だから依頼通り、この子は立派な戦闘兵器ですよ。能力『絶対領域』もきちんと備えました」
「では、この形状と衣装は……」
「うんそれうちらの趣味だねー」
二人が交互に答える。
そうか……両方の趣味か……。駄目だこいつら。
「いやあ、しかし髪の調達には苦労しましたね。本当なら天然ものを使いたかったのですが、
うちの女性スタッフに分けてもらおうとしたら六法全書でぼこぼこにされましたよ、あはは」
「でも結局その子の髪をサンプルに、業者に委託してつくってもらったんだよね」
「何でうちに六法全書なんかあったんでしょうね。まあ、発明のためですし、多少の災難は厭いませんが」
「いいじゃない、完成したんだし」
「そうですね……私の開発した可憐なる機体が戦場を駆ける……ふ、ふふ。素晴らしい」
「しかし、君もすごいこと考えるねえ。僕開発の音楽鑑賞空間を戦力分断に使うなんて」
「いえいえ、先生の異空間作成プログラム開発には敵いませんよ」
二人で盛り上がっている。置き去りにされてしまった。
というかこいつら、何の話をしてるんだ。
……精神削り能力を受けておかしくなってるんじゃないだろうな?
「あっはっはー。しかも今回の目玉は、この能力を味方にもかけられるようにしたことにある!
これにより、過酷な戦場でも、いつでも音楽に没頭してリラックスできるというわけだ」
「実に画期的ですね、先生」
いや、戦場でそんな機能はいらない。
なおも白衣のほうは得意げに続ける。
「まあ、味方にかけられるようにしたせいなのか、出力が不安定になってしまったが、まあ些細な問題だろう」
死ねばいいのに。


現実へようこそ<+1/千尋>」

キャラ:松風依鈴、深淵の昌石

魔人というものはその中二力がそのまま力に変換される。
中二力こそ力の根源であり魔人のアイデンティティーである。

しかし、その中二力を否定する魔人の存在に他の魔人たちは恐怖した。
その魔人の名は松風依鈴。彼女の力は魔人から中二力を削ぐというものだった。試験が近い魔人には試験のことを、就職が近い魔人には今の世の不景気のことを。
現実を認識させ、その妄想を打ち切るという稀有な能力だった。その能力で数多の魔人を現実へいざない、猛威を奮っていた彼女だがついに打ち破られるときが来た。


「今日は誰を現実にいざなってやろうかしら」

松風は今日の獲物を探していた。
強く、威張っている魔人を現実に招待したときの快感は何にも例えがたい。

しかし、その日は中々獲物が見つからなかった。

「最近狩りすぎたか…みんな、臆病ねクスクス」

そんなことを言いながら歩いていると後に魔人特有の気配を感じた。獲物が来た、と松風は思った。そして気配が自分の能力の範囲に踏み入った瞬間、彼女は能力を発動させた。気配のほうに振り返り…

「現実へようこそ☆」

しかし、いつもと違った。
いつもだったら、ここで普通の人間へと変化していく魔人の姿を特等席で見れたはずだった。しかし…

「そうだ、私こんなことしてる場合じゃない…きゃぁ、何コレ!?なんで私ゴスロリ包帯眼帯なんてしてるの!?恥ずかしい!」

そういい、松風は家に戻った。

なぜ、こんなことになったのだろうか。
数多の魔人の力を削いだあの松風が今では普通の女子高生である。


実は、あの時松風の後にいた魔人は深淵の昌石だったのだ。
深淵は魔人であると同時に鏡だった。つまり松風は鏡に向かって現実を説いた。それは全て自分への言葉に他ならない。

