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759 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 10:30:15.89 yCbRF3/w0

俺は―――中学生になってから初めて男女の体について意識しだした。
小学生のころはイタズラばかりして、女の子といったらただのイタズラの対象でしかなかった。
髪は長いから引っ張って遊べるし、すぐ泣くからイタズラのしがいもある。
恰好のターゲットというわけだ。

しかし、中学生になってから女の子の変化にやっと気づき始めた。
胸のふくらみ、におい、しぐさ。
女の先輩の女性らしさなどに触れるころ、俺は男の自家発電を覚え、
悶々とした日々を過ごすようになっていた。

高校受験も終わり、卒業式を残すだけとなったある日。
女体化の片鱗が見え始めた。

828 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 15:58:25.80 yCbRF3/w0

高校入学三日前。 俺は女になった。

まさかまさかとは思ったが、やはり女を知らずに大人になる男はアレが起こるらしい。
アレとは女体化だ。 体が丸一日かけてメキメキと骨が縮小し、顔立ちも変わる。
男だったころから体全体のサイズが小さくなり、血中に溶け出した筋肉や骨の成分が髪に変わり、
ついにこの日晴れて俺は腰まで伸びた髪の美少女になった。

姿見の前でくるくると自分をためつすがめつして、そしてため息を吐いた。
「女だ・・・ 完全に良い女になってるよ・・・」

830 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 16:05:00.49 yCbRF3/w0

完全に女体化が収まってからというもの、母は戦々恐々としていた。
なにせ息子が娘に変化し、扱いに困っているらしい。

入学二日前
「ねえ、ヨシ、あんた、どうすんの?」
母は言葉につまづきながらこう聞いてきた。
俺「どうって、とにかく今は飯食いたいんだけど・・・」
女体化で随分とエネルギーを使ったらしい。腹がかなり減っていた。
「あ、ああ。そうよね。」
母はスリッパを鳴らしながらキッチンに駆け込んで―――行こうとして気絶した。
俺「ちょっ! 母さん!」

832 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 16:12:35.93 yCbRF3/w0

その後
母は父に支えられ、持ち直した。
案外父は芯があったらしい。昨日、ふうむと無精ひげをさわりうなった。
「義之、お前制服買いなおして来い。」それだけ言って母さんをソファに寝かした。
俺はとりあえず父の支持に従い、制服を仕立てに行った。

俺「・・・」
なんというべきか。注文書に名前を書く段になって、やっと気づいた。
まるきり男の名前で書いてよいものか。
なんせ女体化は童貞をさらけ出すことであり、なんとも情けない。



833 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 16:16:22.58 yCbRF3/w0

迷った挙句保護者の名前だけ書いて注文を店員に差し出した。

制服が届くまで四日はかかるらしい。
俺「気晴らしにゲーセンでも行くか・・・」
制服の仕立ての後、俺は駅前のゲーセンに立ち寄ることにした。
ゲーセンは騒がしいし、高校生活への不安を紛らわすには家よりマシだろう。

で、ここでやっと俺は女体化の本領を見ることになった。

834 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 16:27:29.40 yCbRF3/w0

ゲーセンについて、俺は格ゲーのコーナーをぶらついて適当な筐体にコインを投入した。

その瞬間後ろで舌打ちが聞こえる。
振り返るとヤンキーが俺にガンをくれている。
どうやらこのゲームをやりたかったらしい。ふん。ガキくせえ。

シカトしてプレイ開始。
俺はいつもは使わない女キャラを使う事にした。なんでかな。まぁいいんだけどさ・・・
三戦目の途中で乱入があった。乱入者は苦手だ。
プレイの腰おりやがって。いっちょ懲らしめてやる。

俺「!」
なんてことだ!こいつ! 弱い!
ろくすっぽガードも出来てねえよ!
らくらく超必でKOを決め、元の筋でゲームが再開される。

そのとき向こうの筐体から声がかかった。
「うっぜえ!」

あ。さっきのヤンキーだ。

835 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 16:36:07.31 yCbRF3/w0

「んだよ クソアマがよぉ!」
金髪が筐体を回りこんできて俺の胸倉をつかんできた。
ああ、アマ。俺の事ね。
ため息をついてその手を振り払おうとする。

「オメーさっき気づいてた癖に続けやがってよぉ!」
なおもヒートアップするヤンキー。どうやら後ろの二人もコイツの仲間らしい。
俺「分かった、スンマセンでした。」落ち着いた声で応対しようとして、声が震える。
なんせ俺は中学時代、自慢じゃないが喧嘩をしたことがない。
そんな度胸あったら童貞卒業してるよ畜生。と心の中で卑屈になりつつ続ける。
俺「痛いんで手はなしてもらえませんか?」
「あー? うっぜえなぁてめえよぉ、ちょっとついて来いよ、分からせてやっからよぉ!」
と後ろの二人ににやけ顔を向ける。

