恵 カレーうま ◆SadRzQKyFM

    

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493 名前:カレーうま ◆SadRzQKyFM 投稿日:2006/10/06(金) 01:28:22.46 nD7j9adz0

いきますおー


17歳の誕生日の朝目が覚めて、恵は、あるものがなく、無いものがあったのに気づいた。
ふうとため息が出てくる。ついにこの日が来てしまった。

10年ほど前から突如として発生した、15~16歳までに女性経験の無いの男の9割が女性化する病、TS症候群。
やはりなってしまったか、と、驚きもそこそこで、感慨深げに新たに生まれた胸の二つの山を眺める。
(なってしまったものはしょうがないか。)
そう思い直し、朝食がてら親に知らせるべく、部屋を出た。
女性になった自分をみて、母親もニヤニヤしながら、いかにも「ああ、やっぱりね」という顔をしている。

「あんた女の子と縁なさそうだもんねえwwww」
そういうなり台所へと消えていった。
「余計なお世話だよ」
少し膨れっ面をしてみるが、本当のことなので仕方が無い。
オヤジの方を見ると、空いた口がふさがらないと言った顔をしている。はっと我に返ったように、
「あー、うん、悪くないな。」
とだけつぶやき、それ以上何も言わなかった。普段無口なオヤジは何を考えているのか分からない。

いつものように、テーブルに座り、いちごジャムを塗ってトーストをかじった。
女の子になったら味覚は変わるかなとおもっていたが、特にそんな変化も見れない。いつもの味だ。
女性になったからと言って、甘いものは別腹~になるわけではないのか。
せっかく体が変わったのに、感覚はそのままなのが少し残念な気はしたが、安心もした。
これからも今まで通りやっていける・・・そう思った。
少し椅子が高くなった気がしたのは、朝食を食べ終えてから気づいたことだった。


494 名前:カレーうま ◆SadRzQKyFM 投稿日:2006/10/06(金) 01:30:02.36 nD7j9adz0

TS症の発症率が高すぎる問題に対し、15~16歳の男子向けの公営風俗の案も提出されたが、倫理上の問題で却下された。
恵も男である以上、女性に興味が無いわけではなかったのだが、この案は破棄されても仕方が無いなと冷静に受け止めていた。
結果、女に縁が無いため女になるという皮肉な結果になったのだが。
病院でTS症の診断書をもらえば、すぐに市役所で戸籍の性別書き換えができる。
公営風俗は否決された分、この点に関してはお国の対処は早かった。

診断書をもらうべく、今日は学校を休むことにした。
そういえば、体は確認したが、顔はまだ見ていない。自分の顔なのに。
着替えついでに見てみようと思い、箪笥の横の鏡を覗き込んでみた。
「おお・・・」
思わず声が漏れる。
鏡に映るその顔は、自分でも驚いてしまうほどの美人であった。
ある程度自分の面影を残しつつ、整った顔立ちをしている。
男の頃は、お世辞にもカッコイイとはいえなかった恵にとって、これは朗報であった。
女になって「よかった」が見つかったのである。



495 名前:カレーうま ◆SadRzQKyFM 投稿日:2006/10/06(金) 01:33:04.16 nD7j9adz0

見とれていると、父と母が、後ろでこっそり覗いているのが鏡から見えた。あからさまなニヤニヤ顔をしている.
二人を追い払って、着替えを始める。さすがに見慣れない女の裸に、目をつぶりながら服を脱いだ。
女物の服を持ち合わせていないので、いつも通り男物の服に着替える。
といっても、普通のシャツとジーパンなので、女が着ても特に違和感はない。と思う。
「しかし・・・・」
胸がやたらと擦れて落ち着かない。少し変な気持ちもして、恥ずかしくなった。
抵抗はあるが、やはり女性物の下着は必要かな。そう思い、母親の下着を借りようと、相談を持ちかけた。
「あんたの胸じゃサイズが合わないね。病院行くついでに自分の分を買ってきな」
そういって、オヤジの財布から諭吉を4,5人取り出した。
「ちょwwwこれ多くない?wwwwてかそれオヤジのwwww」
さすがに気が引けたのだが、母親は譲らない。
「女の子になったばかりなんだから、いろいろ買い合わせるものがあるんだよ。それに、初めくらいいい下着買いな」
あ・・・と力ない声が出ただけで、オヤジはそれ以上何も言わない。
「オヤジ、すまん、思いっきり使わせてもらいます。」
静かにオヤジはうなだれた。


496 名前:カレーうま ◆SadRzQKyFM 投稿日:2006/10/06(金) 01:34:56.98 nD7j9adz0

とりあえず、病院は後回しにし、ブラの代わりにサラシを巻いて、デパートの下着コーナーへと向かうことにした。
道中、路上でおねえさんから新しい化粧品の試供品を配っていた。
通りがかった瞬間試供品を渡され、思わず手に取ってしまう。
「どうぞ使ってみてください!」と、お姉さんに元気良く言われたため、苦笑いで返す。
(昨日まで男だったんだけどな・・・)
当然と言えば当然だが、自分は女として見られているのを、ここにきてようやく自覚した。


499 名前:カレーうま ◆SadRzQKyFM 投稿日:2006/10/06(金) 01:38:34.25 nD7j9adz0

下着売り場に来たものの、恵はその前を行ったりきたりしながらウロウロしていた。
昨日まで男だった上、女性と縁が無かったので、こういう場所には慣れていないのだ。
「母さんに付いて来て貰えばよかった・・・」
そう思いつつ、男物売り場の方から、チラ見しながら目ぼしいものを物色する。
「母さんはいいもの買えと言ったけど・・・」
そうつぶやきながら尚も物色を続ける恵の目に、黒いレースの下着を着せられたマネキンが映った。
「いくらいいものでも、これはねーよwww」
だれもいないのにツッコミを入れるのに空しくなり、他のを見ようとした矢先、店員さんが声をかけてきた。
「いらっしゃいませ、下着をお探しですか?」
こっちは男物の売り場なのに、さも当然のように言って来る。
おそらく、TS症で自分と同じ行動をとる連中が多かったのだろう、店員さんは場慣れしている感じであった。
「あー、えと、その、下着を探してるんですけど・・・なにしろ初めてなもので」
「ああ、初めてでしたか。サイズの方は測られました?」
営業上TS症だと決め付けるわけにはいかないのだろう、店員さんもホントは分かっているのだろうけど、ここにきて初めて分かったような素振りをしている。
「いえ、実はまだなんです」
「それでしたら、こちらでサイズを測らせていただいてよろしいでしょうか?あと、よろしかったら、コーディネートのお手伝いをさせていただきますが」
「あ、お願いします」
下着選びに慣れない自分にとってはこの言葉は有難かったが、後に後悔することになった。



500 名前:カレーうま ◆SadRzQKyFM 投稿日:2006/10/06(金) 01:39:05.47 nD7j9adz0

「きゃーかわいい、これなんかいかがでしょ!?あーん、もう、まよっちゃう~」
今正に、恵は店員さんの着せ替え人形になっていた。店員さん、これがやりたくてこの仕事をやってるのだろうことが容易に分かった。
(というより、ただの趣味だろこれ・・・。)
散々着替えさせられた後で、最終的に、地味だが生地がしっかりした下着を選んだ。
純白でフリフリも何も無い、実にそっけないものである。
店員さんは少し不満そうであったが、やはり実用性を重視することにした。
この辺の気質が、今自分の心が男であることへの唯一の架け橋なのだ。
もう、男であることにこだわる必要はないということを自覚しつつも、なぜかそう自分に言い聞かせた。
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