こうして魔人キラー松風はその邪気眼を封じられ、渋谷大好き女子高生になった。

松風「チョベリバ~」

終わり


吸血鬼の悩み<+1/前半はいいのに後半が弱い。残念>

キャラ:夜渡咲

「…骨粗鬆症ですね」

体の不調を感じ、夜間病院へ行った咲はそこでそう宣言された。

「体自体は健康といえますが骨のみが随分と弱っていますね。これでは激しく動いたら骨折してしまいますよ」

そうして、診察費を払い咲は病院を後にした。



「…そんなこと言ったってしょうがないじゃん」
そうだ、私は吸血鬼。闇に愛され、太陽に嫌われた種族。太陽の下に出れないということはビタミンDが不足して骨は徐々に弱くなっていく。田舎のおっかあにも言われていた。「吸血鬼は骨が弱くなりがちだから気をつけてね」と。

「あーあ、強い骨が欲しいなぁ…」
咲はそう呟いた。


「…強い骨が欲しいんだね?」

突如聞こえた不可思議な声に咲は動揺した。

「誰!?」

「僕はキノコ戦隊しいたけマン!ビタミンD不足の君に朗報だよ!シイタケはビタミンDが豊富なんだ!さらに調理する直前に日光に与えることでさらにビタミンD含有量がUP!強い骨にはシイタケが最適さ!」

「でも、私…」

「どうしたの?」

「シイタケ嫌い…」

終わり


ドリアンの独白<+2/千尋>

キャラ:ドリアン助皮

ドリアン「俺のこと臭い臭い言うけどさ。多分、ホンフェより臭くないぜ?シュールストレミングより臭くないぜ?あいつらマジキチガイだって。だって腐ってるんだぜ?ホンフェなんてエイが腐ってるんだぜ?シュールストレミングなんてニシンがドロドロなんだぜ?人間の食いもんじゃねーべ。その点ドリアンはただの果物だし。普通に木になってる果物だし。れっきとした果物だし。俺のこと臭いっていう前にホンフェとかシュールとかのにおい嗅いでみろっつーの。俺なんか汗かかないし制汗剤常に持ってるし一日3回は風呂はいる超きれい好きだし。ホンフェもシュールもそんな努力してないべ。俺ばっか臭い臭い言ってんじゃねーよ。しまいには泣くぞコラ」

仲間一同「そりゃシュールストレミングより臭くないかもしれないけど臭いよね。シュールが凄いだけでお前も臭いよね?」

ドリアン「…はい」


終わり


キカイノノゾミ<+1/千尋>

キャラ:EA01

私の初期プログラムを組んだ人は優しい人だった。
音楽による世界平和を本気で信じていて、その為に私のような音楽演奏プログラムを作成した。

私は人間の感情というものは理解できない。
理解できないけど、この博士のことを思うと感じるこの思いはきっと人間の感情に近いものなんだろう。
そして、その感情はきっと恋というもの。

私はずっとその思いを封じてきた。
ただ博士の近くにいられるだけでよかった。

けれど、博士は死んだ。

組織の意向で私は戦闘タイプとして生まれ変わることになった。
博士はそれに反対した。
当然だ、博士は世界平和のために私を作ったのだから。
そしてまた当然に消された。