俺はピンと来た。ああ、そうか俺今そこそこの良い女じゃんか。
女にヤンキーがからんでするっつったら、アレだ。あんま大声じゃいえないこととかだ。
ゾクッとして、つい俺はヤンキーの胸を突き飛ばした。

837 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 16:44:32.32 yCbRF3/w0

ヤンキーが宙を泳いだ。

うっ、と息の詰まった顔で胸倉をつかんでいたヤンキーが仲間ヤンキーズのほうにぶっとんでいく。

唖然としたのは俺のほうだ。そりゃ人間突き飛ばされたらよろけるか倒れるかするだろう。
でもまさか4mも飛ぶなんて大げさだ。
一瞬ヤンキーがおどけて「なんだこいつバカ力だぜ、へへへ」と立ち上がるのだろうと思った。

でも俺は三人が目をぱちくりさせてこっちを見ていることから、
どうやら本気でぶっ飛んだらしいことを知った。

俺は、プレイヤーのいなくなったキャラが負けているのも気づかずそこから逃げ出した。

839 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 16:49:10.48 yCbRF3/w0

逃げるうちに俺は冷静になってきて、気づけばかなりの速度で走っていた。
その割に全然疲れていない。
一時、戻って様子を見ようとも思ったが、俺は振り返らず自宅へと歩を進めた。

とにかく自分の置かれた状況を知らねばならない。
自分の、か細くなった両手を見て、ゆっくりとため息をついた。

842 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 17:01:06.57 yCbRF3/w0

俺は帰るなり、父さんに制服の件を話してから急いでPCを立ち上げた。
ネット上の検索エンジンに言葉を打ち込んだ。
言わずもがな。その言葉は『女体化』だ。

大抵は「女体化するヤツって要はただの童貞だろww」とか
「本当になるわけねえよ!」とか小ばかにしたサイトだった。
その中でやっと医療関係のHPで有力な情報を得た。

俺はそれを見てゾクゾクした。
それ、とは副作用の項目だった。要約するとこうなる。
「女体化に伴い、削れた分の肉とか骨が力に変わる。」ということだ。

女体化はホルモンバランスが崩れるせいで、筋肉を男のように保持していられないらしい。
そのかわり血液に溶け出した細胞はいざというときエネルギーなどとして使われ―――

後は読み飛ばした。

844 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 17:12:05.10 yCbRF3/w0

男のシンボルも無くなり、一生便座と仲良くしないと用も足せないとか
胸が膨れて乳首が擦れて痛いだとか。
マイナス面にしか頭が行かなかったが、なるほど、怪力か悪くない。
思わず顔がにやける。
子供のころ夢見ていたスーパーヒーローにはちょっと及ばないが、
良い意味で人とは違う特典がついたじゃないか!

PCのモニター電源を落とし、俺は明るい顔で階下の両親に声をかけた。
すっかり声変わり(妙だが)した声で
「明日、服とかみたいから付き合ってよ!」と。

でも、俺は読み飛ばした部分に重要なことがまだ書かれていることに気づいてなかった。
「――――エネルギーなどとして使われる。そしてその内エネルギーが使い果たされると、普通の女性となんら変わりない状態になる。」

俺の力は、限りがあった。

852 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 17:32:34.70 yCbRF3/w0

入学式前日―――
HPで吉報を受けてから(受け取りにいったっていうか・・・)俺の顔は輝いていた。
今日は、学園生活用の服ではなく日常の下着だとかを買いに行くことになっていた。

母さんは、昨日の夜の内に明るく接してくる俺にやっと安心したらしい。
いまは出かける準備に忙しく動いている。
「ヨシと買い物に行くなんて久しぶりだね。」わくわく顔で母が言う。
俺「そうだね・・・そういや小六くらいに行ったのが最後だっけ。」
昔の記憶を引っ張り出してくる。
「あらやだ、中学一年のころ競泳用の水着買いに行ったわよ。」
あー そんなこともあったような

思春期に入った男子が恐れるのは、親と一緒に歩く姿を友達に見られることだ。
お前、こないだママと○○歩いてたよなぁ? なんて仲間内で言われたら一週間はマザコンの印を押される。
そんな普通の男の子の俺は いや違う。 男の子「だった」俺は母とは多少距離を開けていた。
出かける前の準備中に交わす言葉のおかげで、中学三年間離れかけていた距離が縮まる。

854 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 17:40:52.74 yCbRF3/w0

父さんはこの日会社を休み、ヒゲでジョリジョリしたあごを擦りつつ
「おう、お前ら晩飯は俺が準備しとくから行って来い。」
と俺達を送り出してくれた。
母と同じく、父との間の壁が音もなく崩れ去った気がした。