復讐も考えた。
でもきっと博士はそれを望まないだろうという結論に達した。

私は壊れたい。
そして博士のいるところに行きたい。
そうして、今回のダンゲロスKINGに志願した。

でもね?ただで死ぬ気はないの。
戦場で1人でも多くの人に私の演奏を聴かせて安らぎを与えてみせるわ。
待っててね、博士。
そして、そっちに行った私を褒めてね。

終わり


キャラ:瀬戸内寂聴&アグレッシブ幸一<+1/千尋>


「なんだお前は!?」

幸一はひどく驚いた。自部屋に尼さんが突然現れたからだ。

「ふふふ、私は瀬戸内寂聴。貴方のご両親に頼まれて貴方を部屋から出すことのなりました」

「く…、俺は出ねえぞ!俺は永遠にインターネットをし続けるんだ!外になんか出てたまるか!!」

「いいのですよ、幸一。無理して外に出ようなんて考えなくても。全ては私に任せなさい。きっと外に出してあげますよ」

寂聴は微笑みながらそう言い切った。
寂聴のその慈愛に満ちた笑みを見て幸一は「ああ、この人なら俺を外の世界に出してくれるかもしれない」と思った。

そして寂聴が一歩ずつ幸一のほうに歩み寄った。
幸一はそれを拒まなかった。

…その瞬間、彼の運命は決まった。
寂聴はおもむろに幸一の頭を信じられない怪力で掴むと

「うおおおおおおお来いよォオオオォ!!外に出たくないとかほざいてるヤツから前へ出ろよォオオオオ、うをおおおおおおおおおおオオオォオオオォオッ!!!」

と咆哮をあげ幸一をデスクトップ一式とともに外へ向かって投げつけた。


寂聴のなく頃に、生き残れたものなし。
ズキューン


※コレは今回のダンゲロスKINGとは別次元の世界のお話です。<+2/千尋:自己犠牲は美しい……>



「私を斬って…そしてキングにプリンを…」
「結昨日…すまない、お前のことは忘れない。

伝説の剣豪の剣技参式・散華(さんか)」

こうして、体積60×60×60の巨大プリンであった結昨日プリンは216000個のカッププリンサイズに細切れにされ、その命を散らした。



「なんだコレは…」
私が最初に結昨日に対して思った感想はこの一言に尽きた。元々武人として戦争をしに来たのに自軍に巨大プリンがいたら誰もがそう思うだろう。

私は巨大プリンなどというふざけたものが戦争に関わっておることに一方的な嫌悪を感じ、決戦当日まで結昨日と関わりを持たなかった。

決戦当日、ENT型質問により我がマンチグループは未曾有のピンチに陥っていた。チート会リーダーであるENTの理論武装された屁理屈によりプリンの数はみるみるうちに減っていき、ルンビニー空間に干渉する唯一の法「GKコール」が使用できないことになったのだ。このままENTのへ理屈に沈むと思った我が軍であったが、結昨日の一言で再び一筋の光明が出てきた。

「私を斬って…そしてキングにプリンを…私を細切れにすればたくさんのプリンが手に入るわ。お願い、剣豪。私を斬って。切り刻んで」

「結昨日、いいのか?そうしたらお前は…」

「いいの。私は皆のためなら死ねる。ただ、お願いね?皆、勝って生き残ってね?それだけは約束してね」

私はプリンだからといって一方的に嫌悪を感じた自分を恥じた。たとえプリンといっても結昨日はサムライであった。そして、人間以上に人間だった。

私は結昨日を細切れにするために構えた。いつのまにか涙が止まらなくなっていた。

「結昨日…すまない、お前のことは忘れない。

伝説の剣豪の剣技参式・散華(さんか)」

縦横無尽にかけめぐる斬撃によりみるみるうちに結昨日は細切れになった。こうして、体積60×60×60の巨大プリンであった結昨日プリンは216000個のカッププリンサイズに細切れにされ、その命を散らした。

潤沢なプリンによりENTの無効化に成功した我がマンチグループは圧倒的に勝利した。ありがとう、結昨日プリン。われらマンチグループは君の事を忘れない。

終わり


『男の頌歌』<+3/千尋:ドリアンが泣いてるだけで面白い>

所属:マンチグループ 審査員指定:かがみさん

前回のあらすじ~なんだかんだあって榎本が死んだ~

ドリアン「俺は信じねぇ!榎本が死んだなんて絶対信じねぇぞ!」
末那識千尋「いつまで悲しんでおるつもりだ。勝負を捨て敗北を認めるつもりか。」
MUSASHI「敗北を認めるだと…。俺たちがそんな真似をするわけないだろうが。いくぜ!」
雨月病「さぁ、ドリアン…。な、泣くんじゃねぇ…。み、みんなだって泣きてぇのを必死にこらえているんだ…」
ドリアン「……あ、ああ。もう決して泣かない…。榎本の野郎に笑われたくねえからな…」

おまえの死は無駄にしない──このダンゲロスKING(そういえばこの戦いの名前なんていうんだろう)必ず勝つ──それがこの世でお前と俺たちが仲間だったという証だぜ──