「ヨシ、あんた早く決めなさいよ。」
俺「いや、でも俺、こんな・・・なぁ適当でいいよ・・・」
「だめよ。やっぱりちゃんとしたモノつけないとすぐ形崩れるのよ!」
俺と母さんは下着売り場に来ていた。
こんなこと改めて言うことじゃないが、当然、周りは女性ばかりだ。
壁一面に、棚にとさまざまな色形のブラとショーツのセットが陳列されている。
俺は男だぞ!という言葉を鏡に映った自分を見て飲み込む。

そうだよ。まるっきり女だよ。畜生。

855 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 17:48:59.10 yCbRF3/w0

ブラをつけようとして、自分が情けなくなってきた。
理由は良く分からないが、いじめられている、と親に打ち明けるような心境とでもいうか。
膨らんだ胸にカップを当てる・・・無理だ!
とつけ方を教わってから試行錯誤すること五分。

ついに母が痺れを切らして店員を呼んだ。

さらに五分後。店員の完璧なる手際の下、俺はピンクの上下のセットを身に着けていた。
鏡に映る自分の姿に食い入るように見入って、母を振り返る。
母はにこにこと、かつ複雑な心境をにわかに呈して、元息子の可憐な姿を見て
「良いセンいってるじゃないの。」と言ってくれた。

やっと下着売り場を出た頃には昼過ぎで、母さんと昼飯を食うことにした。

857 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 17:55:21.56 yCbRF3/w0

母さんは自分に運ばれてきたパスタをちゅるっと吸ってから
「母さんね、実は娘も欲しかったのよ。」といった。
俺はちょっとむっとして
俺「じゃあ良かったじゃないか。俺がなったんだから。」
と少し皮肉ってみる。
「でもちょっと仕草とかそれっぽくしないといけないみたいじゃない?」
俺「それっぽくっていうと?」
「あなた食べ方汚いわよ。」

自分の食事跡を見て、あ、と声を漏らした。
「女の子なんだから、」俺は言葉を引き取って
俺「それっぽく、ね?」とイタズラっぽく続けた。
「うまいじゃない。」
それから二人でちょっと笑って、これからについて軽く話した。


858 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 18:07:27.79 yCbRF3/w0

学校での手続きもしなきゃいけないことを持ち出されると俺はうっ、と詰まった。
「ほら、アレになっちゃう人って結構少ないのよ。」
政府のお情けで、童貞の男子には施術係という筆おろし隊が市役所にはいる。
ほとんどのモテない、冴えない、童貞確定みたいな男子生徒は
人生にかかわることだから、と中学二年生の頃に集められ、ガイダンスを受ける。
母親達にその知らせを持たせ、施術係に頼るかを委ねる。

俺はというと―――幸いその呼び出しは無かった。
彼女はいなかったが、それらしい女子がいないでもなかったし、
俺自身だって高校に入ってから女体化が始まると思ってたのだ。

俺「学校に知らせないとやっぱまずいよね・・・」
「あんた、入学式で男の名前で呼ばれて出て行ったら、ねぇ?」
確かに、そんなことしたら女体化がおおっぴろげだ。

そのことについて母さんと意見を交わしていると、
レストランの窓の向こうに知り合いの顔が見え、さっとテーブルの下に隠れた。

859 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 18:17:23.64 yCbRF3/w0

母さんもちょっと経ってからその意図に気づき、ため息をついた。
俺「やっぱり、届け出ないと不都合だ。」
母さんも頷いてから伝票を持って、いきましょう、とつぶやいた。

午後の買い物中、
「アレも似合うじゃない。」「コレもいいわねえ。」
などと楽しそうに俺に服をあてがう母さんに俺は
「そんなに買ったら金なくなるよ。」と笑いかけた。
「いいのよ、あんた服にはあんまり気かけてなかったんだから。」
と服の事ばかり考えている。

俺はというと、同じ学校に行くことになっていた友達の事を考えていた。
レストランで知り合いを見かけた。でもあっちは気づかない。
急に孤独感を感じ始めていた。
もし、女としての俺が受け入れられなかったら?
いままでのように仲良く過ごせるか?

たぶん、無理だ。
もし友達が気にしない、といってくれても
何もかも今までどおりには行かないだろう。

860 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 18:29:29.76 yCbRF3/w0

俺の服。男物の服が、女物の服に変わっていく。
俺の心はどうなんだろう。
母さんは娘が突然できたことを今は少し楽しんでいるようだ。
でも俺は・・・

あてがってくる服をぼんやりと見つめ、胸の中のもやもやを感じていた。

ひとしきり買い物を満喫した母さんは、コーヒーチェーン店で甘く冷たい飲み物を買ってきてくれた。
俺に手渡しながら母さんは自分のものをすすって、
「・・・あんたは私の息子だって事にかわりはないんだよ。」とつぶやいた。
ちょっと驚いて、俺は自分の分をすすった。結構、うまい。
少し遅れてついていき、やっと追いついて肩をぶつけながらにっこりしてこう言った。
俺「息子だった、でしょ?」

背丈が違わなくなった俺達は、春の風に包まれて一緒に歩いた。
言葉がなくても親子だ、という感覚に俺の胸は違うもやもやを抱えたが、
心地よいものだったので俺は安心した。


861 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 18:42:03.53 yCbRF3/w0

帰宅すると父さんは、女物の服を着た俺を一瞥して
「おう、なかなかいいじゃないか。」と言った。

そして飯が出来てるぞ、とダイニングテーブルを指差した。

親父様よ。あんたは何者だ。
ダイニングテーブルには、中流家庭がご馳走、と呼ぶもののさらに上を行ったご馳走が準備されていた。
口をあんぐり開けて、父さんを見ると仏頂面をほころばせまいと懸命に口の端をピクピクさせていた。
どうやら自分の技を見せ付けられて嬉しいらしい。
「あらあら、冷めちゃうじゃない、早く食べましょう。」
お袋様。ツッコミもないのですか。

俺はご馳走を堪能しながら父さんが手続きは済ませた、という話を聞き、ほっとした。
何せ胸につかえるものがあっては味が鈍る。
名前は明日学校に言って告げることにしたらしい。

飯はうまかった。ただ、赤飯があるのは間違ってるきがしたが。

862 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/28(木) 18:55:44.97 yCbRF3/w0

晩飯を食って、部屋のベッドに転がる。
元の自分より縮んでしまって、頭にも足にも余裕がある。

電気をつけずに天井を見つめ、明日について考えた。

そうしようとしたが、やめた。
ええい、考えても始まらない。当たって砕けてみるしかないだろう。
鼻から息を吹きだして、目を瞑った。

コトンと眠りに落ちて、深く深く、夢も見ないくらい深く・・・

98 名前:ID:yCbRF3/w0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 15:05:27.53 bU5Dwbfl0

続き

入学式二時間前。
俺と母さんは校長室に来ていた。
女体化がすんでから、かかわりを持つことになる人間に会うのは初めてだ。
正直緊張する。朝かじってきたトーストが口から出そうだった。

「・・・ええ・・・・ええ・・・大丈夫です。こういう生徒は初めてじゃない。」
校長はそれらしい、威厳のある顔つきで、しょぼくれオッサンの空気は微塵もない。
母さんと校長が話している内容が緊張で聞き取れない。
「はい、それでは名前の登録についてですが。」
その段になってやっと俺は自分のことを話している事を自覚する。


99 名前:ID:yCbRF3/w0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 15:15:56.92 bU5Dwbfl0

俺「名前って、苗字も変えたほうがいいんですか?」
俺はおずおずと問いかけた。
「いやいや。そのあたりは自由なんだよ。」

校長は女体化後の生徒の入学について前例があることと、
それについての処置は案外柔軟だということを聞いた。
名前に至っても、まるっきり変えても、下の名前だけ変えてもかまわないらしい。
むしろそのまんまの名前でいい!という豪傑(女の場合なんていうんだ?)もいるらしい。

「出来れば入学式前には決めて欲しいが・・・」
入学証書や手続きがずれるなら入学式は休んだほうがいいかもしれない。
そのとき
「ちょっと相談させてもらえますか?」と母さんが頼んだ。

101 名前:ID:yCbRF3/w0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 15:21:32.28 bU5Dwbfl0

俺「義之だから・・・義子・・・」いまいち
「義江・・・」ええと・・・・どうだろう・・・

母さんと一致したのは、苗字はそのまんま、ということだった。
学校と家での名前が違うのはやっぱり気持ちが悪い。
でもとにかく下の名前が『カオル』だとかごまかしの効く名前でもないから、
下は変えなきゃ不都合だ。

俺「父さんはどう思う?」
校長室の前で待っていた父さんを見上げて問いかける。


102 名前:ID:yCbRF3/w0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 15:26:08.10 bU5Dwbfl0

「おう、そうだな。」
いつもアゴじょりじょりをしながら考える。
「安価、という手もあるぞ。」
俺「は? 安価?」
いまいち俺は飲み込めない。
母さんも頭の上に?が浮いてる。


104 名前:ID:yCbRF3/w0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 15:34:39.36 bU5Dwbfl0

「おう、安価。」
俺「母さん、なんかない?」
父さんはとりあえずスルーだ。
別世界のことを持ち出し始めた。
「いいわ、あたし達で決めるからあんた先に中入ってなさい。」
中とは校長室か。
「あんたが生まれたときもパッと思いついたんだから、今度もうまくいくわよ。」

結局両親に命名されなおされることとなり、俺は再び校長室のドアをくぐった。

(やっぱり可愛い名前思いつかないので安価でお願いしていいですか^^;)