(斉唱)
日本魔人の生き様は 色無し 恋無し 情け無し 魔人の道をひたすらに 歩みて明日を魁る 嗚呼希望崎 EFB マンチの道を魁よ

日本魔人の魂は せこく 汚く 小賢しく 魔人の夢を ひたすらに 求めて明日を魁る 嗚呼希望崎 EFB マンチの夢を魁よ

嗚呼希望崎 EFB マンチの道を魁よ 嗚呼希望崎 EFB マンチの夢を魁よ

末那識千尋「希望崎学園校歌か…。それにしてもなんという悲しい歌声よ…。まるで魂をひきさかれるような慟哭よ。
しかしその悲しみの中には嵐に立ち向かっていくような力強さがある。この末那識千尋ひさしぶりに心をふるわされた…!!」


皇すららSS「亡霊」<+2/千尋:内容は良いがちと長い>


気がついたら、地上に産み落とされていた。
気づいたら、すでに死んでいた。
空の果てには深遠な闇があるはずなのに、嘘で塗り固められた青空が、太陽を背景に私の心に嘘

をつく。
「化け物」
母からはそう言われて拒絶された。
「ずっと親友だよ」
そう言って微笑んでくれた友達も、今はいない。
マダマテ……だけが、いつも私の傍にいてくれる。
空の色を写し取ったあの身体は、もはや私の姿じゃない。
だからといって、「この窓に映るヒトの姿こそが、本当の私なのだ」と断言もできない。
まるで赤土を水に溶かして塗りたくったような肌色も、ゼリーのようにぶにぶにした青空の色も

、どちらも私の身体じゃない。
私は誰? あなたは何? そう幾度も鏡に問いかけても、虚空へ問いは消えていく。
いつもそばにいるマダマテは、決して何も語ろうとはしない。

小学校に上がるころ、マダマテは死んだ。
捨てられたのか、公園で震えていたところを私が拾った、まだ小さな子犬だった。
「待て」をしても、すぐに動いてしまうから、私が「マダマテ」と名づけた。
兄弟のいない私にとって、マダマテはまるで弟のような存在だった。

けれども、そんな日は長く続かなかった。
ある日、公園へ二人で散歩にでかけた帰りに、マダマテだけが姿を消した。
街中探し回って、最後には近所のホームレスのおじさんにたずねた。
すると、おじさんは口元を歪ませ「オレが食った」と言った。
幼かった私は、それを真に受けた。
なぜなら、その日以降マダマテが、私の前に姿を現すことがなかったから。


だけど、マダマテは私の元に帰ってきた。
あの大地震の日、崖下に落ちたバスの中にマダマテはいた。
私とマダマテ以外、他には誰もいない。
死体すらなく、みなが忽然と姿を消していた。
私はなぜか服を着ておらず、よく見れば周囲には、見覚えのある衣服落ちていた。
それも一つや二つではなく、ついさっきお話していたクラスメイトのものさえあった。

それから何日も助けがくるのを待った。携帯電話は圏外で通じなかった。
助けがくるまでマダマテと二人で過ごした。
マダマテが消えてから、十年が経とうとしていたのに、マダマテは何一つ変わっていなかった。
首につけていたネームプレートでさえあの時のまま、目だった汚れすらついていない。
そのときはまだ、疑問にさえ感じなかった。
なぜならあの時、マダマテの存在だけが、あの孤独の中での唯一の救いだったから。

だけど、疑問はすぐに湧いてくる。
バスが崖から落ちたとき、なぜ私だけ無事だったんだろ。
修学旅行の帰り、夕日に染まった山の風景、今でもその記憶は鮮明に蘇る。
だけど、今ここにいる私は本当に「皇すらら」なのだろうか。

あの震災を境に、私の心臓はちょっとしたことですぐに息が上がるようになった。
ちょっと運動しただけで息切れを起こし、時には意識不明で集中治療室にも運ばれたこともある