 105 名前:ID:yCbRF3/w0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 15:37:33.52 bU5Dwbfl0~~ 
義之の名前もじってなくてもおk~~
~~
安価>>110~~
よろしくです~~
~~
~~
 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 15:42:34.46 ZidD3nds0 ~~
ksk ~~
~~
~~
 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 15:46:02.74 dyYlBYVH0 ~~
ksk ~~
~~
~~
 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 15:46:13.95 ifaxBHcg0 ~~
安価バロスwwwwww ~~
ksk ~~
~~
~~
 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 15:47:17.85 ZidD3nds0 ~~
春陽(はるひ) ~~
~~
~~
 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 15:48:06.30 ZidD3nds0 ~~
美香 ~~
~~
~~
 112 名前:ID:yCbRF3/w0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 15:49:18.97 bU5Dwbfl0 ~~
>>109 ~~
流行の名前バロスwwww ~~
~~
>>110 ~~
どうもっす! 美香、でいきます。 ~~
~~
~~
 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 15:51:24.14 ZidD3nds0 ~~
>>112 ~~
ガチで今度生まれる娘につけようとしている漏れがいるwwwwwww ~~
~~
~~
 114 名前:95 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 16:00:49.66 ixmL9FtR0 
相も変わらず、HTMLでしかうpできない俺ガイル。 ~~
~~
>>111 ~~
よかたら。~~
ttp://www.vipper.net/vip101654.zip.html ~~
~~
>>113 ~~
いい名じゃないですか。 ~~
よ~し、パパ。子供が生まれたら女体化した男の子と同じ名前にしちゃうぞ!(嘘ですw...orz) ~~


115 名前:ID:yCbRF3/w0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 16:01:11.86 bU5Dwbfl0

校長は、机に座って物思いにふけっている途中だった。
俺が入って来て、ぴくっと机の上に組んだ指を動かした。
目線をあげて俺の顔を眺める。
俺がもぞもぞと居心地悪そうに視線を泳がせると、それに気づき
「すまない。何、キミがあまりに可愛らしいものでね。」と笑う。
おっと、まずいぞこの人。そっちの趣味が?
と俺は露骨に顔をしかめる。
「いやいや冗談だよ。」大げさに手を振ってから、また微笑みかけてきた。

いくばくの沈黙の後、校長は口を開いた。
「確かキミは三日前に女体化が始まったのだね?」
俺「ええ。」
まだ少し警戒しつつ俺は答える。
「体は慣れたかね?」
俺は視線を落とし、サイズダウンした手のひら、足、と自分を見る。
俺「ええ。まぁ。」
本当のことを言うと、色々まだ慣れていない。感覚が、変だ。
リーチも短くなったからスイッチだとか、いろいろ届かないし、
髪が腰まで伸びたせいで、頭も違和感がある。


116 名前:ID:yCbRF3/w0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 16:07:58.60 bU5Dwbfl0

「これから色々と大変だろうが、すぐに馴染めると良いね。」
やわらかい言葉と微笑みを俺に向ける。
やさしいおじいちゃんのような包容力が俺を包む。
ああ、この学校の校長は結構良い人そうだ。とぼんやり考えた。

その後、母さん達が入ってくるまで俺と校長先生の間には沈黙が流れた。
でもそれは全然居心地の悪いものではなかった。

そうそう。
俺の名前が決まった。
父さんいわく、「天に声を求めた結果」で
母さんいわく、「知り合いが考えてくれた」
名前らしい。

俺は美香になった。

118 名前:ID:yCbRF3/w0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 16:15:09.64 bU5Dwbfl0

入学式は滞りなく進んだ。
俺は、新しい名前を聞き逃さないように全身を耳にしていたせいで疲れた。

壇上で入学証書を受け取り、降りるとき元息子の晴れ姿に顔をくしゃくしゃにする母さんが見えた。
泣くなよ、みっともない。
なんて思いながら俺も、もらい泣きしそうになっていた。

そして入学式終了・・・新入生は自分達に当てられたクラスに収まった。

一年の総クラス数は8クラス。
俺は1-Cの一員となった。

119 名前:ID:yCbRF3/w0 本日のレス 投稿日:2006/09/29(金) 16:22:21.22 bU5Dwbfl0

担任が現れるまで、座席に区切りは特にない。
所在なさげにクラスの入り口で立ち止まり、空いている席を探す。

やはりというべきか後ろの席は空いてない。
粋がった男子生徒がイスを傾けて「俺、いかすだろ?」の顔の角度を決め、
他には自分の席で周りに声をかけずに黙りこくるヤツや様々だ。
女子のほとんどは中学の仲良しグループで小団体を作りきゃぴきゃぴやっている。

俺は前から三列目に空き席を見つけ、歩を進めた。

その途端、視線が俺に集中する。

341 名前: ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/01(日) 13:12:40.35 WqsS/6lX0

担任は小林という化学の教員で、当然化学部の顧問をしている―――とおもいきや、テニス部の顧問らしい。
理系っぽくない爽やかな印象が、むしろ少しうっとおしいか。
「それじゃあこれから、自今紹介をしてもらおうかな。」小林はニコッとさらっとそういった。

      • この流れをピンチといわずになんと言うのか。
アイウエオ順に巡る自己紹介はほとんどが名前、出身校でワンセットだ。
趣味や部活、特技やギャグを飛ばす(そんで失笑を受けて終わってる)奴もいる。
趣味はいいさ。名前もなんとかなってるさ。
でも何度か見た顔がいる中で、出身校が同じストレンジャーがいたらどうなる?
女体化もろバレじゃないか。

女子のナ行が終わったらしい。
橋爪、という苗字の女子が立ってキャピキャピと自己紹介を始める。
「趣味は買い物でぇ・・・よく渋谷あたりまわってますぅ・・・」
おお、いいぞ。長引いてる。
どうする。どうする、俺!

俺は考えに考え抜いた!この間二秒!
そして、小林教諭に名前が呼ばれる!
「次、蓮本美香。」


342 名前: ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/01(日) 13:15:32.74 WqsS/6lX0

俺「蓮本美香です――――」

俺は、クラスメートに自己紹介を始めた。
クラスメートの顔っていうより、斜め上の目線で壁にしゃべってたから、まぁ教室に、だな。

出身校は東北にあるので言っても分からないでしょう(ウソ)
趣味は映画鑑賞で、いろんなジャンルが好きです。(ホント)
越してきたばかりで友達が沢山できるといいな、と思ってます。(ウソでありホントでもある)
これからよろしくお願いします。(ニコッ)
ぺこり。

よし、なんとかごまかしが利いたみたいだ。
座って心臓の音を聞きながら、冷や汗が噴出すのを感じた。
親戚がいるのを思い出してとっさにひっぱりだした東北に引越しを添えて、知った顔がいないことをアピール。
OK,上出来だよ。うんうん。

誰も疑った様子は無い。
というか今気づいたが、みんな緊張してあんまり周りの話聞く余裕無いんじゃないか?


343 名前: ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/01(日) 13:22:00.39 WqsS/6lX0

自己紹介も渡辺~で終わり、とりあえず今日はお開きらしい。
荷物をまとめ、帰りかけたころ、俺は教室で受けた注目の意味を知ることとなった。


自分で言うのもなんだが俺は、イカす、ナウい、女体になった。
どうやら、そこがポイントだったらしい。

教室を出ようとしたとき、男子生徒からお声がかかった。
男A「ねえ、蓮本さん。」
俺「えっ?」
話しかけてきたのは茶髪の男子。パシリかその辺のレベルのオーラがする。

男A「蓮本さん彼氏いんの?」

俺「へっ?」

意味が分からず返答に困る。
まだ、俺は自分が『元』男子だって自覚が足りなかった。


344 名前: ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/01(日) 13:28:11.34 WqsS/6lX0

目をぱちくりさせてパシリ顔を眺めていると、
いつの間にかパシリより上っぽい奴らがAの後ろに立っていた。
男B「ばっか、オメーはストレートすぎんだよ!」
B→A 弱パンチ
男C「役にたたねえな。」
C→A 強パンチ
男A「いてっ!」
A→後方ローリング
K.O!A is lost!・・・いや、どうでもいい。

B「ごめんねー あいつ馬鹿でさ。」へへへと、金色ツンツン頭。
C「あんま気にしないでよぉ?」チャラロン毛が続ける。
C「美香さん可愛いじゃん? 思わずあいつ血迷っちゃったんだよ。」
パシリを転がした二人は俺にアドレス教えてだの、この後遊び行こうよだの
男が聞かされたらオエッとなるような言葉を吐き始めた。

ああ、口説かれてんのか。
やっと理解し始めた。
俺はもはや女としか見られてない。
なんとなく、もやもやした感情が胸に充満し始める。


345 名前: ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/01(日) 13:34:10.72 WqsS/6lX0

B「美香ちゃん?だいじょぶ?」
とやさしく金ツンが肩を抱こうとしてくる。
俺はその手を感じ、首の後ろがゾワゾワして、手を払った。

ばっちーん

力が、出すぎた。金ツンが手に引っ張られて上体のバランスを崩す。
教室はそりゃあもう、水を打ったようにシーンとなった。
っていうかやった本人も静まった。そう、俺だ。

そんな中、突如「あっれぇ?美香じゃん!」というすっとんきょうな声がして、時が動き出した。
びくっと振り返り、声の主を捜す。
元気な声で俺の新名称を呼んだのは、見たことも無いの女子だった。
おっとぉ、ちょっとマブいぞこいつぁ。

「久しぶり~! 元気してた!?」
俺「え? は?」
「全然連絡つかないんだもん!死んだかと思ってたよ~!」
見知らぬ女生徒は金ツンのやり損ねた肩抱きをするりとやってのけ、
からからと笑いながら俺を教室から引っ張って行く。