一度や二度じゃない。
お医者様からは、明日死んでもおかしくないって言われた。
なのに、どうして、私は未だに生き続けられているんだろう。


――バスの中。
足元がぐらぐらとゆれる。
みんなの表情が凍りついているのがわかる。
運転手さんが叫んでる。
重力が回転し、目に見えない力が、私たちを宙へ持ち上げる。
悲鳴はあがった。けどそれは、悲鳴というよりも絶叫だった。
「関東大震災の死者は三万八千人」
その一瞬、ふと昔見たドキュメンタリー番組のこの言葉が頭の中によぎる。
ああ、死ぬんだ。
「皇すらら」はそう感じた。
それは走馬灯が見せた刹那の悟りであったけど、その未来は覆すことのできない真理であった。
大地は加速し、私たちを、否応なく地面へと引きずり落とす。
サイドミラーは砕け散る。額ににぶい音が駆けぬけた。飛び散った破片が四方八方に飛び散って

、私たちを貫く。
あっという間だった。
私たちの崖下までの八メートル弱の旅路は、あっという間に幕を閉じた。

これは後に、人から聞いた話。
病院で私は何週間も時を過ごしていた。
だから、そんな私と世間の認識との間に、大きな隔たりがあるのは当然で、その話を耳にしたのは学校に戻ってからだった。
「地震なんて起こってないし。あれ、運転手の居眠り運転だよ」
私たちは最後尾を走っていた。
私たちのバスは長い信号に運悪く引っかかって、前のバスと大きく離されていた。
そして、それらの前を走っていたバスは、揺れを感じなかったと言う。
いや、あの地震は起こってすらいないものだった。
地震があったと証言しているのは私だけ。
世間では、運転手の居眠り運転による悲劇というありきたりな認識だった。
それなら、消えたクラスのみんなはどこへ行ったというのか。
みんなぞろぞろバスを降りて、遭難した? 服だけ脱いで? 私を残して?
だけど、私の証言はさしずめ、
「恐怖のあまり気が動転して、ありもしない地震を感じた可哀想な子供の言葉」
という認識なのだろう。

皆がそうだと言うのなら、それはそれで構わない。
だけど、あの惨劇の直後に、突如として私の目の前に現れたマダマテは、どう解釈すると言うのだろうか。

そして学校に戻ってからたびたび起こる、私の体の異常な変化。
それと全く同時期に発生する失踪事件。
ある日、同級生の一人が「人間が化物に変わる瞬間を見た」と触れ回った。
だけど、誰一人相手にしなかった。
みんなが、彼をかわいそうな子として扱った。
失踪事件の噂の中には、この手の類のものが多くあったけど、現実に人間が化物に変わるはずがないのだ。
けれど、パパとママは私を指して化物と呼んだ。

近頃よく見る奇妙な夢。
うっすらとした球状の赤い膜に私は包まれている。
そして空の色をした化物の中から、世界を眺めている。
周囲には、同じような空色の化物がぞろぞろと群がっていて、互いに身を寄せ合っている。
それは鮮やかでもありながら、おぞましい光景だった。


その夢から覚めたとき、意識を失う前の記憶が飛んでいる。
あのバスのときと同じく、肌は外気に直接触れており、それだけではなく、今いる場所がどこかわからないようになっている。
そして、その傍には常にマダマテがいた。


最近は、夢の中であったはずのこれらの出来事が、現実の体験のようにはっきりと感じられるようなっている。
だからこそ、確かにわかる。
「皇すらら」はあの日、あのバスの中で、あのクラスの皆と共に死んだ。
仲の良かったクラスメイトは消え、マダマテだけが私の元に戻ってきた。


テレビのオカルト番組で、あやしい職種の女性がこんなことを言った。
「屈折した強い思いは、ヒトの心さえ魔物に変える」

けれど、私はこんな姿になってまで生きていたくはなかった。
大切な人に拒絶されて苦しむくらいなら、命なんか欲しくない。
だけど、そんな思いも、幻でしかないんだ。
なぜなら、所詮私もマダマテが作り出した、「皇すらら」という亡霊の一片に過ぎないのだから。