教室の入り口には、手をじんじんさせた金髪と度肝を抜かれたロン毛が残された。

346 名前: ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/01(日) 13:37:13.59 WqsS/6lX0

俺は見知らぬ女生徒にぐんぐん引っ張られ、人目の無いところまで連れて行かれる。
学園の校舎がやたらめったら広いので、女生徒に引っ張られた距離の長いこと長いこと。
早めのペースも相まって、やっと止まったころには軽い疲労も感じていた。
女生徒はくるっと振り返り、
「こらこら、ああいうシチュエーションは、きみぃ、慣れなきゃだめだよぉ?」
そう言いつつ、人差し指を鼻先に突きつけてくる。
上司のような口調だ。

俺は何を言っていいか考え、まとまらないうちに口を開いた。
俺「あのー・・・」これが精一杯の言葉だった。
「あのね、隠すつもりならきっちり抑えないと、きみ。」


347 名前: ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/01(日) 13:43:13.79 WqsS/6lX0

俺の言葉はまだ必要じゃないらしい。
「その気になったら、鉄パイプとか素手で曲げられちゃうんだから!」
そのまま女生徒はこちょこちょとお小言を続ける。

長そうなので、俺は耳に精神フィルターをかけて、女生徒のいでたちを眺めた。
髪は肩にはかからない長さ、さっきの様子からするとニコニコがデフォらしい。
ウチの制服に茶色のカーディガンを羽織ったかわいらしいコだ。
こんなコと付き合えたらなぁ、って俺もう男じゃねえや。
ははは、お笑いだ(涙)

「ねえ、聞いてる? 義之くん。」
俺「えっ! はい! すいません!」

      • 今俺のことなんて呼んだ?

続く

437 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/03(火) 18:37:52.97 ozPTRaYo0

それではいきますね
――――――――――――――――――――――

「ヨシ~早くおきなさーい」
階下から母さんの声がする。
「美香じゃないと反応しないんじゃないか。」
これは父さんだ。
「あら、そうなのかしら。それじゃ美―――」
「起きるよ!起きるってば!」
飛び起きて母さんに呼びかける。

女体化は政府にも認められた、れっきとした二次性徴の一環だ。
もはや女体化による戸籍の性別変更の届出は義務付けられ、ついで希望するなら名前の変更も許されている。
俺の名はいまや、美香だ。(>>110に感謝しろって両親にはいわれたが、なんのことだ?)
自分の平穏な生活のために名前は変更した。

でも大声で両親に女の子の名前で呼ばれるなんてまだ耐えられない!
勘弁してくれという顔で俺は朝食に向かった。


438 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/03(火) 18:41:19.53 ozPTRaYo0

「学校はどうなの? やってけそう?」
「ん、まぁまぁだね。」
「ヨシ、お前身体の調子はどうだ。」父さんが新聞越しに声をかけてくる。
「うん、かなり慣れたよ。」
そうか、と呟いて父さんは新聞を捲った。
「友達は出来たの?」
「あー。んー。友達っていうか。」
「なになに。」興味津々だ。
「それよりさ・・・」俺ははぐらかした。
うまくいったかどうかはこの際別にしてもらいたいものだ。


話は入学式当日にさかのぼる。
金色ツンツン頭に俺が口説かれ、女体化人間特有の怪力の片鱗を見せた後だ。

俺を突然本名で呼んだその女子は、二年の藤井由香里というらしい。
彼女は校長から俺の監視を頼まれたと話してくれた。

「女体化後って、馬鹿力出るようになるじゃない?」
自分の正体をさっそくバラされたショックで言葉を失い、俺は話を聞き続けた。
「コントロールできるようになるまで、校長先生に、きみ、リードしてあげてって言われてさぁ。」
なおも元気な調子で続けるユカリ先輩。
「大変だよねー。入学式三日前でしょ?制服とか学校から借りられて良かったね!」
おいおい、そこまで知ってんのかよ。


440 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/03(火) 18:47:06.76 ozPTRaYo0

ニコニコしながら話しかけてくる先輩に俺が喉から搾り出せた音は、
「これ、は、どうか内密に・・・」

いやだわ。すっかり女の子の声が板についちゃったわね。あたしったら。

きょとんとしたユカリ先輩は目線を上に向け、んー、と考えてからびしっ俺に指を突きつけ、
「安心したまえ、ワトソン君!このことは校長、キミ、そして私しか知らんのだよ!」

いや、ワトソンて・・・
なおも不安な顔をした俺を見て、おどけた様子をとっぱらい今度はまじめに
「大丈夫。安心していいよ。」
そう言ってから、先輩は俺の頭をなでて、ちょっと笑った。
俺は、なんとなく、なんとなくだけど『この人は安全だ。』という気分になった。
それは校長と会話した時のような・・・

先輩いわく、四六時中見張るようなマネはしないし、私の事はあんまり気にしないでいいよ、らしい。

別れ際先輩は思い出したようにこういった。
「私の事はユカリンか、ユカちゃんって呼んでね!」


―――で、時間軸を本日の登校時間に移そう。


441 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/03(火) 18:52:09.55 ozPTRaYo0

「ここのソフトクリーム、裏メニューで八種類同時に入れてくれるんだって!」
へーっ。

「ほらほら、ここ車通り多いから赤になりそうだったら止まんなきゃ」
ふぅーん。

「あ、あのコ達、ウチの学年で一番のラブラブカップルでさぁ」
すごーい。

ユカリ先輩改めユカリンは入学してから一週間、『何故か』登校時間が重なり、
駅から学校までの十五分の道のりを毎日、共にしていた。
なんせ電車一本乗り損ねた時も改札を通って五秒で後ろから声をかけられたんだ。
もはや何も言うまい。

最初は見張られ感があって嫌だったが、ユカリ先輩は無邪気に色んなネタの話をしてきて、
黒い部分は全く見られなかったので、いまやこの十五分が生活の一部になりつつあった。
「ミカってば話聞いてる?」
「きーてますってば!もー!」

朝、母さんに友達できた、と聞かれて詰まったのはこの人が真っ先に頭に出てきたからだ。
だが、他に思い浮かぶ人がいないってのもあった。

入学式後のHR後の一件で、口説かれ中俺が無表情で、(ぼーっとしてた)
しかもそのあと突然男子の手を盛大にはじき飛ばしたことを筆頭に、ちょくちょく見せる怪力が
クラスメートのフレンドリー精神に歯止めを利かせてるようだった。


442 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/03(火) 18:57:55.05 ozPTRaYo0

俺もはたから見てりゃ引くと思う。

 「へぇ―へぇ――へくちっ!」べきっ。
 シャーペン は こなごな に くだけちった!

てなもんでクラスの男子はちょっと警戒気味だ。
誰もお前らの大事なバットにぎりつぶしたりしないっつの。
まあ男子はともかく、どういうわけか同族のはずの女子からも引かれてる。
おはよう、ばいばいを始めとした最低限の挨拶より上を行こうとするアマゾネスは今のところいないらしい。
授業は、ままうまくやってるし、教師達にも普通の生徒と思われてるようだ。
でも身近な生徒のグループに所属できないっていうのは、女々しいことにちょっと精神的に応える。

そういや女体化してからもう一つ苦労していることがある。
毎日の入浴関連の事象だ。

いままで中学では、女子は綺麗好き、という認識があった。
だから風呂では身体の隅々まで綺麗に洗おうと心がけているのだが、
なにぶん女性の裸体など、母さんに昔風呂に入れてもらった時に見たっきり、だった。
天のお与えになった女体(自分のだけどさ)を見、胸やゴニョゴニョを洗うのはいまだになれない。


443 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/03(火) 19:03:11.58 ozPTRaYo0

さらに髪の手入れがとんでもなく面倒くさい。
男だった頃は、リンス・イン・タイプのトニック系のシャンプーでがーっとやって終わりだった。
でもいまは腰までの髪を丁寧に洗い、流し、コンディショナー、そして軽くすすぎ、さらにその後ドライヤーで乾かす。

めんどくせ

だがぞんざいに扱っていると母さんが幼稚園児に教えるように話しかけてくる。
「あらあら、駄目よ。せっかく綺麗なストレートになったんだから・・・」
「ドライヤーはもっと離さないとキューティクルが・・・」
etc.etc..
それもシャクなので丁寧に風呂で時間を過ごすようになっていった。


なんで風呂のこと持ち出したかって?
入学してから二週目の月曜最後の授業、
我らが担任小林教諭の化学の授業で、すっかりスイヘーリーベボクノフネな頭になったあとの事を話せばわかるはずだ。


444 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/03(火) 19:08:08.46 ozPTRaYo0

一旦職員室へと引っ込もうとした小林は、はっとしてこんなことを言った。
「HRでオリエンテーションのしおり配るから学級委員、後で職員室まで来てくれな。」
オリエンテーション。
つまり、交流のための林間学校のようなもの。
三泊四日の予定で、交流を深めるプログラムが用意されてるらしい。
内容はまったく明かされない。行ってのお楽しみ、だそうな。

HRにて小林が予定の確認をするなか、俺はあるところに目が留まった。
それから項目を芸人張りの二度見で確認し、その光景を思い浮かべて考え込む。

男としては嬉しい、否、もはや女だから嬉しがっていられないと考えさせられる記述。
それは次の通り。
「男子、女子ともに部屋風呂は禁止。露天風呂を使うこと。」


おっぱいがいっぱい祭り開催。ということでひとつ。
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